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2018-07-14

[][] 必然の頂上対決

先ほど、ベルギーイングランド3位決定戦が順当にベルギーの勝利、という結果で終わり*1、約1カ月にわたったロシアW杯も残すは決勝戦、フランスクロアチアのカードのみ、ということになった。

グループリーグドイツ韓国に敗れて大会を去ったことに象徴されるように、世界各地域の実力が拮抗した結果、日本を筆頭にアジアアフリカ北中米のチームも決して“安牌”にはならず、ささやか以上の存在感を示した。

どんなビッグネームを擁するチームでも、当のエースがコンディション不良だったり、チームとしてちょっとでも隙があれば、前評判とは無関係に消えていく、という厳しさは、第1回のW杯から88年経って、フットボールが世界の隅々まで行き渡ったという証でもある。

そして、そんな中、今大会の価値を高めているのは、大会の中で大きなインパクトを残したチームがトーナメントを順当に勝ち上がってきた、ということ。

4年に一度、世界の頂点を決める舞台では、どうしても冷酷なリアリズムが先に立つから、グループリーグ、ラウンド16で魅力的な試合をしたチームも、準々決勝、準決勝と駒を進める中で力尽きる、というパターンがこれまでは多かったし、観る側も「それがW杯だ」と半ばあきらめていたところがあったのだけど、今大会に関して言えば「もう一つ先を見たいチーム」が順当に勝ち上がってくれて*2、大きなフラストレーションを感じずに済んでいるところはある。

試合後の主力選手の発言が話題になった準決勝、フランスベルギーの試合にしても、言われるほどフランスが守備的だったわけではないし、最後の10数分の見苦しさを除けば、「アンチ・フットボール」とまで言われてしまうのはちょっと気の毒なくらい、フランスの試合運びが洗練されていたのも事実だから、どちらが勝ちあがっても良かった、と個人的には思っているところ。

そういう意味で、フランスクロアチア、という決勝戦は、「攻守一体」という今大会最大のテーマをここまで実践してきたチーム同士が、それぞれ「スピード&守備の堅牢さ」と「技術&多彩な攻撃」という、それぞれが磨き上げた突出した個性を武器にぶつかり合う、という、実に見どころの多いカードだと言えるだろう。

そして、以下では、明日の試合を控え、これまでの決勝トーナメントでの戦いぶりを数字で見ながら*3、ちょっとだけ“未来予想図”を書いてみることにしたい。

フランス〜鉄壁の守備と切り替えの速さ、試合運びのしたたかさ

1回戦 対アルゼンチン 4-3

ボール支配率40%、シュート8本(うち枠内4本)/相手シュート11本(うち枠内4本)

シュート者上位:エムバペ2、グリーズマン2、パバール1 ほか

パス成功者上位:カンテ47、ウムティティ42、ヴァラン34

準々決勝 対ウルグアイ 2-0

ボール支配率59%、シュート10本(うち枠内2本)/相手シュート12本(うち枠内4本)

シュート者上位:グリーズマン2、ヴァラン2、トリソ1

パス成功者上位:パバール73、ポグパ60、エルナンデス51

準決勝 対ベルギー1-0

ボール支配率39%、シュート18本(うち枠内5本)/相手シュート9本(うち枠内3本)

シュート者上位:ジル―7、グリーズマン5、マティイディ2

パス成功者上位:パバール45、カンテ39、ヴァラン35

カバーニ選手の負傷欠場でワンサイド気味の試合になったウルグアイ戦を除けば、決勝ラウンドに入ってから専ら相手チームを「受けて」いる印象が強いのだが、それでいて、今回のフランス代表は、(シュート数では相手を圧倒したベルギー戦に象徴されるように)ひとたびボールを奪えば一瞬で決定機に持ち込める力を持っているから見ていて飽きない。

攻守の役割分担も明確で迷いがなく、特に守備能力の高いカンテ、ポグバの両選手が奪ったボールをグリーズマンが運ぶ、あるいは、一段飛ばして飛び道具のエムパベで一気に決めに行く、という必殺パターンが確立されている上に、セットプレーからも点を奪える、というのは相当な脅威。

今大会、グループリーグから一度も先制点を許していない、というのも特筆すべき事柄で、先制してからの試合運びにも心憎いばかりのしたたかさがある。

一方で、ジル―選手が未だにゴールを決められていないこと。そして、役割分担の明確さは、裏返せば流れの中での得点パターンが固定化している、ということでもあり、抑え込むターゲットを絞られやすい、というのが難点はある*4

