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物語三昧〜できればより深く物語を楽しむために このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2017-05-30

『ツナグ』 辻村深月著 安定の辻村節なるも、小粒な話でした。

ツナグ

客観評価:★★★☆3つ半

(僕的主観:★★★3つ)


辻村深月さんの大ファンなんで、小説が積読になっていて、今回の出張の新幹線の中で消費。が、映画にもなった作品だと思って期待していたのですが、、、、、いまいちでした。「死者に会える」というお涙頂戴ものの設定を、様々なひねりを加えていること、最後の章で、当事者ではないツナグ側の視点に変えて全体を統合していることなど、構成がうまく、最後に様々なものが複雑に合流する辻村節を見せてもらった感じがして、あーやっぱりこの人だなーというオリジナルなうまさはあるんですが、どうしても小粒な感じ。この系統の話ならば、まぁ別に読まなくてもと思ってしまった。仕掛けが凄いうまい人なので、やっぱり長編を読みたいなと思いました。期待が大きかった分、がっくり。

嵐美砂、御園奈々美の話のように人間の真理をえぐる話であるならば『凍りのクジラ』までいってほしかったし、ツナグの視点から全体を頭語するカタルシスを見るならば『スロウハイツの神様』のような壮大なものを見たかったし、と思ってしまう。辻村さんの最初の作新ならば、『凍りのクジラ』や『ぼくのメジャースプーン』がおすすめかな。


『スロウハイツの神様』 辻村深月著 この絶望に満ちた世界を肯定できると力強く断言すること

http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20110616/p3

『凍りのクジラ』 辻村深月著 その安定した深い人間理解に感心

http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20091023/p1


凍りのくじら (講談社文庫)

2017-05-25

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才川夫妻の恋愛事情 作者:兎山もなか

http://novel18.syosetu.com/n1346dh/

客観評価:★★★☆3つ半

(僕的主観:★★★★★5つ)

えがった。仕事で長時間電車に乗っていたのですが時間を忘れて全部読み切ってしまいました。久々にすごいよかった 特に才川君と花村さんの馴れ初めの話の回がすごい良くて、これは才川くんが 奥さんに初めて会って惚れた時の話を描いている話なんですが、あーこれは惚れるなというふうになんか思ってしみじみ思ってしまいました。まぁ書いてありますが、就活ラブは、ストックホルムシンドロームのようなもので、就職活動の非日常のドキドキと恋愛をまぜこぜにしているので、進路が決まると(たいてい望まない結果になる)たいてい、別れますよね。でも、結局どんな陳腐な出会いでも、出会いは出会いで、胸に刺さってしまうかどうかなんですよね。そして刺さったものを、奪い去って、絶対に話さなければ、幸せって続くんですよね。なかなかできないですが。そういう意味では、才川君、少し急ぎすぎですが、いやーいい決断力と押しだなーと感心します。


それにしても、もなかさん、この人、会話とか間合いの感じの表現が、とても上手いですね。花村さんのほんわかとした天然な感じがよく伝わってくる。それだけではなく、才川君が、彼女をどう眩しく見ているのかが、伝わってくる。


ずっと、ほんわかしっぱなしで、新婚当初とか付き合い始めのドキドキがずっと続いている感じで、堪能しました。この話にひきこまれて、凄い感動したのは、もちろん作者の兎山もなかさんが、とてもとても関係性の描写がうまいというのもありますが、自分の恋愛や愛を見る時の課題いというか問題意識(笑)に凄い沿っていたからでもあると思います。

えっとね、これを読んでいる時に、いろいろ思いついたので、、、こういう少女マンガを見る時に、僕の中ですっごく大きな見る視点って、なんだろう?って少しまとめてみました。それは、


「キラキラ」って、どこからきて、どこへいくんだろう?


というテーマです。うんとねーこれって、関係性を見る上で、そして少女漫画を見る上で、それから僕がテーマに見ている「家族」の変遷を見る上で、そして自分の恋愛や家族を考える上で、そのすべての主軸となるアイディアというか「ものの見方」なんです。


ロマンチックラブイデオロギー解体の視点で恋愛を描いた物語を眺めてみる(1) あなたにキラキラはありますか?

http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20130405/p1


ちなみに、結婚観について、結婚後の男女の関係性についての日米の差異を凄い感じた『Shall We ダンス?』は、ぜひとも日本版と米国版を比べてみてほしいです。これは断トツに、僕は、リチャード・ギアの解釈に感情移入しました。奥さんを、奥さん「その人」を好きな人は、こういう解釈にならざるを得ないはずだからです。この記事は自分でもすごい気に入っていて、なるほどこういう風に男女の関係性を考えるのかという、モノの考え方のヒントになると思うので、おすすめです。

Shall we ダンス? [DVD]

どこかのインタヴューでで主演のリチャード・ギアが、


「オリジナル版の周防監督の脚本は、完璧であって、リメイクにあたって変えるところはなかった。」


と云っていたが、まさにその通り。


演出の要である各キャラクターの動機(モチヴェーション)の解釈は、100%といっていいほど同じであり、そもそものオリジナル作品の脚本構造の完成度の高さが、リメイクされて(役者や状況を入れ替えて)初めて際立って理解できた。いい脚本は、シュチュエーションや役者を問わないのだな、と関心しきり。


しかし、ただ一点だけ、邦画と全く異なる解釈が為されている部分がある。


それは、リチャード・ギアとスーザン・サランドンの夫婦関係の解釈だ。


これはリチャード・ギアも喧伝しており、結構有名な話だが、実際に映画を見ると日米の夫婦関係の違いを非常に強い形で見せられて、非常に興味深かった。これほど見事にツボが違うのは、たぶん米国における家庭・夫婦観と、ものすごく異なっているということだろう。異文化理解にも重要ポイントかもしれない。



『Shall We ダンス?』 ピーター・チェルソム監督 妻への本当の愛情

http://ameblo.jp/petronius/entry-10076503891.html

Shall We Dance ?(初回限定版) [DVD]


