2008-11-23
■[建築]賃貸探しで不動産屋さんを攻めるたった一つのポイント

賃貸物件を探すのに不動産屋さんは使えない - Money does not hurt your heart
不動産屋さんの仕事ぶりを見ていると、アナログがまだまだ現役で、情報のやりとりもFAXが中心で、FAXで送られてきた物件情報を大量にファイルして手で探す、という最近主流となったPC中心の仕事の方法と比べると旧態依然というか、よくソレで仕事できますね、というアナログ具合で驚いた。
あー、確かにそうですね。不動産の物件データなんて、簡単に全部データベース化できそうなものですができていない、というよりもわざとしていないのでしょうね。常識的に考えて、不動産屋の売りたい物件の情報は手の届きやすいところ(=ネット)に、売りたくない物件は手の届きにくいところにある、という推測はつきます。売りたくない、というより手を尽くさなくても買い手が簡単に見つかるということになるでしょうけれど。
結局、手の届きにくいところ、不動産屋のキングファイルの中だけにある情報を掘り出すには、「知ったか」ブチかますしかありません。一応、建築を専門とする人間として、その知識と自分の経験(学生時代に2回、就職してから2回賃貸を探しました)から、最も有効な「知ったか」ポイントを挙げるとすれば、ダントツで「構造」もしくは「構造形式」です。RCとかSとか書いてある、あれですよ。
その希望地域について、あらかじめ2ヶ月ぐらい物件情報サイトを毎日見続けると、その地域の家賃相場がつかめてきます。また、良さそうな物件は複数のサイトで同じ情報を見ることになるので、不動産屋さんと対峙したときに、対等の情報量を持つことができます。
確かに、サイトから情報を得ることで不動産屋さんと対等に近い情報量を手にすることは出来るでしょう。しかし相手はプロ。近いところまではいっても、決して上に立つことはできません。特に賃料の相場など、毎日それを専門に扱っている相手に正面から付け焼き刃の知識で臨んでも、返り討ちに遭うのがオチというものです。
やはり、攻めるならば相手の弱いところ。彼らは不動産の専門家であっても建築の専門家ではありません。ですから構造については知ったかぶりをして多少ウソを言ってもバレないのです。とはいえ、賃料、面積・間取り、築年数、駅からの距離、部屋の向きなど、他の項目と較べて馴染みが薄いのも事実。ここでサラッと概要をまとめておきますので、うろ覚えではったりかましちゃってみてください。
不動産検索サイトや不動産広告で見る限り、構造形式はだいたい以下のものに分類されているようです。
略号が多くて、予習せずにこれらを見ても、何が何だかさっぱりということになってしまいます。ひとつひとつ解説しますのであわてずに。
本来、構造形式というのは、建物の構造体が主に何で出来ているかを示しています。具体的に言えば、柱と梁です。壁で屋根を支えている建物もあるにはありますが、賃貸住宅を探す際には忘れてかまいません。いいですか、柱と梁。壁は何で出来ているのかわからない、ということは頭に留めておいてください。ちなみに、基礎は構造形式にかかわらず鉄筋コンクリートで出来ています。
つまり、木造というのは柱と梁が木で出来ているということを示しています。RC造は鉄筋コンクリートで、S造は鉄骨でできており、SRCは鉄筋コンクリートの中に、芯材として鉄骨が入っています。それぞれの略号の意味は、以下のようになります。
- RC ・・・鉄筋コンクリート造。Reinforced Concreteの略。直訳すると補強されたコンクリート。コンクリートは引張られると弱いので、引張る力に強い鉄筋で補強してある、という意味です。
- S ・・・鉄骨造。Steelの略。H型鋼(断面がH字の形だから)や鋼管(柱のみ)で出来ています。
- SRC・・・鉄骨鉄筋コンクリート造。上記二つの合わせ技。S造でつくった柱・梁を、鉄筋コンクリートで覆っています。
ちなみにほったらかしにしている軽量鉄骨とALCですが、まず軽量鉄骨というのは、文字通り軽い鉄骨です。○○kgより軽かったら軽量鉄骨、というような決まりはないのですが、細い分弱いのでせいぜい3階建てが限度です。積水ハウスや大和ハウスといった、いわゆるハウスメーカーがつくったアパートというイメージを持ってもらえれば十分です。
一方、ALCというのは柱や梁に使うものではありません。ですから、「構造形式:ALC」と書いてあったら、それだけでツッコミどころになります。ALCとはAutoclaved Light-weight Concreteの略で、軽量気泡コンクリートと訳されます。詳しくはWikipediaに譲りますが、要するにパネル、つまり壁材です。普通は柱と梁は鉄骨で出来ているのでS造と書くべきところなのです。ちなみに、ヘーベルハウスのヘーベルというのは、日本で使われているALCの3ブランドのひとつで、柱と梁が軽量鉄骨、壁(と床)がALCでできています。
