企業法務戦士の雑感 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2018-09-20

[][]結果だけ見れば「順当」だが・・・。

自民党は20日投開票の総裁選で、安倍晋三首相(64)を総裁に選出した。首相は党員・党友による地方票と国会議員票の合計553票をとって石破茂元幹事長(61)を破り、連続3選を果たした。石破氏は計254票だった。」(日本経済新聞Web/2018/9/20 21:00)

結果は始まる前から分かっていたから唯一の関心事は「得票数」だけだったのだが、それがまさかの250票越え。地方票だけを比べたら40票ちょっとしか違わない、というのは、現職総理としては「惨敗」といっても過言ではない。

自民党Webサイトの速報によると、各都道府県のうち石破茂候補が勝ったのは僅か10県だが、現職総理陣営の強烈な締め上げの中、実質的に地元の鳥取島根以外にも8県が「造反」した事実は重いわけで、“終わりの始まり”を予感させるには十分な結果だと思う。

ここで看板を替えておかなかったことが、この先1年でじわじわと組織をむしばみ、やがて再びの下野につながる。

繰り返す歴史から学んでおくべきことを学ばなかった、それを後悔した頃には既に時遅し。そんな気がしている。

2018-08-30

[][] 今こそ止める時。止めなければいけない時。

最近、自民党の総裁選をめぐるさや当てが面白くて仕方ない。

石破茂・元幹事長陣営が掲げた「正直、公正」というキャッチフレーズ。

権力の頂点に立とうとする人のメッセージとしては、何ら不思議ではない、むしろ、当たり前過ぎるくらいのこの一言に、なぜか批判が飛ぶ。

それって、普通に考えればそれだけでおかしくって、客観的には、対立候補のアベシンゾウとその取り巻き達が「自分たちが正直でもないし、公正でもない」ということを日頃からしみじみ感じているからこそ、思わず悪態をついてしまっているようにしか見えないのに、そのことにすら気づいていないのかお前らは・・・という何ともシュールな戦国絵巻が展開されている。

個人的には「森友」とか「加計」なんて話は、正直どうでもよいのだけど、自分たちを客観視できない人々に囲まれている政権、というのは、やはり有害無益でしかない。

そしてそれ以上に、この6年の間、今の政権になってから、政府がやたらと民間事業者のビジネスの領域にまで首を突っ込んでくるようになったこと、そして、あたかも「国家主導」で産業政策を引っ張っているような面をしている人間が増えたことに自分は一番辟易している。

元々、経産省界隈にはそういう類の人間が比較的多かったのだけど、それまでは他の役所の牽制機能もあって、何となくバランスがとれたところに収まっていたのところはあった。

それが、今の総理との相性もあって、ここ数年、そういう輩がやたら増殖し、「成長戦略」の名の下に無駄な予算を使っては無駄な“官製事業”を打ちまくり、民間事業者の経営に土足で踏み込んで余計な口を出す。

人工的に作出した金余り現象のおかげで、見かけの経済成長率こそ辛うじて横ばい+αを確保しているものの、内実は全て将来世代へのつけ回しだから、まだまだ先が長い世代の我々にとってはたまったものではない。そして、財政上の問題以上に、今の、この国の生の実態を直視することなく、10年前、20年前の感覚で「技術立国」とか「知財保護強化」といったお題目を唱え続けるセンスのなさもまた致命的だと思っている。

今必要なのは、この国の現実を見つめること。

そして、財政規律を徹底して、近い将来、国が沈没するリスクを最小限に食い止め、「小さくてもしぶとく生き残れる国」を目指すこと。

なのに、そういった声は黙殺され、決して整合的ではない人気取り施策ばかりが先行することに、危機感は強まる一方である。


自分は、石破茂、という候補者総理総裁にふさわしい人物だと信じているわけではない。

ただ、今回ばかりは、この国の闇をこれ以上広げないために、死に物狂いで頑張っていただかないといけないな、と思っている。

首相に“No More”を突き付けるために。そして、この国に残された微かな未来への希望を守って、保ち続けるために。

2018-08-24

[][][] 「携帯電話料金4割下げ余地」発言に思うこと。

政権で長く今の地位にいる某官房長官が、講演で携帯電話利用料について「今よりも4割程度下げる余地がある」と発言した、というニュースが22日に報道されて、またか・・・という思いに駆られた人も多かったことだろう。

元々、この業界、「2年/4年縛り」とか「SIM縛り」とかで、公取委から散々目を付けられているし、人気取り施策に走りがちな現政権でも、3年前、首相が総務大臣に直々に「値下げ」の検討を指示するなど、ここ数年“受難”が続いているのであるが、さすがに政府関係者が具体的な数値まで上げて「値下げ余地」とのたまった、ということになると、穏やかではない。

情報通信審議会での議論開始をにらんで世論を盛り上げるための観測気球、という意味合いが強かったのだろうが、当然ながら携帯大手3社の株価は下落するし、それに輪をかけて、翌日には内閣府が「日本では消費に占める割合が経済協力開発機構(OECD)加盟国で4番目に高いと分析した」という記事まで飛び出してきた。

