2010-07-23 自給自足と山菜採り

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ライフハック系の話題にはたっぷりブックマークがつくのだが……。
http://alfalfalfa.com/archives/390546.html(あんま手入れしなくても育つ野菜で自給自足生活!)
http://b.hatena.ne.jp/entry/alfalfalfa.com/archives/390546.html(はてなブックマーク - あんま手入れしなくても育つ野菜で自給自足生活!)
これだけ賑わっているところを見ると、もしかすると「自給自足」ブームが来るのかもしれないなと思った。外食よりも自分で調理する家メシや弁当が流行るのだから、ついに原料さえも自分でこしらえるようなやつが現れても不思議ではないような気がする。
自給自足というと、末期のソ連時代を思い出す。ロシア語通訳・エッセイストの米原万里氏のエッセイで、偉そうにしているソ連の高官も、じつは土日はみんなくたくたになるまで畑を耕して、野菜を育てているという文章を昔読んだ。
さて周囲が山ばかりの田舎に住んでいると、毎日のように高齢者が山で遭難するニュースにぶちあたる。今年はあまりに頻繁なものだから、少しばかりイラっときていた時期もあった。「現役世代が安いハイボールだの卵かけご飯だのでしのいでるってのに、連中ときたら8000円の皇潤だのを毎日飲んで、元気いっぱいに山道のし歩くだけじゃ飽き足らず、県警のヘリだの捜索隊だの、税金までじゃぶじゃぶ使わせるつもりなのか」という苛立ちと偏見。
ある統計によれば、お年寄りが日本の資産の大半を握っているらしいが、私の住んでいる南陽市のように、駅前にコンビニも食料品店もいっさいない買い物難民な町では、老若男女関係なしにおおむねみんな貧乏であって、個人的には「お年寄り=金持ち」などと思えないのだった。今年に入って二件も町内で老人の孤独死があったくらいだし。
今年は一段と県内は山菜採りでにぎわったけれど、こうも日本が貧乏になると、あれは果たしてレジャーなのだろうかとわからなくなってくる。「健康のため」「自然に触れるため」「ドライブがてら」とレジャーを装っているけれど、そのじつは「食費を抑えたい」「食卓を一品でも増やして賑わせたい」「ロハで野菜をゲットしたい」という、つよい生活臭を感じる。不安に突き動かされた欲求というか。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100613-00000008-kana-l14(アサリわずか10日で”閉店”、「半世紀ぶり」潮干狩りが予想以上の人気で…/川崎)
潮干狩りを催したらパニックになった。そんなニュースが今年はあった。ひょっとすると釣りが大流行する時代が来るんじゃないかと思う。みんな「レジャーですよ」という余裕のある笑みを浮かべつつ、内心では一匹でも魚や貝をゲットしたいと考えている。レジャーではなく、生活のための釣りである。
だいたい20年前までは、山といえばもっぱらウインタースポーツのことを指した。高価なスキーウェアにスキー板、松任谷由美の音楽を聴きながらでっかいRV車をぶっぶか吹かして苗場や蔵王のホテルに泊まって、夜はラウンジでカクテルをすすり、恋人とセックスして、観光地にじゃぶじゃぶ金を落としていく消費まみれのレジャー。
高度成長期時代に、レジャーという概念が日本でも広まり、人々はボウリングにはまり、当時の皇太子夫妻のようにテニスに興じ、できたての遊園地に足を伸ばした。稼いだ金を遊びに回した黄金時代だ。だが今のようにいくら働いてもかつかつの時代では、むしろ家庭菜園のような生産、あるいは山菜採りや釣りといった狩りに休日があてられるようになるのではないか。ショッピングや娯楽でぱっと消費するのも楽しいが、それ以上に「作る」「育てる」「ゲットする」という欲求のほうが上回るのではないか。なんてことを考えていた。
山菜採りの遭難や潮干狩りの大混乱なんてニュースを見ていると、つい禿げあがった北朝鮮の山々を思い出す。むやみな伐採と飢餓で、草木がすっかり消えうせ、それであの国ではしょっちゅう悲惨な水害が起きているらしいが、そのうち日本でも、自給自足でガスも使わず、木々を伐採して暮らす勇者が生まれるかもしれない。地方に住んでいると、もうどんなネイチャーボーイが現れても驚かない。電気もいらないとか。
自給自足というと、なんだかもはや戦時中のように思えるが、あまりに頻発する遭難のニュースを見ると、すでにサバイバルという名の内戦状態に突入しているのではないかと思う。レジャーのふりをしているだけで。
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