好奇心+勇気+挑戦+確信+集中+継続=変革

 本庶 佑(ほんじょたすく)さん、今年度ノーベル医学生理学賞を受賞した方だ。この方の人と成りをテレビからの言動や新聞などでの情報から拝見推測すると、「平成最後の昭和人的学者」のように思えてきたのである。第一は奥さんの言葉が素晴らしい。完全な亭主関白だそうで、後ろをいつも付いて歩いているのだそうだ。そして大変驚いたのは根っからのタイガースファンらしくて、ふがいない今年のタイガーズに「監督を変えるべきだ、そして藤波をもっとうまく使うべきだろう。」と表情一つ変えずに、はっきり進言していたのである。やはり一番興味深い言葉は「教科書に書いてあることを信じるな、常に研究者として自分で確認するまでは、疑いの目で研究せよ」であった。基礎がしっかりできているからそういう応用ができるのだろう。そして今回受賞したノーベル賞の賞金を、同じような基礎研究を行う若者のために使うというのである。いや全く恐れ入ってしまった。その目は少し怖いくらいの眼光で、余りにはっきり具体的に指摘される姿や賞金の使い道の言葉にだた驚いてしまったのだ。この先生の研究室は、きっといつもピーンとした緊張感が張り詰めているかもしれないと思うのである。そんな部屋の様子は私の理想であり、私も授業中に私語一つない教室を保っている。
 同氏は少年の頃天体望遠鏡土星の輪を見て、宇宙の果てには何があるのか知りたいと思ったようである。そして野口英雄の伝記を読み、人の命を救う医学の道に進んだ。その医学の道が京都大学医学部というのも普通ではないとは思うが、臨床医ではなくて基礎研究に進んだのは、やはり彼の性格的なものなのかもしれない。こんな先生が患者の前で診察したらそれは怖いだろう。
 本庶さんの研究室のウエブサイトに「六つのCを大切に」とある。好奇心 Curiosity、勇気 courage、挑戦 challenge、確信 conviction、集中 concentration、継続 continuationの英語の頭文字であるらしい。素晴らしい言葉だと思うし、それらの気持ちできっとこの世の中を良くしていく変革 changeが生まれるのだと私は信ずる。

好奇心Curiosity+勇気courage+挑戦challenge+確信conviction+集中+concentration+継続continuation=変革changeである!