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宗教法人グルグル

2013-11-23

[][][] 放課後さいころ倶楽部 #15

今月は40p。それでも構成的にはカツカツ。

人狼回もそうでしたが、ページを極限まで切り詰めると2話分割は厳しそうですな。


『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2013年12月号 p454 中道裕大

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今回のゲームはボードゲームの「キング・オブ・キングス」と言っても過言ではない、

『カタンの開拓者たち』でした。

カタンの開拓者たち スタンダード版 (2011年版)

カタンの開拓者たち スタンダード版 (2011年版)

D

つい最近まで、私が唯一持っていたボードゲームであり、

一時期ボードゲームに嵌るきっかけとなった、個人的にも最も思い入れの深いゲームです。


先日、大学時代の後輩に「ピエリ守山行きましょう」と言われ、正直乗り気じゃなかったんですが、

あれだけ閑散としてたら何やっても文句言われなさそうだなーと考え、

ひょっとしたら『カタン』とかやってても大丈夫なんじゃね?と思いつくとつい試したくなって

「じゃーピエリで『カタン』やるんなら行くよ」と言ったらすんなり受け入れられ、

箱ごと持っていくハメにw


で、実際にピエリでカタンをやってみたんですが...

本当に何も言われませんでした

一応、警備員は巡回してた筈なんですけどね...

警備員や周りの客がどういう反応するかとかも見たかったんですが、

4人ともゲームが面白すぎて誰一人として周りが全く見えずに分からなかった

というオチも付きましたとさ。


で、前にも書いたように私は京大生でもないのに京大SLG研に出入りしていて、

その時に『カタン』も教えられ、次の日には即買いに行くくらいハマりました。

当時もそんなに友達多くはありませんでしたが、

『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2013年12月号 p492 中道裕大

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友達とカタンで遊んでいたら、

いつの間にか5人くらいがカタンをお買い上げした記憶が。(私が売った訳ではありませんけど)


個人的には拡張エキスパンションの『カタンの航海者たち』の

オセアニアというシナリオが大好きです。

カタンの開拓者たち 航海者版 (Die Siedler von Catan: Die Seefahrer. Erweiterung) ボードゲーム

カタンの開拓者たち 航海者版 (Die Siedler von Catan: Die Seefahrer. Erweiterung) ボードゲーム

航海に出て、先を進むと海か陸かをランダムで地形タイルを引き、

陸地が出たら数字チップを置くというルールなんですが、

さながらPCゲーム『アトラス』のようなワクワク感が楽しめます。

発見した陸地が鉄で良い数字が出た時なんか最高にハイになれますw

もちろんランダム性が強くなるので、基本セットがシンプルにして至高と思うような人には

正直向いてないゲームだとは思います。

あと基本版よりかなり重い (ゲームに時間が掛かる) のも欠点ですが。


それはともかく。

『カタン』の魅力は人によってそれぞれでしょうが、

どこへ道を伸ばし、どの土地へと進出していくかという領土争いの要素と、

村や街が増えるにつれ、資源を獲得する量が増えていくという発展の要素。

『信長の野望』『三国志』等のシミュレーションゲームの魅力とぴったり重なる

この二つの要素が『カタン』最大の魅力だと個人的には思っています。

『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2013年12月号 p456 中道裕大

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ミドリもこう言ってますし。


漫画では、こういった『カタン』の魅力の大部分をオミット (排除) して、

『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2013年12月号 p468 中道裕大

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交渉にスポットライトを当てています。

まぁ実際『カタン』をプレイする際には交渉する事は殆ど無く、(序盤ならあり得ます)

4:1交換 (一種類の資源4枚で別の資源1枚と交換できる) や港で足りない資源を補うのですが、

1話で『カタン』を紹介しつつ、キャラの魅力を引き出す為には、

何か一つの要素に絞ってゲームを描く必要はあるでしょう。

連載が始まってあまり間が無い1〜2巻の時期には、

なるべく新規の読者が参入し易いように1話完結を続けていくというのが、

連載のセオリーのうちの一つなので、 (もちろんこのセオリーを使わない例は数多あります)

こういう割り切りがどうしても必要になってきます。


では、なぜ『カタン』回の要素を「交渉」に絞ったのか?という話をする前に、

まずは中道先生が『カタン』で何をしたかったという話を。

── (『すごろくや』の) 店長って実際にこういう感じなんですか?


