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2010-06-24

増税が消費税であってはいけない5つの理由

消費税に関する議論はますます盛んになっているようです。小飼弾氏の「税金は死んでから収めよう」は必読でしょう。他方で、増税は消費税でなければならえないと言い続ける方がおられるので、増税消費税であってはいけない理由をわかりやすくまとめてみました。


1 消費税は逆進的である

消費税は、消費額に対して一定割合を課税しますので、すべての人に同じ税率が科せられることになります。所得税のように累進税率が設定されることはありません。年収100万円の人も年収1億円の人も同じ税率なのです。年収1億の人にとっては極端に負担が軽いのです。これは、あるところから取るという税の応能負担の原則に反しています。

それだけではありません。消費税には、さらに逆累進性があるのです。

仮に、税率20%の消費税が導入されたとして、年収300万円のAさんと年収3000万円のBさんがいるとして、Aさんは年収のすべて消費し、Bさんは2500万円を消費し500万円を貯蓄するとします。そうすると、Aさんは60万円の消費税を支払うことになり、その年収に占める税の割合は20%です。これに対してBさんは500万円の消費税を支払うことになり、その年収に占める割合は16.66%です。高所得者ほど貯蓄性向が高くなりますので、逆累進性が強くなるのです。

消費税は、低所得者に重い負担を課す税なのです。


2 消費税は若年層の負担が大きい

消費税は消費をする人の負担が大きい税です。さきほどのAさんに子供が生まれて学資ローンを100万円借りたとします。Aさんの年収は300万円、消費額は400万円とすると、Aさんは80万円の税金を支払うことになります。年収に占める割合は26.66%になります。住宅ローンを組んだ年などは年収よりも消費税の支払額の方が多くなることもあります。資産がなく借金をせざるを得ない若年層の税負担は極めて重くなり、生活はますます厳しいものになります。


3 消費税の逆進性を緩和することは難しい

消費税の累進性を認める論者も、複数税率制や給付付き税額控除制度を導入して累進性を緩和すればよいと主張しています。しかし、これは机上の空論です。


(1)複数税率制の問題点

たとえば、外食以外の食料品の税率は5%据え置き、それ以外は20%にするとします。そうすると物を売る現場は混乱します。たとえば、ミスタードーナッツでテイクアウトすると食料品で5%、中で食べると20%の消費税がかかるとするとどう思いますか。スターバックスラテも、テイクアウトと言えば15%安くなるのです。店の中はガラガラだけど、店の前に人がたくさんたむろする、などという現象が生まれます。税率の差によって消費が歪むのです。

ほかにも、問題はあります。食料品の税率を5%とすると、松坂牛やフォアグラキャビアなどの超高級食材も税率5%です。高級食材は高税率としようにも、どこから高級食材なのか線を引くことは不可能です。結局、高級食材が低税率なのはおかしいという不満の声が上がることでしょう。


(2)給付付き税額控除の問題点

給付付き税額控除制度を導入するには、それぞれ個人の所得総額を把握しなければなりませんが、これが非常に難しいのです。サラリーマンは収入が基本的に給与だけなので簡単かもしれませんが、個人事業主日雇い労働者の所得把握は極めて困難です。いずれも自己申告を信じるほかないという状態になります*1

いくら給付するのかも問題になります。政府は個人が支払った税額を還付する形を考えているようですが、これは極めて難しく人権侵害の恐れさえあります。個人が支払った税額を把握するには、すべての領収書を保存しなければならないのですが、これは負担が重すぎます。また、すべてのレシートを保存し提出すると購入したものがすべて明らかになりますのでプライバシーの侵害が問題になります。結局、個人が支払った税額を把握するなどほとんど不可能な話なのです。

そうすると、所得に応じて一律に金銭を給付するしかないのですがこれではただのバラマキです。バラマキのための財源として消費税増税することになり、役所の事務コストも増大します*2。何のために消費税増税するのか、意味が分からなくなるでしょう。


4 景気に悪影響を与える

消費税増税は、理論上、税率上昇分物価が上昇します。これは消費に与える影響が大きく、必ず景気が落ち込みます。橋本内閣が2%増税したことによって景気が落ち込んだことを忘れてはなりません。不景気の時には消費税増税はやるべきではないのです。


