2009-06-29 幕府ラーメンの時代
■[グルメ]

繁盛店・行列店のラーメン最新技術―人気を呼ぶスープ・タレ・チャーシューetc.の作り方
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先日、地元山形県の米沢市でラーメンを食べた。今日は極私的エッセイ。
米沢市の「熊文」という有名ラーメン店である。昔ながらの鶏がらスープのあっさり系で、細いちぢれ麺。注文すると二分で出てくるという、まるで長州力のプロレスみたいにハイスピードな調理で知られている。午後二時の外した時間を狙ったにもかかわらず、店内は常にぎっしり。この田舎町でつねにそれだけ混雑するというのはすごいことなのだ。
しかし食べ終えてから、私はうーんと腕組みしてしまった。うまいんだけどあまりにあっさり。あまりに淡白。そのプレーンな味にだいぶ物足りなさを感じてしまった。大盛りで食べたにもかかわらず。「そんなに混雑するような味かなあ」とふとあたりを見渡すと、その客の顔ぶれの多くがおじいちゃんおばあちゃんであることに気づいた。なかには80歳ぐらいのおばあちゃんなどもいる。「あ、なるほど」と膝を打ってしまった。ここはまだ私が来るべき場所ではなかったのだ。
ちなみに米沢には龍上海という辛ミソにんにく系のラーメン店(本店は私の地元である南陽市にあるが、観光客がひっきりなしに来るので地元の人間はあんまり行かない)があり、ここはいかにもラーメン好きのあんちゃんやタクシーの運ちゃんなどでごった返している。たぶん味の素もふんだんに使われているのかもしれないが、かなりワイルドな味がする名店である。いかにも現役野郎のためのラーメンという感じがする。
しかしまあ「熊文」でのラーメン体験は新鮮ではあった。ラーメンという戦後を代表する新興イケイケフードもついにそういう時代に来たのだなという感慨を勝手に覚えてしまった。
ラーメンというのは改めて考えるとけったいな食い物である。料亭や天ぷら店とはちがって、「由緒や伝統なんか関係ねえ! 腕と根性で勝負よ!」みたいなヤンキー趣味的下克上なイメージがいつのまにかつきまとい、戦後の高度成長やバブル期を背景に、単なる安価な小麦粉料理がジャパニーズドリームのアイコンへと変貌していった。まあそのあたりは速水さん(id:gotanda6)がいずれ詳しくやってくれることだろうと思う。
なんにしろラーメンスタジアムとかラーメンバトルといった具合に、あの食べ物につきまとうバトル感というか好戦的な感じというか、スキヤキや天ぷらで競い合うことはないけれど、なぜかラーメンだと暑苦しく戦い合っちゃうところの「SENGOKU!」みたいな野郎イメージ。看板では龍がうねり、勢いあまって壁に筆文字でポエムを炸裂させたり、自己啓発で脳みそいじくった店員どものかけ声が交錯したりというような、そうしたラーメン「SENGOKU!」時代は終わり、低カロリーかつあっさりとした平和的「幕府(BAKUFU)」の女性的な時代にシフトしていくのではないかと思ってしまった。団塊世代が現役から退き、社会が高齢化していくなかにあってはそちらが主流になっていくのではと。
清原のモミアゲ的高カロリー、「おれたちはやれる!」みたいな勝手な高揚感、前のめりな長渕的情念をいくらちらつかせたところで、大半の人間がメタボ解消&成人病対策といった老いと向き合うことに忙しくなっていく時代にあっては、成り上がり食の代表格であるラーメンも徐々にシフトせざるを得なくなるのではないかと思う。若者が多い都会ではまだまだ旧来のイメージでイケイケどんどんが通じるかもしれない。こういう感じのお方のような。(しかし冬のゲーム業界でこういう名物的人物がいるというのは頼もしいなあと)
http://ameblo.jp/nag0617/(名越稔洋オフィシャルブログ「とりあえず乾杯デショ。」)
高齢者の割合が高い私が住んでいる地方都市では、劇的に変化していくような気がする。すでにファミレスがハンバーグから健康定食といった低カロリー食の開発に力をそそぐようになった。国民食となったラーメンだけが例外でいられるとはあまり思えない。きっと健康ラーメンとか低カロリー&ヘルシーラーメンとかがぐんぐん成長する時代ではないかと思った。カップヌードルもライトを売り出したことだし。そういえば最近読んだ片岡義男の「ナポリへの道」も、戦後日本の人気小麦粉食であるナポリタンに対する愛と歴史(イタリアのナポリとはまったく関係がない)がつまったおもしろい本だったなあ。
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うんうん、こういう筆文字。







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