迷走気味の台風。夕方くらいに晴れ間の見える空を見た時は、「こりゃまた予報外したな」と思ったものだが、深夜に差し掛かり家路に付く頃になって、ようやく雨も降ってきた。
それでも、朝起きたら、あの嫌らしい渦が遥か東の海上に遠ざかっていたりすることを、まだちょっと期待している。
「下請法違反 監視強まる」
月曜恒例の日経紙の法務面、今日のテーマは、上記見出しのとおり「下請法」であった*1。
記事でも指摘されているとおり、最近、下請法違反で指導、勧告される事例は増えているようで、著名な小売店等が対象になった事例が記事になることも多い。
元々要件が形式的、硬直的で、運用も融通が利かないこの法律に対する評判は芳しくないのだが、時代は“中小企業の味方”である自民党の天下、ということもあり、消費税特措法ブームが去った後も、執行強化は続いているようである。
あまり活字にはなっていないものの、下請法違反の場合“認めたら負け”のようなところはあって、書面の明確な不備や明らかに下請企業を痛めつける目的で一方的減額等を行った場合でなければ、調査に対して毅然と反論した方が指導、勧告を受ける可能性は低くなる、という噂は、実務の世界では根強く囁かれているところなので*2、記事を見て過度に腰の引けた対応に舵を切る必要はないと思うのだが、とかく“コスト削減”が最優先されてしまう世知辛い世の中だけに、親事業者としても“ともに栄える”という発想は持っておきたいところである。
「顔は個人情報」という当たり前の事実をなぜ今?
法務面のもう一つの大きめの記事が、改正個人情報保護法に関するコラムで、「顔は個人情報」という点にフォーカスして防犯カメラの話などが書かれている。
もっとも、読んでみると、「顔データが個人情報に当たる」という法改正以前から実務では当然の認識となっていたポイントに触れているだけで、法改正はあまり関係ないなぁ、という印象のことしか書かれていない。
そして、弁護士のコメントとして紹介されている「防犯カメラで収拾したデータの利用目的を店頭で告知するなどの対応が求められる」というくだりは、あくまで「防犯以外の目的」で顔画像データを使用する場合のことなのだ、ということをもう少しはっきり書いてくれないと、誤解する人も出てきてしまうのではなかろうか。
通常の防犯目的で使用する場合は、個人情報の利用目的が取得の状況からみて明らかであり、「当該利用目的の公表を必要としない場合」(法18条4項4号)に該当する、という解釈は変わらない、ということにも触れてほしいところではあった。