印象派展 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵〜アメリカ印象派へ

親友と「印象派展モネからアメリカへ」に行ってきました。日本に帰ってきたら、なるたけ美術展や展覧会みたいなものは、コツコツ定期的に行こうと決めたのですが。かなりしっかり通えています。とても嬉しい。つきあってくれる友人がいることも嬉しい。

worcester2024.jp

本当はナイトミュージアムに行ってみたかったんですが、チケットが気づいた時には売り切れていました。印象派は、オルセー美術館には行ったことがあるけど(もうほとんど覚えていない)、オランジュリー美術館もいつかは行ってみたいと思っている。

アメリカのボストン近郊のウスター美術館の印象派コレクションを中心に紹介。フランスで生まれた印象派の技法が、日本や特にアメリカに展開していく様がよくわかった。光を描こうとする印象派の技法は発想が、それぞれの土地にローカライズされていく過程を見るのは、とても興味深かった。中には、印象をは日本に紹介し持ち込んだ黒田清輝の作品もあり、ああなるほど、こうやって世界にオリジナルな技法は広がって影響を与えていくんだと感心した。

最初の展示は、フランスのモネ、ルノワール、カサっト、クールベ、コロー、シスレーピサロからはじまります。彼らがなぜフランスの郊外の田園風景などを描いたか?。。ちょうど、いまコテンラジオでフランス革命の回を聞き直していたのがシンクロだったんです。

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この時代は、ほんとうにメチャクチャな時代で、とりわけ大都市部は、産業革命の進展とも相まって、常に大混乱。そうした大都市部の混乱に嫌気がさして、郊外や田園風景に退避していく中で、ただ単に風景というか「そこにあるもの」ぐらいに思われていた田園風景の中に「美」を発見していくことになるんですよね。その時、時間お経過とともに、あたる光が異なっていくことで、それを捉えようとして、印象派の技法は生まれていくんですよね。

アメリ印象派の代表のチャイルド・ハッサムニューイングランドの風景、西部の風景などを、描いていく展開は、とても興味深い。何が面白かというと、ヨーロッパで郊外の田園風景の美しさを再発見していく流れと、ヨーロッパに留学した経験のない地元の絵描きが、アメリカのニューイングランドの田舎の自然をずっと描くようになってローカライズされていくところ。また、南北戦争の暗さを反映して、色調が暗いものが増えるなど、光だけではなく内面の陰鬱さや感覚なども織り込んでいく流れが垣間見えるところ。ああ、意外に、能天気そうに見えるアメリカ人って、こういう陰キャな暗いのが好きなんだなって、言い換えればアメリカ人って、伊賀に内面は暗いんだと感じるの面白かった。その後、アメリカの大自然を観光しようという観光ブームが生まれて、鉄道発達と相まって、宣伝の宣材としてこれらの画家たちによる絵画が描かれていくところも興味深かった。


ちなみに、いつも上野駅前のベンチで待ち合わせ。



昼ご飯は歩いてすぐなので、上野精養軒のランチで、伝統のビーフシチューを。

『ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する』(2020)雨宮透子著 7回の人生から垣間見える「選択する自由」の可能性の美しさ

ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する 1 (ガルドコミックス)

評価:終わっていないので未評価
(僕的主観:★★★★☆星4つ半)  

2024年1月からアニメーションが放送されている。アニメも出来も良くて、オープニング聴いてちょっと涙ぐんでいる。OPの演出や選択で、監督や作り手の愛を、すごい感じちゃうなー。僕は小説も漫画も大好きで、何度も繰り返し読んでいるんですが・・・・といま気づいたんですが、「死に戻りループ作品」ばかり読んでますね、僕。『外科医エリーゼ』もそうだし『ある日、お姫様になってしまった件について』も『やり直し姫はが夫と恋したい』、全部、死に戻りだ・・・。


