うそつきの手記

2014-12-31

2014年の10冊

| 23:59 |

毎年恒例。大晦日の本年読書振り返り。

そこからベスト10をピックアップ。例によって読書メーターに書いた感想を(ry



鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー)

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー)

鳥類学者が書いた恐竜の本。著者は門外漢だからと謙遜してはいるが、恐竜についてしっかりとした知見をお持ちのようで、愉快な文体と相まってものすごくわかりやすい(読みやすい)。

そして2011年までの最新の学説まで入っているのも嬉しい。鳥が恐竜の子孫だなんて知らなかったよ……。羽毛恐竜なんてのが発見されてたのね。

鳥類学者ならではの知識を活かした考察もあって非常に、非常におもしろい一冊。


一級の神経科学者クリストフ・コッホによる【意識】の最新知見本。

今年は他にも2冊、意識についての本を読んだけど本書が圧倒的に素晴らしかった。

2014年のベスト本かも。

専門家であり著者コッホの直弟子でもある土谷尚嗣が翻訳しているため、複雑な内容を私のような凡人にもとても読みやすく正確に伝えてくれている。

全編通して興味深いのだが、特に第七章の【自由意志】、第八章の【情報統合理論(ちなみに本邦初紹介の最新の意識理論らしい)】は必読!

意識について興味があるならぜひとも手にとってほしい。


タイ系アメリカ人が書くすべてタイが舞台の短篇集。 全体的に統一感があり、どこか諦念にも似た重さというか、そういう空気が作中にただよう。

お気に入りは『ガイジン』、『徴兵の日』、『こんなところで死にたくない』。

中でもベストは『徴兵の日』。

みんな徴兵になんて行きたくない。本人も家族も心臓はバクバクしている。一緒に徴兵抽選に行く主人公の友人と家族もそうだ。

しかし同じよう緊張した(フリをしている)主人公の心の中はいたって冷静だった。主人公の両親は軍の上層部に賄賂を渡していて……。

とてもいたたまれない話。

力のある作家だと思うので、次はタイ以外を舞台にした話を読んでみたい。


満願

満願

山本周五郎賞を受賞し、直木賞候補となり、国内史上初となるミステリ誌ベスト三冠を獲得した、今年の本邦ミステリ最大の話題作。

近年飛ぶ鳥を落とす勢いの米澤穂信による良短篇集。最近は達者な文章にますます磨きがかかっていて、本作は作風も相まって連城三紀彦の再来という賛辞も聞かれる。

全作品素晴らしいのだが、特に『柘榴』と表題作がお気に入り。柘榴は中学生姉妹の仄かな悪意と淫靡さが、満願は読んでいるうちに○○の価値観がわかって印象が逆転するのがスゴい。

『儚い羊たちの祝宴』でもそうだったように、米澤穂信は女性を書かせると、ヘタな女性作家よりずっと女性作家らしいと再認識した短篇集。


ないもの、あります (ちくま文庫)

ないもの、あります (ちくま文庫)

大風呂敷」「堪忍袋」「転ばぬ先の杖」。

これらの「ないもの」をユーモアたっぷりのとぼけた文体で紹介するのがとても愉快で、にやにやしながら読んだ。

言葉遊びの極地。なんとなくタイトルが気になって買ってみたのだが思わぬ拾い物だった。



これまでの積み重ねや伏線が開花。世界の核心に触れる最終巻。これぞセンス・オブ・ワンダー

ライトノベル史に残るSF(スペキュレイティブ・フィクション)でした。

12月に出た短篇集も良かった。



読み始めるまでに時間はかかったが、いざとりかかると5時間ノンストップで読み終えた。

前作『ハローサマー、グッドバイ』でやや不満のあった部分が解消され、謎にSF的に納得の行く理由が追加され、前作以上の傑作に仕上がっている。

今作の不満といえば、前作のネタをすべてバラしているため、これから読んだ人が前作を読んでもそれほど楽しめないだろうということくらいか。 ミステリとしても、SFとしても、青春小説としても一級品!


“ジェットコースター・サスペンス”ジェフリー・ディーヴァーの代表作リンカーンライムシリーズ。

本作はその2作目であるコフィン・ダンサー。元NY市警所属の世界一の科学捜査官であり、

現在は四肢麻痺となり文字通りの“安楽椅子探偵リンカーンが仲間たちとともに全米一の殺し屋とも云われるコフィン・ダンサーを追う。

いつものように緻密な科学捜査がウリだが、個性的な登場人物たちもこのシリーズの見どころだよねえ。

そして、リンカーンの“手足”でもある美人警官アメリアサックスによる銃撃戦も本作の見所。

作者ディーヴァーはどんでん返しの名手だが、自分も見事に著者の思惑通りに翻弄されてしまった。

ミステリでこれほど気持ちよく騙されたのは久しぶりで、「刺青」が出てからというものの夢中で一気に読んだ。

前作『ボーン・コレクター』のほうが評価が高いみたいだが、私的にはこちらのほうがずっと上。



甘々と稲妻(1) (アフタヌーンKC)

甘々と稲妻(1) (アフタヌーンKC)

漫画で唯一のランクイン。

妻を亡くし、一人で幼い娘つむぎを育てる教師・公平と、父親がおらず母も家を空けがちな女子高生・小鳥。

ひょんなことから知り合った2人が、つむぎのためにご飯を作る話。

幼稚園児の性格がよく描けてて「こんな子どもいるよな〜」と思ってしまう。

あと小鳥ちゃんが健気で巨乳でチョロかわいくておっぱいおおきい。嫁にほしい。

よつばと!』が好きなら絶対気にいるはず。アニメで見てみたい作品。映像化しないかなあ。



また一人いい作家に出会うことができた。「ロウカ発見」「フロスト・マウンテン・ピクニックの虐殺」「ハーレムでの生活」の最初の3編で引きこまれ、「征服者の惨めさ」「フランス人」などその後も印象に残る短編が多い。

しかしなんといっても本書のトリを飾る「微小生物集」が飛び抜けて素晴らしい!! 

