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2017-02-15

【2017-2月物語三昧ラジオ】第45代大統領ドナルド・トランプさんに象徴される新しく表れてくる現代について


トランプがはじめた21世紀の南北戦争: アメリカ大統領選2016

この二冊は、著者の論理があって、ドナルド・トランプさについて学ぶには、とてもいいと思う。ちなみに、最初に読むのは圧倒的に渡辺さんおほうがいい。なんといっても網羅的でわかりやすい。

「トランプ時代」の新世界秩序(潮新書)

2017-02-14

『トランプがはじめた21世紀の南北戦争: アメリカ大統領選2016』 渡辺 由佳里著  2016年のアメリカ大統領選の導入の教科書ともいえる読みやすさ

トランプがはじめた21世紀の南北戦争: アメリカ大統領選2016

評価:★★★★★星5つ

(僕的主観:★★★★★5つ)

2016年のアメリカ大統領選のCAKESの連載記事『アメリカ大統領選、やじうま観戦記!』をずって追っていたので、この本を読みなおして、再度、大統領選を追体験した感じがして、非常に良かった。またこの本は、歴史の経緯、大統領選の仕組み、各候補者の特徴と支持者が網羅されていて、しかもとても平易に書かれているのでアメリカ大統領選挙の導入本として、とてもおすすめです。


アメリカ大統領選、やじうま観戦記!

https://cakes.mu/series/3628


1年以上も長く継続的にその人のFacebookや記事を追うと、その人の思考の癖がわかるようになるもので、著者の渡辺由佳里さんは、明らかにリベラルな人で、民主党支持で、それも中道路線支持、そして女性としてのヒラリーさんにシンパシーを感じているのですが、はっきりとそういう好み、自分の思想があるにもかかわらず、右左に対して非常にバランスがとれている人だと思います。自分の信条とすることをはっきり公言して、それでもなおかつバランスがある、というのはその人が信用できるかの重要なポイントだと僕は思います。敵に対して基本的に、口汚くののしる人は、見たいものしか見ない妄想の人であることが多いからです。妄想を信じるのは、理想主義的で、イデオロギーの基本なので、それすなわちダメ、とは言えません。ただはっきり言えるのは、バランスがない人は現実主義ではありえない。現実主義でない場合は、有用な意見ではない、と僕はいつも思います。渡辺さんは、プログレッシブ(バーニーサンダース支持者のような民主党の中でも左派)にまで行かないくらいのリベラルで中道に近い思想の持ち主で、かつ現実路線に親和性がある人だからだと、僕は読んでいてとても、心落ち着きました。自分の政治信条に近いし、何よりも道徳倫理的にバランスがあるの安心する。そして知的でディーセントで会話というか話す内容が、とても楽しい。もともと読書好きで、洋書のお薦めで有名な人だったのでそういう親近感もありました。


僕の英語力だと限界があるので、冷泉彰彦さん、渡辺将人さん、町山智浩さん、川崎大助さんなど日本語で、単純な事実だけではなく「評価する軸」みたいなものとともに全体の枠組みを示してくれる人はとても有用で、今回の選挙のナビゲーターとして、渡辺由佳里さんも、そういった指針ひとりでした。考えてみると、大手マスコミの記事はほとんど信じていないというか、事実の確認だけで、解釈は「顔が見える個人」を選んでいますね。そういう意味では、これも部族化の現象なんでしょうねぇ。というか、cakesやNewsweekの記事、毎回、凄い楽しみにしていました。なので、この本を読むことで、第45代大統領として、ドナルド・トランプさんが選ばれ、そしてこの2017年にアメリカから日本に戻ってきて(ということは、2期目のオバマ政権と45代大統領選挙をフルで体験できたわけです)それを振り返れるのは、とても楽しかった。

 

こうして、冷静に一冊の本で読むと、渡辺由佳里さんの記事、この本の面白さのコアがなんだったのかを一言でいうと、民主党支持のリベラルな中産階級のアメリカ人の「インサイダーの視点」でこの大統領選を眺めることができることだろうと思います。彼女自身が、ボストン郊外のレキシントンというアメリカ中でも圧倒的に民度の高い地域にいて、非常に知的で裕福な人であり、かつもともと日本で生まれ育った移民であり女性であることから多様性文脈に強い共感をもっていることを、等身大の主観で表現していて、「そういう立場の人」がどういう風に感じるのかが、とても分かりやすく伝わってきました。結局のところ、「その人自身」が見えて共感できないと、なかなか記事自体を信用できないんですよね。ちなみに、お金持ちで知的で上品な人って、たいてい嘘くさい虚栄心に満ちた人が多いのですが(笑)、渡辺さんは、そもそも読書が凄い好きな人で、とても等身大で、嘘くささがなくて、安心して声に耳が傾けられました。お題目ではないリベラルな人が持つ、穏やかさとバランス感覚を感じます。ちなみに僕も本の虫なので、本が好きな人には強いシンパシーを感じるんですよね。


こうした顔の見える個人の意見で世の中の現象を追うことは、「良さ」でもあるのですが、同時に「トランプ現象を生んだ部族化するアメリカ」という章で描かれているように、僕自身も、ずっと最後までヒラリー・クリントンさん支持でしたし、基本的な多様性を肯定し重視するリベラルなバラク・オバマ大統領のアメリカを素晴らしいと感じて、渡辺さんの意見に共感していたので、自分自身がかなり「部族化」していることに、気づきにくかった。自分の価値観にフィットすると、なかなかその他の価値体系を受けつけなくなってしまうのだな、としみじみ思いました。というのは、経済政策的には、僕は共和党の「小さな政府」志向の方が親近感があるし、トランプさんの経済に関するアプローチは、基本的に最初からだいぶ嫌いじゃなかったんですが、それでも、その部分を選挙当時掘り下げて考えられなかったのは、多様性の文脈を否定するロジックが感情的に受け入れがたかったからなんですよね。そういう意味では、自分もアメリカのリベラルな大都市に住んで、リベラルな人の囲まれていたので、情報もだいぶそっちによってしまっていました。いま考えると、取引先とか経営者仲間の友人は、ほとんど全員が消極的にトランプ支持、もしくはトランプさんが大統領になることを予測していたので、冷静に論理的に考えると、その可能性の方が大きいということを感じ取らなければならなかったのですが、感情的にできなくなっていたんだなーと思います。