ちなみに、小説、アニメーション、マンガ全て同じ評価。こういうのはめずらしい。普通は大抵、アニメがダメなんですけど(苦笑)。アニメーションの、皇帝とリーシェのダンスシーンは、素敵だった。ただ、ピンクの髪に濃い青のドレスは、色の組み合わせは、うーん、どうだろう。2回目の夜会の薄い青の組み合わせは、素敵だったけど。


それはさておき、この作品のコアって、


7回の死に戻りのループで、全て異なる職業について人生を謳歌しているって、点なんだと思っています。


リーシェ・イルムガルド・ヴェルツナーという15歳の公爵令嬢は、婚約破棄されて家を追い出されて、商人に拾われ、商人になって世界中を旅するようになりますが、20歳の時に戦争に巻き込まれて死んでしまいます。なぜか死ぬと婚約破棄された15歳の宮廷に戻ってきてループしてしまいます。そこで婚約破棄をされまた家を出るのですが、彼女は、その後、薬師、錬金術師、公爵家の侍女、男装した騎士としての人生を送ります。その全てが戦争に巻き込まれて20歳で死んでおり、その最後の騎士としての殺された相手が、アルノルト・ハインというこの戦争を起こすガルクハイン国の皇帝で、7回目のループでは、彼に求婚されて、皇太子(即位前の時間なので)の婚約者として、ガルクハイン国に赴くことになる・・・・


ということが、この物語の骨子です。


何がいいって、このリーシェという主人公が、素晴らしいんですよ。7回の人生をたった5年で毎回夭折しているんですが、異なる職業について、人生を謳歌しています。エネルギーに溢れる子なんですよね。


ピッコマの漫画系統とかにすごく多いと思うんですが、この手の「悪役公爵令嬢の転生とかループもの」のコアの魅力って、なんといっても、女性の役割に縛られている人生からの解放だと思うんですよね。


女性を縛り苦しめているものの象徴として、「王子との婚約」があって、それを破棄される(=受け身)から、自分自身の足で自律して人生を生きること気づいて、人生の豊かさを知っていくところに、物語の荒々しいコアがあると思っています。いろいろ類型の特徴がありますが、結局、王子(=国の後継者)の婚約者であるということは、「子供を産む道具」として、道具扱いされて育ち、生かされていることに意識がとらわれているがゆえに、外部から現れたメインヒロインに王子様を略奪される「可哀想な役割」なんですが、この役割から解放されるて「自由を知ること」がこれらの類型のプリミティブな本質だと思っています。


だとすると、リーシェが、どれだけ「自分の人生を選択できる自由を喜びに満ち溢れて体感するか」が、この類型のコアだし、物語の最も感情訴求ポイントになると僕は思うんです。


さて、人生を「子供を産む道具」「王子の従属物」として育てられてきた少女が、自分になんの落ち度もないのに王子に婚約破棄され(クズ男の典型ですよね)全てを失ったどん底から、「新しい人生を歩み直して」、自分で選択する喜びを知って、5年しか寿命がない中でも精一杯、その時その時の人生を、折れずに前向きに生き続ける彼女の魅力を、どのように表現するか?


これが、演出に課せられたミッションになると思います。


という「文脈」を押さえた上で、ぜひ下のオープニングを見てください。素晴らしいと思いませんか?。僕は、ちょっと涙ぐみます。海で、空を自由に飛び回る渡り鳥を見るシーンのカットとか、感情がざわつきます。愛溢れる演出だと思います。

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まだ9話しか見ていないのですが、よくできたアニメだとは思うけれども、例えば最近の作品だと『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』のアニメのような絵作りに凝ったというわけでもなく、平均点のアニメなんだと思う。いろんな設定は、そこまで深いわけでもなく、そういう文脈的な深みを全く感じないので、まさにキャラクターと物語の力だって思う。僕は政治とか戦記ものみたいなのが、主には好きなんで、こういう少女マンガちっくなものの評価はすごく低くなるんですよね、基本。本当は。そして、なんかマイナスの言い方しているようですが、こういうガワとかマクロの設定や文脈なんか、、、、物語のプリミティブな荒々しい魅力が、きちっと表現されていれば、それこそが人の心を打つと僕はいつも思います。そして、それが最も大事なこと。


