企業法務戦士の雑感 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2017-10-24

[][]そしてまた、盛り上がらなかった国民審査

公示日直前くらいまでは、「久々に盛り上がるかな」という期待を一瞬抱かせてくれていた衆院選も、結果的には元最大野党だった議員さんたちが大量に「ただの人」になる、という結果を招いただけだった。

今回の敗因として、「排除します」発言がやたらクローズアップされているのだが、本当に問題だったのは、政策志向も思想信条も異なる人たちが「小池百合子」というブランドに擦り寄ってしまったことの方で、この点については、24日付日経紙座談会の土居丈朗慶大教授の以下のコメントに尽きていると思う。

小池氏は改革保守と言うが、彼女が保守として経済政策で立てる隙間は、政府の関与を抑えて市場に委ねる「小さな政府」寄りにあった。安倍首相小泉内閣で育てられた人だが新自由主義は標榜しておらず、より「大きな政府」に近づいている。だから小池氏には日本維新の会のような小さな政府に近い位置をとる方が自然で、保守層の中にもそこに強い支持を持っている人はいた。だが(大きな政府寄りの)民進党とまず合流を決めたことで、保守かリベラルかさっぱりわからなくなった。」(日本経済新聞2017年10月24日付朝刊・第7面)

ここでは「維新の会」が例に挙げられているが、個人的には初期の「みんなの党」の公約に近いモノを掲げて戦えばいい勝負になっただろうし、実際、立候補者の中にも、みんなの党や維新の会の系譜を受け継いでいる人たちは多かった。にもかかわらず、そこに、ついこの前まで「社会保障を手厚く」と言っていた人々が合流した結果、候補者のラインナップを見ても、もはや支離滅裂*1

結果的に重視されたのは「継続性」で、何も変えていない自民党公明党連合と、それまでの看板を貫いた立憲民主党共産党連合が「勝ち組」になったのは必然だったといえる。

ゴタゴタの末、一番割を食ったのは、今回、世の中を変えよう、人生を変えよう、と思い立って立候補し、“小池チルドレン”になり損ねてしまった人々だろうけど、その志が本物ならば、2020年くらいまでは心を折らずに風雪に耐えてください、と思わずにはいられない。

さて、前振りが長くなったが、最高裁裁判官国民審査の結果も出た。

「一人一票」問題もあって、以前に比べると比較的盛り上がることも多いこの話題だが、開票後はあまりにひっそりとしか結果が取り上げられないこともあって、「全員信任だよね?」「当たり前じゃん」「つまんないね〜」というしょうもない会話で終わってしまうことがほとんどである。

そして、今回の国民審査は、衆院選に輪をかけて平凡な結果に終わった*2

罷免を求める票数と不信任投票率>

小池 裕 4,688,017(8.6%)

戸倉三郎 4,303,842(7.9%)

山口 厚 4,348,553(7.9%)

菅野博之 4,394,903(8.0%)

大谷直人 4,358,118(8.0%)

木澤克之 4,395,199(8.0%)

林 景一 4,089,702(7.5%)

2016年参院選の大法廷判決で「多数意見は・・・違憲状態を脱したと評価するが,私は,一人一票の原則及び投票価値の平等原則に照らした場合,・・・そこまでの評価を明言することにはためらいがあるため,多数意見に完全には与することができない。」と、ささやかな抵抗を見せた*3、林景一裁判官罷免票が少ないことと、職業裁判官の立場から保守色の強い意見(特に厚木基地騒音事件など)を書かれている小池裁判官罷免表が相対的に多いのは予想通りだったが*4、それでも票差としては60万票程度で、そんなに有意な差が付いているわけではない。

そして、全体的に、不信任投票率は過去2回と比較しても下がっている。

おそらく、投票前のエントリー*5でも書いたように、どの裁判官も就任から日が浅い上に、個別意見の実績も乏しく、「×」を付けるだけの判断材料が乏しかった、というのが一番の理由だろうけど*6、“禊”を済ませた各裁判官たちが書き出した個別意見を見て、数年後に後悔する人が出なければよいなぁ、というのが率直な感想である*7

*1:一通り立候補者のリストを見て、「なぜこの人が、ここで、この党から出ているんだ?」という突っ込みが、各県ごとに入るような選挙はなかなかあるものではない。

*2:ソースは、日本経済新聞2017年10月24日付朝刊・第46面。

*3:なおこのくだりをもって林裁判官が「違憲状態」との判断を示した、と紹介するサイト等が多かったが、過去の「違憲状態」判決、ないし個別意見と比較すると明らかにトーンが一段柔らかになっているため、そこまで言い切らない方が良いのではないか、と個人的には思うところである。