さてこの本を読んでいて、様々なトランプ分析本などと比較して、これはいいな!と思ったのは、1章の「アメリカの政治のしくみ」が部分です。これはアメリカの大統領選挙の基本的な枠組みの説明と、過去の選挙の振り返りです。いって見れば教科書的なものなんですが、これが実は、最も今回のアメリカの選挙で重要なことなんじゃないか、とすら思いました。僕が読み取った大きなポイントは、



1)リンカーンのころから民主党と共和党の支持基盤は、まるで逆になってしまっている。

  1-2:大統領選挙と歴史の深い関係


2)オハイオ、フロリダ、コロラド、ペンシルバニア、ノスカロライナ、ニューハンプシャー、アイオワ、ネバダ、ミシガン、ウィスコンシン、ミネソタ、バージニアなど「スィング・ステート」と呼ばれる民主党が確実にとるカリフォルニアのようなリベラルな「青い州」でもなく、保守的な共和党の「赤い州」でもない州の動向が選挙を決める

  1-1:アメリカ大統領選のプロセス

 

この2点です。そして、今回の2016年の選挙を見る時に重要な点は、差別主義者(にみえる)のトランプさんが大統領になるのが感情的に許せない!というような部族的な感情視点というか表層的な部分ではなく、アメリカのマクロ構造がどういう風に変化してきたのかの「構造変化」のトレンドを見ることだと考えてみると、この2点がその説明になっているのだと思うのです。というか、究極、答えはこれじゃないか、とすら思えます。それを、シンプルに選挙制度と歴史から説明しているのは、たぶん著者は、導入部分を意図して書いていると思うのですが、僕にはこれが答えに思えました。


というのは、リンカーン大統領が共和党のリーダーだったときは、奴隷制度に反対して南北戦争を戦っています。が、しかしマイノリティが支持する民主党の最初の大統領のアンドリュー・ジャクソンは、アメリカ先住民を虐殺して出生した軍人で、150人もの奴隷を持つ南部の農場主でした。現在とまるで逆。なにをいっているかといえば、この当時と現在では、二大政党制の共和党と民主党は、その支持基盤が全く逆く異なる存在になってしまっているということです。意外に、このことをはっきり書いているものがないように僕は思います。なので、ずっとアメリカを追っているわけでもない人には、良くわからなくなる。このことは、実はあまりに基本的過ぎて、アメリカウォッチャーには、まとめ直す必要もないことなんだからかもしれません。でも、これをもっと敷衍していうと、アメリカの変化を構造的に読み取るためには、それぞれの党が自身の支持基盤をどのように変化させていくか、というトレンドを読み解いていけばいいということを言っていると思うのです。アメリカは、そういう意味で、民主主義国家であり、人々の意思が反映する、人々が君主であり主権を持つ国なんだなとしみじみ思います。


では、大きなトレンドとして、民主党がマイノリティに大きな支持基盤を持つこと、共和党が白人とキリスト教原理主義者に支持基盤を持つ現在がどうして出来上がったのかを考えてみると、当然ですが、それぞれの党が自身を強くするために、現在の支持基盤を獲得するべく努力してきたこと、またそれを維持するために「彼らの要求にこたえ続けること」が必要なことがわかります。分岐点はブッシュ(子)大統領の時にその分断が目に見えて見えてくるのですが、構造的な背景は前から進んでいるのです。


民主党は、マイノリティを基盤に置いています。なので、構造的に、白人の中産階級の男性という既得権益を奪い取って、マイノリティに分配するという力学が働きます。当然のことながら、白人の中産階級の男性からの支持は失われます。ちなみに、白人のお金持ちの人にリベラルな人が多いのは、はっきり言ってそれだけ余裕がある人は、生活よりも道徳や倫理のよりよく生きることに意識が行くからでしょう。多様性の文脈を肯定して、リベラルな方向に舵を切れば、どうしても既得権益の中心部から権力を奪い取るという方向になります。この部分について、渡辺さんは、今回のスィング・ステートで揺れる地域でのヒラリーさん敗北とトランプさん勝利の構造的な主要な理由の一つに、ヒルビリー(Hillbilly)があるとしています。これは、なるほどという論点です。


ヴァンスが「Hillbilly(ヒルビリー)」と呼ぶ故郷の人々は、トランプのもっとも強い支持基盤と重なるからだ。多くの知識人が誤解してきた「アメリカの労働者階級の白人」を、これほど鮮やかに説明する本は他にはないと言われている。


 タイトルになっている「ヒルビリー」とは田舎者の蔑称だが、ここでは特に、アイルランドのアルスター地方から、おもにアパラチア山脈周辺のケンタッキー州やウエストバージニア州に住み着いた「スコットアイリッシュ(アメリカ独自の表現)」のことである。


 ヴァンスは彼らのことをこう説明する。


「貧困は家族の伝統だ。祖先は南部の奴隷経済時代には(オーナーではなく)日雇い労働者で、次世代は小作人、その後は炭鉱夫、機械工、工場労働者になった。アメリカ人は彼らのことを、ヒルビリー(田舎者)、レッドネック(無学の白人労働者)、ホワイトトラッシュ(白いゴミ)と呼ぶ。でも、私にとって、彼らは隣人であり、友だちであり、家族である」