ということで、リーシェ大好き(笑)。


でも、自分で彼女の魅力を考えていて、、、異性としてカワイイという視点皆無で、これ完全に娘を見る視点だ、おれ(笑)。自分の娘たちに、こんなふうに、世界へ自由に旅立つ選択肢の可能性を持ってほしいとって、凄い感じるもの。ちなみにキャラクターのデザインも、好き。悪役令嬢がコンセプトだったからか、少し目が吊り目というか、怖い感じに描こうとしていて、キツめになるかならないかのぎりぎりのところが、勝気な感じで、そこがとてもいい。この子の魅力って、そうとう厳しいことに出会っても、「心が折れない、前向きの気持ちが失われない」ところだと思うんですよね。だから、僕は、ダントツでにショートカットの男装騎士姿は好き。

町山智浩さんのYoutubeをコツコツみています。現場に足を運んで、雰囲気をよくよく伝えてくれてる。

本日は、2024年3月16日。町山智浩さんのYoutubeをコツコツみていますが、いやーいろいろバイアス強い人ですが、やはりアメリカを見るという意味では情報量の解像度がすごい細かい。僕の友人は映画が好きでかなり細かく見る人が多いので、町山さんは評判が異様に悪い(苦笑)。まぁ、確かに時々偏っているしおかしくなることも多いんですが、それを差し引いても、アメリカウオッチャーとして、この解像度の細かさは、やはり嬉しい。ニューハンプシャーの取材とか、これだけ現地の「空気」をしっかり伝えてくれるのは、なかなかない。見れば分かります。

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町山智浩が見た!米国大統領予備選【前編】トンでもトランプサポーターを直撃!【町山智浩アメリカの今を知るTV With CNN】#266-1

スィングステートのニューハンプシャーの予備選の雰囲気をよくよく伝えてくれる。人数が少なく、各候補者との距離が近い雰囲気がよくわかる。ちなみに、この映像では、移動の途中の車の風景が映し出されるのですが、これが凄いいい。季節や距離、雰囲気が、主要メディアより、よくよく伝わる。民主党のディーン・フィリップス候補(下院議員)を見にきているけれども、言い方は悪いけれども、主要メディアでは、こんな泡沫候補は、普通全く報道しない。しかし予備選の絞り込みで、こういう部分を見ていないと、背景が全然わからなくなる。ニューハンプシャーで、駆けずり回ったオバマ候補が、ここで注目されたんだという自慢なども、とても興味深い。トランプが前回の選挙で結果を盗まれた!というのが普通に問題なく喋れる雰囲気が、よくよく伝わってきます。


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アメリカ大統領選・徹底解説① バイデンVSトランプ!?“老人対決”に有権者はウンザリ?【町山智浩アメリカの今を知るTV With CNN】#265-1

合衆国憲法修正第14条第3項でトランプさんは訴えられているけれども、このためどんどん共和党がトランプ支持で固まっていくのは、なかなか皮肉。

『SHOGUN 将軍』を見ました!

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評価:まだ終わっていないので未評価
(僕的主観:★★★★☆4つ半)

ジェームズ・クラヴェルの1975年の小説『将軍』(Shōgun)を原作に1980年にNBCで製作された大ヒットドラマのリメイク作品。2024/2/24に公開された2話を見ました。ずっと見たいと思っていたのですが、このレベルでのリメイク。うれしい。Twitterで絶賛の評価だったので、おもわず優先順位を繰り上げてみてしまった。なるべく全て完結してから一気に見たかったけど、我慢できませんでした。