私にとってはオールタイム・ベスト級の傑作短編。解説を読むと著者の影響を受けた作家にカルヴィーノミルハウザーなど、自分も好きな名前が並んでいて本書を気に入るのも納得か。次が出ればぜひ読みたい。


と、ここまでは読メからのコピペだが、もう少し。

セス・フリードは影響を受けた作家に、イタロ・カルヴィーノフランツ・カフカホルヘ・ルイス・ボルヘスエイミー・ベンダー、ジョージ・ソーンダーズ、スティーヴン・ミルハウザーを挙げている。

これらの作家で1人でも好きな作家がいれば本書も読んでほしい。ちなみに自分がこの中で好きな作家は書いたがカフカボルヘスが苦手である。なので苦手な作家がいても手にとってほしい。

セス・フリードは奇想を用いた寓話的な作品が多いのだが、貴重な特徴として「ストーリーも面白い」のである。

寓話とストーリーの面白さを両立させるのはとても難しいのは読書好きの方なら分かってもらえるだろう。それも奇想を用いた文学ともなれば並大抵じゃない。

しかしセス・フリードはそれをやってのける。フリードはまさにアメリカカルヴィーノと呼ぶに相応しい作家ではないだろうか。

まだ若いが非常に巧く、力のある作家。

2014年に読んだ小説でもベストかも。ぜひとも皆に読んで貰いたい。

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2014-07-23

星空めてお『ファイヤーガール』のギリシャ語を解読する

| 18:52 |


やっぱり3巻は夏に間に合わなかったね……。うん、知ってたよ、星空めておだもんね。まあ設定資料集を楽しみにしときましょ。






さて、おそらく世界で唯一ファイヤーガールについて語れるであろうTYPE-MOON総合板のスレにおいてこんな書き込みがありました。



694 名前:僕はね、名無しさんなんだ [] 投稿日:2014/07/23(水) 10:31:54 ID:Yjcrguw.0

だれか表紙のヘブライ語みたいなの解読してくれないかしら



ヘブライ語? なにそれ、と思ってファイヤーガールを手に取り見てみると、裏表紙になにやらよくわからない文字が。

調べてみるとギリシャ語のようです。こんなのあったのね、気付かなかった。

で、この文章は茶色の文字で書いてあって、赤や茶色のデザイン(背景)と被っているため非常に読みづらい。

気になったので、2時間かけてようやく解読し、「巻によって文章が違ったりしないよね?」と思って2巻下を手に取ると、帯に白バック背景のめっちゃ読みやすい文章が載ってた……(下の画像)。

f:id:Fumino16:20140723202319j:image:w360

おいおいおいおい、俺の2時間の苦労はなんだったの? あ、ちなみに文章は全巻同じでした。

というわけで、ギリシャ文字のサイトを見ながら原文をポチポチ書き写しましたよっと。


Ο τύπος έχει καταΦέρει για πολλά χρόνια να κατατροπώνει τους εχθρούς της Κρήτης μέχρι που ήρθε και η ώρα του.

Ο τύπος έμπαινε στη Φωτιά και το χάλκινο χάλκινο σώμα πυρακτωνόταν.

Μετά σΦιχταγκάλιαζε τους εχθρούς,που Φυσικά γίνονταν παρανάλωμα.

Φυσικά ένα χάλκινο γίγαντας δεν θα μπορούσε να πεθάνει από βέλη ή όπλα αΦού ήταν άτρωτο, πόσο μάλλον από γηρατειά.

Ο τύπος πέθανε από δόλο.

さて、これらの文章をパパっとGoogle翻訳先生にコピペして終了。と思いきやまったく意味不明な文章に。アルェー?

どうやら、「ά、ή、ύ、ώ」の4つの鋭アクセントつき母音(というらしい)は翻訳してくれないようです。

なので苦肉の策ですが、これら4つの文字を「α、η、υ、ω」に置き換えます。


Ο τύπος έχει καταΦέρει για πολλα χρόνια να κατατροπωνει τους εχθρους της Κρητης μέχρι που ηρθε και η ωρα του.

(男は、時間が来るまでクレタ島の敵を強打するために、長年にわたって管理しています。)

Ο τύπος έμπαινε στη Φωτια και το χαλκινο χαλκινο σωμα πυρακτωνόταν.

(男は火災や真鍮の真鍮製ボディの輝きに入った。)

Μετα σΦιχταγκαλιαζε τους εχθρους,που Φυσικα γίνονταν παραναλωμα.

(彼らの敵を抱きしめた後、自然に餌食になりました。)

Φυσικα ένα χαλκινο γίγαντας δεν θα μπορουσε να πεθανει από βέλη η όπλα αΦού ηταν ατρωτο, πόσο μαλλον από γηρατεια.

(もちろん、巨大な真鍮、彼は不死身だったので、一人で老後を聞かせて矢印や銃器で死亡ができませんでした。)

Ο τύπος πέθανε από δόλο.

(男は悪意に死亡した。)

やっぱりワケわかんねーじゃねえか!! しかも超展開。

そこで一度まるごと英訳してみる。

The guy has managed for many years to smite enemies of Crete until came the time.

The guy entered the fire and the brass brass body glow.

After hug their enemies, naturally became a prey.

Of course a giant brass could not die from arrows or firearms since he was invulnerable, let alone old age.

The guy died malice.