 つまり、「アメリカの繁栄から取り残された白人」だ。



トランプに熱狂する白人労働階級「ヒルビリー」の真実

http://www.newsweekjapan.jp/watanabe/2016/11/post-26.php

Hillbilly Elegy: A Memoir of a Family and Culture in Crisis


渡辺さんは、「2-5:分断するアメリカ トランプ-取り残された白人のヒーロー」で、ホワイトトラッシュ(白いゴミ)ともいわれる彼らに、声とプライドを与えたことが、トランプさんの躍進の理由だとしています。僕は、これはなるほどいい点をついていると唸りました。ヒルビリーの話題を日本語で最初に知ったのは、彼女からでした。


ちなみに、この本の、そして著者の渡辺さんの視点で、もう一歩ほしいなと思った部分があります。


一つは、ヒルビリーに対して渡辺さんの視点に共感がほとんどないなという点でした。たしかに困難に直面した時に怒って怒鳴って逃げる「負け犬」の姿勢、すべては自分以外が悪い、社会が悪いと考える思考に対して、嫌悪感を覚えるのはわかります。肯定できる点が確かにないし、特に中産階級として、努力してその立場を維持している人からすると、ましてや彼らの既得権益を認めると搾取されるマイノリティの立場としては(僕もアメリカにおける東アジア人というマイノリティでしたので)いいと思える点は全くありません。道徳・倫理的に、そもそも認めにくいですしね。しかしながら、たぶん政治家として、民主主義社会として最も重要なことは、the Forgotten Men and Womenの声を反映させることであり、声なき人々に声とプライドを与えることが重要な仕事のはずです。だから、この部分を無視してしまうのは、世の中に大きな反動を生んでしまうと思うのです。ドナルド・トランプさんが、大統領に選ばれたのは、まさに、この「声なき声」に全候補者の中で唯一まともに向き合った人だったからではないでしょうか。もちろん、それは、差別主義的な視点であり、悪い意味でのポピュリズムであるとしても、僕は他の候補者が、あまりに「その層」を無視しすぎたのも力を与えた原因ではないかと思えます。


やはり、彼らさえも包摂していこうとする視点を持たなければ、部族化して、一部の不満を抑圧することになるんだろうと思うのです。しかし、この部分は、難しい問題で、アメリカ先住民やアフリカンアメリカンの歴史を学べば、とても悩ましい。ある意味、白人のアメリカの既得権益の先祖たちが過去に蹂躙してきた権利を、現在に返せというようなアファーマティヴアクションは、時系列的に受益する層がずれています。いってみれば、悪いことをしたのは過去の白人のご先祖様なのに、なぜ「いま現在の俺が私」がその罰を受けてけてマイノリティに権利を奪われなければいけないのか?というのの理由が、過去そういった権利を蹂躙してきたから、というのは、いま現在に余裕がないヒルビリー、白人の中産階級以下の労働者層にしてみれば、何とも納得がいかない理由に思えます。だって「自分」が実際に得をしたわけでもないのに、生まれた時からマイノリティよりも権利が低いというのは、平等じゃなくないか?と思うわけです。本当の事実は、その人が努力していないだけなのですが、そういうことは人間は受け入れられません。恵まれている中流以上の、努力すればいくらでも上がれる白人はいいかもしれないが、そうではない層にとっては、撃ち捨てられて無視されて殴打される所業に等しい(いや、自分自身でそこは努力しろよ!とか、アフリカンアメリカンの差別はまだ根強く残っているんだ!とかは、正しいけど、言っても仕方がありません)。そして、往々にして、貧困と無教養の連鎖は、差別を求めるものなんです。自分より下を作って安心する以外に、上に脱出する「術」を学んでいないので、それ以外に方法が思いつかない。この繰り返す連鎖自身に目を向けない限り、こういう反動は常に起きてしまいます。この連鎖の構造は、そういう風に考えてはいけない!という風な倫理と道徳の「あるべき姿」を求めるのが最悪の処方箋です。現在のマスメディアなどのトランプ政権の反動は、そういう処方箋に見えて、僕は、効果がないなと思います。感情の表出は、人間の本質なので、仕方がないのですが…。


もう一つは、関連するのですが、ヒルビリー、ホワイトトラッシュ、白人の低所得者が、トランプさん支持のコアであるというのは、本当に正しいのか?という点です。というか、正しいとは思うんですが、「それだけ」なのか?というMECE(網羅)感があるかということなんです。実際、僕の周りにも、中産階級以上のかなりの人々が、本音はトランプさん支持でした。僕は、バリバリの西海岸の青い州に住んでいたにもかかわらず。しかも白人に偏らない。実際の選挙結果も、想定以上の女性がトランプさんに投票していたり、アフリカン・アメリカンの投票率が全然伸びなかったりと、スィング・ステーツが見事なまでにトランプさんにふれました。トランプさんが、差別主義者で、ヒルビリーの嫌悪すべき差別思考を支持母体にしているとすれば、これ「以外」の層に伸びるのがそもそもおかしい。トランプさんへの支持は、こうしたヒルビリー的な白人中年男性労働者階級の「アメリカの繁栄から取り残された白人」だけではないのではないのか?それが、目に見えて大きな具体的な塊なのかもしれないが、その背後の本質は、何かもっと広がりがあるものなのではないか?という部分を僕は知りたいです。まぁ、ちなみに、渡辺さんがそこを無視しているというわけではなくて、ヒルビリーという層を見つけたら、分析は、その背後のより普遍的な本質を見つけ出さなければいけないのではないか?という僕自身の気づきなんですけどね。そもそもこの本は、大統領選のプロセスを追ったものなので、それは次の分析なんですけどね。


