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ふろりあんのさらに新しい日記

ホグワーツじゃないところの作品発表会に行ってきました。新宿のいかにも魔法がかかっていそうなビルの30階とかです。パブリッシャーさんがたくさん来ていてどきどきでした。
・・パブリッシャー? ディベロッパーじゃなくて? 求人がメインじゃなかったの?
それはさておき。
座った席の関係上、何故か「サウンド」から見ることになったのでそこから。何となくコードネームですが、「もしかしたら自分のことかも」と思った人はそう思って差し支えないです。
オーケストレーションもこなれてるし、音もすばらしいんだけど(もういいから)、メロディが弱い。もっと人を引きずり込むような歌を音楽に求めないと。ちなみに、聞かせてもらったCDの中では「テクノポップ」が一番好きでした。や、これは単なるジャンル効果かも。いいよね、電子音。理論がきちんとしている人がさらっと書くと安心して聞けます。
ガールズバンドの曲は、なんというか、イトケンでした。特撮のオープニングともいう。「絶対今、後ろで魔法とか使ってるよ」と社内で評判でした。メロディが女の子が歌いそうな曲じゃなくて何となく演歌っぽいんですよね。これでメロディがボーカロイドじゃなくてストリングスだったら確実に戦闘シーンです。戦闘シーンには演歌メロディが良く合うんです。
2分のくせに変拍子が混ざるわバイオリンは2声で歌うわ、果ては転調までしてリタルダントで終わるという盛りだくさんな曲。もちろんテクノリズムにシンセサイザーでオーケストラ。大好き!2回も聞かせてもらってしまった上に、1枚しかないCDをもらってしまった。
是非大成して変な曲を量産してもらいたいです。
架空の劇伴として映像があるものを想定してあっちこっちに展開するサウンドがハリウッド的で素敵です。基本的にはシンセサイザーの「ぶぶぶぶ」とか「どよーん」とかがメインですが、状況説明のためにドラムンベースやオーケストラなどありとあらゆる手段を使って緊張感を出しているのがおもしろかったです。
低予算B級SFアクション映画の劇伴の仕事をして「音楽ばかりがやけに目立つ」という未来を想像しました(失礼なやつ)。
ケルトの音階は日本音階に似てるんだよねー。きちんとケルティックに始まった上で突然はいるフラメンコギター。うわー、すげー、と思って聞いていたら普通の西洋音楽になって終わってしまって尻すぼみなのはちょっと残念。最後までケルトで通してほしかった(フラメンコギターは良かったけど)。
あんま使わないかなー、通奏低音(ドローン)。ブライアン・イーノからこっち、周波数帯の隙間に困ったらパッド系のアンビエント流しとけってのはある意味発明だと思うんだけど。
ポップスのシングルCDを買って「カラオケ」だけをよーく聞いているとパッド系のアンビエントがずっと流れてるのに気づくと思います。
ニューエイジはもう古いけど、その頃の発明はまだ生きてますよ。
Flashの付属品としての音楽かと思ったら妙に気合いの入った音楽にびっくり。なんでも、前職はWeb系のデザイナーだったとか。やけにクオリティの高いFlashはそのせいか。
「断然音楽です。ただ、CDというパッケージはもう限界だと思うんですよ。売り上げは確実に落ちてますし。ただの『音楽』じゃなくてもっと何か別のパッケージとしての商品を考えるべきだと思ってます」
なるほど。でもそこは「マルチメディア」が通ってきた(で、ぺんぺん草一本生えてない)道だぞー。
や、音楽はどれも素晴らしかったですが。
つぎ、「プログラム」
私の教え子で「このプログラムの一番の売りは坂道です!」と胸を張って言った子がいました。難しいけど、坂道があるとレベルデザインの自由度が断然変わります。ぜひ!