うん、無理に日本語に自動翻訳するよりは、こっちのほうがなんとなく意味はわかる。

ちなみにこの文章を日本語に自動翻訳かけてもまったく同じ結果でした。というかギリシャ語→日本語でも一度英語を経由して処理していると思われ。

そしてギリシャ語の文章をまるごと英訳するのと単語レベルで英訳するのでは意味が結構変わってくるという……。

しゃーないので英訳してから単語の意味を一つ一つ調べ、自然な日本語に訳すための作業開始。



【メモ】

Ο τύπος = 男

πολλα χρόνια = 長年

κατατροπωνει = confound 、 smite = …を(…で)打つ、…を打ち倒す、…を打ち破る

Κρητης = Crete = クレタ島地中海東部のギリシャ領の島; ギリシャ文化以前に高い文化をもっていた》

έμπαινε = entered = 「〈人・物が〉〈ある場所に〉はいる」と「〈人・物を〉(ある場所に)入れる」の意味がある)

Φωτια = fire = 火、炎、火事、発射、射撃、砲火、(宝石などの)輝き、情熱、興奮

χαλκινο = brass = 真鍮

σωμα = body = 身体

πυρακτωνόταν = anneal = 1 〈ガラス・金属などを〉焼きなます.  2 〈精神などを〉強くする,鍛える.

παραναλωμα = prey = 餌食、犠牲、被害者

ατρωτο = invulnerable = 不死身、難攻不落

πέθανε από = died from 〜によって(のせいで)死んだ

δόλο = guile  腹黒い[陰険な]ずるさ,悪知恵,二心,裏切り;*1策略.

malice = 悪意,敵意,恨み



というわけで、いざ翻訳!

改訳のため削除。詳しくは下の追記で。


Ο τύπος έχει καταΦέρει για πολλά χρόνια να κατατροπώνει τους εχθρούς της Κρήτης μέχρι που ήρθε και η ώρα του.

Ο τύπος έμπαινε στη Φωτιά και το χάλκινο χάλκινο σώμα πυρακτωνόταν.

Μετά σΦιχταγκάλιαζε τους εχθρούς,που Φυσικά γίνονταν παρανάλωμα.

Φυσικά ένα χάλκινο γίγαντας δεν θα μπορούσε να πεθάνει από βέλη ή όπλα αΦού ήταν άτρωτο, πόσο μάλλον από γηρατειά.

Ο τύπος πέθανε από δόλο.


男はクレタ島の敵を打ち倒すため、その時が来るまで長年にわたり管理していた。

男が火に入ると、真鍮の身体が赤く輝いた。

敵を抱きしめると、当然のようにその餌食となった。

もちろんその真鍮の巨人は難攻不落、矢や銃火器、ましてや老いなどでは死ななかった。

男は謀略によって死んだのだ。


1行目は自動翻訳で唯一まともな文章を出してくれたけど、自分で訳すと難しい。

「管理していた」はもっとどうにかなりそうだけど……う〜ん、思いつかないのでとりあえず妥協。


2行目と4行目はうまく訳せたんじゃないかと思う。3行目はもう少し何とか出来そう、だが妥協。


5行目は短いから楽とおもいきやそうでもなかった。δόλοは英訳するとmaliceかguileなのだが、色んな意味がある上にどれも似ている(上のメモ参照)せいか、この5行という短く、しかも謎めいた文章からでは最適な1つを採りづらい。

一応「謀略」としておいたものの、重ねて言いますがここは様々な解釈が可能なため、とりあえずの訳であることをご承知いただきたく思います。




「ここ違うよ」とか、ギリシャ語に自信のある方からの指摘とか歓迎なので、このブログコメ欄にお書きいただければ喜びます。

これでもっとファイヤーガールの話題が活性化したり、考察が進んだりするといいな。




■追記■

696 名前:僕はね、名無しさんなんだ [sage] 投稿日:2014/07/23(水) 20:43:33 ID:71HAm.Lw0

>>695

メディアの策略で倒されたクレタ島のタロスの話かな


そうだよタロスじゃん。クレタ島巨人と来てなぜ気づかなったのか。

というわけで改訳。


Ο τύπος έχει καταΦέρει για πολλά χρόνια να κατατροπώνει τους εχθρούς της Κρήτης μέχρι που ήρθε και η ώρα του.

Ο τύπος έμπαινε στη Φωτιά και το χάλκινο χάλκινο σώμα πυρακτωνόταν.

Μετά σΦιχταγκάλιαζε τους εχθρούς,που Φυσικά γίνονταν παρανάλωμα.

Φυσικά ένα χάλκινο γίγαντας δεν θα μπορούσε να πεθάνει από βέλη ή όπλα αΦού ήταν άτρωτο, πόσο μάλλον από γηρατειά.

Ο τύπος πέθανε από δόλο.


男はクレタ島の敵を打ち倒すため、その時が来るまで長年にわたり番人をしていた。

男が火に入ると、真鍮の身体が赤く輝いた。

敵を抱きしめると、当然のように彼らはその餌食となった。

もちろんその真鍮の巨人は難攻不落、矢や火器、ましてや老いなどでは死ななかった。

男は謀略によって死んだのだ。

「その時が来るまで」が怪しく思えてきたぞ(誤訳的な意味で)。一応残しておく。管理を番人に変更。

原典だとクレタ島のタロスは青銅の巨人のはずだけど、真鍮になってる。うーん、間違いなのか、誤訳なのか(自動翻訳だと真鍮になる)。一応真鍮としておきます。

銃火器だと違和感があるので火器に変更。

*1:古

TT 2014/07/23 22:28 初めまして管理人さん。
翻訳ありがとうごさいます。
星空めておさんの作品はファイヤーガールで始めて触れたのですがとても面白かったので、新刊が楽しみなのですが、この記事を見る限りめておさんは遅筆なんでしょうか、、

Fumino16Fumino16 2014/07/24 00:03 コメントありがとうございます。
おっしゃるように星空めておは自他ともに認める遅筆です(色々と逸話が…)。ファンは哀しいことに待つことには諦m、慣れてますが。
ファイヤーガールがお気に召したなら、腐り姫やForestなど、ライアーソフト時代のゲームに手を出してみるのもいいかもしれませんね。

