勇気を出して北方領土なんていらないと言ってみる

こんな記事を書くとネトウヨから嫌がらせを受けることは間違いないのですが、どうせ匿名ブログですので書いてみました。あくまでもひとりの匿名ブロガーの思考実験にすぎません。ご意見、ご感想は歓迎いたしますが、脅迫は警察へ通報いたしますのでおやめ下さい。


先日、「リアリズムと防衛を学ぶ」というブログ*1の最新エントリー「魚や離島をめぐる戦い」を読んだのです。私は、このエントリーの認識は極めて現実的だとおもいますし、基本的に賛同します。共産党社民党の主唱する非武装中立など現実には成り立たないと思います。その点で、現実的な防衛を学ばなければならないと思うのですが、他方で「待てよ、そんなに面倒な領土は他人にあげてしまった方がいいんじゃないの。日本人なんて1億ちょっとしかいないし、高齢者ばかりなんだから。」と思ったのでした。すこし、詳しく説明してみようと思います。


日本で紛争になる可能性のある離島は北方領土尖閣諸島竹島などがありますが、今回は時間も限られていますので、北方領土に限定して考えます。
北方領土は千島列島の一部で、択捉島国後島色丹島歯舞諸島からなり、日本政府によると日本固有の領土ですが、現在、ロシアが不法占有している状態にあります。北方領土付近では、日本の漁船がロシアの国境警備隊に拿捕されたり、銃撃されたりしており、紛争寸前の状態にあります。実際に死者も出ています。


日本とロシアの両国が北方領土を自国の固有の領土だと主張している限り、この状態は永遠に続きます。しかし、北方領土は日本にとって本当に必要な土地なのでしょうか。


北方領土に限らず、離島の領土の必要性が言われる際にあげられるのは、水産資源と鉱物資源です。北方領土はせまく平らな土地がほとんどなく、気候が寒冷なので農業には向きません。また、人口が集積している訳ではないので工業には向きません。そこで水産資源や鉱物資源がどれほど役に立つのか考えてましょう。
北方領土には、サケマス、カニ、ナマコ、ホタテなど、北海道で水揚げされるものとほとんど同じ魚介類がとれるようです。水揚高がいくらくらいになるのかはわかりませんが、海岸線が広いですからそれなりの額にはなるでしょう。
鉱物資源は不明ですが、海底油田やガス田、メタンハイドレートなどが見つかるかもしれません。また、プレート境界上にあるので温泉はたくさんあるだろうと思いますが、地震の心配があります。


たしかに水産資源や鉱物資源はあるかもしれません。しかし、どれもお金を出せば買えてしまうものばかりです。
北海道では人口減少が進み漁業などの第一次産業では後継者不足が問題となっているのに、どうやって北方領土で漁業経営をするのでしょうか。ロシア人に獲って来てもらって買い上げる方が良いのではないかと思います。
資源開発も同様です。日本は国際ハブ空港の一つさえ作れない国です。環境への影響が過大に評価されるため資源開発などできません。埋蔵資源があっても採掘できないのですからないのと同じです。他人の国のままで採掘してもらってお金を出して買った方が圧倒的に安上がりなのです。


仮に日本に返還されたとしましょう。日本の国土になれば、日本として他の地域と同じ程度のインフラが必要になります。空港や港、道路などの公共施設を建設しなければなりません。国土ですから防衛しなければなりません。自衛隊基地なども新設しなければならないでしょう。
もっと大きな問題として、誰が住むのでしょうか。現在、北海道の田舎はすべて過疎化しています。北海道ですら、誰も住みたくない土地になってしまっているのです。それなのに北海道からさらに海を渡った北方領土という離島に住みたい人がどれほどいるでしょうか。


過去には、お金で国土が取引された例もあります。例えばアメリカはロシアからアラスカを720万ドル(現在の価値で約100億円)で購入しています。国土経営の負担を考えて採算が合わないのなら売ってしまう(タダで放棄してしまう)というのも一つの考え方でしょう。
国土は血で贖わなければならないという考え方もありましょうが、それは前近代的な感情でしかなく議論になりません。感情でいくら言っても返ってきませんし、ロシアとの平和条約締結もできません。国土に対する感情論(主権論)はまったく建設的ではないように感じています。


北方領土問題は、冷静に土地として価値があるのか、有効活用できるのかを考えて判断した方が良いのではないか、と思うのでした。

*1:防衛省関係の方が運営されいるのではないかと思います。基本的に防衛省の公式見解に限りなく近い内容となっているように思います。