いや、もっとクールでしゅっとした方です。マンガに出てくる店長は、周りからはいつも「シティーハンター」の海坊主って言われるんですけど……。


──確かに似ていますね(笑)。なぜこのような造形に……。


深い理由はないんですけどね。軍人っぽくしようと思ったんですよ。


──外国人ぽくしようと思ったってことですか?


いや、外国人というより……以前どこかで、「僕は米軍にいたときにゲームを覚えた」というハーフの方とお会いしたことがあって。その設定は使えるなと。まだ店長の過去ははっきり描いてないんですが……。

コミックナタリー「放課後さいころ倶楽部」中道裕大インタビュー

『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2013年12月号 p463 中道裕大

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店長の過去、元米軍のハーフといった辺りピタリと一致します。

この覚えたゲームというのが『カタン』の事で、

演習の後に『カタン』をやったと。そこで僕は『カタン』を覚えたよみたいな話を聞いて。

『ボードゲーム研究室!』第84回 「放課後さいころ俱楽部・中道裕大さん(後編)」 37:38〜37:45

この話をベースに漫画を描きたかったのだと思われます。

そもそも

実際にあるモノを描きたかったんですよ。

妄想の世界を描くんじゃなくて、実際ある俺が面白いって感じた事を漫画にしたいなってのはありまして、

だから興味持ったものをまずやろうという。

そっからのスタートで、ボードゲームもだからその一つだったんですよね。

『ボードゲーム研究室!』 第83回「放課後さいころ俱楽部・中道裕大さん(前編)」 5:13〜5:35

ボードゲームの漫画を描くきっかけがコレですから、

その延長線上で「実話を元に漫画を描く」ことは不思議でも何でもありません。

実話ですから、当然ながらリアリティもありますし。


という事で、『カタン』は店長の過去話に絡めて、米軍人がプレイするというのが前提条件になります。

この前提を踏まえて、『カタン』はどの要素でゲームの面白さを表現するか。


ここからは私の想像なので話半分で読んで欲しいんですが、

原因の一つに、中道先生が一番好きなゲームと公言してる『カルカソンヌ』があるのかもしれません。

カルカソンヌ (Carcassonne) ボードゲーム

カルカソンヌ (Carcassonne) ボードゲーム

このゲームの面白さは、領土争い的な要素がメインだと思われます。

『カタン』で領土争い的な要素を出してしまうと、

『カルカソンヌ』でまた領土争い的な要素を出しても新鮮味に欠けてしまうでしょう。

そして、『カタン』の発展の要素は領土拡大と密接に関連しているので

(村から街に発展する場合は別ですが)

領土争い的な要素抜きで、発展の要素を出すのは難しいでしょう。


もう一つ考えられる原因として、ゲームを大人が遊んでるという事もあるでしょう。

『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2013年12月号 p469 中道裕大

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『カタン』以上に交渉がゲームの勝敗を左右するというか、

交渉だけでゲームの勝敗が左右するものさえ存在する (筈) ですが、

ミドリならともかく、現時点はボードゲーム初心者のミキやアヤが交渉をすることで

漫画の面白さを引き出すのは中々骨が折れそうです。

どうしても交渉事にはロジックが必要になってきますし。

『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2013年12月号 p484 中道裕大

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その点、店長過去回なら大人が出てくるので交渉がボトルネックになりません。

