2021年シーズンの水戸ホーリーホックを振り返る

最も厳しいシーズンを無事に乗り切る

秋葉監督2年となった今年のシーズンは言うまでもないが非常に厳しいシーズンであった。去年ほどではないもののコロナ禍による各種集客にまつわるレギュレーションの変更に加えて降格4チームという必死にならざるをえない状況で比較的早々に残留を決められたのは何より大きいし評価されるべきだと思う。ただ今年は例年になく下方向が激戦で最終的な降格ラインが18位ラインですら例年の20位ラインより大幅に下だったことは留意するべきだろう。年間を通して中位を安定して確保し下位争いに巻き込まれずすごせたのは行幸だった。

前途多難だった前半戦

実は前半戦は正直かなり危ない状態だったと思う。いくつか要因はあるが大きなものは二つで今年チャレンジした4-3-3が思ったよりハマらなかったこと、サイドバックにけが人が続出したことが上げられる。前者は川崎を意識したとは思うのだが水戸のチーム編成がそもそも4-3-3に適しているのか?という部分が問題だったと思う。特にボランチとIHの人不足は著しく、かろうじて平野がワンボランチできるか?くらいであった(木村はどこでもなんとかなるがあの人は基本稼働60分が限界なので…)。後者に関しては柳澤と大崎が怪我で帰ってくるまではずっと厳しい状態で自らコンバートを志願したとはいえ本職ではない村田は特にしんどかったと思う。ただ結果として村田も後半は大分よくなってきたのでスパルタ教育と見ることもできたかもしれない。

躍進と別れの中盤戦

中盤戦になってからはサイドバックの頭数が揃ったこととダブルボランチに戻したことで大幅に安定感が増し、かなり勝ち点を稼ぐことができた。また育成型移籍で加入したFW藤尾の存在も大きい。特に8月下旬あたりの上位4連戦は周囲の予想を覆し勝ち点9を獲得。ここを0だと残留争いに巻き込まれていた可能性もあったため非常に重要な勝ち点だったと言える。一方その中で柳澤、平野、住吉というチームの核と言って差し支えない3人がJ1チームに移籍することになった。平野に関しては特に浦和移籍後の活躍が素晴らしく、本当にもったいない部分もあるが今後ともJ1で頑張って欲しいものだ。

下位連戦で課題が見えた終盤戦

終盤戦は上記3人が離脱した中でそれなりの成績は残すものの特に守備面では課題が多い結果となった。鈴木とタビナスの2センターバックはよくやっていたとは思うのだが最終的にタビナスはかなり調子を落としていたようで三國に取って代わられることに。そして三國になっても失点の多さはそこまで変わらなかった。住吉の重要性が改めて認識されるとともにサイドバックの守備力も含めDF陣の構成は来年どうするかは興味深い。残留後色々秋葉監督も試していたがさすがに急造でそれはどうなのというテストもちょくちょくあったように思える。きっちり分析して来年も使うならきちんとオフシーズンから練習して欲しいところ。

来年に向けて

秋葉監督の続投が早々に決定したが、来年は何を積み重ねていくのか、何を再構築していくのかというところで監督とGMの手腕が問われることになると思う。特に守備に関しては後半戦キーマンとなった鈴木はほぼ確実にレンタルバックの打診が来るであろうし、その穴埋めをできるのか、守備全体を底上げできるのかは大きな課題になると思う。またサイドバックについても右は最後までメンバー固定できたとはいいがたく、左も大崎が守備面では活躍したものの攻撃面では全く再現性のある攻撃を構築できなかった(これは前の選手の変動が大きい部分もあるのだが)。サイドバックを交えた攻撃の貧弱さはセットプレー攻撃の貧弱さとならんで攻撃面での課題になるだろう。幸い来年へ向けては準備期間に多少余裕があるのでしっかり準備して欲しい。そしてGMには既存選手の引き留めと更なる補強に大きな期待がかかるところだ。

ブルーリフレクション澪感想

無印と帝、二つのゲームをつなぐアニメ

というわけで放送終了からどんだけ経ってるねんという感じではあるのだが、ブルーリフレクション帝が発売されて序盤をある程度終わらせたこの時点で改めてこの作品の感想を書いておきたい。
ブルーリフレクション澪は無印となるブルーリフレクションの続編となるクロスメディアプロジェクトとして発表された澪、帝、燦の三作品のうちアニメで展開された作品で、2クールで無事(ではないが)完結した。
性質上前作とのつながりはあるがそこは意識しなくても問題ない。なぜなら前作プレイしていてもわからないことが多すぎるから…。