ちなみに、じゃあこれは何か?といえば、やっぱり、2016年までの世界の大きな問題点は、マサチューセッツ州出身の上院議員エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)さんが思想的指導者であるOccupy Wall Streetなどに代表されるように、先進国における中産階級の解体の問題だと思うのです。この話はブログでずっと書いていますが、グローバル経済が進む中で、地球規模での富の平準化が起こりました。これまでは、国境で、その中で平等をしようという分配機能が働いていたのですが、グローバルな経済のリンクによって、富が、発展途上国、いわゆる「南の国々」に薄く広く広がるようになりました。いってみれば、先進国の中産階級は、これまで搾取してきた、資本主義の後発国や途上国に職と富を奪われたわけです。これは、道徳・倫理的には、正しいことです。国境の中だけで、分配機能を働かせて平等を達成しようというのは、その国境によって人類を差別しているといわれても仕方がなく、リベラリズム的には許容できません。"We are the 99%" は、それをアメリカの格差問題に話をリンクさせているところがうまいと思うのですが、アメリカ国内の問題は確かにそこはあるのですが(だからこそバーニー・サンダースさんが出てきた)、人類的には、正当性が弱い話だと僕には思いました。しかしながら、グローバリズムを否定して、というか、ナショナリズムの価値観に振れ戻してみれば、これはとても正統性、正当性がある議論になります。国境の中だけで考えろ、となるからです。そして既に、世界は、ブリクジットに代表されるように、ナショナリズムを肯定する国益追及の時代にフェイズが移りました。そのアメリカ版の意志の表れが、ドナルド・トランプ大統領だと僕は感じます。これなんとも寛容がないことなのですが、人類の経済成長は、構造的に先進国の中産階級以下を、特権階級と維持させるほどの力強さは持ちません。かなり暗鬱とするのですが、そういう時代に人類は入ったということだと覚悟すべきだな、と最近思います。


話が、少しずれてしまいましたが、僕は、渡辺さんのこの本は、2016年の大統領選を学ぶのにとても良い導入本だと思います。とても平易で読みやすく、大統領選の歴史経緯や各候補者の具体的なことを記載しているので、これを読めば、全体像がつかめます。欠点というわけではないですが、究極的には、渡辺さんはリベラルな人なので、この視点は民主党やマイノリティ、中産階級から見たバランスの良い点であるというところを意識しておけば、完璧でしょう。とても良い本です。ちなみに、日本語で共和党的というか、トランプさんをどちらかというと肯定的に書いている本では、三浦瑠璃さんの『「トランプ時代」の新世界秩序』がおすすめです。ある意味民主党的なヒラリーさん支持と逆の視点なので、両方読むと多面的に見えておもしろいです。


「トランプ時代」の新世界秩序(潮新書)





今回は、個人的には政治理念とかは抜きにして、ヒラリーさんに大統領になってほしかったと、心から思いました。それは、やっぱり女性が、人類の指導的超大国の指導者になる、という姿を見てみたかった!のです。僕はまだ40なので、僕が生きているうちに、女性のアメリカ大統領をぜひとも見てみたいです。・・・・ヒラリーさんは、それにふさわしい人だったと思います。英語がいまいちな僕でも、スピーチで何度も泣きました・・・。経済政策的には、僕は共和党の「小さな政府」志向を支持するし、トランプさんの経済政策は、基本的に、今思い返すと、ヒラリーさんよりも(といっても、実はほとんど差がない気がしますが!)良かったのですが、それでもね、、、女性の大統領になってほしかったですよ。こういうのを判官びいきというのかもしれません。



さて最後になりますが。この本のタイトルが、とても秀逸でセンスがいいのですが、このアメリカの分断を「新しく始まった南北戦争」ととらえるのは、とてもいいキャッチフレーズというか、分かりやすい例です。いろいろインスパイアされます。もちろん、そういう分断があること自体は、悲しくしんどいことなんですが。とはいえ、アメリカは分裂と統合を繰り返す振り子のような歴史なので、こういった分裂の力が激しくなってきた中で、今後どのような統合原理が働いていくかが、見ものだと思います。アメリカを見るときには、分裂への力学だけではなく、同時に統合への力学も働いているというバランスで見なければならないといったのは、鈴木透教授です。ちなみに、下記の本は、それを学ぶのにとてもいい本です。

実験国家アメリカの履歴書―社会・文化・歴史にみる統合と多元化の軌跡


ちなみに、その人を知るには、一番いいのはその人の人となりと、人生を知ることです。そんなこと、アメリカを知るためには関係ない!といってしまえばそれまでですが、僕は、彼女のお薦めの本を読んだり、記事の連載を追っているうちに、「このように考える人」は、どうやって出来上がってきたのだろう?と興味がわいて、下記の彼女の自伝というかエッセイを読んだのですが、それによって、彼女の判断がとても、信頼できるというか、楽しめるようになりました。その人自身を信頼するには、僕はこういう過去の判断の積み重ねの履歴があると、とてもいい補助線なると思うのです。このエッセイもおすすめです。


どうせなら、楽しく生きよう

2017-02-12

なんか、めちゃ仲良くなっているな。

いろいろトランプさんの話を見ていてわかるのは、身内との絆がめちゃくちゃ強いこと。離婚した奥さんとかフィミリービジネスの一翼を担っていたりする。しかも能力主義。長男を差し置いて娘のイヴァンカさんを重用するのは、彼女の能力が高いから。酒もたばこもやらない禁欲的なハードワーカー。っていうのとあのキャラクターを考えると、アメリカの気のいいおやじなんだろうなって気がする。アメリカのこういうおやじって、もうめっちゃめちゃ身内びいきなんだけど、身内って、いっつも一緒にいて、論理なしで泣きついてくる感じな関係がいいんだろうと思うんだよ。「どらえもーん、何とかして-」的なのび太的な。これ、別に馬鹿にしたり揶揄したりしているのではなくて、トップ同士の関係性が外交を決める時代になっていると思うので、キャラクターで関係性を作るのは大事なことなんだ。オバマさんは、シゴト重視過ぎて、経緯論を大事にする論理的な人だったので、ゼロベースや身内の関係性は意味をなさない。けど、トランプさんは、そうじゃないと思うんだよね。ゼロベースのディールメーカー。欧州の報道では、日本の物乞い外交がまた始まった的な論調に見えるけど、超大国アメリカとの関係は、常にそうならざるを得ない。早々に関係を結べている外交戦略としては、正しいと思うよ。欧州だって、同じなんだから結局は。超大国というのはそういうこと。ただし、トランプ政権がどこまで続くかわからないので長期にはるのがいいかわからないんだけどね。こういうのは、何に賭けるかって話だし。