昔どこだったか恋愛関係の記事で書いたことがあるんですが、一番いい恋とかHってどんな風にできるのかなあ?とつらつら考えていると、やっぱりも焦らして焦らして焦らしまくるのが一番いいんですね。というか、恋愛初期の初めてのHとか、初めて覚えたての頃とか、もうどっかドッカン、キラキラしているじゃないですか(笑)。動物のように。でも人は慣れて飽きて、落ち着いていく。この「最初の部分だけがいい」というと、次から次へと相手を変えていって。そして年老いて、その先にあるものに出会えずに人生が終わっていくという悲しい失敗をしてしまうのですが、まぁ、Hとか恋ってそういうものなので初期のステージが一番、新鮮でドキドキする。けど、なんというのかなー恋愛なんて3か月も付き合えば、3か月もヤれば飽きちゃうものなんですよ。少なくとも初期ステージのドキドキ感は失われる。だったら、この初期のドキドキを維持するためにどうすればいいのか?と考えると、それは寸止めの放置プレイなんですよね(笑)。要は、焦らす。つまり引き延ばすわけです。まぁ、初めてであった時とか、年若い頃は、野獣ですから、それは無理なんですけどねー(苦笑)。


えーと何だったっけなあ・・・・思い出した外薗昌也さんと別天荒人さんの『ガールフレンド』という作品の確か1巻と3巻の最後の章で書かれている美奈子と京一の話だったと思います。これ昔、記事で書いたんですけど、好きなんですよねー。この二人のシリーズは、結局まだ実際にはエッチを全然していないんですよね。ひたすら精神的な焦らしだけで、じわじわ話が進む。これ男の方が、それをすごい頑張って演出していて、女の子の方がなぜそんなことするのかよくわからないとジリジリ悶えるという『才川夫妻の恋愛事情』と構造的に全く同じですね。才川夫妻は、既に夫婦ですが、それゆえに、よく才川君我慢するなーと、その涙ぐましい努力と、鉄の意志に感心しましたよ。あんなかわいい奥さんが隣で寝てたら、我慢するのまず不可能だよ。別途を別々にとか、本当に、わかるよ、あれそうでもしないと我慢するの不可能。


この作品で、1巻の最後の章と3巻の最後の章で描かれている美奈子と京一の話が、凄いお気に入り。(あっちなみに、数話ずつで完結する形式です)

これわっ!!!

よくわかっていすぎるっ!!!。

すごいぜ京一っ!!!!。

そんなに若くて、既に放置プレイかよ!!!!(笑)。

実は、この二人のシリーズは、まだ実際のHシーンは全然ないんだよね。あくまで、精神的なじらしだけ(笑)。うーん、若いのに、わかっている(笑)。

というか、若くないと、ほんとうはできないことなのだが、これを、若くして理解できていたら人生かわっていたと思う(苦笑)。すげーうらやましい(笑)。たぶん、女性側も、男性側も、どっちの立場であっても、うらやましいなぁ〜。でも、この京一の自意識のあり方は、物凄くよくわかる・・・・おれって(笑)


■あらすじ

高校生活は楽しいんだけどなんだか満たされない感じで普通に生きていた美奈子は、同級生の京一というみんから変人扱いされているヲタクに、あるとき、マンガを貸してもらいます。

誰とも仲良くなる美奈子にとっては、別に、特に意識したわけではなく、ただ単に「おもしろそうだね」といったら貸してくれたので借りただけでした。彼女は、すっごくもてる美少女で、最初は、マンガや本ばかり読んでいる京一を最悪のキモオタクとか思っていました。

けど、その貸してくれた小説やマンガがすっごいおもしろくて、何度もいろいろ借りているうちに、京一ととても仲良くなっていきます。

ちなみに、このプロセスは、すごいわかるなー(笑)。

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ちなみに、そんな誰からも好かれる美少女の美奈子と付き合うようになった京一は・・・



(以下美奈子の回想のセリフ)

「こいつは・・・・・私を抱かない・・・・!?


つきあいはじめて2ヶ月以上になるのに キスは一回だけで、それ以上は なし・・・


いつも突然・・・・・・・・・体に触ってくるだけで それ以上は何もしないのだ」



触るといっても、指で背中を触る程度。

この、なぜ、彼女にHを求めないかの京一の理由が謎解きになって緊張感を与えるのですが、この理由がすごい!!!。すごいんだよ(笑)。


・・・・・・・・・・ほんとは、「ここ」の部分を、説明したくてしかたがないんだが(笑)。でもまーまだ読んでいない人もいるでしょう、辞めます。ただ、未知へ踏み出す感覚を、ペンディングするワザは見事です、ということだけ。


こういうちょっと痛くて、SEXに自意識が絡む話って好き。


これは、男性ではなくてむしろ女性の意見を聞いてみたい作品だ。



『ガールフレンド』 外薗 昌也:著/別天 荒人:画/自意識を描いた恋愛〜京一と美奈子

http://ameblo.jp/petronius/entry-10007236944.html

ガールフレンド 3 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)


これねこれ、男性の方、京一くんんが本当によくわかってますね。夫婦がダメになっていくプロセスは、飽きが大きいと思うんですよね。飽きに対して、なにをするかというロングスパンでの問題意識がなければ、通常のプロセスに飲み込まれていくものです。夫婦に限らないと思いますけど恋愛とかが駄目になっていく理由を言うのは飽きで、これをどうやって乗り越えられるのかというのが、凄い重要なことなんです。しかし、ここがなかなか難しいことだとは思うんですが、飽きに対して対抗するのに対して強度というかそれに対する方策として、激しいテンションを持ってこようというと考えるのが、通常の気づきなんですが、、、、、「ドキドキ」がどれくらい失われないかどうかが「どれだけ相手が本質的に好きかの指標」なんですが、仮に、本当に好きでも3年ぐらいの単位でも、どうしてもかなり摩耗してくる。どうやってこのドキドキの新鮮さを、言い換えればSEXの(うわっ即物的(笑))強度を保つかという風に考えると、より激しいHをって話になってしまいやすい。単純いわかりやすいし、論理的に具体的にその方向が見えやすいからですね。だから、飽きが来た夫婦(恋人でも同じですが)が、3 P に行ったりとかスワップ(相手交換)とか、そういうのに行きやすいんですね。『失楽園』とか浮気でも、その方向ですよね。ようは、新鮮な刺激がほしいという動物的な動き。この辺の文脈を突き詰めていくとキューブリック監督の『アイズ ワイド シャット』みたいな、意味のわからん話になりますが、この辺の「感覚」や「感触」は、このへんの倦怠感の不毛さ、摩耗した感覚を、日常のインプロヴィェーションが失われて、日常から脱出できない不毛をベースに考えると、よく理解できます。要は、対応策に強度を、より激しいものを求めているわけ。ちなみに、ニコールキッドマンのこの映画の最後の結論が「ファック」だったのは、夫婦が揉めたり倦怠期が訪れたら、とりあえずやっとけ!という結論なわけですよ。キューブリックもインタヴューでいったので、これまじです(笑)。