20年前なら評価されたとは思うのだが

まずアニメ全体としての評価の話。こちらは非常に世間的には芳しくなかった。1クールアニメが一般化した現在では初めから2クール想定でゆっくりじっくり進めるスタイルが合わないことに加えて、作画の問題(良い悪いの話ではないとは個人的に思うのだが岸田メルの原案とあまりに差があることと全体の古臭さが酷評されていた)もあり早々に切られてしまい、発売予定だったBDが早々に取りやめになるなどさんざんであった。一方で前半のクライマックスである10話あたりからはかなり面白く、そこまで耐えたファンからはかなりの評価は得られている。結局のところ時代に合っていなかったという感が強い。言うまでもないけど自分は文句言いながら最後まで楽しみましたが。

世界は救えても人一人救えない魔法少女の物語

澪のテーマはここに尽きる(このテーマが見えてくるのが2クール目なのも評価が下がる原因な気はするのだが…)。シリーズを通して登場する魔法少女、いわゆるリフレクターは基本的に精神世界でしか力を振るえず、人の心に対しては安定させるくらいしかできない。安定させること自体が世界を救うことにつながるのだが無印は特に出てくる悩みは切実ではあるもののそこまで極端に切羽詰まったものはほぼ無く、それがある意味作品特有の緩い空気につながって来た。それに対して澪でのキーとなるキャラクターの抱える問題は明確に生死にかかわるものが多く、特にとあるキャラクターがヒロインの姉美弦に突き付けた「私を本当に救いたければあいつを現実で殺してくれ」(意訳)という言葉はすがすがしいまでの前作への頭部死球であった。最終的にアニメでは世界を救うためにこのキャラクターの心を救った…はずなのだが帝を見る限り世界は心を救った時点で手遅れになっていたことが示唆されており、その辺も含めて非常に攻めた内容で面白かったと思う。

澪を見ずに帝・燦をやる人向けの解説

以下ネタバレあり。

世界線

澪公式ページの用語解説を参照。澪の物語は過去の1周目、現在の2周目という二つの世界線が存在する。これは無印ラストで白井日菜子が原種を倒したことにより原種がいない世界線が派生したことによるもの。
無印で崩壊した拠点の話にちらっと触れているのは澪の過去の敗北エンドを指している可能性が高い(というかそれをもとに澪の話が作られたと言ってよいだろう)。
帝・燦もこの2周目の世界線がベースとなっており、どちらも澪後の世界となる(多分)。
2周目世界ではAASAという組織がリフレクターになるための青い指輪ブルーリフレクションを製造している。一方で出所不明の赤い指輪(ルージュリフレクション)が存在しているようだが…?(こちらは燦の前振りであるようだ)
澪終盤の事件により現実世界とコモンの境界は一度崩壊しており、澪ラストで修復されたもののその際発生した降灰と呼ばれる現象は継続しており人的被害も出ていることが帝で語られている。

人物

  • ユズとライム

無印から続投。澪では精神世界コモンの番人のような立ち位置となっている。

  • 平原陽桜莉

主人公の一人。パートナーの瑠夏とともに戦うが瑠夏は帝には未登場。彼女の指輪は本来姉美弦にAASAから渡されたもの。

  • 平原美弦

陽桜莉の姉。1周目世界では青い指輪を持ち原種と戦うがその中で先述した選択の言葉を発した少女を救えず死なせてしまったことに加え妹の陽桜莉のフラグメントを破壊してしまったことが契機となり原種に敗北する。2周目世界では赤い指輪を持ち1周目の悲劇を回避し全ての少女の心を救うためと称して陽桜莉の前に立ち塞がる。澪ラストでは指輪は浄化されて青くなったが帝で変身はできない模様。

  • 駒川詩

赤い指輪を持ち最後まで敵として立ち塞がる。そのため彼女だけ赤い指輪は浄化されておらず、帝の段階でも赤いはずである。澪時点でほぼ性格は破綻しており既に思い(フラグメント)を喪失していることも示唆されている。

  • 靭こころ

終盤AASAの見習いリフレクターとして顔見せに登場した。帝の描写を含めるとAASA所属のリフレクターは行動エリアが被らないもの同士はほとんど交流がなく互いの存在も知らないようだ。

ゴジラSP最終話を見ての考察(ネタバレあり)