*4:もっとも小池裁判官の場合、一番最初に名前が来ている、ということが災いした可能性もある。

*5http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20171019/1508435887

*6:一応、真面目に考えて印をつける人が、有効投票者の中に1〜2割いるんじゃないか、という想定の下での話。

*7:就任に際して一悶着あった山口厚裁判官罷免票はそんなに多くなかった。以前、同様に「どの枠?」という点で微妙な存在だった岡部喜代子裁判官が、2012年の国民審査で最多の罷免票を投じられたことを考えると意外な気もするが、それだけ、久々の「リアル学者裁判官」に寄せられる期待が大きい、ということなのかもしれない。

2017-10-19

[][]最高裁判所裁判官国民審査対象各裁判官の個別意見について(2017年版)

2012年、2014年と、ここ2回ほど、総選挙のタイミングで行われる最高裁裁判官国民審査の前に、対象となる各裁判官の個別意見をご紹介する、という企画をやってきた。

最近は、ブログ判例を取りあげる機会もほとんどないし、記事を書く以前にそもそも判決を読んでネタを仕込む、という作業も長らくサボってしまっているのだが、そうはいっても子の機会くらいは、ということで今回も。

前回の総選挙時に比べると、選挙の間隔が空いたこともあって、対象者7名と若干増えてはいるのだが、うち3名は今年に入ってから就任した裁判官だし、個別意見を書く裁判官が就任後一定期間経った裁判官に集中している、という傾向も変わらないから、判断材料となる意見の数は必ずしも多くない*1

とはいえ、某会議のように、昨年の参院選一票の格差違憲訴訟の立場だけで「×」を付けるのも短絡的というほかないので*2、数少ない意見サンプルから、読者の皆様なりのご判断をしていただければ幸いである。

なお、時間の制約上、各意見の踏みこんだ分析・解説にまでは至らず、生の各意見のハイライト程度にとどまっていることについては、何卒ご容赦いただきたい。

 第一小法廷

今回の対象者7名中4名が所属する小法廷で、在任期間が長い裁判官も多いのだが、果敢な少数意見を書くことも多かった山浦善樹裁判官弁護士出身)や、櫻井龍子裁判官行政官出身)が退官し、代わりに就任した木澤裁判官、山口厚裁判官が、まだまだ本領を発揮されていない(?)ということもあって、最近は、裁判官出身の大谷裁判官小池裁判官が、スタンダードな補足意見でリードして穏当な判断で収まる、というケースも増えてきているように思う。

特に小池裁判官の補足意見には、民事訴訟法を学ぶ上では参考になるエッセンスが詰まっているし、抗告手数料不納付問題に関する決定の補足意見などを読むと、裁判所の中で長く生きて来た方としての思いがこめられているなぁ、と感じるわけで、結論の是非はともかく、意見の質は高い、と個人的には思っているところである。

大谷直人(裁判官出身)

平成27年2月就任、平成34年退官予定

補足意見

■最大判平成27年12月16日(平成25(オ)1079)民法の再婚禁止期間規定

「本件規定の立法目的との関連において考えれば,100日以内部分の適用除外の事由に当たると解される場合は,民法733条2項に直接規定されている場合や従来の戸籍実務において認められてきた場合に限られるものではないということができるのである。もとより,婚姻届の提出の場面においては,戸籍事務管掌者が行う形式的審査の限界から,その届出の時点で民法733条1項の規定の適用除外とされる事由の範囲に影響があること自体はやむを得ず,上記のように前婚の解消等の時点で懐胎していないという事由は,医師の作成した証明書など明確性・客観性の上で確実な証明手段による認定を要するという制約は受け入れなければならないであろう。」

■最一小判平成28年5月25日(平成26(あ)1105)温泉施設設計者業務上過失致死傷事件

「法廷意見は,本件の事実関係を前提にするとき,被告人はその業務上の注意義務を怠ったといえる旨を述べた上で,本件がいわゆる信頼の原則を適用すべき事案に当たるとする弁護人の所論を排斥しているが,上告趣意中では,予見可能性がないという観点からの主張もされているので,この点についての私の意見を補足する。」

「本件は,業務運営上メタンガスの発生が不可避となる温泉施設において,ガスの引火・爆発を防止するための安全対策に関して,設計面における担当者がその任務を果たしたかが問題とされている事案である。そして,設計に当たっては,ガス抜き配管設備が本来的なメタンガス排出装置として想定され,その安全を更に担保するものとして,B棟排気ファン等の装置が組み込まれたことは明らかである。したがって,水抜きバルブを閉め続けることにより,ガス抜き配管について当初の設計上予定されていたメタンガス排出の機能に重大な問題が生じるおそれがあったということは,この設計の全体像に関わる問題ということができる。第一義的な安全装置として設計されたシステムの機能についてその後問題点を生じ得る事情が判明した場合に,設計担当者としては,その点の改善の必要性を伝達するか,仮にそれを放置するのであれば,当然に,二次的,三次的に設けられた予防装置が当初の設計のままでよいのかについての見直し作業を行うことが求められるはずである。そうした行動をとることを怠った被告人について,排気ファン等の存在をもってその過失責任を否定することはできない。第1審,原審も,このような枠組みを前提に,被告人の過失を肯定したものと解される。」