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とはいえね、この強度を求める方向というのは、悪手というか筋が悪いんですよ。3Pとかスワッピングとか野外プレイなっていたりとかって、その程度だったらまだいいのかもしれませんが、これもめちゃくちゃもっと行くとならどんなひどくなっていけるじゃないですが、、、暴力をサンプルに考えるとわかりやすいんですが、人生と同じですね、勝って、勝って、勝って戦って上昇すれば幸せになれるのか?と言うと、それは全然別のもうなったりまするもんですよね。幸せと勝つことは別物だからです。非常に難しいパラドックス。強度を求めるには、ひねりがないと、エスカレートするだけなんです。そして破局が訪れる。


ただし新婚とか付き合い始めという意味で考えるならば、この方法(=焦らし)は、最も良い方法だと思うんですね。まぁ、若い時はがっつくので、難しいんですが(笑)。で、この『才川夫妻の恋愛事情』が、特にいいなと思うのはこれもちょっとエッチな話なんで、セックスも含めて描かれているので、恋愛を描く少女漫画よりもの射程距離がすごい長くいいんですよね。やっぱり大人な立場としてはですね、こういうのいいなって思うんだよね。相手のことを好きな気持ちが背景にあってセックスをする時の恍惚感や幸せ感っていうのは、まあとんでもないものがあるんですけども、山のピークみたいなものがあって、飽きによって徐々に下がる。それをどうやって、その山の部分でキープするかっていう話なんですが、7年もキープする(笑)。才川君天才!と思いました(その我慢の凄さに茫然とします・・・・死ぬほど奥さんが好きなんだなぁ、、、と感心します。)。まぁ、これって、彼の不断の努力と、最初にそういう風にしないといけないという関係性の条件ができてしまったのが理由で、その意味で作者は、うまく作ったなーと思うんですよ。全部ちゃんと理由がある。この理由がないと、才川君、ただヘンタイのおっさん的思考になってしまう。これ、酸いも甘いも理解した、おっさんの思考だもん(笑)。


この状況を作り出すために裏で死ぬほど男性が苦労していて、死ぬほどあの彼女のことが好きすぎて、努力に努力を重ねて一切それを見せてないという構造になっている所は、非常に女性の視点の物語だなとおもいます。作者、女性なのかな?。おっさんの論理なんですが、少女漫画的な構造なんだとおもうんですよね。なので、答え合わせのように、花村さん押しての後に、才川君が「そういう行動をしなければならなかった涙ぐましい努力が描かれる。とてもとても男性に苦労をかける話です、これ(笑)。これだけ好きすぎてかわいい奥さんがいて、数か月に一回ぐらいのHしかしないなんて、、、、鉄どころからダイヤモンドの意志ですよ、これ。才川君、、、、お前、偉すぎ。


ちなみに重要な点なんですが、これほど「愛される」ような花村さんはどうやって出来上がったのか?というか、育ったのか?という点も、ちゃんと言及があるのは、僕はこの作者は、よくキャラクターの背景を感じ取っているなぁと感心しました。普通に生きていると、普通にしかは育ちません(笑)。でもあきらかに、花村さんの両親は、一瞬しか出てこないけど、頭おかしいですよね(笑)。これだけ愛情が深く深くありそうでありながら、凄いリベラル(=いい意味で頭がおかしい)ですよね。この両親って吉住渉さんの『ママレードボーイ』をすごく思い出しましたよ。

ママレード・ボーイ 文庫版 コミック 全5巻完結セット (集英社文庫―コミック版)

そういえば、『ママレードボーイ』続きも出てますよねー♪。

ママレード・ボーイ little 1 (マーガレットコミックス)


ここに言及がないと、たしかにほんわかしててかわいいんだけど、花村さんが、それほど才川君から眩しく見える理由が不明確になってしまいます。うーん、考えれば考えるほど素晴らしい。こういうの抽象的には、このシュチュエーションがいいというのは簡単いわかるんですが、具体的にどういう舞台で、どういう動機を持たせて、しかもミクロの関係性やキャラクター描くかって、凄く難しいんですよね。だって、これHな小説ですが、要はポルノ小説ですよね。最初から、花村さんは人妻なんで、やられまくっている描写が続きます。描写は描写なんで、それは即物的なもので、文脈的に、どうやってキラキラを「読み手にまで」感じさせるかはってのは、文才ですもん。それくらい、花村さんが初々しく魅力的に「描けなければいけない」わけで、それって難しいですよ。それに、実は結婚しているんだけれども、会社ではそれを隠すというシュチュエーションコメディまではよく思いつくんですが、隠すためにわざわざ同僚(同期)で、花村さんのことを好きすぎる、口説いているというシュチュエーションで、毎日毎日甘々に口説き続ける・・・・しかし、家に帰ると、冷たくて寸止めで、なかなかHしてくれないとか、、、、調教ものになっていて、、、、いやこのことかんがえだした、作者、偉すぎです。


凄い、楽しかったです。Hな小説ですが、即物的な気持ちよりも、なんかずっと愛あふれる感じがして、ほんわかしました。そうなんだよ、SEX含んでのこういうホンワカの愛が最高なんだよ!って凄い思います。これも家族愛や夫婦愛に足を踏み入れていて、にもかかわらず恋愛最初の新鮮味を構造的に持たせるとか、、、いやはやいいです。


才川夫妻の恋愛事情 7年じっくり調教されました


コミカライズされていますが、絵柄的には、僕はずっと、なぜか今村陽子さんを思い出していたので、僕のイメージは、そっちだなー。


彼女が俺を好きな理由 (ヤングキングコミックス)

