「高速ツアーバス」の規制強化と、そのアプローチに対する疑問

最近浮世離れした話題が多い日経紙の法務面だが、今週は珍しく身近な話題、ということで、「高速ツアーバス」の規制強化の問題が取り上げられている。

高速ツアーバスを企画する旅行会社が、新たな『高速乗り合いバス』制度への移行対応に追われている。7月末から始まった新制度では、旅行会社もバス事業の許可を取ってバスを安全に運行することが義務付けられるためだ。来年7月までに完全移行する予定だが、許可取得には停留所の確保が条件となるなど会社側の負担は大きい。」(日本経済新聞2012年10月22日付朝刊・第17面)

高速バス、といえばバス会社が走らせるものだろう、と信じ込んでいた自分が「高速ツアーバス」の跳梁跋扈に気付いたのは、今から遡ること数年前、大阪の自宅に戻る友人が「○○でバスに乗るから」と、聞き覚えのないスポットを口にした時だっただろうか。

見送りに行ってみたら、バスターミナルでも何でもない公道の路方に、見慣れない車体のバスが何台もゴロゴロ止まっていて、「今は、こんなことになっているのか・・・」と唖然とさせられた。

その後も、「夜行バス」といえばツアーバス、という状況はずっと続いていたようで、ある時などは、新宿の高層ビルの一角で、突如として賑やかな“バス乗り場”に遭遇して、これまた唖然・・・という経験もしてみたり。

自分は元々四輪の自動車が苦手*1な上に、「人間の能力に全面的に依存したシステム」というものを基本的に信頼していないので、「夜行バス」などというものには、とても怖くて乗れない。

いくら新幹線や飛行機に比べれば安い、といっても、夜中に車を走らせている運転手が人間である以上、「眠くなるな」という方が土台無理。
それでも、あえてリスクを冒してバスに乗る、というのは、“ロシアン・ルーレット”以外の何物でもない無謀な行為だと思っている*2。ましてや、責任関係があいまいになりがちな、「零細旅行会社が手配した貸切バスに乗る」なんてことになれば、命を危険に晒すのみならず、何かあった時に満足に補償を受けることすら難しい、ということになってしまうのは自明の理であろう。

なので、今年の4月末、関越自動車道で大事故が起こった、というニュースを聞いた時は、驚きというよりは、“やっぱり”という思いのほうが強かったし*3、事故後の対応がいかにも心もとなかった旅行業者と貸切バス業者を見るにつけ、これはある程度の規制強化は免れ得ないだろうなぁ・・・と思った。

そして、そんな時代の流れに合わせる形で、「国交省が規制を強化し、安全管理の徹底を図っている」というのが、日経紙の記事で描かれているストーリーなのだが・・・

*1:乗ると確実に気持ち悪くなる・・・。自分で運転していても、だ。

*2:時間に多少でも余裕があれば鉄道を使うし、どうしても朝一で、という場合でも、飛行機を使えば夜行バスよりは心身に係る負荷を遥かに軽くすることができる。命のかかわる場面で、金を惜しむなんて言語道断だろう、と自分は思う。

*3:そもそも、昔から大なり小なり、高速道路で事故を起こす夜行バスは少なくなかった。

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