「結果発生に至る因果のプロセスにおいて,複数の事態の発生が連鎖的に積み重なっているケースでは,過失行為と結果発生だけを捉えると,その因果の流れが希有な事例のように見え具体的な予見が可能であったかどうかが疑問視される場合でも,中間で発生した事態をある程度抽象的に捉えたときにそれぞれの連鎖が予見し得るものであれば,全体として予見可能性があるといえる場合がある。これまでの裁判実務においては,このような考え方に立って過失の有無が論じられてきた事例が存在する。しかし,上記3のとおり本件の注意義務を理解するとき,本件は,上記のような予見可能性の判断手法,すなわち,連鎖的な事態が発生していることを捉えて「因果関係の基本的部分」は何かを検討する手法によるのがふさわしい類型とはいえないと思われる。「基本的部分の予見可能性」というポイントは,メタンガス処理の安全対策としての本件設計の意義をどのようなものと認識するかという検討に解消されているということもできよう。」

「過失犯については,結果の予見可能性,回避可能性という大枠によって成否を判断するのがこれまでの確立した考え方であり,もとより本件もその枠組みの中で検討されることになるが,その争点化に当たっては,具体的にどのような基準等が有用な判断要素になるかにつき,この種事案特有の多様な事件類型に応じて,適切な抽出が求められるところであろう。」

小池裕(裁判官出身)

平成27年4月就任、平成33年退官予定 

補足意見

■最大判平成28年12月19日(平成27(許)11)預貯金債権の遺産分割

「多数意見によって遺産分割の対象となるものとされた預貯金債権は,遺産分割までの間,共同相続人全員が共同して行使しなければならないこととなる。そうすると,例えば,共同相続人において被相続人が負っていた債務の弁済をする必要がある,あるいは,被相続人から扶養を受けていた共同相続人の当面の生活費を支出する必要があるなどの事情により被相続人が有していた預貯金を遺産分割前に払い戻す必要があるにもかかわらず,共同相続人全員の同意を得ることができない場合に不都合が生ずるのではないかが問題となり得る。このような場合,現行法の下では,遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分として,例えば,特定の共同相続人の急迫の危険を防止するために,相続財産中の特定の預貯金債権を当該共同相続人に仮に取得させる仮処分(仮分割の仮処分。家事事件手続法200条2項)等を活用することが考えられ,これにより,共同相続人間の実質的公平を確保しつつ,個別的な権利行使の必要性に対応することができるであろう。もとより,預貯金を払い戻す必要がある場合としてはいくつかの類型があり得るから,それぞれの類型に応じて保全の必要性等保全処分が認められるための要件やその疎明の在り方を検討する必要があり,今後,家庭裁判所の実務において,その適切な運用に向けた検討が行われることが望まれる。」

■最一小判平成28年12月8日(平成27(行ヒ)512)厚木基地航空機差止請求事件

「私は,法廷意見に賛同するものであるが,第1審原告らの自衛隊機に関する主位的請求(運航差止請求)に係る訴えの訴訟要件及び本案要件に関する考え方について,若干の意見の補足をしたい。」

「法廷意見が述べるとおり,防衛大臣及び第1審被告は,本件飛行場の周辺地域における上記騒音による被害の防止及び軽減のために相応の措置を講じてきたものといえる。しかしながら,自衛隊機の運航にはその性質上必然的に騒音の発生を伴うことから,本件飛行場の周辺地域の住民は自衛隊機の運航に伴う騒音により軽視し難い被害を受け,そのような被害に対して損害賠償が認められてきた経緯がある。このように,自衛隊の任務を遂行する中で,自衛隊機の運航に係る防衛大臣の権限行使によって国民全体に関わる利益を守ることと,本件飛行場の周辺地域における自衛隊機の運航に伴う騒音による被害の発生という不利益を回避することは,その対応と調整に困難を伴う事柄であって,具体的な対応については,関連する状況の内容,程度等に応じて様々な態様をとるべきものと考えられる。前述した事情等に照らすと,上記の二つの要請が作用する中で,本件飛行場において上記騒音による被害の防止又は軽減のための相応の措置を講じつつ自衛隊機を運航する行為が,社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものと認めることは困難であり,防衛大臣の上記権限行使に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるものと認めることはできないというべきである。」

■最一小判平成28年12月8日(平成27(受)2309)厚木基地航空機騒音損害賠償請求事件

継続的不法行為に基づき将来発生すべき損害賠償請求権に関する将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格について,若干の意見の補足をしたい。」