2017-05-20

【2017-5月物語三昧ラジオ】魔法少女育成計画+女の子を酷い目に遭わせる系

https://www.youtube.com/watch?v=pHvnq8CM23E&t=25s&list=PLusUXoPKOyjhb1VObOUtGnZKwbe2Qu9NC&index=1


最近の雑感。


最近、やっと『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』と『妹さえいればいい』の最新刊まで到達しました。『冴えない彼女の育てかた』と考えても、ハーレムものやアンチリア充のテーマを「お仕事もの」へ接続する傾向がはっきりしてきたんですが、実はそれより、一つ世代が古い俺ガイルのテーマは、そこじゃないところへ足を踏み入れそうで、実はすごいワクワク。この文脈からは、物凄い野心を感じるんですが、、、さてどこへ行くのか。渡さんって凄いですね。確か、この人、兼業作家さんじゃなかったけ?、、、これほどのものを、リーマンと二足わらじとか、心から敬意が溢れます。この文脈で一番遠くまで行っているのが、僕は『ココロコネクト』で、惜しいところまで展開しているのが『マリア様がみてる』なんですよね。いやはや、おもしろいです。

ココロコネクト 文庫 全11巻完結セット (ファミ通文庫)


ともあれ、この辺の作品は、さすがの横綱相撲ですね。それにしても『妹さえいればいい』とか、本当に日常を切り取って、ドラマチックな山も谷もない題材を、抑制して書いているのに、艶があるというか、面白いんですよねぇ。この人、凄い文才なのだなと、こういうトリッキーなところがない作品を読んでいると、心から感心します。巷でいわれて多様に誰でも書けそうな平易な文章ですが、ライトノベル作家ってのは、凄い計算された技術で書かれているのが、感じます。いやはやさすが。大好き。唯一、悲しいのは、『ココロコネクト』が、もっとアニメ化されてほしかった。これ、学園モノのアンチリア充のテーマが、行きつくところの一つの極まで到達している大傑作なので、これがアニメのアーカイブに残らないのは、慟哭したくなりたいほど悲しいです。もうないだろうなぁ、連載終わってしまっているし。。。。世の中、なんでもうんとタイミングですねぇ。でも、素晴らしいライトノベルに囲まれて、生きてて幸せです。凄い分厚い陣容なんですよね、この業界。売上的には、どうなのか知らないですが、、、、今の豊穣さは、凄いです。

妹さえいればいい。 7 (ガガガ文庫 ひ 4-7)

『進撃の巨人』も、22巻まで到達。1巻の時に思った通りの展開になっていたんですが、ここまで凄まじい話題になったものを、失速もせず同じレベルで維持し続けて、そして、ここでの「新たなるステージ」への物語の飛躍を見せられると、SF的には、というか論理的には、「外に何があるのか?」という問題には、外が「ある」か「ない」かしかなくて、「ある」場合はあれしかないわけなんですが、この積み上げの果てに見せられると、深く深く感動します。素晴らしいです諌山先生。なんという王道。これは、新世界モノの答えの一つでもあり、いま最もエキサイティングな展開です。『進撃の巨人』読まないともったいないですよ。ここまで読むと、作者の「最初の構想力」が、凄まじい突破力で具体的に展開したのがわかります。マンガって、物語ってすげぇ。と唸ります。世界的に売れているだけに、日本の漫画作品の凄さが、物凄さが、とんでもない力が、世界に示されるわけで、いやはや本当にうれしい。

進撃の巨人(22) (講談社コミックス)

そうえいばメールでおすすめしてくださった方がいて『正解するカド』最新話まで。1日で見たので、寝不足で翌日の仕事がしんどかったです(笑)。40台のおっさんが、なにやってるんだか、、、と思いつつも、やめることができないんだよねぇ。まぁ、これに殉じて生きようと、決めたのだから、仕方がないと思い、小豆を洗うオタク道。にしても、これとても興味深い。ファーストコンタクトものなのですが、やっぱり「新世界モノ」系統の展開の一つとして位置付けてみたい感じがするし、『ユーリon ice』の流れで腐女子系統が、こんなに市民権を得たんだなーとか、政治とかの描き方がまんま『シンゴジラ』なので、ああやはり『シンゴジラ』はもどれない楔として、こういう風に影響を与えるのか、とか。これは、見ておきたい作品ですね、確かに。楽しみに見ています。アマゾンプライムありがたい。


正解するカド Blu-ray Disc BOX 1(完全生産限定版)


ハンネローレの貴族院五年生

http://ncode.syosetu.com/n4750dy/

『本好きの下剋上』番外編。 本編完結後の少し未来。 ダンケルフェルガーの領主候補生ハンネローレ視点で見た貴族院五年生。

なろうより


香月美夜さんの連載が終わって、胸に穴が開いた日々を送る今日この頃。そしたら、なんと続きが。しかも、僕は、ずっとハンネローネ押しで、大好きなキャラクターだっただけに、見つけた時の歓喜は、!!!!。


本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女II」


最近のなろうの作品で、気に入って読んでいるのは以下の2作品ですね。内政系?というか、異世界に文明をもたらすフォーマットの今の最前線のような気がする。だけでなくて、二つとも物語の柱が素晴らしい。その柱の行きつく先が見てみたい。この二人の、テーマは、いまの最前線のテーマな気がします。


冒険者パーティーの経営を支援します!!