さて、この中からどれを選べばいいのか。結論から言ってしまうと、賃貸住宅としての価値は下記の順になります。
SRC>RC>>>(越えられない壁)>>>S造>(マンションとアパートの壁)>軽量鉄骨>木造
分譲住宅では、SRC、RC以外の構造形式がとられることはほとんどない、という事実だけとっても(越えられない壁)の存在は明らかです。建物の規模によって構造形式が異なるのは当然ですが、それを切り離して見ても軽量鉄骨や木造のグレードがRC、SRCを超えることは極めて稀です。
余談ではありますが特に気を付けてほしいのは、1981年の建築基準法大改正をさかいに、建物に求められる耐震性が大きく変わったということです。1981年の時点で確認申請が終わっている、つまり設計が終わっている建物は古い法律に従っているので、とりあえず1983年あたりより以前に竣工している物件には手を出さないようにしたほうが良いでしょう。逆に言えば、それ以上「安全性」にこだわるのはコストパフォーマンス上おすすめしません。よほどお金を掛けて検査しない限り、建物の強さをはかることは出来ないのですから。
S造の建物が集合住宅にあまり向かない理由としては、例えば地震の時の揺れが大きい(危険度が高いというわけではありません。変形が大きいという意味です)などもありますが、遮音性(音漏れ)や気密性(例えばエアコンの効き具合)の問題が大きいのです。
柱と梁が鉄骨で出来ているS造ですが、当然ながら壁や床は鉄で出来ていません。床はコンクリートを流し込めるので、それなりの遮音性・気密性を得ることが出来ますが、壁、特に外壁は先述のALCや押出成形セメント板(通称アスロック)その他のパネルを吊り下げてあるだけなので、隙間がたくさん出来てしまいます。隣の部屋との間仕切壁と外壁との間、梁と外壁との間といった大きな隙間を埋めるのにはロックウールという綿状の材料を、パネルどうしなどの小さな隙間を埋めるにはシーリング材などを使うのですが、残念ながらコンクリート壁ほどの気密性・遮音性はない上に、古い建物だと劣化したりぽろっと落ちてしまっていたりして、すきま風が吹いたり隣の音が筒抜けとなる原因となります。
S造はRC造よりも短い工期で建てることが出来ますので、早く家賃収入を得たいという大家さんには非常にありがたい存在です。一方で、そこに住む我々にはあまりメリットはありません。少なくとも、S造を追いかけている限り「分譲賃貸」に出会う可能性はゼロです。軽量鉄骨や木造については、床もコンクリートではないので、遮音性はさらに劣ってしまいます。。
これは要するに建物のグレードの話です。仮に、他の条件が全く同じで、S造とRC造の物件を提示された場合、S造を見に行く価値はありません。賃貸住宅としてはRC造はS造よりも高くて当たり前なのです。それが同じ値段ということは、S造が不当に高いと言うことになりますので気を付けてください。RC造であるかS造であるかは、外見だけではなかなか判断が付きませんので、しっかりと資料を見てください。
また、同じRC造であっても隣との戸境壁が鉄筋コンクリートであるかどうかによってもまた、大きく気密性・遮音性が変わります。これは、構造形式の欄には表せないので訊いてみるか、訊いてみてもわからない場合は実際に物件を見て壁を叩いてみるほかありません。ボードの軽い音か、コンクリートの重い音かで判断しますが、コンクリートの壁であってもそれにボードが貼り付けてある場合がほとんどですので、なかなか判断は難しいです。
同じくRC造マンションのグレードのはかり方として、外装で見る方法があります。乱暴にいって、打ち放し>タイル貼り>吹き付けタイル。打ち放しとタイルについては好みの問題もありますが。物件を見に行ったらタイルの貼り方をよく見ると、工事のレベルがよくわかります。正面に立って右端と左端のタイルの半端、これが「入っていない」>「同じ大きさで揃えてある」>「バラバラ」の順で高いのは言うまでもありません。窓の周りもよく見てください。ちなみに、1〜2cm幅のほそーいタイルが使ってある場合は要注意。図面通りに施工できてないか、図面の時点でちゃんと検討できないバカが担当していたかです。こういうバカは、必ず内装でも何かやらかしています。
応用編として、不動産屋さんとの交渉の際に使えそうなフレーズを挙げときます。うまく使って、不動産屋さんが奥からしぶしぶファイルを取り出して来て、良い物件に巡り会えますように。ただ、空気は読め。
- 「S造はちょっとなぁ・・・」
- 「S造とRC造が同じ家賃なんておかしいですよ」
- 「ALC造って何ですか?柱と梁は鉄骨でできてるんじゃないんですか?」
- 「1981年の建築基準法大改正よりは新しいのにしてください。」
- 「外装はタイル貼りですか?吹き付けタイルではなく」
- 「タイルの割り方が汚いなぁ」
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言ってみたいのですが、「エスづくり」でいいのでしょうか?「エスぞう」とか、もしくは別の読み方とか?
