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70年代アメリカン・シネマ

2016-03-27

★★★サブウェイ・パニック

監督:ジョゼフ・サージェント
出演:ウォルター・マッソー、ロバート・ショー、マーティン・バルサム

The Taking Of Pelham One Two Three、UA、1h44

サブウェイ・パニック [DVD]

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ジョゼフ・サージェントという監督はTV出身の演出家で、突出した才能があったとは他の作品を見る限り思えないけど、「サブウェイ・パニック」はまさに奇跡のような作品。NYロケを敢行し、スタジオでのセットでは出せない臨場感、リアリティーを出すのに成功している。もっともNY市当局もこういった映画撮影に積極的に協力したという、と言う背景があったのだけど。
ショー(ブルー)、バルサム(グリーン)、ヘクター・エリゾンド(グレイ)、エール・ハインドマン(ブラウン)の4人によって地下鉄がジャックされ、彼らはどうやって身代金を奪って逃げるのか?という点に興味は集中するが、人質となった17人のパニックに直面したそれぞれの反応(「止まれ!」とヨガのポーズで念じるヒッピー娘、ひたすら祈りを唱えるヒスパニック系婦人、きっと止まるはずだと信ずる元地下鉄職員、停止の衝撃で「着いた?」とやっと目覚める泥酔の老婆etc)や、あっけないラストなど、大型パニック映画全盛の時期に小粒でピリッとした面白さはさすが。マッソー演じる公安警察警部の飄々とした持ち味(東京地下鉄のえらいさんご一行をもてなすくだりも最高で、現行DVDでは違うが、かつてWOWOWOAされた際は、「猿軍団ご一行は局長室へ」と出て大笑いだった)もこの映画の魅力。犯人たちが、自分たちを色で呼び合うアイディアは、タランティーノが「レザボア・ドッグス」でも引用。余談ながら大瀧詠一の”ハンドクラッピング・ルンバ”で、74年のヒット洋画として「エクソシスト」、「エマニュエル夫人」と並んで、題名が歌詞に出てくる。


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2016-03-26

2016-03-25

★★★★スケアクロウ

監督:ジェリー・シャッツバーグ
出演:アル・パチーノジーン・ハックマン

スケアクロウ [DVD]

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ニューシネマ期の「ロード・ムーヴィー」といえば、これにとどめをさす。
見知らぬ男同士がふとしたことで知り合い、一緒に旅をする事でお互いを分かり合い、友情を深め合ってゆく*1話。この知り合うきっかけとなったのが、最後に残ったマッチを譲ったからで、冒頭のこのシーンは、とりわけ印象的だ。元々はカメラマンで「俺たちに明日はない」の撮影中、恋仲となったフェイ・ダナウェイを主演にした「ルーという女」('69)が初演出となった、シャッツバーグ監督の第3作。
カンヌ映画祭でグランプリを受賞。気難しいハックマン(洗車屋を開こうと思っている)と陽気な(そして繊細な)パチーノのコンビに、しみじみする。タイトルの「かかし」は、パチーノの話に出てくるもので、
カラスを怖がらせるためにある」と言うハックマンに対し、パチーノは「かかしは、カラスを笑わせるためにある」と説く。これはそのまま、この二人の性格の差を現してるのだけど、最後の方になるとハックマンが、自分に言い聞かせるように、何度もつぶやくのだ。
ラストは、ピッツバーグ行きの列車の切符を買うところで終わるが、これが往復で、ハックマンが再びパチーノのところへ戻ってくる事を示唆する。
ほとんどこの2人だけであとは、脇役ばかりだが、アイリーン・ブレナン、アン・ウエッジワース(ハックマンと踊るシーンでは、アレサ・フランクリンの“ナチュラル・ウーマン”がかかる)、ペニー・アレンら。
音楽は、フレッド・マイロウという人だが、ザ・バンド風の土くさい音作りは、とてもあたたかだ。カメラは名手ヴィルモス・ジグモンド
初めて見たのは、今池にある名古屋シネマテークのニューシネマ特集*2で「アリスの恋」との二本立てだった。

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scarecrow、Warner Brothers、1h52、

*1ホモセクシュアルではない男同士の友情といえばニューシネマが好んで描いたもの。川本三郎は、この友情を「ホモ・アミクス」と呼んだ

*2:この特集が僕をニューシネマに導いた気もする

2016-03-24

2016-03-23

2016-03-22

2016-03-21

2016-03-20

★★破壊!

監督:ピーター・ハイアムズ
出演:エリオット・グールドロバート・ブレイク

Busting、MGM、1h32

破壊! [DVD]

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TV出身のピーター・ハイアムズ監督の映画初演出で以後おなじみとなってゆく刑事アクション。ロケをうまく使った刑事ものは70's量産されたが、これも素晴らしい。夜の街に街頭の青白いライトとパトカーの赤いランプが浮かび上がるシーンなど美しい。グールド、ブレイクのコンビのひとクセありそうな感じもいい。麻薬密売のボスを追い込んで、逆に撃って見ろ、俺はムショでも仕事は出来るんだ、とすごまれ敗北感が漂う苦いラスト(職業安定所でのやりとりが重なる)は70's的。ハイアムズ監督は80'sに同じような刑事アクション「夢見て走れ!」(シカゴ・コネクションなんてサブタイトルはいらない)を撮っているが、こちらは開き直りのラストだった。冒頭のコーネリア・シャープ演じる娼婦が歯科医院を訪ねるシーンは何度見てもドキドキする。
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2016-03-19

オリエント急行殺人事件(英)

監督:シドニー・ルメット
出演:アルバート・フィニーイングリッド・バーグマンローレン・バコール

Murder On A Orient Express、2h08、EMI/Paramount

EMI製作のアガサ・クリスティー作品の映画化。この映画のヒットで、以後続々と映画化が続き、80'sの半ばまでミステリー映画といえば、クリスティー映画というような図式が出来上がる。クリスティー作品としては戦前の代表作の一つで、女史が創造したベルギー人の探偵、エルキュール・ポアロを名優フィニーが演ずる。雪のため孤立してしまったオリエント急行内で起こった殺人事件だが、いかにもヨーロッパ色の濃いキャストも印象的。他には、リチャード・ウィドマークアンソニー・パーキンスジャクリーン・ビセットショーン・コネリージャン・ピエール・カッセル、ジョン・ギールグッド、ウェンディー・ヒラー、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、レイチェル・ロバーツ、マイケル・ヨーク、コリン・ブレイクリーら。社会派といわれたルメット監督がこういった娯楽作を手がけた事も意外だった。

*クリスティー映画@EMI