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2014-03-30

『世界征服〜謀略のズヴィズダー〜』感想

| 17:51 |

自分にとってレビューを書く作品は3つに分類できる。

・書かねばならぬと感じるほど面白かった

・面白かったが心にもやもやしたものが残って、それを自分なりにまとめたい

・いいところ・悪いところがハッキリあってそれを書きたい


世界征服〜謀略のズヴィズダー〜』はこれらに該当しない。駄作だった。わざわざ時間をかけて感想を書く価値は無い。

しかし放映前は大きな期待をもって当ブログでも何度か記事を書いたので、これをスルーするのはどうなのかと思い、書くことにする。嫌々ながらも。

ボロクソに貶すので好きな人は見ないほうがいいです。以下ネタバレ

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2014-03-13

マイクル・コーニイ 『パラークシの記憶』感想

| 21:33 |

結構前に買ったのだが、500ページ超という分厚さに怯んで、あるいはまとまった時間が作れなくて手を出せずにいたわけであるが、読み始めると5時間ノンストップ! あっという間に読み終えた。これだけの長時間読み続けるのは久しぶりで、それだけこの小説が面白かったってことだ。個人的には前作を上回る傑作である。ただし、前作の謎が完全に解明(ネタバレ)されているため、未読の人にはぜひ前作から読んで欲しい


本書は、マイクル・コーニイによる1970年台の青春SFの名作『ハローサマー、グッドバイ』の(こちらは5年前に読了し感想も書いた)待望の続編である。1990年台に執筆されたが出版されず、2005年にコーニィのHPで発表された。しかし同年に著者が亡くなり、本として出版されたのは2007年だった。このような経緯から向こうではあまり人気がないのかなと思い、Amazonを見たらやはりもう絶版になっていて、レビューも2,3個と少なかった(ただしすべて5つ星の高評価)。


ただ、こういった甘いラブストーリーをはらんだ叙情的なSFは日本人にとても好まれる傾向にある(ロバート・ヤングとかね)。実際、前作も今作もそれなりに売れ行きは好調で、「SFが読みたい」の年度ランキングでも海外編でそれぞれ5位と4位につけるなど高評価だ。


「これは恋愛小説であり、戦争小説であり、SF小説であり、さらにもっとほかの多くのものである」とは前作『ハローサマー、グッドバイ』を著者自身が言い表したフレーズであるが、今作は戦争小説の要素が薄れて、「これは恋愛小説であり、ミステリ小説であり、SF小説であり、さらにもっとほかの多くのものである」だろう。恋愛、ミステリSF、どの視点からみてもよく出来ている。前作で謎のままだった部分をSF的な理由を補完するのがこの小説の目的のひとつであり、続編にしてリメイク要素の強い作品いえよう。そのため前作のネタを完全にバラしてしまっていて、本作から入った読者が前作も……というわけにはいかないのが辛いところ。しかし、この小説を傑作たらしめているのは単なるリメイク(あるいは補完)に終わってないところである。

キャラクターも前作同様ステレオタイプなところはあるが魅力的。前作では主人公ドローヴが幼すぎるがゆえに腹立たしいところもあったが、いや……実際今作の主人公ハーディにもそういうところがないわけではない。怒りに我を忘れることも多いし。だが年齢が大人に近いためか、反抗期真っ盛りだったドローヴよりはずいぶんおとなしい。そのせいか前作ほど主人公にイライラすることなく読み進められた。ただしその代わりとばかりに、叔父のスタンスはこれ以上ないほどイラつかせてくれたけどw

ヒロインも相変わらず都合のいい女で、すぐ主人公に惚れてやたら子作りしたがる。「これなんてエロゲ?」だがそれがいい。でも前作のヒロイン・ブラウンアイズのほうが好きです、ロリのくせにエロいし。 ちなみにドローヴとブラウンアイズは人々を救った伝説上の人物と化している。

一番のお気に入りキャラは地球人のミスター・マクニール。終盤には特に見せ場が多く、いい味出してます。


また、新たに加わった重要な設定として「地球人が数世代前から採鉱目的でこの惑星に居住している」「この惑星の人々は先祖代々の記憶を引き継ぎ、星夢と呼ばれる方法でそれをたどることができる」というもの。これが殺人の謎に大きく関わってくるのだが、後付の設定とは思えないくらいよく考えられている。「子どもに記憶を引き継ぐ」ことからこの惑星では殺人は滅多に起こらないのだが、起きてしまう。この謎の解明が中盤の主な焦点であり、前作でやや見られた中だるみが一切なく、フーダニットとしてはそこまで衝撃的な真相ではないが、ハウダニットとしてはそれまでに与えられた設定がよく活きていて秀逸であり、まったく退屈しない。その他にもヤム族とノス族の対立や、男女に分かれて暮らす独自の村社会の描写など、ストーリーテラーとして円熟味を増した晩年のマイクル・コーニイの面目躍如といったところ。


終盤はSF的な話がメインで、前作を読んでいない人にとってこの展開は最高に楽しめるだろうが、「前作を補完する」という目的のために前作をなぞる展開になっており、既読者にとっては「ああ、これか」となってしまうのは残念。しかも分かり難かった前作の核心部分を丁寧に解説している。おい、読み解くのに苦労した5年前の俺はなんだったんだw 

しかし既読者にとってのメインの楽しみは惑星とそこに住む人類のSF的な補完であり、とても納得がいき且つ、すごく面白かった。完全にネタバレなのでボカすことしかできないが、やはり前作でも重要だった「アレ」の存在理由の解明が大きな驚きだった。