🔳ヨーロッパ人から見た異世界としての日本を見るセンスオブワンダー

見どころは、やはり、徳川家康に仕えた実在のイングランド人、三浦按針にインスパイアされたJohn Blackthorne(ジョン・ブラックソーン)から見た、「日本という異世界」ですね。真田広之がプロデューサーを務めて繊細に日本を描いているが、それでもやはり、これはアメリカのドラマ。そして、原作、主人公の視点ともに大航海時代南欧グローバリゼーションのヨーロッパ人の主観視点から構成された「物語」であって、そこにセンスオブワンダーがある。


エドワード・ズウィック監督の『ラストサムライ』(2003)のような感じですね。あれは、撮影がニュージーランドだったはず。将軍の撮影場所は、公式には公表されていませんが、カナダの南西岸ブリティシュコロンビア州ポートムーディみたいですね。でも、たぶん、日本で撮影しても、画面の処理や画面の構図は、ヨーロッパ人から見た異世界という演出になっただろうし、その辺の異国情緒はたっぷり感じられる。無礼を働いた村人が、いきなり侍に首を刀で吹っ飛ばされるシーンとか、いやそりゃないだろ(笑)、と思う面も、イングランド人という視点からの、全くいの異世界に放り込まれている感覚を増幅してくれるから、とてもありだと思う。そこが、、それがこそがいいのだ。

🔳まるでゲームオブスローンの権力争いを見ているような壮大さ

もう一つは、2話で、大阪城の遠景からのロングショット、5大老の権力争いが、どうみても『ゲームオブスローン』(笑)、という感じで、いやはやこれは美味いドラマだって唸りましたよ。このブログを読まれる方で、『ゲームオブスローン』のドラマを知らないという人は、少ないかと思いますが、ジョージ・R・R・マーティンの小説『氷と炎の歌』を原作としたHBOのテレビドラマシリーズで、全米で最も人気があった伝説のドラマです。特に当時(2011−19)米国で、若い世代からの人気が圧倒的で、これを見ていない人はいないだろうって言われるくらいの盛り上がりでした。

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この権力と血、バイオレンスとSEXに国盗り物語!みたいな雰囲気は、めちゃなんというか「入りやすい」。日本の文化や伝統がよくわからなくても、「どこか遠い異世界の権力闘争にも空き込まれた航海士」という視点は、めちゃくちゃ燃えると思います。Netflixシリーズ『忍びの家』(House of Ninjas)で、Netflix週間グローバルTOP10(非英語シリーズ)で初めて1位を獲得したりしているし、なんとなく日本のコンテンツきているなって気がします。

🔳南欧グローバリゼーション時代のカソリックVSプロテスタントの海外覇権争いを軸に据えることで欧米人にわかりやすくしている

見ているときに感じたのは、なるほど、カソリックVSプロテスタントの海外派遣争いを軸に、国内の権力関係への影響を描く物語にしているのだなと感心。これ、アメリカやヨーロッパの歴史を知っている人なら、なるほどと唸る構図なので、いやはやいいところつている脚本。原作も、その視点からフィクションを構築しているのだろうなと思いました。見ているときに、『クアトロ・ラガッティ』を連想していました。

クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国 (上)(下)巻セット (集英社文庫)


🔳日本人が米国のこのレベルの大作で主演とプロデューサーというのは凄い



真田広之さんのインタビュー。このレベルの扱い、英語力、いやはや素晴らしい。



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『騎士王の食卓』の2巻が発売ですね。

ゆづか正成さんの『騎士王の食卓』の2巻が発売ですね。紅花(カルタモ)修道院出身のレノくんの物語。実際は、たぶん美味しくないのだろうけど(笑)、中世の食事の解像度が上がってとても美味しそうに見えて楽しい。

この方のマンガは、『騎士譚は城壁の中に花ひらく』からとても好き。この人、中世の騎士や城などとても細かい描写が解像度が高くて、見ていて凄い楽しい。キャラクターも素敵だし、ブレイクしてほしいなぁ。絵の書き込みが素晴らしいので、大判で眺めながら読みたい作品。ある意味、こういう書き込み系の人は情報量型のマニアックになりすぎて、エンターテイメントになりきらないのですが、この人は、凄くバランスが良い。ぜひとも、3巻を超えて話が続いてほしい。