作者:ダイスケ

http://ncode.syosetu.com/n0579dc/


魔王転生のはずがTSして錬金術師に

作者:らっちぇぶむ

http://novel18.syosetu.com/n4351da/


宇野朴人さんの『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』。思わず全部読みなおしてしまった。ヤトリ、、、、と、胸がぐっと、、、、。というか、新刊いつ頃出るんだろう?。この先って、やっぱり物語の最前線なので、とっても気になる。地味に、実は好きなんだなーと(読み返すくらいだから)。これアニメも続きみたいなー。むしろアニメでこそ、この先が見たいんだよなぁ。そういう作品ないんだもの。

最新刊の11巻まで到達しました。うん、よかった。ああ、やっぱりこの物語も最前線の物語の一つなんだなって思った。シャミーユが何をしたいのか?がやっとわかってきた気がする。この巻の話は、とてもよかった。アルスラーン戦記で、アルスラーンが奴隷解放をしたところ、ご主人様を殺した悪い奴め!と逆に奴隷に襲われた逸話は、僕はよく出すのですが、あれのもう一歩先に行っているんですよね。為政者のシャミーユは、もうそんなことわかっている。しかしながら、カトヴァーナ帝国は、皇帝制度、貴族制度、軍による統治に慣れた国民は、上から支配されるのに慣れきって、民衆に自分の力で統治する能力がほとんどないんですよね。ほぼ国が衰退する中で、それをどうにもできないところで皇帝になったシャミーユの課題は、究極そこ。こいれって、英雄人に任せる時代は終わったというか、英雄に任せる倫理的な卑怯さの告発が前提となった世界で、それでも衆愚になりやすい人々にどうすれば、参加意識を、自分たちが自分の主人だと思ってもらえるの?という話。これが個人の自覚や自己実現ではなく、帝室があり、皇帝専制とはいえ、内閣による統治が機能している世界で、どうそれを実現していくかのプロセスに迫っている。このあたりの作品って、あまりなかったから、やっぱりテーマ的に見て、最先端の作品なんだなーと感心した。

http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20170109/p2

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンXI<天鏡のアルデラミン> (電撃文庫)

『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦』。大好き。もう既にサブタイトルである、天才たちの恋愛頭脳戦って成り立っていないのがあからさま(笑)なんだけど、あまりに魅力がありすぎて、そんなので王でもよくなっているところに、この作品の勢いが感じる。1巻読んだ時に面白いけど、2巻以降なんか書けるテーマなんかもうないんじゃない?ぐらいに思ったんだけど、作者、凄いです。シュチュエーションは全く同じなんですが、手を変え品を変え。気づいたら、もう次の巻を心待ちにする日々。これだけ相思相愛なのに、意外に三角関係な気がするところが、この作品怖いところ。というか、白銀の妹がもっとみたいです!。

かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 5 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)


須賀しのぶさんの『紺碧の果てを見よ』。素晴らしかった。でも、流血女神伝を読んでいると、彼女のテーマが、昇華しきれていないことを感じる。妹の雪子の激しさは、どこへ行くのか?。行くべきなのか?が、展開しないのは、もったいない。とか、彼女自身の持つ内在的テーマ的としては、もっと見たいところなのですが・・・・でもよかった。海軍兵学校を目指す少年の青春。マクロの大きな戦争という波にのまれていく、明治や大正生まれの僕の祖父の時代の青春が描かれていて、素晴らしい。ああ、流血女神伝もう一度読みたいのだが、キンドルになってくれ何のはなぜなんだ。。。。伝説と見える、ファンタジーの大傑作なのに。


紺碧の果てを見よ

2017-05-12

『冴えない彼女の育てかた』11-12巻 丸戸史明著  ハーレムメイカーの次の展開としてのお仕事ものの向かう方向性

冴えない彼女の育てかた11<冴えない彼女の育てかた> (富士見ファンタジア文庫)

評価:未完のため未評価

(僕的主観:★★★★★5つ)

■ハーレムメイカーの位置づけからこの類型の最前線はどこに行くのだろう?

この作品は、なんだかとっても好きなんだが、何が好きかを論じる時には、やっぱりハーレムメイカーの流れで、どこへ行くのかを考えてみるのが面白いのだろうと思う。ハーレムメイカーの流れは、ざっというと、たくさんのいろいろな女の子にちやほやされたい、という欲望を背景にマーケティング的にさまざまな典型的なキャラクターが生み出されて並列に配置されてきました。だが、ヒロインは一人であるべきという圧力と、並列に配置するという力学がぶつかった結果、寸止め状況が発生してきます。「耳が聞こえないようにふるまう鈍感系主人公」というのはこのせいで生まれたといえるでしょう。この倫理的告発をしたのが平坂読みさんの『僕は友達が少ない』でした。けど、たいていのハーレム系の萌えアニメは、結局のところ選択肢を選べずに、女の子が並列で放置されることになりました。ところが、寸止め状態が進むと、男女の関係のドラマトゥルギーが進まなくなるので、ヒロインの逆襲(byLD教授)という形で、女の子が自分ひとりで生きていける、もしくは男の子「が」口説くのではなくて、「女の子の方から主体的に動く」という形の物語に変質してしまう傾向が見れるようになります。サブヒロインの女の子が主人公になって独立してしまった『とある科学のレールガン』の美琴さんが典型ですね。そこで分岐があって、女の子だけでいいじゃないかという方向に行ったのが、日常萌えアニメ系ですね。『ゆゆしき』がその頂点にある作品であると思っています。その後、ラブコメの復権があって、結局のところ、やっぱり一対一のメインヒロインとのルートを極める方が、ラブコメの「面白さ」は輝くんだよね、ということで、『ニセコイ』などの結論も、そこにいきました。男女同数系と僕らは想定して、男の子と女の子を等分にかき分けるというような宮原るりさんの『ラブラボ』の方向性を予想しましたが、それは一部の可能性で終わって、やっぱりラブコメ、そして三角関係の復権に行ったと思っています。いまのところ。もちろん、昔のようにそれ一色になるわけではなく、様々なパターンがグラデーションで存在するし、基本フォーマットはハーレムメイカーだったり、男子の視線がない女性だけの日常萌え系だったりなど、「過去のそれに戻ったわけではない」のですが、実際には、時代は繰り返すというような古典的王道の骨太の物語に回帰している傾向は、否定できません。

ニセコイ 25 (ジャンプコミックス)



では、この語、物語の類型は、どこに行くのだろうか?。


というのを考える時には、個別の系(可能性)を、コツコツ追わないといけないですよね、といった帰納的に考えようとしている中で、この『冴えない彼女〜』が出てきたわけです。これも典型的なハーレムメイカーの設定です。しかも寸止め系。だって、あまりに個々のヒロインのキャラクターが強くて、主人公が選べない形になっている。それぞれがとても典型的なキャラ(たとえば金髪ツインテール幼馴染とか)な上に、個々のエピソードを丁寧に積み上げているんだから、そりゃ選べなくなるよ。


この作品をハーレムメイカーの系譜の中で位置づけるとすれば、どこを見るべきか?