クロアチア〜高い技術と多彩な攻撃パターン、そして魂の守り。

1回戦 対デンマーク 1-1

ボール支配率53%、シュート21本(うち枠内6本)/相手シュート15本(うち枠内3本)

シュート者上位:ペリシッチ7、ラキティッチ3、モドリッチ3 ほか

パス成功者上位:ラキティッチ70、モドリッチ67、ビダ62

準々決勝 対ロシア 2-2

ボール支配率65%、シュート17本(うち枠内3本)/相手シュート11本(うち枠内3本)

シュート者上位:クラマリッチ3、モドリッチ3、マンジュキッチ3

パス成功者上位:モドリッチ93、ロブレン81、ラキティッチ76

準決勝 対イングランド 2-1

ボール支配率54%、シュート21本(うち枠内7本)/相手シュート10本(うち枠内1本)

シュート者上位:ペリシッチ7、マンジュキッチ3、レビッチ3

パス成功者上位:ブロゾビッチ76、ラキティッチ69、モドリッチ63

数字だけ見ると、クロアチアが決勝トーナメントに入って以降の全ての試合で、ボール支配率、シュート数ともに相手チームを圧倒していることが良く分かる。

チームのスタイルとしてはフランスとは対極で、各人の高い個人技をベースに手数をかけて攻める、スペインや近年のドイツのような戦い方をするのだが、そこに“緩”を“急”に変えられるモドリッチ、というスーパースターが絡むことで、敗退したチーム達とは大きな違いを生み出すことができたのだろう。

相手に合わせてシステムも微妙に変えてくるし、攻撃パターンもマンジュキッチペリシッチ、クラマリッチといった選手たちがフレキシブルに動き回り、レビッチのドリブル突破等によりアクセントを付けるオプションもある等、実に多彩。

パスの出しどころすら、モドリッチラキティッチ、ブロゾビッチ、と、相手やコンディションによりいろいろと変えてくるから、明日の試合も、実際に始まるまでは、誰がどこで仕事をするのか、相手が捕捉するのは難しい。

一方で、内容的に圧倒しているにもかかわらず、3試合とも120分戦わないといけなくなったことからも分かるように、クロアチアの試合運びはフランスベルギーほど洗練されたものではない。いずれの試合も、相手チームに先制点を許し、それを追いかける展開になっていたために、余計にハラハラさせられることも多かった*5

決勝戦も、ひとたび相手に先制を許せば、攻めても攻めてもゴールが遠い、という蟻地獄に嵌る可能性は否定できない。

逆に、点が取れなくても膠着した状況に持ち込めば、あとはGK・スバシッチ選手を中心に、気持ちの入った激しい守備で耐え抜くこともできる。とにかく先に点をやってしまって追いかけるような展開にしないことが一番である。

                                                           なお、最後に、各メディアでは圧倒的に「フランス有利」という前評判になっているが、今大会での両チームの共通の対戦相手、アルゼンチンとの試合を基準に考えると、自分は各選手万全ならクロアチアの方が一枚上だと見ている。、

だからこそ、変なところで足元をすくわれないように、と今はただ願うのみ。

最後の最後に、最高峰の舞台での、最高峰の戦いを目撃できると信じて、それまでゆっくり鋭気を養うことにしたい。

*1:最後の最後までベルギーのカウンターは速く、鋭く、そして美しかった。アザール選手のドリブルとデブライネ選手の糸を引くようなスルーパスを決勝の舞台で見ることができなかったのがつくづく悔やまれる。

*2:日本対ベルギーに関しては、まぁ日本にも勝ち上がってほしかったところはあるが、その次の試合、よりグレードを上げた高速カウンターでブラジルを葬り去った赤い悪魔たちの姿を見たら、やっぱりあの結果で良かった、と思わずにはいられなかったところはある。尻上がりに調子を上げていたウルグアイコロンビアは、主力選手が万全な状態で見たかったところもあるが、仮に万全だったとしても「トップ3」に入るのは難しかっただろう、と思う。

*3:データは「スポーツナビ」で毎試合公表されているスタッツからの引用。

*4:流れの中で意表をついて得点を生み出せる選手はパバール選手くらいかな、というのがこれまで見た中での印象である。

*5:その分、ドラマティカルな試合が続き、視聴者の支持、共感を集めることになったのも、また事実なのだが・・・

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