・・・・とかいっていると、北朝鮮、、、、。

2017-02-10

レーガン大統領と中曽根首相を思い出します。

こういうのを見ると、レーガン大統領と中曽根首相をとても連想します。ちゅーか、トランプさん、これ間違いなくバカンスだよね。絶対一休みしたくて、いれた気がする(笑)。


ただ、冷戦時のような共産主義から自由主義陣営を守るというはっきりとした目的があるわけじゃない中で、東アジアにコミットする必要性は、アメリカにはほんとどない気がするんですよね。あきらかにアメリカの外交戦略方針は、このままじゃない。


数年後、どうなっているだろうか?と思います。このままの構造が維持することは、もうないと思うんですよね。

2017-02-07

2017-02-05

『やがて君になる』 仲谷鳰 著 まるで映画を見ているようなーシャープさが美しい

やがて君になる(3)<やがて君になる> (電撃コミックスNEXT)

評価:未完のためにまだ未評価

(僕的主観:★★★★★5つ)

最近のお気に入りです。好きで、繰り返し読んでいる。なんだか映画を見ているような気になるんだよね。まだ未完なのに★5つは、僕的には破格の評価。いや、めっちゃ好きなんだろうと思います。絵がまるで映画見たいに美しい。個人的には、初期のころの岩井俊二を凄く連想するんですよねー。


この系統の百合のお話は、無数にあって、僕は過去『マリア様が見えてる』で、祥子が救済されるにはどうすればいいのか?という視点で見てて、これじゃあだめだ!と叫んでいた(笑)頃を思い出します。下記の記事ですね。この構造的問題は、この類型の作品にはついて回ると思うので、読む時は気にしてみると面白いですよ。


マリア様がみてる ハローグッバイ』 今野 緒雪著 ついに祐巳・祥子編の終わり、大好きだが一点不満があります!

http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20090110/p1


さて、七海橙子と小糸侑の関係はどうなるのでしょうか。この「お姉さま」と「その妹」的な百合の関係は、圧倒的にできる「お姉さま」に「妹的な立場の子」が憧れるという関係をベースにすることが多いんですが、それが逆転していくところに面白さがある、と僕は思っています。けど、面白いことに、学校の中でのスクールカースト的な序列では、それは同じなのですが、この作品、意外に侑ちゃん立場が強いですよね。だって、橙子さんが、侑ちゃんのこと好きになってしまうわけですから。普通と逆。


そして、侑ちゃんの内面の変化、成長がこの作品の主題となっています。


けっこうこれって、斬新かもって思いました。だって、この類型は、常に強気ものとして君臨する「お姉様」的なポジションの内面の救済を、実際には立場が弱いとおもわれていた「妹的な立場の子」が踏み込んで解決することで救われるという関係性の逆転劇で、内面の救済を進めるという構造をとるものだからです。


僕他の百合ものに比べると、この作品圧倒的に好きです。絵が好き、画面作りが好きというのは、強烈にあるのですが、それ以上に、論理がある、というのが好き。論理というのは、僕が適当に言っている云い方でうまく言えていないかもしれないですが、百合の作品とかBL作品、根拠がないじゃないですか。その愛の。女性が女性に惹かれるのも、男性が男性に惹かれるのも、どっちも僕は嫌いじゃないのですが、「その人」が「その人である理由」に恋しなければ、僕はあまり反応しないんですよね。普通の百合やBLは、その前提や駆け引き、内面の探索は吹っ飛ばして話が進むので、僕的には「ご作法もの」と思ってしまうんです。「ご作法もの」というのは、「その前提は最初から受け入れてください」という物語。それが悪いわけではないのですがね。でも、名作、傑作は、そこにちゃんと筋道を作るものが多いです。


なぜ橙子が侑を好きになるか?。


それは「侑が誰も好きにならない」人だからです。


このロジックは、丁寧に考えると、よくわかることなんですが、文学作品でもない限り、なかなか読者に伝えるのが難しいテーマ。要は「誰かを特別と思うこと(=愛する)」というのは差別をすることなので、、、、という話につながるのですが、ああ、、これ、幸村さんの『ヴィンランドサガ』でクヌート王が発見したことですよね。まぁ、そこまで極端に思考は展開しないのですが(笑)、誰もが考える、感じる割には、それが突き詰められたり、何かの関係性につながっていくことは、なかなか表現しにくい話なんですが、僕そんな難しいこと考えることもなく、するっと、ああ、そういうことか、と伝わってきたので、、、、この作者さんうめー!と唸ってしまいました。画面のシャープさだけでなく話もシャープ。


というか、論理的には、「特別」ということをどういうことか知っていく侑の内面的成長の過程と、橙子の過去のトラウマの話からの解放の話がリンクしていくのは、この物語の王道の類型で、ちゃんと大きなエンターテイメントの流れに乗っていて、にもかかわらず、他の部分がとても深く魅力的なこの作品は、最近の一押しです。


やがて君になる (1) (電撃コミックスNEXT)


この記事の量を見ていると、いかに、マリみてシリーズが好きかがわかる(笑)


マリア様がみてる1 (集英社コバルト文庫)