さすがにこのままズルズル行くとまずいと思ったのか、今日付けの社説で日経新聞が、

「菅義偉官房長官が講演で「携帯電話料金は4割程度下げる余地がある」と発言した。政府高官が民間企業の決める料金水準にあからさまに口出しするのは異例であり、賛否が分かれそうだ。」(日本経済新聞2018年9月24日付朝刊・第2面、強調筆者)

と釘を刺したものの、

「ただ、日本の通信市場が大手3社による寡占化など問題が多いのは事実で、さらなる改革が欠かせない。」(同上)

と続ける・・・と、結論としてはどっちつかずな雰囲気。

確かに、今の日本の携帯電話料金を「安い」と褒め称えるつもりはないし、端末にしても料金プランにしても、選択肢が少なすぎる、という不満は契約更新(機種変更)のたびに高まる一方なのだが、だからといって政府」が民間企業のビジネスの根幹である料金体系に“口先介入”する、というのはやはりどう見たって異常な事態なわけで、そういったことを平然としてしまうところに、長い任期の上に安住している現政権の傲慢さが如実に現れている、ということは、もっと突っ込まれてよいのではなかろうか。

いくら高い、といっても、せいぜい月1万円になるかならないか、という程度の金額で「家計を圧迫する」などと騒ぐのはあまりに大袈裟だし*1、そもそも、無駄に高いスマホを買わずに、必要最小限の機能だけの端末と必要最小限の料金プランで契約すれば、月々の支払いを安く済ませることはいくらでもできる。それをしないのは、多少コストを余分を払っても「iPhoneを持ちたい!」という(世界でも他に例を見ない)日本人の無駄なブランド志向の帰結に他ならないのだから、そこで携帯電話会社を責めても仕方ない*2

そういった歴史的経緯とか、消費行動の実態をどこまで把握した上での“口先介入”なのか・・・。

個人的には、携帯各社のスマホ一辺倒の販売戦略が緩和され*3、契約者の選択肢が増えれば万々歳なのだが、今のような動きが背景にある限り、そうなったときのうれしさよりも、「国が平気な面で民間事業者の販売戦略に口を出してくる」時代になったことへの恐怖感の方が遥かに強いだろうから、素直に喜ぶことはできないだろうな、と思わずにはいられないのである。

*1:以前、ガラケー時代にデータ通信を使っていた頃は、月2〜3万の支払になることもザラだった。それに比べると今は定額プランでかなりの通信容量までカバーできるから、どんなに膨らんでもたかが知れている。

*2:もちろん、携帯各社の宣伝戦略や、各ショップの売り方が、必要のない人々に高いスマホと高いプランを「買わせる」方に働いているのも事実なので、そういった点は誰かが指摘した方が良いのだろうが、それも政府ではなく「消費者」自身ですべきことだと自分は思っている。

*3:と言っても、かつてのような安くて高品質のガラケーを作れる会社はもはや日本になくなりつつあるのが残念なところではある・・・。

2018-02-06

[][][]「場外戦」もまた楽し。

開幕まで1週間を切り、連日、選手団の現地入りが報じられるなど、ようやく“雰囲気”が出てきた平昌五輪。

その一方で、急転直下で参加することになった北朝鮮選手団とその関係者のニュースや、「平壌五輪」化しつつある状況への抗議行動のニュースも連日、政治面を賑わし、社会面にも、「寒さと低待遇に耐えかねてボイコットする五輪ボランティア」のような記事が躍っていたりする。

リオ五輪の時もそうだったが、大会が始まる直前は、各国のメディアが開催国に一斉に終結することもあって、日頃ならネタにもならないような、ちょっとしたことがやたら大きく取り上げられることも多い。ましてや、今回は、我らが日本にとっての長年の“宿敵”国での開催だけに、ちょっとしたチョンボや不協和音をあたかも「五輪の危機」であるかのように書きたがるメディアがいつも以上に多いような気がしている。

そういう状況下で過ごしていると、何となく感覚がマヒしてしまうのだけど・・・


「北朝鮮」の一件を除けば、ボランティアがどうのこうの、だとか、開会式をめぐってどうのこうの、といった話は、今大会に始まったことではないわけで、実際に大会が始まってしまえば、すぐに“懐かしい話”に変わってしまいそうなものでしかない。

日本人は、どうしても「ほれ見たことか」という感情に陥りがちだし、「自分たちがやればもっといい対応ができる」というのを信じて疑っていないところがあるが、個人的には、2020年に向けた準備の方がよほど混乱を生じさせそうな気がしていて、笑っていられるのも今のうちだけ、高みの見物ができるのも今のうちだけ、という思いがよぎってしまうところもある。

ボランティアの話にしたって、今のこのご時世、全く何の見返りもない“純粋ボランティア”で仕事を引き受けてくれる人がいったいどれだけいるのか、そして、仮に引き受けてくれる人の頭数は揃ったとしても、唯々諾々と指示に従うだけ、ということになるかどうか、には大いに疑問の残るところで、一方で、集まったボランティアから万が一何も問題提起がなされなかったとしたら、それはそれで大問題*1

