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2009年04月22日

玩具メーカー主導のアニメビジネスについて考えてみた

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玩具メーカー主導のケース

 玩具メーカー主導のアニメというのは古式ゆかしい伝統的な制作スタイルですね。予算規模8億円で4クール48話、玩具を主題にしたアニメを準キー局のネットワークで全国放送するというパターンを想定してみます。出資内訳は以下の通り。

玩具メーカーG 3億5千万円

テレビ局H 2億円

広告代理店I 2億円

制作元請J 5千万円


  • 玩具メーカーの場合

 玩具メーカーがテレビアニメと連動で企画を起こす場合、基本的には数十億規模の商いを想定していると思われます。単価100円の商品なら1千万個以上。途方もない数字に思えますが、今放送中のものだと例えば、角川とバンダイが組んで仕掛けているバトルスピリッツなどは、1年間で1億枚(売上換算で20億円以上?)出荷しているみたいですね。その他にも衣料品や食品、生活用品へのキャラクター使用料等での収入も見込めますが、基本的にはメインの玩具の売上でペイするモデルですね。

  • テレビ局の場合

 さて、テレビ局がどうやって投資を回収するかといえば、これはぶっちゃけていえば波代ですね。2億円出資して、そこから1億5000万円くらいが電波使用料として戻ってくる。残りの5000万円を印税収入と放映権料の販売で賄うという形でしょうね。テレビ局としては自ら出資するよりも波代だけ出してくれるお大尽なスポンサーが獲得出来ればそれに越したことはないのですが、どうしても売れ残ってしまう枠を埋める必要がある。そこに自社制作の情報バラエティをあてるくらいなら、波代を相殺するかわりに権利を取ると言う形で出資するわけですね。この手法であれば放映権料そのものは安売りしなくてすむ(他の枠との兼ね合いを気にしなくて良い)というメリットもあるんじゃないんですかね。

 広告代理店の場合はもっとざっくりとした話で、基本的に2億出資したら2億円がそっくり戻ってくるんじゃないかと。権利だけ取るということですね。実際のお金の流れはもっと複雑でわかりにくくなってるんじゃないかとは思うんですが、売るものがない代理店が投資を回収するとしたらこの仕組みしか考えられないんですね。じゃあ何の権限があって権利を取っているかと言えば、制作前の企画段階でのマーケティングや販路の確保等々で代理店の仕事がある。これこれこういう規模での商いになりますので儲かりますよ、つきましては印税収入の25%を戴きたい。みたいな話なんじゃないかなと。このあたりの数字のマジックが、端から見ていて予算の中抜きをして何もしていないように見えるんではないかな、などと考えています。

  • 制作元請の場合

 制作元請もまた、予算の中から制作企画費としていくらか抜くことになる。4クール規模の作品だと2000万円くらいですかね。これにプラスして映像化権を取った場合は、それをビデオメーカーに2000万円なり3000万円なりで売ることで投資を回収するのが基本的な商売でしょう。国内市場だけではトントンですが、海外に販路拡大できれば大きく儲かるわけですね。ちなみに2000万円で映像化権を売った場合、卸値2500円(定価4000円)のDVDを4万枚程度出荷すれば元を取れる計算です。4話入り12巻で販売しても、各巻3000本ちょっとの出荷でペイする。キッズアニメが安い道理ですね。

 出資しない場合は制作企画費の2000万円を丸々受け取るわけで、場合によっては出資しないほうが儲けが大きいこともあるでしょうね。玩具の印税は3〜5%くらいが相場ですので、1/16の出資では例え玩具の売上が20億円あったとしても600万円くらいの収入にしかなりませんので。

  • 制作費内訳

 ということで制作費の内訳を整理してみましょう。

放映権料 1億5千万円

企画協力費 2億円

企画制作費 2千万円

実制作費 4億3千万円(1話あたり900万円)

―――――――――――

計 8億円

 こんな感じで予算の半分くらいが中抜きされているように見える構図が出来上がるのではないかと。実際は放送局や広告代理店は権利を取るために予算を計上しているだけで、制作に当てられるはずのお金が消えている訳ではないんですよね。特に広告代理店への支払いは、ここが大きくなろうと小さくなろうと権利の配分が変わるだけで制作費はまったく変わらないんじゃないかと見ています。

 このモデルでは結局、制作規模にダイレクトに関わるのは玩具メーカーの出資金のみと言うことになるわけですね。なので前半の商戦で予想以上の売上が上がれば後半の予算の積み増しということはあり得ますし、逆に玩具の売れ行きが悪ければ予算削減→打ち切りという憂き目にあうわけです。この場合DVDの売上は制作費にほとんどなんの影響も与えないというのも重要な点ですね。元請の利益にはなるでしょうから無意味ではないとは思いますが。

五時五時 2009/04/23 00:14 こんにちはー
荒利→粗利ですよね?