5 海外からの観光客が減少する

消費税が高い国は物価が高く感じるので海外からの観光客が敬遠します。免税店を用意してもショッピングの自由度が減るのは観光客にとって好ましくありません。還付制度を用意するにしても事務処理が膨大になり、うまくいかないでしょう。消費税増税は海外からの観光客を増やそうとしている流れに反しています。


ということで、増税消費税であってはいけません。まずは、所得税の累進性を強化することです。8億円もらっている人が6億円支払っても余裕で生きていけますが、300万円しか収入がない人が80万円支払うと命にかかわります。増税について考える時、応能負担の原則を忘れてはいけません。

*1:現在の所得税確定申告(白色)も基本的に自己申告を信じているのですが、税を支払う手続であればまだしも、国が金銭を給付する場合にそのような性善説をとることには大きな問題があるのです

*2:定額給付金や子供手当ての所得制限導入の議論を思い出してください。

通りすがり通りすがり 2010/06/24 13:00 あなたのエントリは真面目というか実情に即していますよね。
藤沢さんのは理想論だから反論する意味がないと思いますよ。
公共物・サービスは本来割り勘なんだ!貧乏人は死ね!ってことですもんね。
心情的にはまったく同意なんですが、実際それをやるわけにもいかんだろと。
このあたりを決定する当事者の人たちって僕らと違って好き勝手言ってるだけでは済まないしつくづく大変な仕事だなと思いますね。

いちげんいちげん 2010/06/25 08:09 笑ってしまいました。
給付付き税額控除が実務的に難しいのはその通りなのですが、それは所得の把握が難しいということと同義ですので、あなたはご自身でご自身の意見を論破してみせているわけですね。ナイスです。

ほねほねほねほね 2010/06/26 16:45 良ブログの予感。今後も楽しみにしています。

いちげんさんへ。
エントリ最後*1を確認してください。

*1:現在の所得税の確定申告(白色)も基本的に自己申告を信じているのですが、税を支払う手続であればまだしも、国が金銭を給付する場合にそのような性善説をとることには大きな問題があるのです

太郎太郎 2010/06/26 19:08 いちげんさんの傲慢さには反吐がでるぜ

hidehide 2010/06/27 23:27 そもそもなぜ税金が必要か?という基本理念が理解されてませんね?なぜ税金という仕組みができたかそれこそ「ローマ人の物語」でも読んでみることをお勧めします。
税金の原則は応能負担ではありません。その国に住む以上誰もが応分に負担するべきものです。
年収100万と1億では納める税金が単純に100倍違うのですよ。
実際には100万の人は税金はタダですねどね。
「フリーランチ(ただめし)はありえない」これは香港で仕事するときによく使われることです。
日本の中にいると実感しないでしょうが、現在でも日本は疑似鎖国状態なんですよ。

初めて初めて 2010/07/06 23:47 ガリレオさんのご意見に賛成です。藤沢さんの「公平」は小学生レベルの公平です。一人一人の受けている行政サービスは大差ないかもしれませんが、高額所得者の国から受けている便益は行政サービスだけではありません。大きな財産を守って貰ったり、良質な従業員を用意してくれたりと、貧乏人100人よりも大きなメリットを享受して所得を獲得していることは間違い無いでしょう。
ところで、増税は所得税も必要ですが、それよりも土地などの含み益に課税すべきではないでしょうか?不動産賃貸料だけで遊んで暮らしている多くの大家は、経済発展の恩恵を受けて地価上昇した利益を、単に売却していないと言う理由だけで税負担を免れています。すぐには払えなくても、それに見合う利息分程度を税金として徴収すれば、国債の利払いは優に上回る税収になるでしょう。
民主党は、経済発展の果実が、それを担った企業戦士にではなく、都市近郊農家などに偏って蓄積されている矛盾に気付くべきです。

おっさんおっさん 2010/07/29 17:31 通りすがり氏へ
>藤沢さんのは理想論だから反論する意味がないと思いますよ。

笑ってしまった、あれが理想論とは随分低級な理想もあったもんだ。

>公共物・サービスは本来割り勘なんだ!貧乏人は死ね!ってことですもんね。
>心情的にはまったく同意なんですが、実際それをやるわけにもいかんだろと。

そもそも割り勘で済むならいっそ政府など止めて全部自己責任にすればいい。
そういうのは理想論ではなく『暴論』と言うのだ。

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