5年待ったかいのある、素晴らしい青春恋愛SFミステリでした。拍手。

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2014-01-31

『TYPE-MOONエースvol.9』 星空めておインタビューまとめ

| 23:32 |

まほよ続編と月姫リメイクに進展がまったくないことをお嘆きの皆様、こんばんは。

案の定今回の『Fateエース』にも新情報はありませんでしたー、ありませんでしたー、ありませんでしたー。

嘆かわしい、ああ嘆かわしい。ここまで徹底してFateだと乾いた笑いしか出てこないね。

竹箒日記で週5で月姫書いてるってきのこが言ってるけど、まあ嘘でしょう。前も進んでるって言ってたしね。


というわけで、FateFateFateなど、奈須きのこ関連の情報は他のサイトに山ほどあるんで、このブログでは数少ない星空めてお関連の情報をまとめていきましょう。



世界征服〜謀略のズヴィズダー〜』について


・『Girls' Work』でお世話になったアニプレックスの岩上敦弘プロデューサーから紹介された。

・同アニメ岡村天斎が長年暖めていた企画で、おおまかなプロット、キャラ設定は決まっていた。あとから参加した星空めてお氏が細かな設定やエピソードを肉付けしていった。

・ストーリーはまずめてお氏が好きなように書いて、そこから岡村天斎監督と打ち合わせを重ねるうちに天斎作品らしいカラーに生まれ変わっていくのが、クリエイターとして大変刺激的だった。

・最初の脚本会議では、その場の全員が作品のイメージを掴みかねていたが、黒星紅白さんのキャラ原案が上がってきたことで皆のテンションが上った。「この幼女だったら世界を征服できる。いやむしろ征服されたい! みたいな(笑)」

・監督の鶴の一声で色々変わった。『キャラにマスクをかぶせること』 『ロボ子のデザインをもっとロボっぽく』 『ヤスは徹底的に駄目なキャラにして』

・シナリオやキャラのイメージは統一していない。監督はおおらかな人で「いいですねどんどんやっちゃいましょう」とOKを出し横にいるプロデューサーが「いやいやまずいですよ!」と止める繰り返しだった。

・ズヴィズダー5話はお色気サービス回。脚本はOKSGさんで、これがアニメ脚本デビュー。

・めてお氏曰く、アニメの現場では若輩で当初は勝手がわからず至らない点が多かったと思います。でも監督はその都度アニメの方法論を丁寧に教えてくださった。とてもいい経験ができました。

> >『Girls' Work』でお世話になったアニプレックスの岩上敦弘プロデューサーから

> >『Girls' Work』でお世話になった

> >『Girls' Work』

いやまずガールズワークどうなったのよ。この一文でしか触れられてないんだけど。はよゲーム作れゲーム。アニメは要らんよ。

ズヴィズダーに関しては、おおまかなプロットやキャラ設定は決まっていたけど、わりと自由にやらせてもらった〜みたいな感じを受けた。


世界征服〜白いケイトと真夏のベルビアージェ〜』

著:木村航/イラスト:黒星紅白

2014年3月22・23日のAnimeJapan2014にて先行発売。

木村航(茗荷屋甚六)さんが執筆するズヴィズダーの小説が出版決定! やったぜ。

タイトルからして、おそらくはオリジナルストーリーと思われる。TYPE-MOONブックスとなっているので、ファイヤーガールと同じような扱いか。

めてお・茗荷屋コンビのゲームやりたいなあ。茗荷屋さんのゲームテキスト好きなんだよ。『ガールズワーク』のゲーム作ってくれよ。

ま、TYPE-MOONのお偉いさんが首を縦に振らないんだろうけどね。くだらん。



『ファイヤーガール』について


・「『4冊目に至って「これはライトノベルじゃないな」とようやく気づきました(笑)」

・人によって定義は様々でしょうが、ライトノベルはキャラに重きを、ジュブナイルはストーリーに重きをおく。『ファイヤーガール』はジュブナイルじゃないかなと。

・登場人物は増やしすぎたかなと思うが、多くのキャラを錯綜させることで、主人公・ほむらの身近な範囲以外の思惑が干渉しあっている雰囲気を出したいという、こだわりと確信を持ってやっている。でもそろそろキャラ一覧表を用意しなきゃ。

・武内さんから執筆前に「その後も続いていくように世界観や構想を広げていくのは構わないが、物語としてはいったん3話で決着をつけて欲しい」と念を押されている。

・なので次で終わるが「上・中・下」のように数冊にまたがる形になるかも。2巻で残った謎がプロローグのようなもの。3巻(上)は今年の夏コミ頒布予定。

『ファイヤーガール』の副読本を春くらいに刊行できたらと企画中。各キャラのラフ画や未発表の設定画、地図など。書き下ろしも考え中。

正直あと1巻でまとまるとは思えないほどの大風呂敷なのだが、大丈夫なんだろうか。

つーか思ったんだけど、こっちのほうが絶対アニメ向きの作品だよね。

そして、ファイヤーガールの副読本が出るとのこと。地図はぜひとも欲しかったので嬉しい。



今後の展望や目標について

「これはことあるごとに言ってますが、やっぱりゲームはつくってみたいです」

・大作よりは、スマホで短時間で遊べて小さな世界観を愛でるようなコンパクトなゲームを作りたいという野望がある。すべてはファイヤーガールを完結させてから。


> 「これはことあるごとに言ってますが、やっぱりゲームはつくってみたいです」

> 「これはことあるごとに言ってますが、やっぱりゲームはつくってみたいです」

> 「これはことあるごとに言ってますが、やっぱりゲームはつくってみたいです」



武内崇ー!! ゲームブランドTYPE-MOON代表・武内崇きこえとるかー!!

ゲーム会社の社員がゲーム作りたいって再三言うとるでー!!!