■関連記事

『マリア様がみてる 薔薇の花かんむり』 今野 緒雪著 乃梨子ちゃんの涙がキレイだった・・・

http://ameblo.jp/petronius/entry-10056080825.html

『マリア様がみてる〜未来の白地図〜クリスクロス』  今野 緒雪著

http://ameblo.jp/petronius/entry-10022133430.html

『マリア様がみてる〜未来の白地図』 今野緒雪著

http://ameblo.jp/petronius/entry-10007607835.html

『マリア様がみてる〜くもりガラスの向こう側』 今野緒雪著

http://ameblo.jp/petronius/entry-10010869574.html

薔薇のミルフィーユ

http://ameblo.jp/petronius/entry-10002681968.html

レイニーブルー/憧れという感情

http://ameblo.jp/petronius/entry-10001686356.html

マリア様がみてる/憧れをバネにしたビルドゥングスロマン

http://ameblo.jp/petronius/entry-10001683343.html

2017-01-31

‘Calexit’ って初めて聞いたよ(笑)。まぁ、カリフォルニア共和国独立の話は、ずっとある話ですけどね。

f:id:Gaius_Petronius:20170130213444j:image

‘Calexit’ Organizers Can Start Collecting Signatures to Get Secession Initiative on Ballot

http://www.latimes.com/politics/essential/la-pol-ca-essential-politics-updates-coming-to-a-clipboard-near-you-1485483444-htmlstory.html


もともとある話だけど、これだけ分断が激しくなるとあり得る話な気がしてくるから、世界は何があるかわからないよね。

2017-01-29

国民国家の巻き返しを行うというアメリカ発の革命的な運動

いやはや見ていて驚きます。何が凄いって、公約通りなところ。任期の始まりでもう統治的には現実的には不可能だろう的なものをあっさり強硬。時代のパラダイムが変わっていく様を感じます。ちゅーかすげぇよ。むちゃくちゃだとは思うけれども、すごい実行力。

それにしてもグーグルの対応はさすが早い。

ここでカナダは、いい人材の受け入れ先になりますね。こういうところは素晴らしいというか、抜け目ないというか。

この三浦さんの分析が、僕は鋭いなーとしみじみ思います。そして、これが国民国家巻き返しの革命なんだということを、認識していないとだめなんだな、と思いました。たしかに枠組みを作りだす力が違う。アメリカは確かに単独で、世界のスキームを再提案して、実施までもっていけるわけですよね。これは、、、やるな、と思います。ドナルド・トランプさんを馬鹿にしてたり嫌悪しているだけじゃあ、この巨大なスキームチェンジについていけなくなるなとしみじみ思います。それにシナリオ的には、世界にアメリカの警察としての権力がなければ、どれだけ悲惨なことになるかの恐怖を味わいつくさせてから交渉するのは、アメリカ外交としては、確かに筋のいい方針だと思いますよ。戦争の可能性はあるけれども、実際、共和党の砂金の大統領はみんな戦争しているわけで、それを怖がるとも思えない。たしかに。

2017-01-28

『幼女戦記』 カルロ・ゼン著 タイトルでは考えられないガチなハードボイルドな戦争ものです(笑)

幼女戦記(1)<幼女戦記> (角川コミックス・エース)

評価:★★★★星4つ

(僕的主観:★★★★4つ)

アニメ化なんですね!って、まだ見ていませんが。小説投稿サイト「Arcadia」で一気にはまった読んだのを覚えている。思わずまた読み直しています。


超合理的できつい性格のサラリーマンが、リストラした部下に逆恨みされて電車に突き落とされて死んだところから物語は始まるんですが、まぁ、情が全くないというか、わざわざ合理的なことでも口に出して突きつけると人追い詰めてそうなるわな、という酷薄な性格で、神さま(存在X)の前でも態度が全く変わらなくて、それを反省しろ!って、戦争の真っただ中にターニャ・デグレチャフという小さな女の子として転生するんですが、孤児なので孤児院に引き取られて才能があって軍人としてどんどん出世していく、、、という話。


これ最初に読んだ時に、うまいなって!思ったんですよね。というのは、通常「幼女」なんてタイトルつけて、サラリーマンのおっさんが女の子に転生して9歳で、しかも軍人!とかなると、萌えを狙うのか?的なことを考えるじゃないですか。でもこれ、超ハードボイルドな戦争ものなんですよね(笑)。まじなミリタリー系の作品で、驚きました。もちろん9歳の幼女とのギャップが面白さにあるんだけど、メインじゃない、、、というか、この戦争マシーン、合理性の塊の行き過ぎって、明らかにライトノベル的じゃないよねって、最初に読んでいてすごい思ったもの。いまでこそ漫画もあればアニメもあるので、この幼女という部分がヴィジュアル的にギャップを生み出すのはわかるんだけど、小説で読んでいた時は、そういうイメージがないから、読んでいて、どう考えても戦争マシーンの兵士にしか見えなかったんだよね。超、ハードボイルド。でも、凄い読ませるというのは、あっ、読んだ当時止めれなくなっていっきに最後まで読んだもの、凄い物語のすすめ方がうまいと思う。というか、Arcadia系の方が、完結に向けての構造というのが意識されているものが多いような気がします。なので、最初に読んでいても、あっ、これ完結するなという感じがするので、なろう系の小説を読んでいるような、途中で終わるなという感じはしなかったのもよかったです。


漫画を見て、やっぱり面白いな!と読みなおしていたんですが、これ小説上手いですね。漫画はとてもうまい出来だと思うのですが、ビジュアル的な目に浮かぶものがまったく差がなくサクサク進むので、文章とテンポがいいのだろうと思います。


幼女戦記 (1) Deus lo vult

2017-01-27

45代アメリカ大統領ドナルドトランプ政権についていろいろ

私はこれらのデモに対してはあまりいい印象は持っていません。

確かに民主党支持者たちからは嬉しくないでしょう。今後どうなるのか不安もあることでしょう。でも、多額のお金をかけて長い時間をかけて、民主主義国家として正当な選挙を経てD・トランプ氏が選ばれたわけですよね?

それを決まった後に人数集めて文句言うのって…まぁ自由なんでしょうけれど、私はどうしても違和感を感じてしまうのです。

だって、4年前も8年前も、大統領選挙はあったわけです。民主党のオバマ氏が選ばれましたね。その時は共和党の支持者はとても嫌だったことでしょう。そして、オバマ氏は8年にわたり、ほとんどこれと言った実績も作らず、方々にいい顔だけをしてアメリカ経済を停滞させてきました。

このままだと、アメリカはジリ貧だ!