だから、

「隣の国を笑うものは、2年後に逆に笑われてしまうよ」

という言葉を胸に、何が起きても温かく見守るというのが、あるべき姿かな、と思わずにはいられない。

なお、繰り返しになるが、今の状況は、あくまで、大会が始まる前の今だからこそ味わえるもので、いずれ大会が始まれば、大会運営そのものに批判の手が上がることになっても、それ以外のところに目が向けられる機会はかなり減ることになるだろう。

だから、場外戦を楽しむことができるのも、「今だからこそ」なのである。

*1:それじゃ、今、揶揄されているどこかの将軍様の国と何ら変わりのないことになってしまう・・・。

2018-01-21

[][][] 突如湧いて出た「南北統一」のざわめき。

年が明けてからトントン拍子(?)で決まった感のある平昌五輪への北朝鮮選手団派遣。

「国際オリンピック委員会(IOC)は20日、2月9日に開幕する平昌冬季五輪への北朝鮮の参加をめぐり、韓国とのアイスホッケー女子の南北合同チームの結成や、開会式での「統一旗」を掲げた合同入場行進を正式に承認した。北朝鮮はスキー、アイスホッケー、スケートの3競技で22人選手を派遣する。」(日本経済新聞2018年1月21日付朝刊・第5面)

日本では、当然顔をしかめる人の方が多いのだろうし、個人的にも、こんな政治的判断を五輪の場に持ち込むのはいかがなものかな、と思うところはあるのだけど、記事を読めば分かる通り、最終的にこれを承認したのはIOCで、バッハ会長が、

「会談後の記者会見で「五輪の精神は敬意や理解だ。平昌冬季五輪が朝鮮半島の明るい未来の扉となることを願う」と述べ、五輪を通じた南北融和への期待感を表明した。」(同上)

ということになってしまった以上、文大統領の政治姿勢がどうのこうの、と言っても詮なきことである*1

もっとも、興味深いのは、韓国の国内でも、今回の判断に対する反発が強い、という報道が出ていること。

「SBSテレビの世論調査によると、南北合同チームの結成に否定的な意見が72%を占めた。20〜30代の若者では82%に上る。韓国政府が北朝鮮代表団の滞在費を支援する案に「反対」との回答も「賛成」を10ポイント近く上回った。」(同上)

元々日本以上に揺れやすい世論を持っている国で、かつ、地元での五輪開催、ということになれば、会期が進んでいくうちに“融合”ムードに傾く可能性もないとは言えないのだが、開会式の際に統一旗が歓声で迎えられるのか、それともブーイングを浴びることになるのかは、全く予断を許さない状況だと言えるだろう。

そして、肝心の競技への影響については、あまり注目されていないようでちょっと気の毒なのだが、鳴り物入りで結成された「五輪初の南北合同チーム」は、女子アイスホッケーのチーム、ということで、「スマイルジャパン」こと日本女子代表チームとは14日、グループリーグ最終戦で対戦する予定になっている。

日経紙もスポーツ面で、それを前提に、記者の怒りのコメントとともに、山中武司監督のコメントまで紹介するフォローぶり。

「五輪まで1カ月もない時期に、合わせて35人もいる大所帯の新生チームはどうやって練習し、作戦を分かち合うのか。選手不在の決定に、あきれるばかりだ。」

「日本の山中監督の17日のコメントが的を射ている。「韓国の監督を思うと、この時期に選手を変更されるのは正直同情するところもある」。試合でベンチ入りする22人のうち、最低3人は北朝鮮選手にする。世界ランキングは22位(北朝鮮は25位)とメダル争いに関係のない競技力だから、政治的な決定を押しつけるのには好都合、と判断されてしまったのか。」

(日本経済新聞2018年1月21日付朝刊・第28面、強調筆者)

若手とベテランがうまくかみ合って上位に食い込むことも期待されている日本女子チームが「世界ランク22位」の韓国チームに足元を掬われるわけにはいかないし(日本のランキングは現在9位*2)、おそらく試合自体はワンサイドなものになる。

ただ、大会日程が進んで地元の観客も温まってきた中で、地元世論の変な揺れ幅と重なって、我らが代表チームが「南北融合」の格好のターゲットにされてしまわないか、という心配はどうしても残るところ。開幕戦でスウェーデンにジャイアントキリングを食らわせたりして、グループリーグの戦いを有利に進められていれば、敵地のヒール役も喜んで引き受けるところだろうけど・・・。

五輪の開幕までもう3週間を切っているのだから、日本ではもちろん、韓国国内でも、日を追うごとに「場外戦」のざわめきが消えていき、肝心の大会の中身に関心が集まっていくような流れになっていくことを願ってやまない。

*1:そもそも欧州の人たちの「人道主義」とか「平和主義」といったものは、極めて政治色の強いイデオロギーなのであって、リオ五輪のRefugee Olympic Teamにしても然り、だったから、「スポーツの祭典に政治を持ち込むな」といった批判は、彼らからしてみれば「ピントがずれている」ということになるのだろう、と割り切っている。

*2http://www.iihf.com/iihf-home/countries/japan/参照。

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