主役級3人ではやれない事をやれる機会だという事もあるかもしれません。

とは言え、例えば『ガイスター』もお爺ちゃんが対戦してましたがねw


で、内容ですが、上の画像のジョージのツンデレシーン。これかなりいいですね。

その4p前ににジョージの手札は土×2,羊×2,麦×3と示されてるので、

鉄2枚を貰ってチャンスカードを2枚引き、かつアキラ (店長) に「最長交易路」を取らせるという状況で、

土2枚+麦1枚との交換条件ってのは、最大限の譲歩をマイクがしてるって事になってるんですよねw

しかも店長にとっては喉から手が出るほど欲しい麦を「作戦立案報酬」として添えて。

さらには

『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2013年12月号 p484 中道裕大

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「か、勘違いしないでよね///」の追い打ちまで。

ツンデレの鑑ですなw

ゲームをより楽しめる方向へと店長が乗り出した事に対する報酬とも受け止められます。


過去回のマイク (黒人) 、ジョージ (白人メガネ) のキャラがそれぞれアヤとミドリと似てるのは、

ミドリ、アヤ、ミキが『カタン』をするシーンとの対比でもあるので、

キャラも恐らく敢えて揃えてるんでしょう。

『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2013年12月号 p489 中道裕大

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今回のテーマはこのシーンという事になりますけども、

ミキ達がプレイしているスタンダード版の『カタン』と、

ジョージ達がプレイしている元祖KOSMOS社製ドイツ語版『カタン』

時と場所は違えども、同じ『カタン』を楽しんでる...という演出をするならば、

キャラも揃えた方が面白さは出せるとは思います。


とまぁ相変わらず内容的には絶好調だったんですが、個人的には少し不安な面も。

私が面白いと絶賛しても、打ち切りを喰らった漫画はいくつかあるのですが、

(私の感性がいかに一般的な所とは離れているかという証拠でもあります)

そういった作品の共通点は、内容 (特にロジックや演出) が良くて、キャラが弱いという所です。

読者のうちの何割がいわゆる「キャラ萌え」...

キャラに惹かれて漫画を読んでいる人が、どれだけの割合でいるかは分かりませんが、

半分くらいいても不思議ではないでしょう。少なくとも結構な割合ではあるかと。


以前#8-9の『ハゲタカのえじき』を取り上げた回が最もアンケートが良かった

という話を書きましたが、ひょっとしたらミドリ萌えな人が大量に出たのが最大の原因かもしれませんし。

今回や『ガイスター』回などはゲームの歴史的なトリビアが含まれているので、

ハゲタカ回のどの要素がアンケートに繋がったのか、

アンケート人気の差にキャラ萌え層はどこまで含まれているのか?というのを測る材料になりそうです。


という事で、この漫画においてキャラが立ってるのはどれだけいるか。

恐らくミドリとハナと店長とジョージの4人くらいだと思います。

中道先生のイベントへ2回参加させて貰いましたが、

圧倒的なミドリ人気、若干のミキ人気、アヤよりはむしろ店長という印象でした。


なぜキャラが立ってないのか。

個人的には記号 (属性) が不足しているからだと思います。

世の中の捉えられ方でいうと、記号が強い方が分かりやすいんでしょうね。昔はキャラクターに萌えていたのが、最近だと属性萌えに趣向が移ってきていますし。

 でも、女の子の属性はこの10年くらい完全に飽和状態で、「お兄ちゃん」「お兄さま」「兄貴」っていう呼び方くらいでしか差別化できなくなっています。「そういうのはもう終わらせましょう」という気持ちはありますね。属性からキャラ萌えに持って行こうという意識を持ってやっています。

 だから僕が属性萌えをやる時は、いっぺんキャラ萌えに還元して、そこから属性萌えに戻っていく感じで作っています。栞はまさにそういう方法ですね。「図書館少女」とか「文芸少女」っていうのはもともとどういう魅力があったのか。僕にとってそれは、表に出ている部分と内に秘めている部分のギャップなんです。「栞はメガネをかけていた方が良かった」と言う人もいますけど、それこそ属性・記号でしかないと思います。