前回の記事というか分析で、でもこの主人公の安芸倫也くんは、悪くないよね、という話をしました。この視点は、もう少し引いてみると、男の主人公に「みんなから愛される理由や魅力」「もしくは状況」があれば、ハーレムメイカーの寸止めによる物語停滞の圧力が働かず、他の方向に抜けるのではないか?という話でした。実際、倫也くんは、何もしないで愛されるといった「都合のいいキャラクター」じゃないよね、と思ったんですよね。それは、何か?というと、僕の感覚的なものではなく、要はこれはお仕事系全般に存在する、アソシエーション(共同体ではなく結社という意味ね)への志向性なんだな、ということ。難しい言葉になっているんですが、ようは、共同体…言い換えれば家庭、結婚に至るコースではなくて、仕事を追求するどうしてとしての会社を志向する方向性であるならば、寸止めであることの倫理的な問題点が発生しにくいということなんだろうと思うのです。アソシエーションは、仲良しクラブの共同体ではないので、好き嫌いは関係なく、「目的に適合しているかどうか?」「目的達成に貢献できるかどうか?」でその価値が図られるからです。というか、要は仕事ができるとか、目的があるとか、なんというか女の子とかかわりのないところで、倫也くんって、存在感あるじゃないですか。オタクだけど、ルサンチマンがなく、かといって草食系の動機レスでもなく、ちゃんと強い悪をもって、それでいて人間のバランスもいい。こいつ、もてるよ。一般的な意味でというわけじゃなくて、近くにいると魅力がわかるタイプだろうと思う。その彼のエネルギーを、仕事、モノづくりの方向に振り向けている。「それ」に巻き込まれる形で、ヒロインたちが存在している。


なんで、メインヒロインの恵が、仕事のパートナーとして存在感を増していく(エピソードが積上げられていく)というのは、とてもなるほどと思うんですよ。


そして、サブとは言えないほどの存在感を放つ二人が、仕事のステップアップというか成長が故に、倫也から離れなければいけないというのは、とてもしっかりしている構造だと思うんですよ。全然無理がない。だって、ヒロインの逆襲といわれる「寸止めにされた女の子たち」がどうなったかといえば、男のことを無視して、それぞれに自分のやりたいことを探した出したってこと、言い換えれば依存から解き放たれて、自立したってのが大きな流れなわけですよ。そこには、異性か仕事かと問うたときに、その答えは「自分のやりたいこと」が一番大事なんだという、「その人が本当にしたいこと」を目指すのが正しいといった、個人の自立の話になってくるんですよね。これは、正しい発展の方向だと僕は思うんですよ。

そんでね、ここが、丸戸さんの作品のいいなーと思うんですが、このお仕事系の話が出てきたときに、ラブコメにおける問題点をだいぶ解消する射程距離があると思うんですよね、この人の発想には。それが色濃く出ていたのは、『ホワイトアルバム2』。これって、高校生の時に熱病のような恋愛が始まって、それが成就するというか一つの結末を迎えるんですよね。だけど、第二部というか、「その後」といって、大学を卒業した後の社会人になって「人生のやりたいこと」を目指し、社会人になったステージで、もっとドロドロした話が始まるんですよ(笑)。

WHITE ALBUM2(「introductory chapter」+「closing chapter」セット版)

えっと、ラブコメの問題点というのは、少女マンガの問題点と同じなんですが、恋愛が成就(=お互いが両思い)になった後に、それでも続く人生において、結婚や社会に出て金を稼がなければいけなくなったりして、「自分の実存」や「社会とのつながり、社会での価値」などが総合して押し寄せてきたときに、それでもその恋は、機能するの、意味を持つの?という問いです。もう少しいうと、恋と、結婚した後の愛は違うよねって話です。少女漫画の問題点には、肉体が抜けやすい、いいかえればSEXがちゃんと描かれていないという問題点があるわけですが、要は舞台がどこかってことで、そこは無視されてしまいやすい。だって、中高生の恋愛ロマンスを描いているのに、「そこ」まで書いてドロドロしても仕方がないじゃないか、ターゲットと表現したいものが違うんだよ、と言われてしまえば、そこで終わるからです。


でも、それ全部射程に入れたものを見てみたいよね?というのは、決しておかしくないと思うんです。ターゲットがぶれるし、キツイ現実を見せつけられるので、企画化されにくいと思うんですけどね。


なので、お仕事系は、お仕事系で別のカテゴリーとして描かれる傾向がある。


でも、これって実は、一緒にすると意外に相性がいいって、気づいたんだろうと思うんですよ。


SHIROBAKO Blu-ray プレミアムBOX vol.1(初回仕様版)


『クラスルーム☆クライシス』 監督 長崎 健司 シリーズ構成・脚本 丸戸史明  11話からのどんでん返しが、素晴らしい!!!

http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20151213/p1


Classroom☆Crisis(クラスルーム☆クライシス) 2 (完全生産限定版) [Blu-ray]


ということで少し話がずれたんですが、ふーむ、ラブコメを考えるときに、学園が舞台になると、「社会に出てやりたいことやれること」というものがクリアーに現実として出てきていないので、純粋に惚れたとかどうとかの話ができるという部分はあるんですが、仕事が絡むとそうはいかなくなるんですね。ちなみに、この恋じゃないところでのリアルの部分が、学園で出てくるのは僕は生徒会ものだと思っているんですが・・・・その話は、次に譲ります。


ということで、この話はまた続きます。


冴えない彼女の育てかた 12 (ファンタジア文庫)


『冴えない彼女の育てかた』 亀井幹太監督 丸戸史明 脚本・シリーズ構成  ハーレムメイカーの王道 - あなたは誰を一番に選びますか?

http://d.hatena.ne.jp/Gaius_Petronius/20160109/p4


冴えない彼女の育てかた 1【完全生産限定版】 [Blu-ray]

2017-05-04

『美女と野獣(Beauty and the Beast)』(2017 USA)本好きのハーマイオニーが恋に落ちる瞬間を!(笑)

