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2014-04-09

本は読むものではなく、記憶するととてもいいですよ、というおすすめ。

パイドロス (岩波文庫)


【メディア論】100年後の本 佐々木俊尚 第9回 2014.3.28.更新


この記事がとても面白かった。細かい内容よりもズバリ、タイトルで書いたように、


本は読むものではなく、記憶するものだった。


ここが、興味深い。僕が言いたいことも、これにつきます。もう少し表現を変えれば、本は記憶するものだ、記憶すると全く違った世界が見える、ということです。


もうちょっとコンビニエントに説明すると、ただ情報を摂取するのと、暗記するのは、自分の思考方法に与える影響が全く違います。


思考方法、、、もう少し噛み砕いていうと「考えるやり方」というのか「物事を考えるときの筋道」「発想のパターン」みたいなものは、型があるんですよ。これって、なんというか、とっても物理的なんだと僕は思うんですよ。


物理的というか身体的といったほうがいいかな?。


言葉でしゃべると、言葉でしゃべることができる、そのスピードとかに制限されるじゃないですが、その制限(物理性、身体性)が、パターン認識で、体に刷り込まれるんですよね。


本というのは、他者が作り出した思考のパターン、発想の類型の、大きなまとまりなので、これを丸ごと順序の通りに暗記すると、その思考方法が、自分の持っているオリジナルのものに凄いリンクして影響を与えるんですよ。


なので、発想を豊かにしたかったり、本当の意味で「自分の頭で考える」ことを身につけたい人は、これと決め込んだ本を、暗記するといいんですよ。


全部が難しい場合は、気に入ったフレーズやページを抜き出して、フレーズ集にして、それを毎日唱えて暗記する。時々書く。喋るのや書くという物理性が、体にしみこませるのにはききます。メインの部分や、ちょっと気に入ったフレーズを長めに(いくつか)暗記すると、本を丸ごとのイメージが暗記できるようになります。


するとね、、、長い時間がたつと、その書き抜いた+暗記した人の思考形式ととても似た思考形式を自分がするようになることに気づきます。


もちろん、そっくりそのままにはなりません。自分の経験が違うからだし、一冊だけを暗記するわけではなく、いろいろ自分が好きなものを人は組み合わせるからです。


ようは、それが本当の意味での「対話」ってやつなんだろうと思います。


そしてソクラテスは、本当のことばのありかたについてこう語る。

 それはほかでもない、ひとがふさわしい魂を相手に得て、ディアレクティケー(佐々木注:対話、あるいは対話によって弁証法的に昇華すること)の技術を用いながら、その魂の中に言葉を知識とともにまいて植えつけるときのことだ。その言葉というのは、自分自身のみならず、これを植えつけた人をもたすけるだけの力をもった言葉であり、また、実を結ばぬままに枯れてしまうことなく、一つの種子を含んでいて、その種子からは、また新なる言葉が新なる心の中に生れ、かくてつねにそのいのちを不滅のままに保つことができるのだ。そして、このような言葉を身につけている人は、人間の身に可能なかぎりの最大の幸福を、この言葉の力によってかちうるのである。


ちなみに、白鯨だったか何だったか忘れてしまったんですが、なにかの海外の文学で、何かの船乗りの船長が、とても教養ある人で、、、、彼は、シェークスピアの主要な作品をすべて暗記していて、何かがあることに、その時の主人公の気持ちやセリフを引用しながら、いろいろなことを語る人がいました。が、その船長は、学校を出ていないんですね。でも、素晴らしく豊かな世界の生きているのです。


それは、豊饒な言葉と表現の世界に生きているからだろうと思います。


言葉は、暗記して、身体に馴染ませなければ、「その言葉」で世界を掴み返すことができません。


世界を掴み返すって、意味不明な言い方ですが、、、、、なんというのでしょう、言葉を暗記して自分の身体まで刷り込むと、「その言葉や文章の持つ世界観」という眼鏡を通して、世界を眺めることができるようになるのです。


そして、身体まで馴染んだ言葉が豊穣であればあるほど、その人は豊かな世界に生きることができます。


自分(主体)と、ことばと、現実そのものと、その3身一体で世界というのは、構成されているからです。この辺は、哲学とか現象学とかの意味不明な話になってめんどくさいので、そんなものだ、ぐらいに思ってください(笑)。ようは、りんごという言葉がなければ、それが、りんごっていうことが、わからないでしょう?。なので、りんごという概念を知ると、りんごがある世界観の中に生きることになります。とか、そんなテキトーな感じで、考えてください。


まぁ、とにかく、気に入った本やフレーズを暗記すると、世界がとっても違って見えますよ、というおすすめです。


自分の頭で考えたい、自分の思考方法を変えたい!という人は、おすすめします。ああ、ちなみに、小説のフレーズを暗記するのもすごくいいですよ(むしろそっちのほうがベターかも、、一番ベストは、実は詩なんですよね。)セリフとかも。その主人公の世界観や小説家の世界観で、世界が切り取れるようになります。


短期記憶ではなく長期記憶になるように工夫してみると、特に効果抜群です。


ちなみに、上記のギリシャ哲学ですが、、、あの時代っておもしろかったろうなー、、、、と思います。うらやましい。あれって、自分の作った生き方や世界把握の方法を実践する、それぞれの新興宗教集団なんですよね。別にモノを考えているだけじゃなくて、集まって考えながら実践しているわけだし。面白そうだよなーと、凄い思います。


記憶術と書物―中世ヨーロッパの情報文化