02-07-2011
Grouponモデル-III
Groupon Japan の立ち上げ: スタートアップ段階で必要なエッセンス「スピード感」
Nikkei Netより抜粋:
営業力と資金力の両輪体制
Groupon Japanの前身「クーポッド」、それを共同で設立したのは、パクレゼルヴと独立系VCのインフィニティ・ベンチャーズ。パクレゼルヴは、廣田社長が光通信、クレイフィッシュを経て、05年に独立・起業したベンチャーで、インターネット回線の訪問販売やモバイル向けコンテンツなどを手がける。
一方、IT・ネット関連企業の経営陣が集まるイベントなども主催しているインフィニティは、クーポッド設立時に約2億円、その後すぐに追加投資枠として3億円を用意した。パクレゼルヴの営業力を駆使してクーポン掲載店舗の開拓を進め、それをインフィニティが資金力で後方支援する両輪体制。
スピード感
7/20@0:00、クーポッドに登場した破格のクーポンは24時間で1万人に売りさばかれた。値引き分に加えて、商品の送料もクーポッド負担。広告宣伝を狙った持ち出しの大盤振る舞いにネットのユーザーは飛びつき、ツイッターのアカウントには1万人以上のフォロワーが集まった。こうした実績を引っ提げ、クーポッドの生みの親であるインフィニティは、米グルーポンとの交渉につく。
2010年夏。この頃になると日本のみならず、世界中でグルーポンの「クローンサイト」が立ち上がっていた。世界進出を狙う米グルーポンは、ゼロから各国法人を立ち上げるよりも現地のクローンサイトを買収した方が手っ取り早いと判断、10年5月に欧州のクーポンサイト大手Citydealを傘下に収め、サービス提供地域を北米2カ国から一気に18カ国まで拡大するなど、各地での買収戦略を進めていたところだった。
クーポッド設立からわずか2カ月強、増資を引き受けた米グルーポンがクーポッド株の過半を得て、傘下に収めた。ここから、新生グルーポン・ジャパンの成長は、さらに速度を増す。
9/1に米グルーポンと同様の画面デザインに切り替え、10/1に社名を変更すると、シカゴを皮切りに一気に全米に展開した米本社を追うように、全国展開を急いだ。サービス提供地域は年末までに全国47都道府県・82地域まで拡大、同時にクーポンを開拓する地域拠点も大阪・名古屋・福岡と増え、年末までに7カ所以上となった。
02-06-2011
Grouponモデル-II
2. なぜいま誕生したのか: 情報を消費する時代へ
これまでホットペーパーなどのクーポンやギャザリングなど共同購入を提供するサービスがあったのに、Grouponはなぜこれほど力をもったのか。その答えは当時と現在の時間的な面にあり、数式で表すと、
「情報を消費する時代 = 信頼&友達(social graph/commerce) +プール型の情報収集 (Search/ Feed)」
Social graph によって、これまでネット上でも制約のあった「友達の関所が廃止」されたほか、商売にとって大事な「信頼の絆もより強固」になり、一方的な売り手情報を選別できるようになった。その結果、情報の非対称性が緩和され、ある程度の安心感を持って席に着くことができるようになり、「Social commerce = Amazon + Facebook」のようなサービスが誕生。
収益の多くを広告に依存するメディア、その情報は広告主に配慮せざるをえないため、買い手にとって不利な情報は隠されたままだった。しかし、買い手が情報を発信できるようになったため、情報源が多様化し多量になったため、Search/ Feedなどによって自ら情報を探せる環境が整った。
つまり、情報はメディアが発信し受けとるプッシュ型から、自ら情報を求める「プール型」へ。あるいは歴史的な流れで俯瞰すると、食料や商品を消費した時代から、「情報を消費」する時代へ変わってきたのかも。
3. Groupon のSWOT
次に個別企業分析へ。業界に詳しくないので知りえる情報を基にまとめると以下のような感じ。なお、直近の財務状況は、売上315億円、営業利益45億円 (利益率14%)。
Strengths:
- シェア: Groupon 53%, ボンバレ25%, 一休 4% (JPY 2B as of Jan 2011)
- 資金力: 他を圧倒する広告ジャックや営業部隊の多面的投入
- ノウハウ: クーポン購入後の未利用比率は一定以上あるが、顧客満足度を高めるノウハウが差別化要因?
