“国民栄誉賞”フィーバーを眺めながら考えたこと。

5月5日は「こどもの日」ということで、おそらくは様々な思惑があったであろう状況の下、東京ドームで盛大に長嶋茂雄氏と松井秀喜氏の「国民栄誉賞表彰式」が行われたようである。

おかげで、夕方から夜にかけてのニュースは、「1000日計画」をはじめとする、両氏の“美しい師弟関係”のニュースほぼ一色だったし、ネット上でも好意的に取り上げる声が目立った*1

自分にしても、4月1日に初めてこの話を聞いた時の怒りに近い感情*2はだいぶ収まっていて、冷静に考えれば、長嶋茂雄氏は、少なくとも選手としては、時代を象徴するスターだった(はずだ)し*3松井秀喜氏にしても、米国での175本塁打、という記録は、この先海を渡る日本人がそうそう乗り越えられるようなものではないだろうから*4、とイラつくわが身を納得させようとしていたところはある。

「長嶋監督」が采配を振るっていた時の「巨人」というチームの無茶苦茶さを考えれば、あたかも、(松井選手を育てた、という点で)「監督」としての実績を評価するかのような報道ぶりにはさすがに閉口せざるを得ないが、それでも、当時、日本国民の多数を占める“巨人ファン”なる人種の多くが、長嶋監督の笑顔に癒されて(騙されて?)いて、幸せな気持ちで日々を過ごしていたことを考えれば*5、こういう予定調和も良いのかもな・・・と思うところでもあった*6

ただ、一夜明けて新聞を開くと、やはり、美辞麗句が並ぶスポーツ面、社会面の記事よりも、

長嶋茂雄松井秀喜国民栄誉賞受賞が決まってから、マスコミを含めた周辺の熱狂ぶりに、ずっと違和感を覚えていた。」

で始まる、ベテランライター(浜田昭八氏)のコラム*7の方がしっくり来るわけで・・・。

*1:ついでに、安倍総理の「背番号」についても盛り上がっていたようだが・・・。

*2:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20130401/1364843900

*3:自分が同時代に生きていないので、この辺は何とも言えないのだけど。

*4:先駆者としての功績と、当地での実績の両面において松井氏を数段上回るイチロー選手にしても、本塁打数だけは、現役の間に松井氏のそれを超えるのは難しいのではなかろうか。もちろん、バッターとしてのタイプが異なるのは承知の上だが。

*5:自分の身近なところにも「長嶋監督の姿に励まされて」苦しい闘病生活を乗り切った、という後輩が実際いたりしたので、(メディアが作り上げた部分もたぶんにあるとはいえ)“神話”は侮れない。

*6:グラウンドに現れた姿やスピーチ等から、長嶋氏ご自身がもう何年も病と闘い続けて来られたこともうかがえただけに、それに勇気づけられた方も多かったのではないかと思う。

*7:日本経済新聞2013年5月6日付け朝刊・第28面「選球眼」。

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