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2014-01-26

星空めてお『ファイヤーガール 2巻 白嶺の幻肢虎(下)』感想

| 22:53 |

ここまで読んできてよかった。

そう思わせてくれた2巻(下)でした。


まず1巻の時点では楽しみはしたものの、感想を見てもらえば分かる通り、自分は決して手放しで絶賛したわけではありません。

ではどういった不満があったかというと、”世界観や設定に既視感がある”こと、そして(2巻から改善するだろうと思って書きませんでしたが)冒険のスケールが小さくワクワク感に欠けていたことです。そのどちらも改善した上に、極上のエンタメ冒険作品として仕上げてくれたことに拍手。

やはり冒険といえば大自然の翻弄であり、大いなる謎の探求であり、トラブルの連続であり、これらの要素は1巻にもあったわけですが、やや予想の範囲内というか予定調和的な印象がありましたが、今回は違う! いや予定調和といえばそうなんだけど、濃密さが違う。ほぼ500ページを使って、2校合同パーティで大冒険。いや〜燃えたね。すごく濃い600ページで、詳しく感想書いてると終わりそうにない。なので、「読んで損はない」とだけ言っておきませう。あと一言。ほむらは人間なのか?

というわけで3巻も楽しみ(あとがきで、あと2冊で終わらんと言ってたけど大丈夫なのか?w)。感想をどう書いたものか1週間ほど迷った挙句、中身がうすうすになってしまった。反省。

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2014-01-17

大石竜子『RINGO PIPS Vol.1 (Forest入り。)』感想

| 00:01 |

マイ・フェイバリットゲーム『Forest』の原画家大石竜子さんが自ら、雑誌や嘘屋FC会報の連載(マンガ、イラスト、設定資料など)を同人誌としてまとめた『Forest本』です。

ぶっちゃけファンにとってはマストアイテムと言っていいでしょう。腐り姫読本みたいなやつを当時出して欲しかったなーと思っていたので、こういうの待ってたんだよ! Forestは来月で10周年ですって。時の流れは早いねえ。


92ページのうち最初の16ページがカラー。電撃姫にて連載されていた『ヨイドレエレジイ』(原作:茗荷屋甚六)が一部収録されています。全部まとめて読みたいなあ。

『連絡通路のウラノメトリア』(原作:星空めてお)も収録されています。未完ですが「めておさんにお願いしておきましたので、いつか完結作が見られるかも!」らしいです。めておさんはよ。


キャラの設定資料も充実。大石さんの裏話的なコメント満載ですっごく楽しい。えっ、リーピチープの剣って爪楊枝なんだ……。

黒いアリスと伽子ちゃんのキャラデザは一発OKだったとのこと。確かForestの情報が初めてでたとき(FC会報)は、「目をリボンで覆った背徳的な感じのアリス」のイラストでしたがそれも載ってます。

イラストの花言葉もキャラに合うようすごく考えられていて、大石さんは突っ込みにワクワクしていたのに、誰にも気付かれなくて寂しかったとのこと。ごめんなさい気づきませんでした。

キャラ設定資料でもっとも興味深いのは、当初もう一人いたメイン男性キャラの存在でしょう。

「頼れるカンジだが途中退場設定だったような……」とのこと。メインの5人と共に立っている男性のイラストが添えられています。没キャラにならなければ、どんな話になっていたのか私、気になります!


とまあForestファンの自分としては大満足の内容でした。

ぶっちゃけファンにとってはマストアイテムと言っていいでしょう。

大事なことなので二回言いました。

あとがきに書いてあった、「締め切り前の大風邪のせいで、予定していた描きおろしがなくなってしまった」のが唯一残念無念。

大石さん、次の作品集でだしとくれー!!!

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2014-01-08

2013年の10冊

| 18:30 |

あけましておめでとうございます(遅)

年明けて1週間しないうちに、死にかけて救急車で運ばれました。みなさんも体調にはご注意ください。

さて恒例の、2013年に読んだ本ベスト10でございます。もうずいぶん経ってるけどな! 例によって読書メーターのコメント丸写しのところも(ry




本にだって雄と雌があります

本にだって雄と雌があります

20年以上大阪に住んでいるが本書の大阪弁は正直読みづらい。 慣れるまでガマンが必要だがそれさえ超えてしまえば、素晴らしき和製マジックリアリズムに出会えることだろう。


神聖喜劇〈第6巻〉

神聖喜劇〈第6巻〉

大西巨人の原作は分厚すぎて手を出しづらい……という人(俺)におすすめの漫画版! 第二次世界大戦の最中、完全記憶能力をもつ主人公が知識と頭脳を駆使して、理不尽の塊である軍隊およびその上官に立ち向かうというストーリー。日本から戦争はなくなっても、巨大な理不尽というモチーフは当然現代にも通用するわけで……普遍的名作ですな。ただ大幅に文章を削っている漫画版でも冗長気味で少々疲れる(そもそもそれが主人公の狙いのひとつでもあるのだけど)ので、原作はもっと長々と反論及び説明が続くんだろうなと思うとやっぱり手を出しづらいのです。でも傑作。


最初から中盤を少し過ぎたくらいまでは、キリスト教の伝道師である著者がアマゾンに住むピダハン族の集落に赴き、暮らす滞在記だ。西洋文化との違いに戸惑う著者に読者は共感を覚え、楽しく読める。後半は言語学の話。ピダハンの言葉を通してチョムスキーの普遍文法の批判を展開している。ピダハンには右/左の概念、数を表す言葉、色の名前、神の概念、創世神話がない。しかしこれらがないからといって、我々より劣っているかというと決してそうではない。彼らには必要のないものというだけだ。川沿いに住み、集落からほとんど出ない彼らにとっての中心は川だ。ゆえに方向は「右/左」ではなく「上流/下流」である。また数を表す言葉がないからといって数の概念がないわけではない。集落に来る交易人との交渉も正常に行えるのだ。もちろん色が識別できないわけでもない。そしてなにより、きわめて幸福で満ち足りた彼らにとって、神の概念はまったく不要のものなのだ。ピダハンは物資的には恵まれていないし寿命も45年程と短い。文化も考え方もまったく違う(特に彼らの死の価値観は自分とは相容れない)。しかし、彼らは幸福なのだ。著者が神に懐疑的になり、伝道師の仕事を諦めたように、自分の価値観を揺さぶられる、そんな好著だった。