客観評価:★★★★★5つマスターピース

(僕的主観:★★★★★5つ)


ディズニーの歴史に残る傑作になるだろう素晴らしい作品でした。ノラネコさんがおっしゃる通り極上のエンターテイメント超大作。映画館に見に行く価値があると思うし、これは女性でも子供でも誰でも見られる敷居の低さがあるところが素晴らしい。なので、デートとか家族と行くには最高かもです。


■キャラクターの動機を強化することによって、アニメ版から実写版のリアリティレベルの変化を丁寧に対応し、見事なリノベーションであり傑作映画に


けど、脚本も素晴らしいし、いろいろ語り口があると思うんですが、僕がこの映画を一言で表すならば、


本好が好きすぎてだいぶこじらせて痛くなっていた女の子が、男性に、図書館ごと本をすべてあげるよといわれて、恋に落ちちゃう話


です(笑)。どういうことかというと、この作品を見ていて思い出したのは僕らは、マンガの宮原るりさんの『僕らはみんな河合荘』もしくはライトノベルの『本好きの下剋上』なんですけれども 本が大好きで大好きでたまらない娘で、ちょっと周りとうまくいかなくて痛くなっちゃっているような、こういう女の子って多い(というか男の子もね)と思うんですけれども(笑)、そういう子は、男性からというか異性を受け付けない状況、というかこういう思春期に内面が早熟に成熟していく人は、人間嫌いというか外の世界と折り合いがつかなくなって自己肥大しちゃうケースが多いですよね。けれどもそこで男性からのこの図書館を丸ごとあげるよって言われたらもうそれだけで惚れちゃいました(笑)みたいなそういった作品と言ってしまえばいいんだと思うんです。まさに それに尽きると思うんですよ。


これは僕の好みということもあるんですけれども、知的で非常に本が好きで内面が複雑になりすぎて、外とのコミュニケーションが取れなくなって、こじれちゃってることか、そういったタイプの子っていうのは非常に魅力的だと思うんですね。男女問わず。まぁ自分の子供時代と重ねているというのもあると思います。ここで描かれているキャラクターは、まさにその部分が強化されている形になっています。ベルが野獣に恋に落ちる理由に、野獣自体が残酷な王のお父さんに育てられて非常にひねくれて育ってしまって城の中でも孤立していて、当然自分の領地でも孤立しているという傾向があったという部分と、同時に、ベルという女の子自身もですね、パリという大都会から父親と辺境の村に来て、変わり者として暮らしているという設定になっていて、彼女自身も今いる世界にうまく溶け込むことができない形で生きているという孤独感、不遇感いったものを持っている。その部分がお互いの共感を得て愛するようになっていくという動機の構造になっています。だからお互いひかれるようになっていく。


どのタイミングで恋に落ちるのかという、もともとオリジナルのアニメの作品においては、野獣が狼には襲われるという部分、エマが襲われるという部分を、それをきっかけにして二人の仲が急速に深まっていく形になるんですけれども、この作品はもうはっきりと恋に落ちる瞬間というのが分かって、城の巨大な図書室にですね、野獣がベルを連れて行ってこの部屋の本を好きなように読んでもいいよと、あなたのものにしてもいいですよという風に言われてそれで一気に飲ま彼女が恋に落ちるはこの瞬間のこのエマ・ワトソンの可愛さという表情と仕草は、もうとんでもないレベルでした。これはですね、是非見に行く価値があるすごい可愛いものです。はっきりと恋に落ちる瞬間をこれだけ明示的に演出しているのは、脚本がこの実写版のコアが動機を深めて強化しているところであることを、よく分かっているのだともいます。なぜならば、この後、ベルが、「ここにある本を全部読んだの?」という質問に対して、野獣が「ギリシャ語をはさすがに読めないよね」と、返すシーンにも表れています。逆に言うとほとんどギリシャ語以外を全部読んでいるということを示唆していて、ガストンのような非常にがさつな男と結婚して生涯一緒に暮らすことは可能性として十分あり得る話だと思うんですよね、ああいう田舎の町であれば、そんな絶望を長く持ち続けていたベルにとって、知的で繊細な男性と暮らしたいというふうに思っているわけで、その可能性が一気にここで見えるわけです。そりゃ、笑顔にもなるよね。あの当時のフランスの近世?中世?ぐらいの辺境の村で暮らしている女の子としては、ベルは、とても意識が高い。父親がパリに住んでいた芸術家で、そこで育っているのというのが、そうさせているんだろうと思います。そういう娘にとって、ガストンのような典型的な田舎の家父長の粗暴な暴君の下で、トロフィーワイフ的な美貌と子供を育てる道具、いいかえればいい具体で夜の相手をさせられて、こどもを育てる召使なわけで、そんな人生を考えただけでも、ため息は出るでしょう。当時の時代背景からそれが普通であったとしても。なので、お互いの愛が深まっていくというシーンが、本の内容について話し合うというような形になっている。その後のシークエンスを見ても明らかです。

オリジナルでは、野獣はベルの気を引こうとして、屋敷の書庫を開放するだけなのが、こちらではお互いに好きな本を朗読したり語らったりする。

これはオタク部屋に招き入れたら、実は同好の士で思いのほか気が合ってしまった様なもので、表裏がなく実直なベルと、ちょい捻くれていてツンデレの野獣という、対照的な様でどこか似た者同士の二人をよりリアルに愛らしく見せている。


ノラネコの呑んで観るシネマ

http://noraneko22.blog29.fc2.com/blog-entry-1010.html

ノラネコさんが、オタクが同好の士を見つけてハマってしまった(笑)というような書き方をしているが、まさにそうですよね。


この実写版オリジナルの原作と比較してほぼ同じ作りをしています。それに対して、プラスのエピソード追加しているんですけれども その中で最も興味深いのは主人公のベルの動機を強化している部分だと思うんです。その部分がとても強化されていてキャラクターが、なぜ野獣を好きになるのかという部分が、詳細に描かれるようになっている思います。このことによってオリジナルの原作と全く違う作品になっていると言っても過言ではないと思います。オリジナル作品はともすれば主人公エマと野獣二人とも、かなり子供の設定でそういった、なぜ彼を彼女を好きになるのかという部分が深く突っ込まれていませんでした。しかしながらアニメーションにおいては、そのリアリティレベルで十分でありかつ脚本としても完成していたので、それは全く何の問題もなかった。が、しかし、その部分をさらに実写化することによってリアリティレベルがかなり高いレベルに引き上げられている形になります。ここでいう高い低いというのは物の良し悪しではありません。そうではなくて 物語のリアリティレベルをどのレベルで維持するかということになります。そうした時に大人でも鑑賞に耐えうる素晴らしい作品に変わっている。


