軽くなった法相の地位

柳田稔法務大臣が、22日午前に首相に辞表を提出し、受理されたとのこと。

伝えられるところによれば、

「個別事案はお答えを差し控える」と「法と証拠に基づいて適切にやっている」の2つの答弁だけ覚えておけばいい

と国政報告会で、受け狙いのジョーク(?)を発してしまい、野党から集中砲火を浴びたが故の事実上の更迭、ということである。

もっと人望と力のある政治家だったら、これくらいの発言はなんてことなかっただろう、と思うのだが、これで首が飛んでしまうあたりが、何とも情けないというか何というか。

もっとも、法相の地位の“軽さ”は、今に始まったことではなく、むしろ自民党政権の末期の頃の方が酷かったように思う。

その最たるものは、07年〜08年に務めた名門一族の末裔氏だが、他の顔ぶれを見ても、“2つの答弁”以外の答弁を的確にできるような能力を持っていた大臣がどれほどいたか・・・。
そう考えると、一概に民主党政権だけを揶揄するわけにもいかないだろう。


奇しくも、19日付の夕刊には、東大名誉教授であり、文化勲章受章者である三ヶ月章・元法相が89歳で逝去された、というニュースが載っていた。

高名な学者だから、大臣としても優秀、というわけでもないだろうし、それゆえ法務大臣のポストに民間人としてプロの法曹や法学研究者がなかなか入って来ない、という現実もあるのだろうけど、やはり昨今の惨状を踏まえれば、当時の細川内閣の人選は、実に味のあるものだったように思われる。

時代は変わっているし、今の内閣にあまり期待しても仕方ないところではあるのだが、後任者の人選にあたっては、(格はともかく)“司法行政に対する一定の見識”の有無を考慮して欲しい・・・というのが、自分のささやかな願いである*1

*1:頓珍漢発言を連発する門外漢を連れてくるくらいなら、いっそのこと仙谷官房長官が兼務のままやってくれた方が、まだ良いのではないかな、と思ったりする。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html