星川銀座四丁目 (3) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)

星川銀座四丁目 (3) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)

百合漫画界で私がいちばん好きな作家、玄鉄絢。またひとつ百合漫画の名作が終わってしまった。3年以上追いかけてきた「年の差同性同棲物語」堂々完結!なわけですが、名残おしい、でも最高のラストでした。乙女と湊に幸あれ! ところで日名ちゃんのキャラが強烈すぎる……。一見奥手なのに、思い立ったら勢いよすぎ吹っ切れ過ぎィ! 今巻だけの登場というのが惜しい。 えっち成分も増量で美味しゅう御座いました。玄鉄絢の次回作も大いに期待しときます。

10年以上つきあった成恵の世界も最終巻。物語の盛り上がりのピークは前巻で今回は後始末の回という感じ。

1巻は日常SFラブコメから始まり、どんどん物語の風呂敷が広がって宇宙全部を巻き込みシリアスの成分も増えてきて……でもしっかり初心も忘れず『成恵の世界』で終わったね。素敵なSFをありがとう!

10歳で夭逝した作家の伝記を子どもが書いた、という一風変った小説。ミルハウザーなので期待して読み始めたのだが、まず始まりのまえがきからしてワクワクが煽られる。読み終わったあと、まえがき筆者の「彼が見つからなければいい」の意味がわかる。エドウィンの才能が持ち上げられる反面、それを観察するジェフリーの不気味さが行間からにじみ出る。第2部……ローズ・ドーンあたりでやや中だるみはあったものの、第3部からは一気に引きこまれた。予想していた結末だったものの、それに至るまでの筆致が見事。やはりミルハウザーにハズレ無し。「ふう!伝記作家って悪魔だな」

海 (新潮文庫)

海 (新潮文庫)

去年は12月から読み始めた小川洋子の年だった。この『海』という短篇集。表題作は、結婚の挨拶に彼女の実家に行った男が彼女の弟と会話する話。架空の楽器・鳴鱗琴とアメリカンオポッサム、静謐な夜の空気がいい。『バタフライ和文タイプ事務所』は下ネタだらけなのだが、当人たちは大真面目なので不思議な空気を醸し出している、この本のベスト短編。『ひよこトラック』は解説の言うとおりラスト4行が親切すぎて余計な感じもするが言葉のないコミュニケーションが素晴らしく、ラストにもまた効果的に働いている。小川洋子は昔1冊読んでそれきりだったが、いまさら魅力を認識したので、どんどん読んでいこう。

夜明けの縁をさ迷う人々 (角川文庫)

夜明けの縁をさ迷う人々 (角川文庫)

小川洋子の作品を今月2冊読んだが、幻想性、芸術家子どもフェティッシュな描写、風変わりな職業、奇想からスティーヴン・ミルハウザーを連想した。2人とも非常にワタシ好みの作風です。お気に入りは少年野球選手がサード脇で曲芸の練習をする女性を見る『曲芸と野球』。本書ラストの短編『再試合』とは、観客から見た選手と対の形になっている。エレベーターの中で生まれそこで働く男を書いた『イービーのかなわぬ望み』もいい。奇想を惜しげもなく並べ立てる『お探しの物件』も素晴らしい。さあ次も小川洋子を読もう。

薬指の標本 (新潮文庫)

薬指の標本 (新潮文庫)

幻想・奇想・静謐・残酷・甘美といういつもの小川洋子に加え、強烈なイメージを植え付ける表題作。サイダーが桃色に染まるシーンはしばらく脳裏にこびりついて離れないだろう。標本技術士という、小川洋子おなじみの風変わりな職業も登場。標本士の男は客の注文をなんでも標本にしてしまう。男は穏やかで丁寧だがそれでいて不気味で、彼女はそんな彼に絡め取られていって……終わりも語りすぎないところがいい、名作。『六角形の小部屋』は人間の心理についての小話。婚約を取りやめた女性が主人公で、取り立てて面白い話ではないがサラリと読める。

[asin:B00EENGBRU:detail]

1巻は楽しんだ反面不満も会ったけれど、2巻はよかった。ってまだ下巻読んでないんだけどw 

星空めておといえば今月から始まる『世界征服〜謀略のズヴィズダー〜』で脚本を務めるのでそちらも楽しみ。





去年は忙しくて読書量が落ち込んでしまったので今年はもう少し増やしたい。

あと楽しみにしていた『パラークシの記憶』がなんとなく機会を逃して読めなかったのは残念。今年は早めに読もうっと。

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2013-11-18

『世界征服〜謀略のズヴィズダー〜』キャラの名前の意味を調べてみた

| 18:18 |

来年1月から放送される『世界征服〜謀略のズヴィズダー〜』のキャラの名前の意味を調べてみましたよと。

ロシア語が多いですね。20分くらいでちゃちゃっと調べたんで間違ってるかもしれないけど。


公式キャラ紹介

http://www.sekaiseifuku-zzz.com/#chara


まずサブタイトルにもなっている、世界征服を目論む秘密結社ズヴィズダー(Звезда)は「星」の意。

続いて「ズヴィズダー」一味の名前。

ヴィニエイラ(Венера):金星、ヴィーナス(女神)

ドヴァー(два):2(数詞)、少し

アジーン(один):1(数詞)、唯一の、ひとりで

ウーム(ум):知恵、知力

プラーミャ(пламя):炎

ピェーペル(пепел):灰

ロボ子:他のみんなはロシア語なのになんでこいつだけ日本語やねんなんでこいつだけ日本語やねん

あらすじにある星宮ケイトってヴィニエイラ様のことでいいのかしらん? ヴィニエイラ様かわいい、マジ名前通りヴィーナスっすね。持ってるうさぎのぬいぐるみは生物……なのか?