外見での判断「打ち放し」が一番グレードが高いのはどうしてなのでしょうか?素人だと「タイル貼ってんだからその分強いんじゃ?」って思ってしまうのですがどうでしょう?
建物の質みたいなのは同意しますが、バブル期の品質低下に関して触れられてないのは残念です。
タイルが入っていない、とはどういう事なのでしょうか?
出っ張っているってことですか??
素人考えだとタイルをぴったり入るように加工して
ぴっしり埋めている方が手間が掛かっていると考えてしまうのですが……
ありがとうございます!
グラスウールだったら性能として10kg/m3をつかってるのかとか、コンクリートだったらウレタン吹付の厚さはどれくらいなのかとか。最上階だったら天井裏に断熱材はどれくらい入っているのかとか。
「断熱材がしょぼ過ぎですよ」って言って相手を断ってみたいなあ。
苦言を呈させて頂くと、そうやって相手の瑕疵を指摘して物事を有利に進めたい、という考えは低俗だと思います。
業者として、良い物件を得る方法をお教えします。
まず、TVでCM打ってる業者(我々言うところの「賃貸屋」)には行かないことです。彼らには仁義などという言葉を持ち合わせていません。
来店したお客様を、物件を決めさせずに絶対に帰すつもりはないので、平気で嘘八百並べます。
狙うのは、引っ越したい地域にある地元密着型で、社長は壮年の店舗。
そして2ヶ月ほどの間、2週間に1回は足を運んでください。
「うちで決めてくれる」と業者が感じれば、いい物件が出た時に連絡も貰えます。
我々業者も人間です。
その情に正直に訴えれば、ちゃんとした物件を見つけることができます。
不動産の賃貸契約は、ただでさえ敷金礼金トラブル等に代表されるような不合理なシステムに縛られており、我々消費者は圧倒的不利なわけです。
2ヶ月間同一の業者に足繁く通うほど暇な人もいませんので、参考にもならないですね。その感覚のズレがあなたのような業者と私たち消費者のそもそも埋められないギャップなのでしょうね。
「TVでCM打ってる業者」「彼らには仁義などと言う言葉を持ち合わせていません」
というのは、すごく矛盾してるんじゃないかな
業者にケチつけてるんではなくて、賃貸契約を結ぶうえで生じる取引における、消費者側の自衛の手段、フェアに進める知恵のひとつとして書かれた記事だと思いますよ
最近はタワーマンションの一部にCFT造が使われるようになってきているので、それも序列に入れてみてください。賃貸物件でもあります。あと、タワーマンション、というかそう呼ぶ前からの高層マンションから、基本はRC造だけど上層階がS造というのもあります(上層階のほうが買うにしろ借りるにしろ高い)。「越えられない壁」はどの程度越えられないのでしょうか。
高層というほどでないものでは、六本木ヒルズゲートタワーレジデンスはS造だそうですが、やはり、ふつーのファミリータイプRC造マンションに対して越えられない壁があったりするのでしょうか(六本木に住む予定はないので単なる興味本位)。
ただ、六本木ヒルズのような高級なもので、S造だからしゃーない、とは言ってもらえるはずもありません。RC造以上の品質に仕上げるため、ゼネコンの最新最高の技術(とお金)が惜しみなく注がれたはずです。
不動産屋といったい何を交渉するためのポイントでしょう?
家賃を決めるのは大家ですし、ほとんどの物件は不動産が所有しているわけではなく、別に所有者がいて不動産屋に募集を依頼しているだけです。
だから不動産屋に構造がどうこう言っても始まりません。
言ったところで構造が変わるわけでもないですし、他社が10万で扱っているのに自分の会社だけ9万にするなんてできないのです。
素直に「この物件が気に入ったけどあと○○円安くなりませんか?」といった方が得策ですよ。