「原判決は,上記の点に関する当裁判所判例を前提としつつ,上記請求権としての適格について,(1)当該請求権の基礎となるべき事実関係及び法律関係が既に存在し,その継続が予測されること,(2)当該請求権の成否及びその内容につき債務者に有利な影響を生ずるような将来における事情の変動があらかじめ明確に予測し得る事由に限られること,(3)この事情の変動については請求異議の訴えによりその発生を証明してのみ執行を阻止し得るという負担を債務者に課しても格別不当とはいえないことの3要件が満たされるときに肯定されるところ,被上告人らの本件損害賠償請求のうち原審の口頭弁論終結の日の翌日から平成28年12月31日までに生ずべき損害について,本件で認定された事実関係に照らすと,上記約1年8箇月に限った将来請求において考慮すべき事情変動は,想定される事後的な事情変動の内容や範囲の点から,将来請求が当然に認められると解される不動産の不法占有者に対し明渡義務の履行完了までの賃料相当額の損害金の支払を求める場合と比較してみれば,両者を区別する実質的な相違はないといえるなどとして,その損害賠償金の支払請求を認容した。」

「しかし,上記の点に関する当裁判所判例は,原判決が掲げる3つの要因を考慮すべきものとした上で,飛行場等において離着陸する航空機の発する騒音等により周辺住民が精神的又は身体的被害等を被っていることを理由とする損害賠償請求権のうち事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分については,将来それが具体的に成立したとされる時点の事実関係に基づきその成立の有無及び内容を判断すべきであり,かつ,その成立要件の具備については請求者においてその立証の責任を負うべき性質のものであって,このような請求権が将来の給付の訴えを提起することができる請求権としての適格を有しないものであるとしているものである。すなわち,上記航空機の騒音等に係る損害賠償請求権は,その性質上,上記請求権としての適格を有しないとされるものであるから,前記1の原判決の判断は,当裁判所判例に抵触するものといわざるを得ない。」

「また,防衛施設である厚木海軍飛行場の騒音の状況はその時々の予測し難い内外の情勢あるいは航空機の配備態勢等に応じて常に変動する可能性を有するものであり,過去の事情によって,将来にわたって一定の航空交通量があることを確定できるものではないことを否定できず,施設使用の目的や態様が公共的な要請に対応して変化する可能性を内包するものというべきである。そのため,たとえ一定の期間を区切ったとしても過去の事情に基づき上記航空機の騒音等に係る損害賠償請求権の将来分の成否及びその額をあらかじめ一義的に明確に認定することは困難であるといわざるを得ず,不動産の不法占有者に対する明渡完了までの賃料相当額の損害金の支払請求と事情を同じくすると考えることはできない。そうすると,過去の事情に基づき原審の口頭弁論終結時点における厚木海軍飛行場の周辺地域の航空機騒音の発生等が継続することが相当程度の蓋然性をもって認められるとしても,前記2の判断を左右するに足りるものではないというべきである。」

■最一小判平成28年7月1日(平成28(許)4)全部取得条項付種類株式の取得価格の決定 

「私は,法廷意見に賛同するものであるが,会社法172条1項に基づく全部取得条項付種類株式の取得価格の決定に関する裁判所の合理的な裁量の在り方という点について,補足して意見を述べることとしたい。」

「本件は,多数株主による完全子会社化に向けた公開買付けと全部取得条項付種類株式の全部取得という二段階取引が行われた事案であり,多数株主等と少数株主との間に利益相反関係が存し,会社から退出を余儀なくされる少数株主の保護が要請される取引が対象となっている。しかし,このように構造的な利益相反関係が存する場合についても,取引に関する意思決定過程が恣意的になることを排除するための措置が講じられ,一般に公正と認められる手続が実質的に行われ,多数株主等と少数株主との利害が適切に調整され,株式の買付価格が公正に定められたものと認められる場合には,裁判所は,独立当事者間の取引の場合と同様に,原則としてこのような手続を通じて定められた価格(取引条件)を尊重すべきものであると考えられる。すなわち,裁判所は合理的な裁量に基づいて株式の取得価格の決定をするが,その判断においては,まず,関係当事者間の取引において一般に公正と認められる手続が実質的に行われたか否か,買付価格がそのような手続を通じて形成された公正な価格といえるか否かを認定することを要し,それが認定される場合には,原則として,公正な手続を通じて形成された取引条件である買付け等の価格を尊重し,取引の基礎とした事情に予期しない変動が生じたと認めるに足りる特段の事情のない限り,当該買付け等の価格をもって取得価格とすべきものであると解するのが相当である。株式価格の形成には多元的な要因が関わることから,種々の価格算定方式が存する。そのため,株式価格の算定の公正さを確保するための手続等が講じられた場合にも,将来的な価格変動の見通し,組織再編等に伴う増加価値等の評価を考慮した株式価格について一義的な結論を得ることは困難であり,一定の選択の幅の中で関係当事者,株主経済取引的な判断に委ねられる面が存するといわざるを得ない。このような株式価格の算定の性質からすると,本件のような事案において,裁判所は,買付け等の価格という取引条件の形成に関わる手続の公正について的確に認定するという点で特に重要な機能を果たすものといえる。そして,公正な手続等を通じて買付け等の価格が定められたとは認められない場合には,裁判所が取得価格を決定することになるが,その算定方法は市場株価分析によらざるを得ないこともあろう。ただし,裁判所裁量権の行使に当たり,関係当事者等の経済取引的な判断を尊重してこれに委ねるべきか否かを判断するに当たっては,この方法が株式価格に関する多元的な要因を広く捉えるものとはいい難いという点も考慮する必要があろう。」