素晴らしい馬鹿アイディア。ホーミング弾のくせに「バズるとオプションになる」という無理のあるゲームデザインがすごい。攻撃はオプションの体当たりだけ。弾幕の中をマドラックスよろしくくぐり抜けて胸元に飛び込んで大ダメージという妙な快感があります。なんか、いいよ、これ。
3Dって、そう使うものだったか。一本とられました。そうだよなー、立体的じゃなければならない理由って無いもんなー。
しかし、遊びづらいゲームでした。
レベルデザインを「ハイとマップだけ」と割り切った3D背景はいいですね。トルクが足りなくて坂が上れないとか、地面の法線によって跳弾するとか妙にリアル。
Utar teapotを使っている人が何人かいたうちの一人。Ivan Sutherland先生とその一派ですね>ユタ大
そういう意味でも、3DのラスボスがUtar teapotなのは「3Dを制覇したんだ!」という意味で重要です。
ゲームも楽しく、「あそこの裏の敵は気づいてないはずだからバックしながら打ち込んで逃げる」とか戦略を立てられるのもいい感じ。おもしろかったです。
「他の人たちはみんなパズルとかシューティングじゃないですか。まずは基礎からやってるので」
「ま、そうだね。シューティングはともかくパズルはほとんど見てきてないけど」
「私も一つパズルを作ったんですが、『なんか違う』と一から作り直したので期間が短かったんですよ。だから、プログラムもなるべく工数かからないようにいろいろ細工してるんです」
「素晴らしいね。怠惰はプログラマーの美徳の一つだ。ところで、期間ってどれくらい?」
「私は2ヶ月しかかけられませんでした」
・・ということは、ここの1年生は2ヶ月以上かけてこれなのか・・。やっぱりホグワーツはスパルタだなぁ。あそこで2ヶ月以上かけて制作してるゲームなんか無いもんなー。その代わりやたらと数をこなすけど。
ちなみに、参考図書は「Game Programming Gems1」です。A*(エースター、と読む)はSection3をまるまる使って解説しています。Gemsのシリーズは最近のはもうGPU周りばっかりでわけわかんないものになってるけど(また、これとは別にGPU Gemsなんてのがあるからたち悪い)、1と2は読んでも全然苦にならないのでおすすめ。高いけど。あと「ゲームプログラミングのための3Dグラフィック数学」は副読本として必須です。
なんというか、ゲームデザインが乖離してるゲームでしたが、下半分の「線脳」(というゲームが昔あったのよ)の部分はおもしろかったです。ルービックキューブを解いてるみたいな感じで。
あと、全体的に丁寧に何をすればいいのかが記されているのはいいですね。見習うべきだな。反省。
「特長は?」
「衝突判定、状態遷移、入力処理などを抽象化し、それをスクリプトで制御するところです」
「明らかに無関係なオブジェクト同士を束ねてキューにしてマルチスレッドで動かしてます」
「どこまで行った?」
「彼(共同制作者)の自宅の4コアのマシンではきちんと負荷分散してたそうです」
おお、3コア6スレッドのXBox360とかで威力を発揮しそうだ。
「そこまではちょっと・・ただ、なるべくVRAM側にマトリックスやバーテックスをバッファしてCPUの負荷は減らすように細工しました」
おおお。偉いなぁ。
ま、ヘテロジニアスマルチコアのCPUなんか民生ではほとんど使えないけどね。Cellチップって、パソコンのドーターボードとしては売ってないからなぁ(IBMから業務用のは出てる)。
ポイントライトを主人公が持って、そこからのシャドーを動的に計算するというとても重そうなゲーム。見る人が見ないと「すごそうだけど、何がすごいか判らない」割りにはプログラマーのお客さんに大好評だったとか。よかったねぇ。
「フォーカルブラーやってるの?」
「あ、いや、これは、ポストレンダリングエフェクトかけたら手前と奥が勝手にぼやけちゃってるだけで」
そりゃそうか。そこまでやったらリアルタイムでは動かなさそうだ。
不勉強にもpImplイディオムというものの存在を知らなかったので、急いで調べてみました。
ふむふむ。C++はprivateでも実装が表から見えちゃうのを隠すための方法論なのか。なるほど。・・でも、これはC++以外ではほぼ意味のない実装方法だなぁ。JavaとかSmalltalk使ってると関係ないし・・。
大規模開発する際にはC++を使うのは限界があるよね、という話でした。
あと、この魔法学校はXNAを教材に積極的に取り入れているみたいです。XNAそのものにはあまり賛成しないけど(というか、XNAぶっちゃけ出来が悪い。MSならもっとうまくやれるはず)、大規模開発を行う際に必要になる抽象化をあらかじめたたき込んでおくのはいいことです。
なので、C++を使うことがステータスで、C#で作っているのをコンプレックスに思っている人が中に何人かいましたが、C++なんか、そのうち使われなくなります。そのあとJavaの時代が来るのか、C#の時代が来るのか、Smalltalkの時代が来るのかは判りませんが(いや、それはないか。Lispの時代はまかり間違って来ちゃうかも)、CやC++みたいな組み込み用の言語で高度なプログラムを書こうというのが土台間違ってるので、その間違いはいずれ正されます。たぶん、ムーアの法則の限界が来るよりも前に。
プログラマーは心してかからないと置いてかれますよ。時代に。
ええと、「企画」は見るところ無かったのでパス(すまぬ)。「グラフィック」「IT」は時間切れ。というか、プログラマーの出来を見に行ったはずなのに時間の大半を「サウンド」に食われたのが敗因だな。
あと。
非常に教育が行き届いていたのが「礼儀」。人間、中身で勝負するのは重要だけど、「礼儀」がないと中身見てもらえないからね。あそこの魔法学校の人は「礼儀」に非常にうるさく教育したんだろうな。とてもいいことです。見習おう。
さて、あそこの学生の何人がこのブログにたどり着けるかな(笑)?
(追記)
そう、すっかり言うの忘れてた。
以前何か所かに行った「コンピュータ専門学校のゲームコース」の発表会と比べて、1年生の就職意識や「自分を商品であるとして売り込む」(これは、「口を開けて待っていれば未来がやってくる」の対極に位置します)という考え方が徹底していたのは誇っていいと思います。そこが重要なんですよ。
私は愛弟子には口を酸っぱくして同じことを言っています。
日本型の終身雇用による収入の保証というパラダイムは、もう終わりかけてます。親御さんに「やくざな仕事について」といわれても(親の世代では、終身雇用は所与でしたので彼らは責められません)自分の売りを売り込む(場合によっては会社を見限る)ことを忘れないでください。もう、やくざ以外は生きられない時代なんですよ。残念ながら。
These pages are written by Florian