そう危機感を感じた労働者階級が、実際に実績を持っているトランプ氏にベット(賭け)したわけですよね?

う〜ん…自由は自由なんですけれど、さすがにまだ始まってもいないのであれば、いったん様子見でいいんじゃないのかなぁ…と思うのですけれど、そうはいかないようで…。ただ、忘れないでほしいのは民主党の支持者は怒っているようですが、そもそもトランプを産み出したのはオバマだからね?彼が口だけうまくて何にもやらなかったからこうなってるわけで。

日本の政治家も学ぶべき。私が「アメリカ第一主義」のトランプを支持する理由

Column 2017.01.23

http://spotlight-media.jp/article/372554098250501796?utm_source=facebook&utm_medium=social&utm_campaign=own_page


これは、僕も思うなー。安倍政権に対してもそうなんだけど、嫌いでも、選挙で合法的に選ばれている人を口汚くののしったり、デモナイズするような態度はとても下品だと思うよ。



トランプ政権が公表した政策は名前を見ただけでその狙いがわかる 外交も経済も治安も

https://www.buzzfeed.com/eimiyamamitsu/trump-issues?utm_content=buffer730dd&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer&utm_term=.jtO4G4ZRB#.coezQzmX8


町山智浩)完全に意図的になんですよ。だからこれは、要するに共和党の持っているイデオロギーである「政府を小さくする。政府の仕事をどんどん小さくして、政府の企業に対する規制を減らしていく」というのが彼らのポリシーなので、政府自体の各省庁の仕事をどんどん減らしていく人を選んでいるんですよ。

(山里亮太)はー! 普通だったらもっと段階を経て、ちょっとずつやっていくところを一気にボン! となくす人事にしているんですね。じゃあ。

(町山智浩)そうなんですよ。徹底的にその省庁自体の廃止を訴えている人をその省庁の長官にするっていう形を今回、とっています。たとえば、これすごいことになっていて。保健福祉長官……要するに、健康保険とかの長官はオバマケア、公的医療保険の撤廃を掲げていたトム・プライス下院議員なんですよ。

町山智浩 トランプ政権の閣僚の顔ぶれと選考基準を語る

http://miyearnzzlabo.com/archives/41725

いやー町山さん、相変わらず面白い。アメリカウォッチャーならば、この人、追っていないと!といつも思います。ただラジオだと聞く時間がなかなか確保できないんだよなー。しかしながら、強烈に「小さな政府」志向をしている人事というのは、面白い。なるほどそういう思考でやっているのか!と思うと、いろいろうなづけるところがあります。こういう人が日本語でいろいろ情報を流してくれるとすごいうれしいですねぇ。いつも大ファンで追っています。


■「田舎の力をバカにしてた」

——なぜ、事前の予想を覆してトランプ氏が当選したんでしょう。

地方での世論調査の精度が落ちているんですよ。日本と違ってアメリカには全国紙というのはほとんどなくて、地方の世論はローカルメディアが支えている。でも、ネットの普及で地方新聞の衰退が日本以上に激しい。

よく報道されているように、得票率はヒラリーの方が多かったんですよね。でも、選挙結果が読めない、「スイングステート」と呼ばれる接戦区を落とした。だから負けた。その接戦区はどういう地域かというと、広い面積の中に人口の多い地方都市があって、そのほかは田舎、っていうところ。僕の故郷のコロラドもそう。同じ州の中に、都会対田舎、という構図があって、その2つは同じ州であっても全然違う。

じゃあ、アメリカで起きた分断、ってなんだったのか。

アメリカって、広いですよね。多くの人が見てるテレビはどこで撮ってますか?

——都会ですよね。

そこでコメントしている人は、どんな人ですか?

——都会に住んで、企業や大学に勤めている知識人ですね。

そうなんですよ。そういう人たちは、田舎の力をバカにしてたんだよね。でも、人口が少ない町は半分以上の支持をトランプが集めていたんです。

僕の故郷のコロラドだって、いっぱいトランプ支持者がいる。田舎の町は、「God, guns and gays」と英語で言うんだけれど、宗教重視、銃所持支持、そしてアンチ・ゲイ。これが主な政治的イシューであり、主張なんです。あと中絶は認めない、という。地下鉄なんかはもちろんなくて、みんなクルマに乗る。そのクルマには「神の思し召しのままに」というステッカーが貼ってあって、カーラジオをつければ、クリスチャンロックや、聖書の言葉が流れ、道の脇には、「最近、神と対話しましたか」と教会の看板がある。ニュースは(保守的な)FOX。そういう世界。


「田舎の力をバカにしてたよね」 なぜトランプが当選したのか、パックンが語る“日本人の知らないアメリカ”

なぜ、トランプは当選したのか

https://www.buzzfeed.com/daichi/pakkun-talk-about-trump?utm_term=.eqp20259n#.hpAp7pD54


田舎や地方と大都市が対立する構図って、世界共通ですよね。


宮台:加えて、グローバル化が新しいフェーズに入っているのもあります。世界の貿易量がどんどん減っているんです。中国の賃金や土地が上がり、そのぶん消費社会化で内需が膨らみ、中間生産財から最終生産財まで中国国内で作るようになって、今までのような中間生産財輸出型ビジネスモデルが終わりました。それで今度はインドやミャンマーが中国の道を歩むのかといえば、そうは行かない。なぜなら、テクノロジーが発達するからです。テクノロジーが発達するほど、わざわざ資本を他国に持ち出すより、国内で安く作れるようになります。IT化も、物というよりサービスの質で勝負をするようになります。かくして、地産地消型のローカル経済を回すIT産業を前提とした上で、グローバル化を回すという新しいフェーズに入ります。典型がアメリカの60万都市ポートランドです。こうした変化を踏まえれば、共同体を空洞化させる従来的なグローバル化の野放図さにブレーキをかけるために、まさにこの時期にこそシンボリックなことが起こったほうがいい。トランプ政権が法律を変えて独裁を永続させるといった恐ろしい事態が起こらない限り、せいぜい8年の任期です。混迷が大きければもっと早く終わります。そのぐらいの新しい時代の産みの苦しみは不可避でしょう。エスタブリッシュメントの自明性を壊すには、一定の荒治療が必要なのですよ。