一般に公正と認められる手続を通じて本件買付価格が定められた場合には,取引の基礎とした事情に予期しない変動が生じたと認めるに足りる特段の事情のない限り,その価格を尊重しこれを取得価格とすべきものであるところ,原審は,特段の事情が認められないにもかかわらず本件買付価格を採用しなかった上,本件買付価格には取得日までに生ずべき市場の一般的な価格変動が織り込まれているといえるにもかかわらず改めて事後の事情を考慮した補正をする算定をしており,本件取得価格の算定に関する原審の判断は,裁判所の合理的な裁量を超えたものといわざるを得ないと考える。なお付言すると,本件において上記の特段の事情が認められないことは,少数株主の多数や株式市場によって本件買付価格が受け入れられたとみられることなどからも裏付けられるといえるであろう。」

■最一小判平成27年12月17日(平成27(行フ)1)抗告提起手数料の納付時期

「私は,本件においては,上記補正命令に係る手数料不納付の瑕疵は補正され,上記抗告状は当初に遡って有効となったものとする法廷意見に賛同するものであるが,事案に鑑み,以下の点について付言しておきたい。」

「国民は裁判を受ける権利を保障されており,その権利は尊重されるべきものであるが,裁判手続においては,裁判の相手方の利益,手続の適正な進行等をも考慮し,手続の趣旨に沿った権利行使をすることが求められるといえる。訴訟救助の制度は裁判を受ける権利を実質的に保障するため一定の要件の下に手数料等の支払を猶予する制度であるが,訴訟救助の判断を受けるために申立人がすべき行為をすることなく,殊更に派生的な申立て等を繰り返すなどして手続の適正な進行を著しく妨げる場合には,制度や手続の趣旨に反する濫用行為に当たるものとして,申立て等の効力を否定すべき場合もあるものというべきである。」

木澤克之(弁護士出身)

平成28年7月就任、平成33年退官予定

補足意見

■最大判平成28年12月19日(平成27(許)11)預貯金債権の遺産分割

「多数意見によって遺産分割の対象となるものとされた預貯金債権は,遺産分割までの間,共同相続人全員が共同して行使しなければならないこととなる。そうすると,例えば,共同相続人において被相続人が負っていた債務の弁済をする必要がある,あるいは,被相続人から扶養を受けていた共同相続人の当面の生活費を支出する必要があるなどの事情により被相続人が有していた預貯金を遺産分割前に払い戻す必要があるにもかかわらず,共同相続人全員の同意を得ることができない場合に不都合が生ずるのではないかが問題となり得る。このような場合,現行法の下では,遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分として,例えば,特定の共同相続人の急迫の危険を防止するために,相続財産中の特定の預貯金債権を当該共同相続人に仮に取得させる仮処分(仮分割の仮処分。家事事件手続法200条2項)等を活用することが考えられ,これにより,共同相続人間の実質的公平を確保しつつ,個別的な権利行使の必要性に対応することができるであろう。もとより,預貯金を払い戻す必要がある場合としてはいくつかの類型があり得るから,それぞれの類型に応じて保全の必要性等保全処分が認められるための要件やその疎明の在り方を検討する必要があり,今後,家庭裁判所の実務において,その適切な運用に向けた検討が行われることが望まれる。」

山口厚(研究者出身)

平成29年2月就任、平成35年退官予定

(対象期間中の個別意見が見当たらず)

 第二小法廷

裁判官出身、かつ着任から日が浅いこともあって、対象となる裁判官に関する個別意見は見当たらなかった。

刑事訴訟に関する小貫芳信裁判官検察官出身)の補足意見や、鬼丸かおる裁判官(弁護士出身)、山本庸幸裁判官(行政官出身)の切れ味鋭い意見は飛び交っていて、現在では、もっとも華やかな小法廷でもあっただけに、ちょっと残念である。

菅野博之裁判官出身)

平成28年9月就任、平成34年退官予定

(対象期間中の個別意見が見当たらず)

 第三小法廷

第三小法廷も、比較的意見が良く出るメンバー構成なのだが、今回対象となる2名は、いずれも今年就任したばかり、ということもあり、判断材料となるネタは限られていた。

個人的には、就任からわずか半年、というタイミングで、一票の格差訴訟に関して、異なる判断アプローチを示した林裁判官に期待したいところはあったりする。

戸倉三郎(裁判官出身)