Weaknesses:
- 体育会系のワナ: 他社や日本法人内だけでなくグループ内の各国ともKPI競争-> 営業部隊による強引な売り込み競争-> 売上至上主義-> 信頼性の低下
- 人材: 体育会系の遠心力で急拡大したものの、そのひずみを調整する求心力をもったリーダー陣
Opportunities:
- 他の分野: 比較的クーポン文化の確立していない飲食以外の分野へ水平拡大、ネット店舗への広がり
- 割引以外のサービス: 並ばなくて済むクーポンなど
- DB: 席には上限があるので、お店側はダウンサイドリスク「空席の低減」を重視->お店が空席のときに呼び込めるデーターベースDBの確立
- 位置情報サービスとの連携: モバイルとの親和性大
Threats:
- 負け犬向けサービス (レモン市場): 売れない店が販促として利用-> 「イマイチ」なお店との評判が定着-> 客離れ
- 質の低下: 50%割引なら客に分からない範囲で少し劣る料理を出しちゃえ<- twitterなど口コミ効果が防波堤役
- 一流店の評判: 運営側は有料店に猛アタック vs. 顧客はクーポンを出すほど苦しいとの認識<- 質を保つため並ばなくて済むクーポンなどを発行
- バーゲンハンターのためのサービス: 新規顧客は獲得したもののリピート客は低下-> 一過性の集客に終わらせず、長期的な「常連様」を増やす仕組みや仕掛けが必要<- 店舗へのコンサル(e.g. Webからアクセスして需要を把握できるシステムなど)
02-05-2011
Grouponモデル-I
NHK追跡AtoZ「急拡大! 激安“クーポンサイト”」でもとりあげられた話題のGroupon型ビジネス。今回は業界面から、1) ビジネスモデルの優位性、2) なぜいま誕生したのか、そして企業単位の面から、3) Groupon のSWOTを簡単にまとめた。おまけとして、Groupon Japan の立ち上げ経緯を最後に添付。スタートアップの段階で必要なエッセンスが含まれているので、参考までに。
1. ビジネスモデルの優位性
1) 生態系で独占的存在
まずは食事を例に、品物の流れを追うことで生態系という大局から眺めてみる。その流れは下記で、各ステージの作業を見ると、農家は種をまき収穫、レストランは開店準備から食材を選び調理、Grouponは店舗訪問から契約し情報掲載、消費者はサイトにアクセスし購入後に店舗へ、といった感じ。最終製品を得るまでの「時間」、「コスト」、「リスク(天候、需給、設備投資など)」は、概ね右へ行くにつれて低くなる。
また、「仕入先を選ぶ」という観点から見ると、レストランが市場で最適な食材を選ぶように、Grouponはある地域で最適なレストランを選び、消費者は最適な情報食材を選ぶので、強弱でいうと食物連鎖のような関係。
ここでもう一度俯瞰すると、Grouponは農家やレストランの物理的な「時間」、「コスト」、「リスク」をデジタルに変換してビジネス上のマイナス面を低減しているほか、ネット上の競争原理winner takes all を享受すべくシェアを拡大し、無数のレストランと無数の消費者をほぼ一本の橋でつなぐ「独占者」としての姿が浮かび上がる。とりわけ固定費である空席をなんとか埋めたいレストラン、その欲望は強靭でライバルも無数ときたら、Grouponに頼らざるをえない関係。
これらは以前にふれた「所有価値」から「利用価値」への潮流に沿っていて、空席や時間などの「所有リスク」をデジタル化することで顧客への「利用価値」へ転換、とも読める。
2) win-win relationship
次にその生態系は持続可能なのか、win-winの関係なのか。具体的に1,000円の料理で材料原価が250円の場合を考える。Grouponは、材料原価に100%の利益を乗せ500円で消費者に売るのでウハウハ。1,000円の料理を半額で食べられる消費者も大満足。レストランも原価を提供するだけで、ホットペーパーのように顧客が実際に来るかROI効果の曖昧な広告費を払っているわけでなく、250円の売上もたち、リピーターになり口コミ効果も狙えるということで悪い取引でない。
このように正常な状態では、いわゆる「三方よし」の持続可能な生態系。ただし、生き残りをかけたサバイバル段階では、おせち問題など持続可能性をゆるがす課題もあり、詳細はSWOT分析参照。
3) 購入を後押しする仕組み
- 販売数や時間に制限がある「限定」を前面に押し出すフラッシュマーケティングに加え、twitterなどで顧客自らが共同購入者を探してくれる仕組みにより連帯感をつくりあげることで、購入までの行動過程(AIDA: Attention-> Interest-> Desire-> Action) を麻痺させ、ためらいをふっきる巧妙なトリック。
- 販売数に制限: 同じ日に同じ商品を購入する人が一定数に達した場合のみ売買が成立-> twitterなどで顧客自らが共同購入者を探してくれる (98%の募集が最低ラインに到達)
- 売れ行きを明示してあおる: カウントダウンが表示され、ユーザーの買う気を盛り上げる
- 有効期限: 1-2ヶ月程に設定、「買ったけど使わなかった」場合も返金なし
