物語マインドマップ Chapter 6.セカイ系の台頭~エヴァとアンチエヴァ、ループ、悪を為す事①


第6章では、セカイ系の台頭〜エヴァとアンチエヴァ、ループ、悪を為す事で、第2章、3章から続く竜退治の大きなテーマである「悪=竜を倒すこと英雄物語」がインフレを起こしていき、より強大な敵を倒すという方向に物語が展開していった極みに、天使・・・・・ラスボスとして天使が現れて、悪を倒そうとする英雄、勇者に向かって、人類こそが究極の悪である!という問いかけをします。この善と悪が対立が極まった終末論的発想に対して、宮崎駿さんと岩明均さんが見事な答えを出すのですが、それ以外のルートとして、リアルロボット路線のルートとして富野由悠季さんが、なんとしても、人類が全であるということを証明してあがき続けるルートを、この問題意識を、追及していくルートを第3章で見てきました。

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問いかけはシビアに繊細なり、『海のトリトン』では、それがたとえ復讐であろうが正当防衛であろうが、どんな正統性があろうが、「暴力の手段をとったら』それそのものが悪だ、それが戦争を生み暴力の連鎖の世界を作り出してしまい、だからこそ人類そのものが悪であるという結論になる。この重い問いかけが何度も何度も繰り返されていく。究極の天使との、絶望的な戦いとして、009シリーズの天使編を除けば、『伝説巨人イデオン』のイデとの戦いこそが、まさにラスボス天使との戦いになる・・・・が、そこで絶望的な敗北を喫していく。その果てに、1985年の機動戦士ガンダムで、主人公のカミーユは、発狂をしていくことになる。これは、この問そのものの重さ、厳しさに、主人公が耐え切れず、へとへとになってしまう過程、結果が示されている。このあまりの絶望的な戦いへの、極度の精神的疲労が、なぜ竜を倒さなければいけないのかという基本構造への疑問という形で、1995年の庵野秀明監督の『新世紀エヴァンゲリオン』に結実していくことになる。ここにいたって、主人公は、ロボットに乗らない、戦わないという決意を示し、この問いにかかわることを放棄することになる。


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しかしながら、ロボットに乗らない、ということは、物語の放棄でもある。「アンチ・エヴァンゲリオンという言葉の意味は、エヴァが構造的に持っている「竜退治をしなければならないのか?という疑問」に対して、「竜退治はしなければならないのだ!、それが正しいことなのだ!」という糾弾、告発の姿勢を、示していくことになる。これ以降物語の構造的なものは、ロボットに乗らない!という物語の主人公たることをやめた主人公に対して、どうすれば、もう一度主人公になってくれるのか?、ロボットに乗ってくれるのか?という問題意識になっていく。

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