平成29年3月就任、平成36年退官予定

(対象期間中の個別意見が見当たらず)

林景一(行政官出身)

平成29年4月就任、平成33年退官予定

意見

■最大判平成29年9月27日(H29(行ツ)4、47)平成28年参議院選挙一票の格差訴訟

結論として,本件選挙当時,本件定数配分規定は合憲であったとする点で多数意見に同調するものであるが,幾つかの基本的な論点において趣を異にするところがある」

「私は,昭和58年大法廷判決が示した定数配分規定の憲法適合性判断に係る基本枠組みの下,上記のような国会の努力や較差の大幅縮小に向けた意見集約等の困難性等に鑑み,国会において,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態が生じていることを認識し得た平成24年大法廷判決の言渡し時から本件選挙までの間にその解消がなされなかったことが国会裁量権の限界を超えるとまではいえないと考え,結論として,「本件選挙の当時,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできない」とする多数意見に同調するものである。」

以上、「台風接近の真っ最中に投票所に行くからには、昔試験で「×」付けられた某東大名誉教授に・・・」とか何とか、様々な思いを抱えた一票を投じるために、ご参照いただければ幸いである。

*1:この3年の間は、大法廷も結構開かれていて、今回対象になっていない裁判官たちの意見はかなり活発に飛び交っていた印象はあるのだが・・・。

*2:しかも、「合区」にまで踏み切った参院選に対する判決で、必然的に多数意見が多くなった中での評価なので、今回は全ての裁判官が「×」になってしまっている・・・。

2017-09-28

[]「給費制廃止」の不当さをどう争うか。

自分が当事者世代になることは免れたものの、一歩間違えば、というところもあっただけに、何とも言えない気分になる司法修習の「貸与制」化問題。

そして、“被害”を受けた元司法修習生たちが起こした訴訟の最初の判決が2つの地裁で出された。

「国が司法修習生に対し、給与に当たる月額約20万円を支給する給費制を廃止したのは違憲だとして、廃止後に返済義務のある貸与制の下で修習を受けた弁護士らが国に1人当たり1万円の損害賠償を求めた訴訟2件の判決で、東京、広島両地裁は27日、いずれも請求を棄却した。」(日本経済新聞2017年9月28日付朝刊・第43面)

「給費制廃止なんてけしからん」というのは簡単だが、それを「民事訴訟」の形で争うのは非常に難しい。

なぜなら、国家資格を与えるための養成制度をどう構築するか、などということは、まさに行政裁量が最大限に発揮される話だし、給費制か貸与制か、ということも、本来であればその裁量の枠内であっさり処理されてしまうような話だからだ。

今回の判決は、まだHP等では公表されていないようだし、当事者がどういう主張を行ったか、ということについても自分は関知する立場にない。

ただ、数年前にビラで読んだ原告側の主張は、確か「他の国家資格の養成制度に比して憲法14条1項に違反する」といった類のものだったと記憶していて、これだと、さすがに勝ち判決をもらうのは厳しいんじゃないかな、と思ったものだった。

もちろん、「じゃあどうするの?」と聞かれた時に、自分が他の方策を持ち合わせているわけではない。

過去に「給費制」の時代が長く続いていたこと、そして、今年に入ってから給費制の部分復活、と言えるような法改正もなされたことから、他の世代と比較した「谷間世代」の不平等性を論じる、ということも考えてみたが、それだけではやはり主張としては弱すぎるように思える。

それよりはむしろ「法科大学院は夜間でも通えるのに、司法修習は、(事実上)会社を辞めるか休職しなければ受けられないのはおかしい」、「そもそも、社会人が貴重なキャリアを1年も中断しなければいけないような意義が「司法修習」にあるのか?」といったところを前面に出して、「1年も無給かつフルタイムで人々を拘束するような制度を法曹養成プロセスに組み込むのは裁量の逸脱だ」という主張に持っていく方が、まだ筋が良いような気がするのだが・・・*1

個人的には、自分が経験した司法修習(特に実務修習)の数か月は何ものにも替えがたい経験で、自分を一回り成長させてくれたものだったと思っているし*2、今、原告で訴訟を提起している人々も、皆「司法修習」の制度自体にまで異議を唱えているわけではないのだろうから、上記のような主張に持っていくことには、なかなか難しいのかもしれない。

ただ、もし、自分が研修所に入所するタイミングが、「貸与制」の時期にぶつかっていたら、やはりすんなりと行く、ということにはならなかっただろうな、と思うだけに、「拘束するなら支給せよ」の原則をどこかで確立できないか、今も頭を悩ませているのである。

*1:過去の「貸与制」に関する自分の意見も、概ねその線に添ったものである(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20100917/1285260586)。

