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2005-02-26 「魔法遣いに大切なこと」シリーズ

[]魔法遣いに大切なこと〈1〉夏と空と少女の思い出 枯野瑛 山田典枝

岩手遠野に住む高校二年生の菊池ユメが、夏休み魔法遣いの仕事の研修のため上京する。本作の世界では、魔法遣いは公務員として社会に携わっているという設定だ。「魔法遣いにとって大切なこととは何なのか?」ユメはそれを考えつつ、東京で夏を送ることになるのであった……。

いやいやーこの物語はなかなか心地よい感じがしていいです。挿絵描いてるのはよしづきくみち氏で、パステル調の色使いの表紙が、かわいくなおかつ上品な印象。一人の人間がうんうん悩みながらも成長していく様子を見るのは心暖まったり感動したりする。ユメの師匠になる小山田先生は「とにかくかっこよくていい人」ということでキャラが立っている。このあたりは、マンガ版と読み比べるとなかなか面白いのだが……(マンガ版は、わりと過去のトラウマ全開キャラになっている)。読みやすくてホンワカする物語であった。「富士ミステリ文庫」ということでミステリー色あるのかなあと思うとそこはちょっと微妙だが、物語の展開上必要な「謎解き」は作中できちんと行われているので一応ミステリーの範疇になるのかなあ。ユメが魔法を遣うクライマックスシーンはなかなか迫力があってよかった。A-

[]魔法遣いに大切なこと〈2〉真冬の夢の静寂に 枯野瑛 山田典枝

時系列的に、上の続きのお話になってます。これまた綺麗かわいいイラストの表紙であります。今回は、冬・映画・恋がテーマというかキーワードになっている。出てくる登場人物の数も前作よりも増えてにぎやかだ。「冬」と「静寂」が後半じわじわ効いてくるんだよなあ。このあたり構成がうまいなあと思った。あと、このシリーズ全体に渡ってタイトルの語呂がいいですね。今回は、ユメがちょっとスランプになってたりあれこれ考えたりしていて、これもまた青春だなーと思った。高校生的な「神戸在住」という感じだろうか。最後もわりとハッピーエンドで終わってほっとするのであった。B+

[]魔法遣いに大切なこと(3) 夢色に染まる秋天の下で 枯野瑛 山田典枝

東京での研修において魔法遣いの試験に合格し、遠野に帰ってきたユメ。遠野では幼馴染の男の子がいて……という展開。いまどきの高校生とは思えないくらいの淡い心のやりとりが爽やかである。ユメが遠野方言を使いまくりなのも方言大好き人間の僕にとってはありがたいというか素晴らしいというか素敵というか。まあストーリーの本筋はこの淡い恋愛ではなく、魔法が遣えるようになった少年が、本当に意味での魔法遣いという自覚を持つまでの「成長」だろう。そこに「願い事を何でもかなえてくれるおまじない地蔵」がキーアイテムとして出てくる。ユメも、幼馴染も、少年も、また少し成長するのであった。ほんま爽やかだなー。B+

[]魔法遣いに大切なこと―Someday’s dreamers (1st) 山田典枝 よしづきくみち

こちらは原作が山田氏、絵(マンガ)がよしづきくみち氏。表紙から中身まで絵は全部よしづきくみち氏のものである。印象なんだけど、表紙の絵の魅力が、マンガ内ではあまり発揮されていない。カラーイラストだとかなりきれいでかわいくて色彩豊かな絵なんだけど、白黒のマンガの方ではその魅力が存分に発揮されることなく、また締め切りなどの関係もあってだろうか、若干の線の荒さが見受けられた。表紙の絵のクオリティを期待して買っただけに、ここは残念だなあ。パンツがギリギリ見えそうでいてしかし全然見えないスカートがなかなかイイ感じ。ストーリーはユメが東京に出てくるところからはじまり、研修担当小山田先生の内面、過去が少しずつ色々と出てきて展開する。B

[]魔法遣いに大切なこと―Someday’s dreamers 2nd ドラゴンコミックス 山田典枝 よしづきくみち

ユメが「魔法遣いに大切なこと」を考え、悩み、見つける物語。同時に小山田先生の過去を救済するという構造になっていて、このあたり原作者はすごく丁寧に、登場人物皆が幸せになれるようなお話作りをしているなあと思って好感を持った。絵は1巻と同様、表紙と中身の絵のパワーが違っていてもったいないなあという気持ちである。心地よいハッピーエンドでよかった。それと、巻末に載っている、サブキャラが主人公的扱いの短編も面白かったです。B