はじめに

今期は珍しく複数のアニメを見ていたのだが、非常に面白かったのがこのゴジラSPだ。元々Netflix配信で後追いがTVという形式になっており、ネット配信はNetflix以外にないので見直すために加入してしまったくらいには面白かった。
脚本を円城塔氏が手掛けているだけありとてもSF的な要素が強く、考察要素が多い(ただ無理に考察しなくてもいいよというメッセージ的なものも多々あった気がするのだが)作品だった。最終話を見てとりあえず何が起こったかを自分の考えの整理としてまとめておく。ちなみに現時点でTVはまだ最終話配信されていないのでネタバレされたくない人は注意。

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ウマ娘の隠しイベントについて(ネタバレあり)

というわけで最近は結構がっつりウマ娘でうまぴょいしている。元々馬券はあまり買わないけどレースを見るのは好きな人間で、特にトウカイテイオーには色々思い入れがあったりする。後はメジロライアンあたり。
そんなウマ娘はゲーム的にシャニマスと比較されたりもするが、シャニマスのオーディションと違ってノルマレースとそうでないレースがあり、ノルマレースではないところでも色んなエピソードが仕込まれている。中にはかなり重要なものもある。難易度的に厳しいものもあるが是非探してみて欲しいところだ。個人的にいくつか好きなエピソードを簡単に紹介したい。

2年目エリザベス女王杯。彼女のノルマには入っていないが対となるダイワスカーレットではノルマになっておりウオッカと対決している。ウオッカダイワスカーレットの勝負と罰ゲームの行方は…?二人の関係性が良く描かれており勝っても負けても二度美味しい。なおこのレースに出てくるダイワスカーレットはこの時点ではかなり強い部類である。

ノルマ外の2年目宝塚記念を勝利し、3年目で宝塚記念を連覇すると発生する。もうすっかり有名となってしまった未来の記憶はゲート難強制付与として再現されているので注意したい。ただし彼女の場合それすらも決してデメリットにはならないのが恐ろしいところである。

3年目有馬記念。既に全ノルマを達成している自身の道を切り開いた彼女が挑戦するのは同世代が全員集結したドリームマッチ。勝った彼女にかかってくる一本の電話…。ある意味彼女の真のエンディングと言える。個人的に最もお勧めできる。長距離適正必須となるがそれ自体難易度は高くないので彼女を育成するなら是非見て欲しい。

アイドルマスターシンデレラガールズ Happy New Yell!!!感想

  • 久々のシンデレラのライブ

今回初日のチケットは入手出来ていたのだがこのご時世のため直前で配信のみとなってしまった。ただ配信前提ということで運営側も色々な試みを盛り込んでおり興味深いライブとなった。

  • セットリスト

テーマにそって「応援」をテーマにした曲を盛り込みつつもこの1年以上で溜まりにたまった新曲を消化するという前提で両日メンバーも組まれており、ある意味でここ数年で一番周年ライブっぽいセトリになった気がする。デレステ5周年生放送のライブパートと合わせて直近で聴きたい曲は大体全部網羅されていたのかなと。また人数を抑えたことで一人あたりの歌唱回数も良い塩梅で増えていた。今回の20人強という数はおそらくベストバランスであると思うのだがこの人数で1回のライブを回すにはシンデレラは人が多すぎる。そうなるとやはり理想はメンバー総入れ替えしつつツアーになってしまうのだが…。

  • 担当に関して

よしのん役の高田さんは今回はソロ曲なしの持ち曲3曲披露+αだったが正直もうパフォーマンスが安定しきっていて安心してみていられるという感じだった。もうこれで3回目になるSunshine See Mayは言わずもがなだが今回初披露の太陽の絵の具箱が出色の出来だったと思う。ライブでやることでハモりの美しさが引き立つ曲だった。

  • 配信オンリーだからこその演出

今回は24時間生放送で使ったAR演出をスタジオではなくステージでリアルタイムで行ったのに加え、コメント機能や視聴者が画面上で振ったペンライトが演者に見える機能など実験的な要素が目白押しだった。ぶっつけ本番すぎて粗もあったが楽しめるものだったと思う。ペンライトの汎用色増やしてくれとかそもそも反映タイムラグ10秒以上あるの頑張って短縮して?とか不満はあるがその辺はアンケートに投げるとして。後一部曲でAR演出がうるさすぎる、演者より演出にカメラが行ってしまう問題は通常のライブでも現地でしか見られない演出は多いのでそこを配信オンリーで拾おうとしたと思われる部分もあるので難しいところだ。円盤化した際にマルチアングルとかで上手くやって欲しいところ。シンデレラのライブコンテンツは前回の24時間生放送も今回もバンナムの技術のテストベッドと化しているフシもあるのだが、今後はこれを活かしてバンナムフェスでは西川ニキが歌っているところにストフリガンダム飛ばすとかやってくれるんだろ?みたいな期待感があってとても夢が広がる試みであった。