*2:今でも、あの贅沢な時間の中で見つめ直した仕事の技法のディテールが、節々で生きていると感じる時はある。

2017-09-25

[][]またしても“AI煽り”

最近、そうでなくてもこの手の記事が多くて辟易しているところに掲載された、またか、という感じの記事。

「人工知能(AI)の利用が広がるにつれ、弁護士や弁理士など企業法務に関わる士(サムライ)業が「定型的な独占業務はAIに取って代わられかねない」と危機感を強めている。起業して新事業を始めたり、いち早くAIを取り入れたりするなど、業務の見直しに取り組む動きも出始めた。」

「法律系サムライ業の代表ともいえる弁護士といえども、AIの影響からは逃れられそうにない。米国では訴訟での証拠収集や不祥事調査でAIが使われ始め、弁護士がAIを補助者として利用する事務所も登場した。」(日本経済新聞2017年9月25日付朝刊・第13面)

先端技術志向の強い人々が夢を語ること自体は否定しないし、そういう夢を持つ人々を盛り上げるために、多少色を付けた報道があってもいい、と個人的には思っている。

だが、実際に試験導入され、目の前で動き始めた「AI」と、メディアで語られ、煽られる「未来の姿」との間には、あまりにギャップがあり過ぎて、昨今の論調には、80年代のSFよりも現実感がない。

そして、日々の足元の仕事に目を移せば、定型性のかけらもない有象無象の相談事とかトラブルに取り囲まれ、間断なきビジネスジャッジを求められるわけで、AIでも何でも、手を借りられるなら借りたいけど、とてもとても・・・という状況である。

もちろん、企業の中で仕事をする人にも、外で“サムライ”を演じている人々にも、柔軟性のない定型的なアウトプットの出力が生業となってしまっている人は少なからずいるから、“進化型AI”の完成を待つまでもなく、自動化・システム化の波に飲まれてしまう層は必ず出てくるだろう。

一方で、人の手に、あるいは人の頭に代わるツールが出て来て、それまでやって来たことが置き換えられるたびに、浮いた労力を注ぎ込んでさらにプラスの価値を生み出せるのが知的労働者の特権だから、“サムライ”という職業の中の人をひとくくりにして、同じ理屈を当てはめようとするのは賢い論理とは思えない*1

ツールを使いこなしてさらに高みに上る人もいれば、そうでない人もいる。

それだけのことなんだから騒ぐなよ(笑)っていうのが、いつも思うこと。

あと、これだけ通信手段が発展して、あらゆるドキュメントをデジタルで作成できるような時代になっても、いまだに「手書き」文化も、「手紙」文化も根強く残っているわけで、社会全体が時代の先端に追いつくまでには膨大な時間がかかる、という現実もある。

自分の周りの狭い世界だけ見回して妄想を膨らませている人を、近頃、同業者の中にも見かけるようになってしまったのは、いささか残念なことではあるのだが、今必要なのは、現実を素直に眺める目と、地に足の着いた議論。そして、いつの時代にも変わらない仕事の本質を日々自覚し、見つめ直すことではなかろうか。

メディアが「AI時代の到来」を表層的な視点で取り上げれば取り上げるほど、そう思えてしまうのである。

*1弁護士の場合、仕事の中身以前に、法廷で訴訟代理ができるのが「人間」だけで、いかに優れた人工知能が開発されても、それは“補助者”として活用できるに過ぎない、という極めて大きな“参入障壁”があるだけに、なおさら職業としての地位が盤石、というところはあるのだが、それを捨象してもなお、である。

2017-09-13

[]「理想」にまた一歩近づいた(?)12回目の“新”司法試験

去年も書いたが*1、「1500」という数字を見ると、ちょっとした郷愁に襲われる。

「法務省は12日、今年の司法試験に1543人が合格したと発表した。昨年より40人少ない。政府が2015年に下方修正した目標の年間1500人以上をわずかに上回ったが、法曹離れの傾向は続いている。法科大学院を経ないで受験資格を得る予備試験組の合格者が最多となり、募集停止が相次ぐ大学院の人気低下に拍車がかかる可能性がある。」(日本経済新聞2017年9月13日付朝刊・第39面)

受験者数の減少傾向や受験者層の薄まり等から、更なる合格者減、という事態も想定されていたことを考えると、今年の結果は「合格者1500人」時代の定着を印象づけるもので、利害関係者にとっては朗報、ということになるのだろう((データについては、法務省のサイトを参照(http://www.moj.go.jp/content/001236055.pdf)。

出願者数 6,716名(前年比 1,014名減)

受験者数 5,967名(前年比 932名減)

合格者数 1,543名(前年比 40名減)

受験者が900名以上減少したにもかかわらず、合格者数は“微減”、よって、合格率は25.86%にまで上昇。

40%台だった初期の新司法試験のレベルにこそ及ばないものの、母集団のバックグラウンド*2を考慮すれば、既に試験の難易度は、“理想”とされた第1回、第2回新司法試験の時代に限りなく近づいているようにすら思える。

