それでも、モーリスは強かった。

昨年の安田記念で初めてのG1制覇を成し遂げて以降、マイルCSと2つの香港G1を制す、という偉業を成し遂げ、マイラーというジャンルを超えて今の日本競馬を代表する馬になったモーリス。その馬が1年後、再び同じレースに参戦する、ということで、例年ならほぼフルゲートの賑やかなレースになるはずが、僅か12頭、という規模になり、人気面でも1.7倍、と抜けていたのが今年の安田記念だった。

それが、まさかの2着・・・。

マイルで7戦6勝。4歳春から7連勝中でG1も4連勝、となれば、もはや疑問符を打つことが許されない存在だったのは確かだが、海外遠征帰りの初戦で、ペースが遅くなりがちな少頭数の構成、しかも馬場は荒れ気味、と波乱を呼びそうな要素は間違いなくあった。

勝った馬が、対抗視されていたリアルスティールでもサトノアラジンでもなく、忘れられかけていた6歳馬・ロゴタイプだったことで(さらに過去の傾向からすると馬券対象には入ってこない7歳馬・フィエロが3着に食い込んだことで)、単勝3,690円、3連単15万円超、という大波乱となってしまったが*1、仮にもう少し普通の流れでレースが進んでいたとしても、この日のモーリスの出来だと、競り負ける結果になっても不思議ではなかっただろう*2

要するに、どんなに強い馬でもそんな時はある、競馬に絶対はない、という当たり前のことが分かった、というだけの話なのだが、それでも、遥か後方でもがくリアルスティールを脇目に、フィエロの猛追をハナ差しのいで「2着」というポジションを守り切った、というところに、一流馬ゆえの凄さを見たような気がしたのもまた事実なわけで、ここから先、秋に向けてまだまだこの馬の牙城は簡単には揺るがないだろうな、と思わせてくれたレースでもあった。

おそらく、今日、勝ち星を掴めなかったベリー騎手が、次もこの馬に騎乗することはないだろうけど・・・*3

*1:果敢に逃げを打ったロゴタイプが、1000m・59秒1、というG1短距離戦らしからぬスローペースを作り出したことで、後方待機策をとった有力馬たちには実に気の毒な結果になってしまった。

*2:10着のレッドアリオンまでが上がり33秒の脚を使っている中で、モーリスの上がりタイムは34秒0、と逃げたロゴタイプにも劣っている。

*3:今年の春シーズンは、大本命と目された馬に騎乗した外国人騎手が、痛い星を落とすパターンが目立ったが、ここでもそのジンクスが承継される結果になってしまった。

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