  • ソロ曲・ユニット曲をもらうという意味

ライブの本題とはズレてしまうが今回はこれを強く感じた。特に一部の演者さんのソロ曲・ユニット曲をもらってからの伸び幅が素晴らしく、責任感を感じて練習を積み重ねてきたんだろうなと思わせてくれた。ソロ曲やユニット曲については前から演じる人たちも愛着が違うというのは折に触れ感じていたので今後も実装ペースを落とさずやって欲しいところだ。そういう意味でコミックス単行本付録CDやアニメのしんげきエクステでのソロ曲披露が続いているのは良い傾向に思える。CMシリーズの扱いは?みたいな話もあるけど正直CMも10弾以降は延長戦扱いだと思っているのでその意味でも今はソロ曲自体を増やすのを優先した方が皆が幸せになれると思っている。

あけましておめでとうございます

今年ものんびり書ける時に書いていければいいなあと。
これを書いている時点でまたコロナ陽性者4桁の報が出ていたりするのですがとにかく早いところ「普通の生活ができる」年になって欲しいと思う。

水戸ホーリーホックの2020年。苦しいシーズンで見せた新境地

2020年のシーズンはたびたび書いてきたがコロナウイルスとその対策に振り回されたシーズンとなった。最大の影響はシーズン中断をはさんだしわ寄せによる超過密日程で、2週で5戦が基本ローテーションとなる過酷なものであった。
その中で我らが水戸が大きな怪我をする選手も少なく手持ちの選手をほとんど全員稼働させて走り切ることができた。これはまず素晴らしい結果だと思う。
実際のサッカーに関しては今年は秋葉監督の元超攻撃サッカーを掲げて戦った。実際この手のお題目がトーンダウンせず1年継続できることは本当に珍しいのだが、水戸はそれを本当にやりきってしまった。結果としてJ2トップの68得点を積み重ねた。一方で攻撃偏重の代償として失点も下から数えて4位タイの62失点となったのだが。順位は結果としてトップハーフに食い込む9位となったがこれは1年目としては上々だろう。金がないチームが風間名古屋リスペクトしてどうするんだ見たいな思いもあったのだが自分のやりたいサッカーをするために乏しい資金の中から監督・選手ともに最良を見出してくみ上げた西村GMの手腕は十分評価できるものだった。
チーム戦術として見た時、ハイラインハイプレスが良く今年の水戸の特徴として挙げられるが、個人的にはむしろ一旦DFラインでセットしてから攻める際の選択肢の多さを評価したい。特に相手がプレスに来ても長いボールに頼らず外せる場面が昨年と比べても大幅に増えており、結果的に攻撃のオプションが大幅に増えたのではないだろうか。逆にここの外すときの動きの成否が得点にも失点にもつながっていた感はあるので来年はここの精度向上に期待したい。ボランチ・CBのパスの精度が上がれば失点は10は減っているはずだしそうなれば勝ち点的にも後3つ4つ上は行けていたはずだ。
これを書いている時点で既にストーブリーグも過熱しており(というか今年は日程上オフが短く毎年後手に回らざるを得ない水戸の動きは若干心配ではある)、来年どのような編成になるかはまだまだわからない。既にDFリーダーであるンドカの移籍が決まっているほか、両サイドバックの移籍またはローン返却も確定している。一方でセレッソの山根(去年は金沢にローン移籍)という強力なFWの加入も決定しており、来年も今年と同じ方向で行くという西村GMの強い意志を感じる。来年は降格4という今年とは全く別の意味で厳しいシーズンではあるが、その中で今年の攻撃力を維持しながら守備力をどう上げていくか、西村GMと秋葉監督の手腕に期待したい。
最後に一点余談というか愚痴というか。今年からボディコンタクトのルールが変更になり上半身での当たりはほとんどファールを取られなくなったのだが、その中で山口がこの上半身でのタックルを受けてサッカー人生に影響を及ぼしかねない怪我を負ってしまったことは本当に残念だ。相手選手にも審判にも文句を言う筋合いはないし去年のルールでも阻止できたかわからない事案ではあるが、もう一度選手を守るために本当に今のルールが適切なのか改めてリーグに再考を求めたい。