以下の受験回数ごとの合格者数を見ても、これまで3度、4度と、壁に阻まれてきた受験者の合格者数が顕著に増加しており、初挑戦の受験者の合格率も飛躍的に上がっていて*3、そこに傾向の変化が透けて見える*4

1回目 870人( 3名増)

2回目 292人(41名減)

3回目 180人(26名減)

4回目 140人(16名増)

5回目 61人 ( 8名増)

あくまでただの資格、それも、今や将来をまるで保証してくれない資格になってしまったとはいえ、持っておけば損はない。

そういったステータスの現状を考慮すると、減ったといっても夢の数字「1500」、しかも一発勝負に徹すれば4割近くは合格できる、という状況は、ある意味理想的とも言えるわけで、この瞬間だけ捉えれば、いい制度になったものだね(笑)、と皮肉の一つも言いたくなる*5

なお、そんな状況でも、社会人組が報われているとは決して言えない状況で、予備試験合格者が過去最高の「290名」(前年比55名増)*6に達した状況でも、増えた分の内訳は、ほとんど30歳未満の世代に持って行かれてしまっている。

20〜24歳 155名(+25名)

25〜29歳 49名( +9名)

30〜34歳 19名( +2名)

35〜39歳 27名( +6名)

40〜44歳 14名( +5名)

45〜49歳 13名( +6名)

50歳以上 13名( +2名)

数字の絶対数をみれば、30歳以上の世代でも予備試験ルートで相当合格するようになってきているし、今や稀少な存在となってしまった社会人向け法科大学院出身者の朗報も耳にしたところなので、ここでも、“新”制度創設当初のDreamが再び蘇りつつあるのかもしれない。

ただ、長らく「弁護士」の世界しか知らなかった企業法務系事務所からの転職者が、組織内で戦力として役に立たないことも稀ではない、という現実*7を見せつけられると、社会人としてのバックグラウンドのある人に法曹資格を与える制度設計の方が優れているように思えるし、法曹資格が、「職業」に直結するものではなくなってきている今、経験を積んだ社会人が「キャリアパス」として気軽に資格に挑めるような環境をもっと整えていかないと、実務の世界ではもちろん、学問の世界でも「法律」というカテゴリーが沈没してしまうように思えてしまうだけに*8、試験の仕組み的にも、内容的にも、“背伸び”せずに社会人が挑戦できるような形にもっていくことを、そろそろ考えてほしいな、と思う次第である*9

*1http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20160907/1473349599

*2:少なくとも最初の4〜5年は、旧試験から転向してきた兵どもが受験者の中で一定の比重を占めていた。

*3:あくまで受験予定者数ベースでの比較となるが、昨年度の試験が2,669人中867人(32.4%)だったのに対し、本年度は2,269人中870人(38.3%)だから、新試験1年目、2年目の数字にかなり近づいてきた、と言えるだろう。

*4:逆に、2回目、3回目については、受験予定者数ベースでそれぞれ300名弱減、500名弱減、となっており、そもそも「司法試験」というものに執着しない傾向がより強まっているようにも見受けられる。

*5:もちろん、足元では更なる受験者の減少、優秀な学部生の法科大学院進学回避、という現象が着実に進行しているから、「1500人」を維持しようと思えば、いずれ「5年以内」制限の遡及的廃止だとか、予備試験枠の拡大、といった方向に舵を切らないといけなくなるとは思うのだけれど。

*6:当初の勢いを考慮すると、これでもまだまだ少ないと個人的には思うし、予備試験の受験者数が相変わらず伸び悩んでいるのも問題だと思うのだが・・・。

*7:全ての人がそうだとは言わないが、同じような悩みを抱える「受け入れ側」の担当者の話を、最近は至るところで聞かされる。

*8:既に、一時は独立した職域を築きつつあった「法務部門」が、組織のスリム化の過程で隣接職種に吸収されていく事例も最近ではよく耳にするところだし、書店の法律書のコーナーは、ここ数年狭くなることはあっても広がることはほとんどない。そして、登録弁護士の人数も、あと数年で減少に転じることになりそうな予感がしている。自分は預言者ではないので、当たるも八卦・・・ではあるのだけれど。

*9:これは、決して試験の難易度を下げる、ということを意味しているわけではない。大事なのは「知識」(今や記憶することの意味すら薄れてきている)ではなく、経験に根差した「発想力」「問題解決力」を問う方向に舵を切ることだと思っている(もちろん、一定の論理を組み立てる力は必要だが、これまで、法曹になる過程で(+一部の領域では法曹になってからも)「知識」と「論理力」をあまりに強調しすぎた結果、実務との距離がどうしても生まれてきてしまっているのではないかと思えてならない)。

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