中略

―では、日本は今後どうするべきなのか?あるいは2017年以降、日本にどんな影響が考えるられのかを最後に聞かせてください。

宮台:周辺国が豊かになる速度やテクノロジカル・イノベーションを考えれば、今後はイギリスと同じで、GからLへグローバル化からグローカル化へという道しかありません。野放図なグローバル化で資本が収益をあげられる時代は、もう長くは続かない。基本的には、自立的経済圏をベースにした共同体自治をグローバル・テクノロジーが支援する、という時代に向かいます。すでにそうした方向に向かっています。もちろん問題はあれこれ起こります。でも、それはしょうがないんです。

ローリングストーン日本版2017年01月23日 12:30 特別対談|2017年はどうなる?世界の変化と日本の行方:宮台真司(社会学者)& 萱野稔人(哲学者)

http://blogos.com/outline/206904/


あいかわらず、宮台さんの頭の良さとキレは、凄いものがある。ただこの人は現状分析は、凄まじいぐらい当たるし、読み解けるけど、20年近くの過去の発言を見ていると長期的に絶対に処方箋を逆に間違える人(笑)なんで、いつも思うのですが彼の逆張りをしたほうがほぼ当たる(笑)。でも、現状分析の視野の広さ深さは、流石を通り越して、いつも通り、なんでこんな頭がいい人がいるんだろうと驚くレベルですねぇ。いやはや、本当にこの人の分析は凄い。しかもシンプルにまとめるのが破壊的にうまいですよね。こういうのを天才っていうんでしょうねぇ。


この大統領令は、トランプ氏がオバマケア撤廃に踏み切ったように見えるが、議会にオバマケアの代替案について考える時間を与えることにもなりうると、ジョスト氏は語った。「興味深いのは、これによって議会が早急に撤廃、代替案を用意しなければならないという圧力から解放されるのかという点です。議会からすると、代替案がすぐに出せなくても、トランプ氏がオバマケアが起こした問題に対処していると言い訳できるからです」と、ジョスト氏は言った。

オバマケア撤廃に向けトランプ大統領が動く 就任直後に大統領令を出した狙いは?

The Huffington Post | 執筆者: Jonathan Cohn

投稿日: 2017年01月22日 18時36分 JST

http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/22/obamacare_n_14312390.html?ncid=fcbklnkjphpmg00000001


オバマケアの扱いについては、僕はとても興味深いと思っている。というのは、トランプさんというのはニューヨーカーで民主党支持者が長い人で、僕は共和党的でない部分が強いとおもっているんです。もう少し精確にいうと、ティーパーティーなどのラディカルな小さな政府支持者じゃない気がする。なので、オバマケアの運用、その代替案、その後を見ると、この人の本当にしたいことがわかるんじゃないかと思うんですよね。単純に撤廃ではなく、色々段階分で考えてくると思っていたので、非常に興味深い。


彼の就任演説では、選挙運動メッセージ(America first, Make American great again)や共和党候補受諾演説でのレトリック(例えばforgotten men and women of our country)がそのまま使われている。言い換えれば、トランプは選挙期間中からの主張を貫き続けた。

つまり、トランプ支持層(主に白人男性労働者階層)にとっては期待通りだった。特定の聴衆・階層の「うけ」を狙った迎合演説としては、大成功といえる。

しかし、大統領の就任演説が、一部の支持層向けだけに語られたことも、これほど挑発扇動的なレトリックばかりで綴られたことも例がない。


井上泰浩

広島市立大学国際学部教授、ハワイ大学マノア校客員研究員

トランプ就任演説の特異さ 歴代大統領(リンカン、ルーズヴェルト、ケネディー、レーガン)との比較分析

http://www.huffingtonpost.jp/yasuhiro-inoue/trump-presidential-inaugural-address_b_14325290.html?ncid=fcbklnkjphpmg00000001


これは、僕はうなずけないなー。特定支持者に向けたというステレオタイプな言説は、なにも明らかにしないと思う。分析があまりに皮相的だと思う。この世界が、なぜこちらの方向へ向かって行くか、という本質的な説明に全くつながらない。


民主主義の守護者としての米国を愛していた、英国首相のチャーチルは「米国は常に正しい選択をする。他のあらゆる選択肢を試した後にではあるが」との言葉を残しました。昔も今も先の読めない長い戦いゆえ、光が見えるまでに米国は様々な試行錯誤を繰り返すと思います。

 今回が正しい選択の方だったか、正しい選択をする前のトライアルであったのかは今後の結果で示されるでしょう。しかし、閣僚の人事を見る限り、ちまたで期待されているニクソンやレーガンの再来ではないような気がします。

 私は投資家として、トランプ大統領には期待できないと判断しているので、米国経済や世界のマクロ経済がどのような状態であっても独自で成長できるような会社を選択して投資することが安全な方策であると考えています。米国第一で米国の輸出企業が国内に戻ることになっても、それによるメリットとデメリットを考えると、コスト高などのデメリットのほうが上回りそうです。こうした先行き不透明な時代こそ、投資の原点に返り、企業の本来的な価値を継続的に高めることができる会社に投資すべきです。

http://style.nikkei.com/article/DGXMZO12003220T20C17A1000000?channel=DF280120166569

トランプ時代は不透明 投資は原点に返る(藤野英人

レオス・キャピタルワークス社長兼最高投資責任者

レオスの藤野さんは、かなりトランプさんはだめだと判断しているのですねー。