冬の五輪がまた始まる。

トリノから4年。あの頃はずっと先のことだと思っていたバンクーバー五輪が遂に始まった。


北米大陸西側での開催、ということもあって、LIVEで映像が見られる機会は決して多くないだろうが、真剣勝負の興奮を味わえる数少ないチャンスだけに、眠い目をこすりながら17日間頑張ってみようかと思う*1


さて、五輪プレビュー号(↓)の美しい表紙を見てもわかるように、今大会の日本国内の注目は、8割方フィギュアスケートに集まっているように見える。



元々人気がある競技とはいえ、トリノ五輪の時くらいまでは、長野時代の栄光を背負ったアスリート&競技(スピードスケート、ノルディックジャンプ、モーグル等)や新興競技のスノボ(ハーフパイプ)あたりが、大会前に満遍なく取り上げられる傾向があったから、

「一にフィギュア。二にフィギュア。三、四がなくて、五に上村愛子。おまけに高木美帆。」

的な今大会前のノリには、ちょっと驚かされる。


確かに前回の五輪で日本を唯一湧かせたのは荒川静香の金メダルだったし、過去4年の実績からして金メダルに一番近そうに見えるのが男女のフィギュアスケートであるのも間違いない。


ゆえに、「長野」以来の余韻でフォーカスしていた競技や選手たちが軒並み沈没したトリノの二の轍を踏まないよう、実績もあり、かつ華もある競技を集中的に持ち上げるメディアのやり方が一概に悪いとは言えないだろう。


だが、強すぎる期待が必ずしも良い結果をもたらすわけではない、ということは、これまでの五輪報道をめぐる歴史の中で、何度も証明されてきたとおりなのであって、一発勝負、博打的側面の強いフィギュアスケートでのメダル(しかも金メダル)を当然のことのように願うのは、どうなのかなぁ・・・という思いは残る。



一部の若手を除けば、“伸び切ったゴム”みたいな印象を受けた前回の選手団に比べると、今回は「黄金期の香りを残した百戦錬磨の大ベテラン」と「トリノ以降成長した若手」がいい具合にミックスされていて、前回大会よりは遥かに期待できる陣容だから、いざ開幕すれば、大会終盤にやってくるフィギュアスケート(女子)のことなど忘れさせてくれるような、いい知らせが飛び込んでくるんじゃないか、と密かに願っていたりもするのだが・・・。


後は神のみぞ知る。



なお、個人的に、期待している競技・選手は、ジャンプの複合団体と、クロスカントリー女子の夏見円石田正子両選手。そしてスピードスケートでは、恐らく最後の五輪になる田畑真紀選手と団体追い抜き(パシュート)といったところ。カーリングも序盤で波に乗れば、見せ場は出てくるだろう。


一方、人気サイドのフィギュアスケートは、男子では織田選手、女子では浅田選手が一番メダルに近いと思う。
ただ、混戦模様だけに何とも言えないところはあって、特に期待されている女子は、地元のロシェットと準地元のレイチェル・フラットに追い風が吹いて、今季の実績どおりキム・ヨナが上位に食い込めば、もう日本勢の入り込む余地はなくなってしまうわけだから、先ほども述べたとおり、あまり過大な期待はすべきではない。


あと、もう一人の人気選手・上村愛子選手も、波の大きい今シーズンの戦績から見ると、入賞できれば御の字かなぁ、という気がする。
これまで7位、6位、5位と来て、今回もし4位、なんてことになったら、悲劇のヒロイン以外の何ものでもないのだが、上村選手に対しては、たとえ4位だったとしても入賞したら惜しみなく称賛の声を送ってあげないといけないと思う。これまでの3大会連続入賞、という記録だけでも十分立派なわけで*2、それが4大会連続、ということになれば、ポンと取った金メダルよりも遥かに価値があると思うのだ・・・。



3月1日にどういう総括になっているのかは分からないけれど、なぜか必ず自分の人生の節目の年に巡ってくる冬季五輪が、今回も多くの人々の記憶に残るものになることを願ってやまない。

*1:頑張るのはお前じゃなくて選手だ、というコテコテの突っ込みはご勘弁願いたい。

*2:8年間世界のトップレベルに立ち続けていることの証明なのだから。

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