『僕らはみんな河合荘』というのは、『めぞん一刻』のような下宿ものなんですが、つい最近9巻が出て、やっと主人公の宇佐くんと律ちゃんが両想いになったんですよね。で、このヒロインの律という女の子が、まったくもってベルと同タイプというか、さらにこじらせて痛い本好きで、内面が豊かな部こじらせて回りとうまくいかないで孤立しているぼっちな女の子なんですよね。その子がちょうど、デレまくっていくのが9巻なんですが、これをちょうど読んだ直後に映画を見に行ったので、凄いシンクロでした(笑)。

僕らはみんな河合荘 7巻 (コミック(YKコミックス))


もう一つは、やっぱり『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません』ですね。主人公のローゼマインも本が好きで好きでたまらなくて、それ以外がほとんど情緒が発達していない(笑)子で、この長大な作品で最後の最後まで、そういう色気よりも常に本という姿勢を貫いているのは、潔いんですが、彼女が、まぁ別にいらないけど結婚してもいいというなら、本をいっぱい読ませてくれる人かな?と常に考えてて、図書館をやろうといわれた途端、何とか結婚できないかとギラギラ考えめたりするので(笑)、でもこういう本好きってわかるなーと思うんですが、この系統の女の子に、ベルも参戦してくるとは、思いもよりませんでした(笑)。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女I」



■本好きのハーマイオニーが恋に落ちる瞬間を!(笑)


ちなみに、この脚本は、本当によくわかっているなーとしみじみ思うのは、この役がエマワトソンなところです。女性脚本家のリンダ・ウールヴァートンですが、ベルを保守的な辺境の村にあって聡明で先進的な女性として描いています。そこから生まれる孤立感がこの作品コアなわけです。ビル・コンドン監督自身もゲイで、ガストンの相方のル・フウを同性愛者と描いていて、いいように利用されているのになぜガストンにつき従うのかは、好きだからなんですね。地方領主といえどもフランスの宮廷における黒人比率も多すぎるし、さすがの最先端のディズニー作品で、アメリカ社会のリベラルな雰囲気を、これだけ正統派の女の子が王子様に見初められて幸せになるという玉の輿物語を、見事にモダナイズしている。様々な仕掛けがこの作品委はしてあって、正統派の女の子の玉の輿物語という、行ってみれば古臭く保守的な物語とは思えない、様々なものが隠れています。このへんもディズニーって凄いなと感心します。さて、エマワトソンは、国連「UNウィメン」の親善大使として活動するフェミニストとして有名なんです。これ、よく新聞などで出てくるので、英語で情報を取る人は、非常によく知られていると思います。よく話題になりますからね。たとえば、男性にフェミニズムへのサポートを呼びかけるキャンペーン「HeForShe」の立ち上げにも関わり、カナダのトルドー首相とかと会談していましたね。

このまじめさ、、、、やっぱりね、ハーマイオニーだなぁーと思うんですよ。ハリーポッターの。でも、この大傑作に出演して完璧なベルを演じたことにより、彼女は、美女と野獣のベルであるエマワトソンとしてイメージが塗り替えられると思うんですが、なんというかキャラクターが、ハーマイオニーも、現実のエマワトソンも、美女と野獣のベルもみんな同じなんですよね。これ、凄いシンクロで、こういう生真面目な女の子が、それでも、正統派の玉の輿物語で、男性に「選ばれる」という古典的なドラマトゥルギーを、ベルの主観視点から描くことにより、むしろ、男性を救済してあげる形になっていることは、いやはや見事な脚本だと思うんですよ。しかも、オリジナルの脚本、映画の構成を全く開けていないで、ほぼトレースしているにもかかわらず。素晴らしい仕事です。それだけではなく、うーん、エマワトソンにせよ、ビル・コンドン監督にせよ、リンダ・ウールヴァートンにせよ、よくよくわかってこの脚本と演技をしているなと感心するんですよ。いやはや、そういう背景を知ってこの作品を見ると、さまざまな小粋な仕掛けがたくさんあって、素晴らしい作品です。これもアメリカのリベラリズムの最前線にある作品なんだなと感心します。


ちなみに、最近話題になったのは、この下乳事件ですね(笑)。


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Emma Watson: "Feminism, feminism... gender wage gap... why oh why am I not taken seriously... feminism... oh, and here are my tits!"

エマワトソン「フェミニズム、フェミニズム、男女の賃金格差、どうして私の話をみんな真剣に聞いてくれないのかしら……私の胸なら興味あるかな」

https://whatnews.jp/archives/448

http://www.huffingtonpost.jp/2017/03/02/emma-watson-is-a-bad-feminist-for-posing-braless_n_15122398.html


フェミニズムなのに体を見せものにするなんて偽善者だ!と怒る人もいれば、自分お身体を好きに表現する自由を受け入れるのだってフェミニズムだとか、いろいろ論争起こしたやつですよね。



なんか、またハーマイオニーが見たくなりました。初登場のしたったたらずなハーマイオニーグレンジャーと名乗るしゃべりかたが、かわいかったよなー。ハリーもそうなんですが、いやはや素晴らしい俳優の集まりでしたよね、この映画も。

ハリー・ポッターと賢者の石 [DVD]

2017-05-03

『まりんこゆみ』4年半お疲れさまでした。

うーこの4年ぐらいの楽しみが失われてしまう。けど、お疲れ様です、野上先生。素晴らしい物語でした。7巻で少し先もさらに描いてくれるみたいなので、それを楽しみにしつつ。これ、ペトロニウスの名にかけて、傑作です。素晴らしい女の子のビルドゥングスロマン。

いやーほんといいですよ。これ。おすすめです。

まりんこゆみ(6) (星海社COMICS)