解像度が高い分だけ、「日常系」になるので、4コマ漫画と同じ「日常の小さい出来事の解像度を上げていく」話になると、物語って繰返しになるので、長く続きにくいんですよね。その中で、食事ににフォーカスするのは、日常系の常套手段なので、この辺りが深掘りされたら楽しいかも。レノくん、むしろ、男の子の設定にしている方が、『騎士譚は城壁の中に花ひらく』の女の子主人公よりも、色気があるというか可愛いのが面白い(笑)。

でも、やっぱりこの作者、ぜったいに「物語」をつむぎたい人だと思うんだよね。ロサ=スカーラエの物語にしても、やはり騎士を目指していく、騎士になる成長物語を描こうとしている。世界観や設定上の共通点も多いので、きっとシェアードワールドなのだろうから、レノくんの物語が人気が出て長く続けば、ロサの物語も重なってきそうな気がするので、期待しちゃうなぁ。


キャラクターも、世界観も、舞台の解像度もどれも素晴らしいし、「騎士になる物語が描きたい」という情熱も感じるし、あともう一歩、何かが欲しいんだよなぁ。いや、僕は、もうこれ十分なほど好きなんだけど。もっと、長く広く物語を描くには、もう一歩大衆ウケというか、人気がいる気がする。でもなー、書き込みも多くて情報量多いけど、わかりにくいわけでもないし、キャラクターもよいし、、、、うーん、あと何を入れればいいのかなぁ。ロサ=スカーラエの物語にしても、女の子が騎士を目指すという設定は、めちゃ狙っているというか、良い設定だったと思うんだよね。


僕の好み的なものを言えば、政治とか、このクエルクス(樫の城)が、全体の王国?のどこに位置して、何をしているのかの戦記モノ的なマクロの情報が、欲しいなぁという気がするけど。その辺の政治的位置づけがわからないと、レノくんが、最終的にどこを目指しているのかがわかりにくい気がする。ロサの物語も、同じような感じがしたもの。物語を長く続けるには、「なんの目的で動いているのかがクリアーだといい」んだけど、、、でも、この作者そういう設定は絶対作っていると思うんだよね。そこで手を抜く人とは思えないので。だから、テンポが遅いっのかなぁ。うーん、、、ちなみに、ペトロニウス的な評価では、既に星5なので、なんか改善点とか思いつかないんだよなぁ。この人の描く世界は、あたたかくて、美しいんだもの。

騎士王の食卓(1) (シリウスKC)

それにしても、クラウストラのスクワイア ロサ=スカーラエの物語は、続きが見たかった。。。

騎士譚は城壁の中に花ひらく 1 (ガルドコミックス)

バイデン大統領の一般教書演説(STATE OF UNION):Full Speech Version スーパーチューズデーのトランプ圧勝に対して、バラバラの民主党をまとめることはバイデンにしかできないこと示せるか?


🔳バイデン大統領一般教書演説2024年3月7日


この演説で見るべきポイントは?


3月5日のスーパーチューズデーは、想定した通りトランプ元大統領の圧勝しましたので、これを見越して、この日程でぶつけてきたんだと思います。


何をここですることが戦略上大事か?と言えば、それは、81歳(本日時点)で、健康上の不安があるかどうか?だと思うんです。


3月5日のスーパーチューズデーではっきりしたのは、トランプさんが共和党指名では圧勝する既定路線が、かっちり確定したこと。


そして、構造的にわかっていたことだが、民主党がバラバラになっていく内部分裂を繋ぎ止める存在は、結局のところバイデンさんしかいないということがはっきりしたこと。バイデンさんの次に出るべきは、本来ならハリス副大統領になるけど、なかなかそれが難しい。能力も、人気も、そこまでではない上に、彼女が出てくると、CA州知事のギャビン・ニューサムが出てくる可能性があり、彼とは犬猿の仲だ。そして、そういう対立をしていると、新世代の民主党左派のバーニーサンダースとその新世代のアレクサンドリア・オカシオ=コルテスが出てきて、民主党は分裂傾向が進んでしまう。この構造は、前回の選挙から全然変わっていない。


