Hatena::ブログ(Diary)

とくめー雑記(ハーレム万歳) このページをアンテナに追加

MCリンクハーレム小説リンクの情報管理人「とくめー」による、美少女文庫・二次元文庫のレビューなど
レビューのインデックスはこちら。連載企画「ハーレム系作品史」の一覧もあります。毎月のアフィの収支報告はこちら。  

2010-08-07

ゼロ年代埋葬試論

|


2010年も8月になりました。保管庫の仕事はやっとこさスレッドに追いつきました。

既に当雑記で何度も述べているように、とくめーにとって決してよい時代とはいえなかったゼロ年代は終わりました。そろそろゼロ年代を、そして90年代を総括しなければいけない時期です。


ゼロ年代」の作品群の特徴を、宇野常寛は「決断主義」だとか「サヴァイブ」だとかいう単語でまとめています。決断を回避して引きこもる90年代の「セカイ系」に対して、ゼロ年代は他者を傷つけてでも行動する「決断主義」の時代だった、と。


セカイ系」だとか「決断主義」だとかいったカテゴライズができる作品群や流れの存在は、私も認めてます。けれど、それ以上に、そういう極端な作品ばかりを取り立てて重要視するのは、評論家やブロガーの偏見だとも思っています。

オタク文化における男の子と女の子の関係の本流は、セカイ系の「女の子を守れない男の子の話」でも、決断主義の「女の子を犠牲にしても己の目的を目指す話」でもなく、一貫して「女の子を守る男の子」の話です。(全く無関係とは言えないので、“ポスト・エヴァ”時代の作品としての『シャナ』『ハルヒ』とか、逆方向の“決断主義者”としての上条さんとかいう論じ方もできてしまうのだけど)


だいたい、「ゼロ年代」を持て囃す人たちって、作品をちゃんと読めてるんでしょうか。

ゼロ年代決断主義の特徴が、よくあらわれている作品形式が2つあります。

1つは、『バトルロワイアル』タイプ。『仮面ライダー龍騎』『Fate/stay night』など。「戦わなければ生き残れない」という状況に放り込まれ(一部の脇役敵役は自ら飛び込み)、銃器やら異能やらで潰し合う殺し合う話。

もう1つは、『DEATH NOTE』タイプ。ここでは『デスノ』と『コードギアス』のみを挙げておきましょう。エヴァセカイ系3作品では、主人公が、「セカイ」の秘密から疎外され、一方的に振り回され、彼女と引き裂かれたりするのに対して、『デスノ』や『ギアス』では、主人公が「セカイ」の秘密にアクセスし、異能を与えられて、己の理想によってセカイを変革しようとする話。いわば、「セカイにレイプされる」セカイ系に対して、「セカイをレイプする」決断主義ってところですか。

これらの作品が、どういう結末を迎えたかを考えてみてください。

バトルロワイアル』タイプの作品において、ラスボスはたいてい、競争ゲームを強いる【ゲームマスター】です。BRの競争の“構造”自体を覆すこと、それこそが究極の勝利なのです(BR形式ではないものの、『ひぐらし』もまた“殺し合い”の“構造”自体を解体するのが目的となりましたね)。

DEATH NOTE』において、キラの野望は粉砕されました。これを単に月VSニアの天才対決の結果と受け取ってはいけません。アレはキラ陣営(ミサ、高田、魅上、出目川、なんという素敵役立たず軍団)が、ニア、メロ、ジェバンニ、それに松田等捜査本部といったLの後継者“たち”に負けたと解釈するべきでしょう。

コードギアス』のルルーシュは、「目的のためにはあらゆる犠牲を惜しまない」という決断主義者としての筋を、己すらをも犠牲のうちに含めることで全うしました。んでもって、最後に残されたのが、決断主義の悲劇と限界をとことん知ることになったスザクナナリー


だというのに。

BR的な競争ゲームの構造を肯定しちゃう人って、なんなんでしょうね。サカモーチョキンパッティを倒すつもりはないのでしょうか。

デスノ的な英雄主義を掲げる人たちは、キラのように無様に敗れたりルルのように犠牲になる覚悟があるのでしょうか。我々には、セイバーリュークもC.C.もいないんですよ。

ゼロ年代の「決断主義」を内面化してしまってる人たちって、作品読めてないでしょ。私は「読者には誤読の自由がある」と考えてますし、むしろ積極的に物語のフレームワークを書き換えていくのが現代のオタク現代の読者だと考えてますが、それにしても、中学の現代文レベルの作品読解が出来てないところから、面白い「誤読」をできるとはとてもとても。

一応言っておくと、これは宇野批判ではありません。彼は、ゼロ年代決断主義の効用と限界を見定めた上で、その「次」を模索してますので。「小さな共同体」ですか、ずいぶんと地味な落しどころで。

たしか、宇野さんは東浩紀フォロワーはダメダメだみたいなこと言ってたはずです。はい、東フォロワーには「セカイ系」を相対化できてない人が多くて困ったものですね。同様に「決断主義」を相対化できてない人たちもダメダメだと思います。

