想起するものの脈略

ふと頭に留まっていること。
 
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先日にも触れた、栃木県立美術館にある篠田守男先生1974年の作品:《クロンボルグ城 T-C4305》
http://www.art.pref.tochigi.lg.jp/collection/detail/0063.html
 
クロンボルグ城は、「ハムレット」の舞台「エルシノア城」として有名です。
NHK世界遺産のサイト:
http://www.nhk.or.jp/sekaiisan/card/cards124.html
 
海を望む城。
 
篠田先生の作品「クロンボルグ城」の写真を拝見したとき。わたしは、全くこの作品のモチーフやテーマと関係ない、『 原子力発電所の施設 』が連想されたのでした。
 
日本で舞台化されたこともあるマイケル・フレイン作「コペンハーゲン」という戯曲がとても好きで。
それは、第二次世界大戦中の原爆開発をめぐる実話をもとにした内容なのですが。
科学者ハイゼンベルグの台詞に時々「エルシノア」という単語が散りばめられていました。
 
どうやら
 
 クロンボルグ城 −> エルシノア −> 戯曲「コペンハーゲン」 −> 原子力開発 −> 原発
 
という連想で、脳内では瞬間的に原発へいきついたのでした。
実際の城が、海に浮かぶようなつくりであることもたぶん影響しています。
 
それは、ただただ特殊で勝手な連想。
 
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クワクボさんのLOSTシリーズ。
その第一作目。ここ数年、国内・海外で展示される機会が多い名作、「10番目の感傷」。
 
車窓から見る風景を模すように動的に展開する「影絵」のなかに、原発の建物を連想させるものがあります。
http://youtu.be/8EBF0qOKpns
上記動画はじまって1分前後くらい。
 
わたしたちの世代には報道映像でなじみ深い、側面が滑らかなカーブをえがくスリーマイル島型冷却塔。
(その景色はあっという間にすぎゆきます。
 
送電線と鉄塔になぞらえている(としか思えない)洗濯ばさみ行列、の次に現れ。
 
クワクボさんの、常に企画がしっかり構築されている創作スタイルを思うと。 
作家は、この部分が原発施設に見える(かもしれない)ことを念頭に置いて制作したと考えるのが素直です。
 
この作品は3.11の地震の前に構成されています・・・。
頭にどのようにひっかかるようになるかなんて、偶然なだけなのだけれど。
 
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うまく言葉にできない。
 
同時代のアートって。
でもそういうのをまとって存在するのだな・・・。
 
 
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ふだん忘れたふりをしていても。
いま、そしてこれから生きているうちにのがれられない問題。
 
アタマとココロをきちんと使えるようになりたいです。