五時五時 2009/04/23 00:17 ・・・と思ったら、荒利も正解みたいですね。
失礼しました。

mAyamAya 2009/04/23 00:56 お馴染みの土曜5時枠みたいに浅い時間の全国放送になるとTV局に払う放映料が凄まじく跳ね上がるみたいですね。有名所ですが
http://artifact-jp.com/2007/10/30/anime-businessmodel/
自分は他に各種プロモーション関係がそっくり同じ(1億)くらいかかるんじゃないかと想像していますがどうなっているんでしょうね。

GiGirGiGir 2009/04/23 13:41  玩具メーカー主導の場合を追記しました。mAyaさんが呈示されたエントリは参考にさせていただいています。

 モノを売らない放送局や代理店がどうやって出資金を回収しているのかというところに注視してモデルを作ってみました。たぶんいろいろとツッコミどころがあるとは思いますがよろしくお願いします。

とおりすがりとおりすがり 2009/04/24 00:33 現在のアニメの制作費は、1本1,300〜1,500万円が相場です。
1クール13本とすると、1.7億〜2億くらいかかります。

一般的な製作委員会方式(U局6局)・1クールだと、
制作費:1,300万×13本=17,000万
放送枠代(波代):150万×6局×3ヶ月=2,700万(代理店利用)
原作使用料:20万×13本=260万
合計約2億円ほどかかります。
この金額に加えて、広告などの宣伝費が上乗せされます。
ちなみに制作費は、そのままの金額が制作会社に入ります。

収入ですが、ほとんどのアニメはDVDの売り上げで回収しています。
6,000円のDVDを5巻出すとして、
・6000円×50%(仕切値)−6000円×10%(製造費や権利料)=2,400円
なので、各巻1万本売れても1.2億しか回収できないのです…
出資だけで回収しようとすると、他の収入含めてもDVDが15,000本以上売れないとダメということです。

で、それを解消するために、出資する会社は権利の窓口業務を貰うわけです。
各権利収入の10〜30%が窓口業務をする会社の収入になるので、なんとか帳尻を合わせているのです。

つまり、ほとんどのアニメは出資ベースでは赤字なのです。
それでもアニメが多いのは、一番利益が出るDVDを発売するメーカーが、一番多く出資しているからなのです。
しかし、最近はジェネオンを見ればわかるように、ビデオメーカーも厳しいようです。

とおりすがりとおりすがり 2009/04/24 00:37 ちなみに制作会社も、体力があるところは出資もしています。
(サンライズ・IG・BONES・GAINAXなど)
やりすぎて潰れかかってるGONZOとかもいますが…

GiGirGiGir 2009/04/24 02:54 表に出ている数字を素直に読むとそんな感じなんですよね。にもかかわらず実売5000本以下で続編が出るようなアニメが結構ある。続編の企画が通るという事は前作が利益を出してるって事なんですよねぇ。なんでそんな芸当が可能なのかと、関係各社の経営報告書等を読みながらいろいろこねくり回したのが上の記事です。
予算1億円は本当に最低辺のケースを想定した話で、イニシャル3万本(各巻5000本)で商売になる可能性を示したものです。実際はイニシャル5万本(各巻8000本)で1話辺り制作費1200万円くらいのケースが多いのではないかと。

GiGirGiGir 2009/04/24 03:04 ちなみにライツの切り売りはよほどの成功作品(あるいは海外販路を確保した場合)を除いてほとんど小遣い稼ぎ程度の上がりしか期待出来ません。例えばCS局から放映料取ったとして、1クールで出して100万円程度です。その10%は10万円…まあ端金ですね。だからこそ制作元請で権利を引き取れるわけですが。

波代の指摘はその通りですね。関東圏以外は更にお安くなるので、6局シンジケートでも2000万円くらいで収まるかな?とは思いますが。その辺りの数字もまとめてみようと思います。

AKIYOSHIAKIYOSHI 2009/04/25 00:19 続編が出るのは単体ではトントンでも他の作品がヒットした金で作れる(さすがに大赤字ではダメだけど)。BV作品はガンダム・マクロスのヒットをつぎ込んでるとも言えるでしょう。また、代理店やメーカーは権利印税だけでなく窓口業務(トップオフ)で強い力を持っているのでそこからの利潤もあります。

ちなみにマニア向け企画の場合、制作元請がグッズを作る場合も。京アニのハルヒ・らきすたグッズはコミケや通販でかなりの売上を出してますね。

GiGirGiGir 2009/04/26 12:22 >AKIYOSHIさん
コメントどもです。売れてないのに続編でているというのは例えば「みなみけ」や「地獄少女」あたりのことですね。みなみけは1期は15千本くらいでてるっぽいのでその貯金ということはあるとは思いますが、地獄少女は数字だけ見るとサッパリですよね。あと調べた限りでは「リリカルなのは」も実は1期はDVDそんなに数字出てなかったりしますがこれはグッズで当てたパターンなのかな、とは思います。

サンライズ、IG、京アニあたりは特に成功した例になりますので一般化は出来ないかなとは思います。そのあたりはライツ販売で小銭を稼がなくても悠々黒字になっていますから。

中堅どころがどうやって糊口を凌いでいるのか(そしてそのビジネスは持続可能なのか)というあたりがこのエントリの題目だったりします。そのあたりの事情をご存じでしたら是非ともお伺いしたいですね。