いや、まあ、私も、「萌え文化」にどっぷり浸りこんで相対化なんてできてませんけどね。あははははー。


繰り返します、ゼロ年代は終わりました、よかったですね。

90年代のセカイ系も、ゼロ年代決断主義も、過去のものとして埋葬してしまいましょう。

10年代前半は、エンタメの王道の復権の時代になると思います。そんなに長く続く動きだとは私も思ってはいませんが。

どぶろくどぶろく 2010/08/08 22:05 平成ライダーもセカイを破壊するディケイドでゼロ年代を終えて、10年代を(正確には09年スタートですが)エンタメ路線のWで始めましたね。

FXMCFXMC 2010/08/08 22:18 ライダーは、内容の過激さとかでなくBPOが出張ってくるとかいうありえない惨状からよくもまあ立て直したものですね。

陣 2010/08/08 22:39
 発表時期を考えれば、『ハーレムシスター』のヒルクルスなんか、その立場や能力的に、相当に『コードギアス』の影響を受けている感じもするんですよね。

 「小国の王子」から「大国の将軍」へといった、立場的に言えばスザクですが、性格的には相当にルルーシュ的ともいえる。

 まあ。その辺りも自分があのキャラに入れ込む一因なところですが。

FXMCFXMC 2010/08/08 23:02 『いちご100%』って作品あるじゃないですか。あれ、「ラブコメ」だけど、実はすげー「ジャンプ漫画」なんですよ。男の子がバトルする代わりに、女の子たちが競争してる。一人が勝って残りは負ける。ほら、ジャンプ漫画。
対して、「ハーレムモノ」たる『ToLoveる』では、そういう一人が勝ち残りは負けという競争の構図を、最後まで否定します。で、矢吹はジャンプ本誌から出て、ハーレム路線強化中のスーパーダッシュ文庫と組むことに。

ハーレムモノは、一見、リアル歴史のハーレムのように、勝者総取りの競争を連想させるかもしれませんが、実際にはそーゆーもんじゃないのです。「ハーレムモノ」の背景にあるのは、“切り捨てることを拒む”欲張りな意思ですから。

二次元文庫のハーレムシリーズにおいても、指導者タイプよりも調停者タイプの主人公が多く見られます。世界観的に婚姻政策強力ですし。
北はオルフィオ、西はフィリックス、東はバージゼルと、大陸の大部分は、この調停者タイプの主導下におかれることになるようです。
露骨に指導者タイプを志向するのは(ロレントは別格として)、南のリカルド、あとはヒルクルス、エルフィンくらいでしょうか。

FXMCFXMC 2010/08/08 23:08 南のリカルドも、個人の性格としては指導者タイプだけど、海洋国家である以上、周辺諸国に対しては調停者として振る舞わざるを得ないしなあ。指導者として振る舞おうとすると、海洋国家の分に合わない陸上兵力を用意しないといけなくなる。彼の政治姿勢からしてそーゆーのが馬鹿らしいことはよくわかってるはず。

陣 2010/08/08 23:12
 その意味でも、ほぼ中央部に位置する、二重王国の動向がどうなるかですね。

 『鬼骨の軍師』を見るに、才能はあっても、セリューンは基本的に自堕落志向で覇気に乏しい男ですが、ヴィシュヌはそうではないわけで、あの国の内部自体が一種の縮図といえるというか。

 少なくとも百日戦争後は、ロレントとセリューン、ひいてはバージゼルあたりの間で大まかな「勢力均衡」がしばらく続くかどうかがポイントになりそうですね。

 おそらくは西北部の当分の帰趨を決めると思われる、『ジェネラル』も本月が最終回ですが、今後の文庫化も絡んで、とにかく今後が注目と。

陣 2010/08/08 23:18
>彼の政治姿勢からしてそーゆーのが馬鹿らしいことはよくわかってるはず。

 すでに読まれたかは知りませんが、『ロイヤルガード』のパウロなんか、まさにそう言っていた主人公ですね。

 ただしここでの舞台はあくまで「ドモスの侵攻」が始まる前の時点なわけであり、それが始まり、まだ無敵の進撃を続けていた時代の苦悩を描くのが外伝と。

FXMCFXMC 2010/08/09 00:20 ブログのコメ欄は作品論をだらだら語るには向かないと思うんだにゃあ。

yusuke22yusuke22 2010/08/09 00:51 ゼロ年代を引っ張ってきた代表作・鋼の錬金術師も、基本構図は《エドワード・エルリックが、ウィンリィを守る》ですよね。とくめーさんの整理する「オタク文化の本流」にぴったり。ハガレンって、子供を育てる存在としての女性を積極的に肯定(例えばウィンリィがラッシュバレーで赤ちゃんを取り上げるシーン、イズミ先生の存在など)しているので、漫画を読んでいて性固定的な発想が少し強いかなー、と思っています。

今年は連載も終了してしまいました。連載終了がゼロ年代を捉える上でどのような意味を持つのかはガンガンの売上も含めて興味深いです。

FXMCFXMC 2010/08/09 08:30 私、まだハガレン最後まで追えてないんですけど。
バトルロワイアル設定同様、『ハガレン』の“等価交換”も「犠牲」を伴なう「ゼロサムゲーム」の設定で。
「質量保存? なんですかそれは」だった、90年代ガンガン諸作品とは正反対の性質を持った世界設定ですね。