しかし、何よりも、怖いのは、もう81歳ってこと。


77歳のトランプさんだって、十分高齢なんだけど、たしかにバイデンさんの動きは、凄まじく老人老人してて、大丈夫か?凄い思う。この「感覚」をどこまで払拭できるか?。


今回のSTATE OF UNIONは、大成功だったと僕は思う。メディアの反応も同じ。67分の長丁場を、気合い入れて、エネルギー溢れて、力強いスピーチを繰り広げた。


少なくともこの時点では、はっきりと、民主党の中道路線を維持して、左派も右派もバランスを取れるのは、バイデン氏かいないってはっきり印象づけたと思う。



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ちなみに、これもちゃんとフルスピーチ全部聴きました。フルスピーチ聴いていると、おおっと唸る。


論点的には、ウクライナの支援を訴えることや「国民支持あれば 中絶の権利の保障 法制化を約束」などなど、文章にして読むと、いままであることの羅列だし、何も変わらない老害の政治家の既定路線送り返すに聞こえて、ちょっとうんざりすしてしまうと思うんですよね。同じことしても、何も変わらなかったというのが、有権者の実感だと思うのです(実際は、少しづつ漸進していると僕は思うけど)。文章で並べると、言い換えれば、要約して報道したのを聞いただけでは、ぜんぜんわからないと思う。


でも、これらの利害が絡む、さまざまな問題を包括してバランスよく対応できるのは、バイデンしかいない!(ハリスにも、ニューサムにも、サンダースにも、オカシオコルテスにもできない!)というのは、力強く伝わってきます。こればかりは、全ての論点の複雑さと利害調整の気の遠くなるような難しさをよくよく知っていることと、そして、それをズラーっと並べたときに、そのバランスを取れる民主党の指導者はバイデンしかいない!というのが力強く伝わります。これは、フルスピーチを聞かないと分からない感覚かもしれません。


そして、


「恨みや報復の物語を見ている人、私とは違う」「前大統領は言語道断で容認できない」「私たちは前例のない瞬間に直面している」


これらの問題意識が、対トランプに対しての、お前には負けない!というリベラルサイド、民主党支持者への結集を呼びかける言葉になっているのも、大事なことです。そして、それが感情に届いていると僕は思う。


今回のスーパーチューズデーで、バイデンVSトランプの一騎打ちになるのは確定路線です。今はトランプさんの選挙ターンなので、彼に報道が集中しますが、大勢は明らかな五分五分だと僕は思います。なぜならば、トランプ支持が高ければ高いほど、反トランプへのエネルギーも高まるからです。そして、そのエネルギーが、結集するに相応しいというのが、今回の一般教書演説で明確になったからです。


なかなかの力強いState of Unionでした。


www3.nhk.or.jp


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トランプさんの反応。



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最近、まぎぃさんのかくユフィが良すぎて、毎日眺めてニマニマしています。

まぎぃさんの描いているFF7のユフィ(Yuffie Kisaragi)がなんかめちゃお気に入り。FF7かすかに覚えがある(逆にいうとほとんど覚えていない)からやったことある気がするんだけど、全く覚えていない。元のオリジナルのデザインより、もっと健康的でボーイッシュさと、なんというか幼さが逆に、とっても可愛い。









