『SPEED』石丸元章・著

FunkyArtistChannel2009-08-12

こんなタイミングなのでこんな本をご紹介。
これはボクが大学生になってすぐくらいに読んだ、ノンフィクション作家の石丸元章氏による自らのジャンキー日記(かな?)。当時はハードカバーで読んだけど随分と前なので当然↑の画像のような文庫も出ております。
「ミイラとりがミイラになった」とはまさにこの本の石丸氏のことを言うのでしょう。ジャンキー達の潜入取材にいき、結局は自らがジャンキーになってしまうという見事なまでに文字通りの顛末。
この本の特筆すべき点はヤク中のぶっ飛んでる時に書き記したものを、ほぼ改稿なしで載せてるところ。どっぷりクスリ漬けの時のものは、もはや文章と言えるのかわからない程だけど、とにかく生々しいのである。子供の頃に「覚醒剤やめますか?それとも人間やめますか?」っていうCMがあって危険であるだろうことは想像出来たものの、それまでドラッグについての知識やジャンキーの生態について何も知らなかった。アルコールやシンナーについてはボクの住んでた田舎の歯のないヤンキー見れば何となくそういう事になるんだなと言う程度で、マリファナ覚醒剤、コカイン、LSD、その他様々な違法ドラッグについては勿論知る由もない。
ボクらの中高生時代は渋谷あたりでチーマーと呼ばれる人々が徒党を成し、オヤジを狩り、ナイフみたいに尖っては、さわるものみな、傷つけた、らしい。
銀座や北新地とかにあるお姉様が接客するほうじゃない所謂クラブというのもちょうどその頃出来始めたんだと思う。ボク達が学生の時からすでにクラブがジャンキー達の温床になっていることがまことしやかに囁かれていた。
そんなところに潜入し、数年の間にバリバリのジャンキーと化してしまった石丸氏。この本はそんな石丸氏の変貌していく様が生々しく描かれている。文体がとてもファンキーなので(ただイッてしまってるだけか?)本当の危険さはある程度客観的に読まなければ伝わり難いかもしれない。ボクは学生の時読んで、こんな恐い本はないと思ったけど、今読むとやっぱりまた感じ方が違うなー。
とりあえず、のりPにも手を染める前に読んでみて欲しかった。。

石丸氏の他の著書もヤバ面白いので興味ある人はチェックしてみてください。

『SPEED』石丸元章・著(文春文庫)
★★★★☆