漫画家 若木民喜Interview』 現代視覚文化研究 vol.3 p78

属性萌えに批判的な若木先生でさえ、属性には一定の配慮をしている事からも分かるように、

キャラにとっては属性というのは大きな武器です。

個人的な見方で言うと、キャラ萌えへと誘 (いざな) う「撒き餌」です。

なぜ属性は強力なのか。

『マナゴコロ』 1巻 p112 藪野続久 メディアファクトリー

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原因の一つに心理学における「ヒューリスティック (heuristic) 」の

「係留と調整(anchoring and adjustment)」という作用が働くからではないか?

と個人的には考えています。

係留と調整(anchoring and adjustment)

最初に与えられた情報を基準として、それに調整を加えることで判断し、最初の情報に現れた特定の特徴を極端に重視しやすい意思決定プロセスをいう。

wiki ヒューリスティック


ヒロイン3人のうち、記号がハッキリしているのは

委員長」「メガネ」「ツンデレ」「テンパった時には京都弁が出る」といった特徴を持つミドリただ1人。

ここにミドリ以外のキャラ人気が出ない原因があると、ほぼ確信しています。

『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2013年8月号 p103 (1巻 p165) 中道裕大

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「テンパった時には京都弁が出る」というのはギャップなのでここでは置いとくとして、

「委員長」「メガネ」「ツンデレ」といった、カテゴリー自体に名前が付いてるような記号は、

既にそういった属性のキャラがいるという証拠でもあるので、

別の作品で既にそういったキャラが好きな人にとっては、惹かれ易くなるんですよね。

これが私が書くところの、キャラの記号が持つ「撒き餌」効果です。


残り2人のうち、ミキはまだいいんです。記号は「ボーイッシュ」「内気」という程度ですが、

一応主人公キャラなので、キャラに感情移入し易いようなプレーンなキャラクターにする

という選択肢もアリですから。

問題はアヤです。

彼女には「天真爛漫」「妹」という記号はありはしますが、

「妹」は姉のハナとの関係などである程度は描けてるものの、

「天真爛漫」は言い換えると表裏のない性格になるので、

キャラの魅力となりうるギャップを付けた途端、天真爛漫なキャラでは無くなってしまうという欠点があります。

ではどうするのか?というアイデアは今のところ持ちあわせてないので、

他の作品で天真爛漫キャラをどう扱ってるのか?を参考にと提案する事くらいしかできません。

『俺ガイル』にその手のキャラがいたような。


で、アヤはその上、外見的な可愛らしさがねぇ...

『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2013年12月号 p489 中道裕大

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私はこのアヤを見て思わず「うわ酷い」とこぼしてしまいました。

可愛い系が苦手の中道先生ですが、これはちょっと...

デフォルメすると可愛らしいんですけどねアヤは。


いやね、中道先生決して可愛い系の女の子を可愛らしく描けない訳ではないんですよ。

前作『月の蛇』では女性キャラは3人出てましたが (mobと巻末漫画除く)

個人的に玲綺はどストライク、扈三娘はまーまー、ヒロインの翠華は微妙でした。

The Structure of ”After School Saicoro Club” #3でこう書きましたが、

除いたうちの巻末漫画の女の子はちゃんと可愛いんですよ。

『月の蛇』 5巻 p188 中道裕大

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ほら可愛い。超可愛い

まぁ星華は目の中の☆が無ければ、この画像のように可愛いくなるという噂や、

メガネキャラの玲華の方が可愛いという噂もあるのですがねw


この二つの画像を比べて、上の画像のどこに問題があるかは意見が分かれる所でしょうが、

個人的にはやっぱり輪郭が一番の原因かなぁと思っちゃいますね。

中道先生ココ読んでるんなら何とかしてーw (毎回読んでる訳でも無さそうですが)

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