ちなみに、このユフィをIpadの壁紙にしていたら、下の娘にちょっとセクシーすぎると思います、とダメ出しをされました(笑)。





2024年のスーパーチューズデーの結果〜既にわかっていたことだったけれども共和党候補としてのトランプさんの独走状態が固まった


🔳2024年3月5日のスーパーチューズデーの結果

15州のうち14の州で、トランプさんの勝利。基本的に70%近く表を獲得しているので、もう共和党候補としての独走状態ですね。この感触はすでに去年からシャドウプライマリー(影の予備選)である世論調査で分かっていたことなので驚きはありません。事実が確認され、何もサプライズがなかった感じです。ヘイリーさんにしても、次回に名前を売ったことはできましたし、ヴァーモント州の勝利は、そもそも無党派層も投票できるところなので、むしろ対バイデンだと、アンチトランプの票が入りやすいことを示しているという、これも従来からわかっていることの再確認。この感触を見れば、無党派層はやはり転びやすいので、バイデンVSトランプの一騎打ちでは、ほぼ互角の情勢なのが変わっていないですね。世論調査的には、この時点でトランプさんが数ポイント先行に見えますが、この時点では、選挙戦をガチでやっていて、報道されまくるのは、対抗馬の共和党トランプサイドなので、ここで優勢でないのはおかしいぐらいですから、実質差はないと思います。


Super Tuesday 2024 Primary Election Live Results: All the Republican and Democratic Races

ただし、事実として、共和党が親トランプの事実上の「トランプ党」になったことが確認されたと言えます。もともと、トランプ元大統領の支持率は昨年から力強く上がっていて、特に、彼が裁判で訴えられればられるほど、支持が固くなっていく傾向が見えます。現在経緯事件の訴追を4件受けていて、どの一つには、1月6日の議会襲撃事件のものもあります。選挙戦において、彼が告訴されて裁判を抱えるようになっている様は、とても重要で、訴追されればされるほど支持率と求心力が高まっているのが、トランプさんの選挙戦術の大きな特徴です。この現象は、トランプさんの支持の構造を示すものなので注目しておくと良いことかもしれません。刑事事件で訴追されている政治家が、堂々と選挙に出れて支持を失わないという、これまでのモラルのありかたでは考えられない現象であることも重要です。


このロジックは、党派性のある共和党支持者にとって、トランプさんは、現在の現職の大統領であって、不正を行ったバイデンに選挙結果を盗まれた悲劇のヒーローであることです。


流石に、それは陰謀論として無理がなくない?という物語ですが、このストーリーが、共和党支持者、特にトランプ支持者の中で「真実」としてガチっと強固であることが、昨年から今年の1−3月の候補者の絞り込みで、はっきりと示されました。予備選は、基本的に踏破性のある政治をする気満々の人々で行われる(だいたい各党の支持者の40%ぐらいのようです)ので、「この政治をする気がある=選挙に行く気がある共和党支持者の層」が、このストーリーを信じていて、トランプ支持でかなり強くまとまっている様が伺えます。



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🔳ヘイリーさん撤退〜候補者の絞り込みの過程から見える共和党支持層の在り方

国連大使のニッキー・ヘイリーがここで撤退を決めました。もちろん、ほぼ勝てないのは分かっていたんですが、なんらかの奇跡が起きれば!というところはあったようですが、特に何も起きませんでした。

petronius.hatenablog.com

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ここから言えるとことは、共和党候補者の絞り込みの過程で、ロン・ディサンティスやビベック・ラマスワミなど、トランプ大統領をさらに洗練して、言い換えれば、トランプのさらに右派的なポジションを設定した二人が、共和党左派的な中道路線のニッキー・ヘイリーにも、もちろんトランプさんにも、勝負にならなくて弱かったのは、どうもアメリカの有権者は、共和党のトランプさんよりさらに急進派になることは、今の所望んでいないことがわかる。