わりとどっぷりバトル漫画路線やゼロ年代的世界観に浸かり込んでしまったガンガン本誌はどうなるんでしょうね。ヤングガンガンみたいな他誌の方が主力になっていくんでしょうか。
エニックスの新人育成能力を考えると、また「お化け」が出てきてなんとかなってしまうような気もしますが。

FXMCFXMC 2010/08/09 08:32 で、ハガレンも、BR系の作品同様、冷たい世界設定と、それに抵抗する主人公たちという構造が見られまして。ええ、まあ、この辺をどう捌くか、私は単行本が出るのを待ってるところです。

ご神体ご神体 2010/08/12 05:42 お久しぶりです

誤読とか解釈の違い、とかから気になったのは、ハガレンの子供を育む女性、感ですが、女性には如何取られてるんですかね?
物凄く大まかに言って彼女らは感性や共感するのに価値を認めているので、健全サイトの女性のサイトでも、あまり総括は見られないからかもですが
でも、細いと飯を食ってないようで太く描いている、という荒川先生のコメントからも、女性感は納得です

ガンガンはハガレンが抜けて大丈夫なんですかね?
ヤングガンガンは読んでますけど(でも、コミック派(笑))
ハガレンは今日発売でしたっけ?

FXMCFXMC 2010/08/12 20:04 わりと普通の“ストーリー漫画”であるハガレンは私の専攻からはだいぶ外れるので、作品細論等には立ち入る意思も能力もないんすよね。女性読者がどう受け取ってるかなんて全くもって。
ガンガン本誌は、ジャンプの出来損ないみたいな少年マンガ路線のままではダメだと思います。他誌がそこそこ調子いいので即座に経営がどうこうなることもないでしょうし、エニックスの新人育成能力だけはシャレにならないんで、数年以内にパプワやグルグルやハガレンのような、突然変異的なお化けが出てきてなし崩し的になんとかなってしまうんじゃないかなあと思ってます。

サンジミチサンジミチ 2010/08/14 15:45 TRPGのダブルクロスというのがありまして。初版は90年代。
不思議ウイルスに感染して超人になった人達が、ウイルスに浸蝕されて化け物になる恐怖と戦いながら、同じウイルスパワーを使う悪者や、ウイルスに浸蝕された化け物から日常を守るって世界観。

このゲームのリプレイ、基本的に主人公の友達やら親族やらが事件に巻き込まれ、友達が化け物になっていたとか、友達が死んだとか、事件に関わったせいでMIBばりに記憶消した上で遠くに引っ越しさせられり、救っても後遺症が残ったり……と救いようのないくらいセカイ系。
だんだん悪の組織とは別の組織が現れ、他の組織と協力したり敵対したりというBR的混戦も混じるようになったあたり、ゼロ年代方向にも少し手を出した気もする。

で、2006年に、デモンパラサイトというTRPGが他社から出た。
不思議寄生虫に感染して超人になった人達が、寄生虫に浸蝕されて化け物になる恐怖と戦いながら、同じ寄生虫パワーを使う悪者や、寄生虫に浸蝕された化け物から日常を守るって世界観。
ほぼコピペ。
なのにやってみると決定的に違う。
デモンパは後遺症が残る(残らない事もある)ものの、超人どころか化け物になった場合も元の人間に戻れる。
これに対し、ダブクロだと感染したら一般人には戻れず、化け物になったら殺すほか無い。
この一点の違いのお陰で、騎士とずっとピリピリしてた龍騎でなく、怪獣を保護するぜ〜なウルトラマンコスモスになれる、完全な別物に仕上がった。
(他にもデモンパにはギャグ展開を強要する要素等がある点で、よりエンタメ性が高い点もある。変身すると服が破けるとか。)

卓ゲにおける、時代の移行の一例として良さげだったので、ちょいと語りたくなりました。

宇野常寛氏の文脈で言うと宇野常寛氏の文脈で言うと 2010/08/17 07:52 >切り捨てることを拒む”欲張りな意思ですから。
「母性のディストピア」かなんかにぶつかるルートのような。
いや、本論とはまた別の段階の話ですが、氏の名前を見てふと思い出したのでちょっと。

FXMCFXMC 2010/08/17 11:58 TPRGの世界設定は、プラットフォームとして機能しなくてはならない都合上、王道ってか普遍を志向することが多いので、「セカイの秘密」云々との相性はあまりよくないようですな。セカイの秘密云々に対応した代物も、ヒット作というほどには至らない。
ポスト・エヴァの時代と、TRPG冬の時代が重なることについてとか考察例がどこかにあればよいのですが。

母性のディストピア云々は、ぶっちゃけ、萌えられないオタクのルサンチマンの産物でしょうw

陣 2012/01/15 01:56
長らく待たされ続けてきた『コードギアス』の新シリーズがようやく本格始動。

キャストやスタッフ的には、むしろ『エスカフローネ』というのも注目ですが。