夏のロケット(ISBN:4167662019)

だいぶ前に買ってあったんだけど、やっと読みました。
Florian は昔から「文化部小説」というジャンルがあると思っていて、それはただ「文化部小説」であるだけで無条件に青春のどこかをチクチクとつついて回ると思っています。
そして、「文化部小説」とロケットはひじょーに相性がいいです。むしろ、ロケットのことを書くと必然的に「文化部小説」になるというか。ノンフィクションですが、「ロケットボーイズ」や浦沢直紀の「NASA」、「プラネテス」のキュータの話もそうですね。


で、本作です。
文化部小説はおおむね酸っぱくて痛くて夢見がちなのですが(何せ青春だし)、夢見がちな視点と、大人の都合と、泥臭い人間とがいろいろ交ざって、ファンタジーに現実感を与えています。でも、「やっぱり青春だよね」という通低音のひびきっぷりが結局作品全体を支配しているので、ひじょーにあちこちが心地よいです。
お金をからめて子供の夢をかなえるためのビジョンを示す、って意味では、ずっと後に出た「第六大陸」に近いのですが、いやいやこれはこれでいいですよ。「第六大陸」は結局大企業の話だし。


それにつけても、「明日があるさthe movie」は、どれぐらいいたい話だったんだろうなぁ。見たくないけど、気になる・・。

(追記)
同じ本の書評をした方がいた(http://1iki.blog19.fc2.com/blog-entry-1268.html)のでトラックバックを。