トランプさんの主張を聞いてみると、やはり


アメリカファースト


この主張は革新的かつ、まだまだ射程距離を保った、大きなマグニチュードな主張なのがわかる。バイデンさんが大統領になっても、基本的な政策はほとんど変わらなかったことからも、彼が打ち出したこの「アメリカ国民の本音路線」ともいえる方向性は、まだまだ生きている。この方向性が行き着くところまでいかない限りは、いつまでもこのトンランプ支持者の熱量というのは消えないのだろうと思う。思想的にも、これは言ってみれば「ヨーロッパに対する新世界としてのアメリカの特異性」が、旧世界のヨーロッパ的な「血と土のナショナリズム」をベースにした「普通の国」になるかどうかの重要な分岐点だと僕は思う。「血と土のナショナリズム」を全面的に認めたら、最初期の移民、白人が優先されるネイションステイツ(国民国家:この場合の国民は一義的に最初期の移民だけになる)になるわけだから。アメリカの理想やあり方の特異性を真っ向否定する新しい動きだと思う。


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まだまだ、トランプさんが打ち出した方向性は、アメリカの中で、支持を、期待を失っていないということになります。共和党予備選挙の絞り込みで、2023年からほぼ独走状態にあったトランプさんですが、そこへチャレンジをしてきた、より右のポジションが失速し、より左の中道路線のヘイリーさんも力が及びませんでした。なので共和党支持者のコアは、やはりとドナルド・トランプの立ち位置、あり方に強い支持をしているということになります。


🔳民主党の現状

民主党の現状は、ここで書きました。

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🔳分断と均衡〜2024年のアメリカの現在

このスーパーチューズデイの結果とバイデン大統領の一般教書演説を見ると、


バイデン VS トランプの前選挙戦と同じ一騎打ちになると思われます。


これを書いているのは、今回は忙しくて時間がかかってしまったので、3月16日なんですが、特に状況は変わっていません。アメリカは、大きな流れでは移民を受け入れて、人口動態が多様化していく方向性は変わらないと思います。しかし、その途中で、2024年の断面を切り取ると、分断が深まっているのははっきりしています。この時点では、トランプさんお優勢な感じが強く伝わりますが、単純にいま選挙戦をしているのがトランプさんだけで、クローズアップされているだけなので、事実としては、共和党内の支持ががっちり固まったというに過ぎません。トランプ優勢が伝えられればられるほど、反トランプの民主党側の結束が固まりますので、やはり、2020年の前回の選挙と同様に、均衡対立状態にあるのだろうと思います。この視点はとても大事。分断しているけれども、実は均衡して釣り合っているのが現在だからです。


🔳参考
さてさて、ちなみに僕は、前嶋和弘先生をアメリカを見るときの大事な指針として追っています。いやはやバランスがよくて、事実をちゃんと押さえて、素晴らしいですね。あとニコニコとかもそうですが、選挙のリアルタイム放送とか、演説のフルスピーチバージョンとかが今は、アメリカに住んでいなくてもフルで見れるのが、本当に素晴らしい時代です。メディアのバイアスとかフェイクニュースと言いますが、これほどオリジナルに一視聴者が肉薄できる時代もないと僕は思います。主要メディアの、それが日本語のNHKであれ、アルジャジーラであれ、アメリカの主要メディアであれ、抜粋されたものを聞いた後に、フルで演説を聞いたりすると、全然印象が違うことが多々あります。僕はアメリカウッチャーでありたいと自認しているので、さすがに、メディアで言っていることだけを信用しないで、フルスピーチを確認しようといつも思っていますが、こういう癖をつけると、やはり面白さが倍増しますね。メディアが、「どのように切り取りたがっている」のかが、よくわかるようになるからです。そして世間の世論の動きをどちらに向けたいのか、もしくは、報道のタイミングで世論がどちらに流れるかなどのパターンがわかるようになるので。何かを、コツコツ追うというのは、とても楽しいことです。

キャンセルカルチャー ~アメリカ、貶めあう社会~

【緊急YouTube配信】米大統領選「スーパーチューズデー」でどうなる?経済、国際情勢まで徹底分析(永濱利廣/前嶋和弘) - YouTube


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