・少子化問題についての経済的考察Part2(最大多数の最大幸福)

 「人はなぜ結婚するのか?」「人はなぜ子供を産むのか?」この問いに対する答えに『感情論』を全部取っ払ってみた場合、「そこにメリットがあるから」だと思う。だって何のメリットもないのに、わざわざ結婚したり、子供を産んだりするだろうか?しないっしょ。つまり結婚と出産に重要なのはそこに利害関係が存在するということだ。
 もちろん本能というのもある。「そこに愛があるからだ」というのもある。愛しているから結婚して子供を産むという意見に、ここで反論する気はありません。愛だけなら結婚という契約をする必要がないとは思いますが。でもとりあえず、それは置いといてくれ。今回の議題は少子化問題なんで。だって少子化対策で「もっと愛があれば子供が増える」などとのたまう政治家がいたらドン引きでしょ。お前はアホかと。くだらない事を言ってる場合じゃねーぞと。同様に「人々が願えば平和になる」といっている政治家は間違いなくアホ(そう思わない人がいるかもしれないので謝っときます、ゴメンなさい)。


 しかし現代は、結婚や出産に対するメリットが薄れてしまっている時代なのだと思う。今の時代は結婚や子育てに多大なコストがかかるのだ。社会が多様化し、あらゆる情報が氾濫し、それぞれの人が自分の望むライフスタイルを手に入れやすいというのもあるだろう。「一人でいたほうが気楽でいい」とか、「結婚しないほうが自分の趣味に没頭できる」といった考え方にも一理ある。
 そして保険や社会福祉が充実しているため、お金さえあれば昔ほど老後の心配をしなくてもよくなったというのもある。しかも、お金が無くても生活保護がもらえるし。たぶんアフリカなどの最貧国で子供が多いのは、国家の福祉が安定していないため、老後の生活を子供に頼らざるを得ないというのも理由の一つなのだろう。
 それに社会構造の大きな変化というのもある。地方の農家などでは相変わらず嫁不足と嘆いているが、結婚率だけでみれば都会でも十分嫁不足だ。地方の農家の若者は「出会うチャンスが無い」と嘆いているが、都会の未婚女性も同様に「出会いのチャンスが無い」と嘆いている(笑)。実際そうなんだと思う。仕事忙しいし(笑)。ただ農家では継ぐべき土地と仕事と昔ながらの固定観念があるため、子供がいるかどうかが重要だが、都会にはそれが無いというだけだ。
 しかし地方の農家の人たちの、結婚と出産に対する意気込みと悲壮感には自分もびっくりさせられる。わざわざ外国から花嫁を招いてまで結婚したいという発想は今の自分には無い。一昔前は、こうまでして結婚して子供がほしいという考え方が主流だったのだろうか?もしそうならば、やはり時代は変わってしまったんだなーと思う。そりゃ子供も減るはずだわと。


 それでもやはり結婚して子供を産む事には今でもメリットがある。特に老後において。「今は一人でも大丈夫」といっている人も、ぜひ自分が60歳になったときのことを考えてほしい。なかには80過ぎても元気なご老人もいるが、たいていは60過ぎると体のあちこちにガタがくるものだ。人間はいつまでもぴんぴんしていられるものではない。そのとき結婚して子供がいるかどうかでは、天と地ほどの違いがある。それに一人で死ぬなんて、考えただけでゾッとするしね(笑)。


 でも子供は減り続けるんだよなー。このままではヤバイと誰もが思っていても子供が増えない。なんだこのデスマーチは。レミング集団自殺か?きっと現在の福祉政策(介護・健康保険・年金)が財政的に破綻して、老後を国家に頼ることが出来なくなるか、現在結婚していないたくさんの人々が老後を迎え、その現実を目の当たりにするかすれば、少しは少子化に歯止めがかかるのかもしれない。全然笑えないけど。
 こんな調子じゃ地球の環境破壊もお先真っ暗だな(泣)。


 さらにつづく。


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