裏モノ

会社のおっさんらが会合をしたいというので府中まで行ってきた。
色んな意味で寒かった。
何かって?
完璧に馬場傾向を読みきって、やっていることは合っている。
のに、馬券が当たらない。
私の助言(内の1桁馬番ばかり買うといい)に沿って買ったおっさんは結構な穴をとっている。完璧な接待競馬だ(笑い)。
1R:裏目
2Rはしゃあない。頭は当然持っている。
3Rはケン。
4Rは分かるわけがない。
5R:1着3着。というより、なぜ買い目から2着馬がもれているのか不思議。途中で1着候補から消して2着欄に塗るのを忘れたっぽい。
6R:的中。してもあまりうれしくない360円。
7R:1着3着。
8R:裏目
9R:2着3着。これは勝った馬を頭で買えない(的場なので)しょうがない。
10R:的中
11R:裏目。差すなよ脩。
12R:裏目。差すなよヨコテン。
馬連なら半分当てていることになる。(馬連ならその点数買えないだろというツッコミだが)。
ここまで裏目が連発するのも珍しい。こと、後半2つは、というより東京新聞杯は、残り数十メートルまで当たってるわけで。まあしょうがないっちゃあ、そういうことなんだが。
敗因は、前半のレースで2桁馬番を完全に捨て切れなかったこと。余計な馬券を結構買ってるし、そこを内側の馬に切り替えていたらというのはある。
また来週からよ。これはほんの僅かな差なので、ひっくり返る時が必ず来る。

森鷗外訳「即興詩人」

アンデルセンの原作を鷗外が擬古文で意訳した一品。その文体はやはり美しい。が、内容がねえ…。
主人公のアントニオには、この根性なしが!と喝を入れたくなる。
オペラ歌手のアヌンチヤタを巡って友人のベルナルドオを誤射してしまった時。アヌンチヤタがベルナルドオばかりを気にかけるのを見て「ヽ(`Д´)ノモウコネエヨ!!」みたいな状況で敵前逃亡してしまった。(もっともこれは逮捕されるのを逃れたというのもあるが)。
その割にはいつまでたってもアヌンチヤタ、アヌンチヤタと未練がましい。
それでいながら、落ちぶれてしまったアヌンチヤタに偶然ヴェニスで再会した時。アヌンチヤタに「あなたにはふさわしくないからもう会わない」という類のことを言われてあっさり引き下がってくる。
お前は一体どうしたいんだとツッコミを入れたくなる。
そりゃあ振られて当然でしょう。
我々、草を食む人種としては、そんなめんどくさいことするんなら最初っから関わるなよって言いたい。関わるんなら中途半端で帰ってくんなよって。
挙句、かつて遭難したところを助けてくれたメクラ女の目が開いて。「実はあの時の私は…」「そりゃ偶然だね!」みたいな流れで無理やりハッピーエンドですか。そんな都合よく行く先々で女がみんな惚れてまうとか、どこの「BOYS BE」よ。
そこも含めて偶然が続きすぎて。いくら小説だとはいえ、現実逃避しに旅へ出たら旅先でベルナルドオやアヌンチヤタと遭遇する。それも一度ではなく、ローマを離れた二度ともだ。一度目は、実は二人がアントニオを追ってきたのだというのが後から分かるが、二度目は完全に偶然だ。あまりに臭すぎる。
鷗外はこんな陳腐な小説をよく訳そうと思ったものだと半ば呆れながら解説を読んでいたら、時期的には「舞姫」からの三部作を書いた頃に読んでいたという。妙に納得してしまった。

森鴎外全集〈10〉即興詩人 (ちくま文庫)

森鴎外全集〈10〉即興詩人 (ちくま文庫)