ドヴァーは「2」。中学2年生のことかはたまた別の意味か。ドヴァーとお揃いのガスマスクを装着するアジーンが「1」でドヴァー加入前は組織で一番の下っ端だったのでパシリ1号2号だろうか。ドヴァーは女の子らしいがアジーンは……男?どっちも男でした。でもドヴァーかわいい。

ウーム教授は技術系万能の科学者らしく「知恵」。ヴィニエイラ様に負けず劣らずの露出狂っぷり。頭上の謎生物クルクルはよくわからない。

ポン刀持ちの切り込み隊長、プラーミャ様は「炎」。女子高生なのにおっぱい大きいですね素晴らしい。ちなみにドSらしいです素晴らしい。DTB2期にこんな人いた気がするってかDTB2期からもう4年も経ったのか……。プラーミャ様も同じく百合キャラだと俺得。

ピェーペル将軍は「灰」。たぶん男だよね。ロボ子は色物どもの中でもすごい浮きっぷりで名前もキャラデザもめっちゃテキトーな感じだけど大丈夫なんですかね……。



そしてズヴィズダーと対立する正義の戦隊「ホワイトライト」とその団員。

ホワイトロビン(robin):コマドリ

ホワイトイーグレット(egret):白鷺

こっちは英語か。ソ連アメリカ冷戦だな(妄想)。

というわけで以上っす。新たな情報を待つとしましょう(ああヴィニエイラ様かわいいなあ……)。


P.S.

某所に同じこと書いてる人がいて無駄足だった。ウボァー

2013-11-11

星空めてお最新作 アニメ『世界征服〜謀略のズヴィズダー〜』発表!

| 00:21 |

の衝撃からおよそ3週間たってこんな記事書くのもどうかと思うわけだが自分なりに現状をまとめたかったので。


岡村天斎×星空めておTYPE-MOON)×黒星紅白 異色タッグで放つ、完全新作オリジナルアニメーション企画


過去の指導者たちが思い描いた世界征服は、ただの妄想に過ぎなかった。

世界征服とは―――いまだかつて誰も為し遂げたことのない栄光。

一人の幼女、星宮ケイトに為されるまでは、それがどれだけ恐ろしく輝かしい行いなのかを知る者は存在しなかった。

我らがズヴィズダーの光を、あまねく世界に!


■スタッフ

原作:hunting cap brothers

監督:岡村天斎

シリーズ構成星空めてお(TYPE-MOON)・岡村天斎

キャラクター原案黒星紅白

キャラクターデザイン総作画監督佐々木啓悟

音楽:加藤達也

制作:A-1 Pictures


公式

http://www.sekaiseifuku-zzz.com/

アニメ雑誌によればこの企画は岡村天斎監督が以前から暖めていたものらしく「幼女世界征服する話を作りたい」と6年前に『Darker Than Black』のインタビューで発言しています。どういう経緯で星空めておが参加することになったのかは不明ですが、めておファンとしては彼の企画じゃないのが残念なところ。しかし岡村天斎監督のDTBは好きなアニメなのでかなり期待しています。

”原作:hunting cap brothers”は共同筆名なのだろうがどういう意味か気になる。で、調べたら岡村天斎Wikipediaを見たところハンチング帽をかぶっていた。そういえば星空めておの旧Twitter自画像も同じような帽子をかぶっていたなと思いだす。遊び心だろうか。もしかしたら黒星紅白さんもハンチング帽愛好家なのかもしれない。

その黒星紅白なんだが氏の画風は『キノの旅』を10年くらい前に読んでたので知っていたのだけど、絵柄が垢抜けていて驚いた(サモンナイト等には触れなかったもので最近の絵を知らんかった)。このキャラ原案はとても好みですね。ヴィニエイラ様かわいい。こんな薄着の幼女なんてけしからんスリスリしたい。

キャラデザ佐々木啓悟さんは知らない方ですね。ググったら同じ岡村天斎監督『青の祓魔師』で総作画監督を務めていた縁でしょうが未見なのでなんとも……。しかし公式のキャラデザはいい感じ。

そして音楽は加藤達也さんじゃないですか! アニメ境界線上のホライゾン』の音楽は素晴らしかった。特に『燃焼回廊』はお気に入り。今作の音楽も楽しみ。

制作はA-1 Picturesオリジナルアニメだと『世紀末オカルト学院』を作ってるトコですね。これ結構好きなんだけどアニメの話題になっても評判はいまいちで残念。

OPはThe band apartが作編曲を担当。寡聞にして存じませんでしたがコアなファンが多くついてるバンドのようです。音楽、とりわけ邦楽ロックにはとても疎いもので……。『ノード』という曲の公式PVを見たのですがおお、いい感じだ。

これを歌うのが坂本真綾岡村天斎監督『WOLF'S RAIN』のED『gravity』を歌ってましたね。『tune the rainbow』は一時期繰り返し聴いていました。めてお繋がりだと『四月の魔女の部屋』の朗読をやってたり。菅野よう子とのコンビの印象が強いですがThe band apartのロックと合わさるとどうなるのか、これにも注目。


というわけで、星空めておを抜きにしてもかなり期待値の高い作品なので、1月からの放送を楽しみに待っている次第であります。

『魔法使いの夜』感想(ネタバレあり)

| 22:06 |

なんか型月関係の記事が続いてるけど、別に意図したわけではない。

タイトルにもある通りネタバレ全開


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