オーランド・ブルームがロリー・スチュアートを演じる?

前に少しロリー・スチュアートのことを書いたが、スチュアートのこれまでの人生をベースとした映画が製作中だというニュース。
少し前のScotsmanの記事によると、スチュアート役はオーランド・ブルーム。3部構成で、1部がアフガニスタン踏破("The Places in Between"に相当)、2部がイラクでの経験("The Prince of the Marshes"に相当)、3部が現在外務省を辞めたスチュアートがアフガニスタンで立ち上げたNGOの話という感じになる予定。
記事を読むとスチュアートはアンビヴァレントな態度。自分自身に脚光が当てられるのに違和感を感じているようだ。


"I'm a bit ambivalent about it. I think what my books are really about is my sense, in Afghanistan, of what culture outside Kabul seems to be like for a foreigner, and in Iraq to talk about why the coalition was so unsuccessful and the project so doomed.

"I try to keep myself out of the books, I don't talk about my own personality or life. I'm not quite sure how this could work."

However, "if it was something that was able to draw attention to the work of the charity in Kabul, it would be exciting."

His own role in Iraq is rather like "a bit part in The Office", he says.

"What you notice working in these countries is the amazing jargon of bureaucracies, the water-cooler politics. If you were able to convey that (in a film], get over a culture of PowerPoint presentation, you would begin to show an audience why something could be a catastrophe, without reducing it to saying everyone there is evil, or stealing money, or stupid."

自分は英雄的人物という柄じゃないから、自分の役はダニー・デビートあたりに演じてもらったほうがいいとも。
ともかく、まだ初期段階の話なのでなんともいえないが、映画が完成したなら日本でもやるだろうし、本のほうも翻訳されるだろう。

"Waltz with Bashir"

友だちに話したら知らないと言われたのでちょっと書いておく。

"Waltz with Bashir"はイスラエルの監督アリ・フォルマンによるレバノン侵攻を扱ったアニメ・ドキュメンタリー。このあいだのカンヌに出品され、下馬評はかなり高かったが、残念ながら賞は受賞できなかった。

1982年6月、イスラエル国防軍レバノンに侵攻。南レバノンにあるPLOの軍事拠点を破壊し、イスラエル北部への砲撃を不可能にするのが当初の作戦の目的だった。だが、当時の国防相アリエル・シャロンを中心とした作戦の主導者らの目論見通り、戦線は拡大。イスラエル軍ベイルートへ到達すると、PLOの指導部が置かれていた西ベイルートを包囲、爆撃し、PLOの軍事・政治部門はレバノンから追放された。
ついでイスラエルは、同盟関係にあるマロン派キリスト教徒をレバノンの権力の座に就けようと工作。結果、キリスト教政党であるファランヘ党民兵組織(ファランジスト)のリーダーであるバシール・ジェマイエルが順当にレバノン議会で大統領に選出されるが、就任前の9月、暗殺される。
イスラエル国防軍は暗殺前に結んだバシールとの協定に基づき、ただちに西ベイルートを占領すると、パレスチナ人難民キャンプ、サブラ・シャティーラの「テロリスト」掃討をファランジストに委任する。ファランジストは当然予想されたとおり暗殺の報復に出て、女子どもを含む民間人1000人近くが殺害された。いわゆるサブラ・シャティーラの虐殺である。
虐殺のニュースが伝わると、イスラエル国内で歴史的規模の激しい抗議運動が起こり、政府は虐殺について公式の調査委員会を設けた。委員会はイスラエル政府にある程度の責任があることを認め、アリエル・シャロンの辞任を勧告した。シャロンは国防相を罷免されたが、政治的生命を保った。フォルマンが映画の製作をはじめた頃、シャロンは首相になっていた。

レバノン侵攻当時20歳だった監督のフォルマンは、友人の夢についての会話がきっかけで、レバノンへ従軍したときのことをはっきりと覚えていないことに気づく。フォルマンは友人や一緒に従軍した兵士らにインタビューをはじめ、徐々に記憶をつなぎ合わせていく。記憶を再構成する旅は、フォルマンをベイルートへ、そして難民キャンプ近辺に配置された日へ、いやおうなしに導いていく。

アニメとドキュメンタリーとは妙な取り合わせだが、トレイラー(PILの曲が印象的)を見るとなかなかの効果をあげているようにみえる。

映画の公式サイトによると、日本では東京フィルメックスで上映されるとのこと。期待。

デイヴィッド・フォスター・ウォレス自殺


David Foster Wallace, the novelist, essayist and humorist best known for his 1996 novel "Infinite Jest," was found dead Friday night at his home in Claremont, according to the Claremont Police Department. He was 46.

Jackie Morales, a records clerk at the department, said Wallace's wife called police at 9:30 p.m. Friday saying she had returned home to find that her husband had hanged himself.

ファック。

オバマの側近がクリントンは「モンスター」だと発言し、辞任

これも最近はじまりだしたネガティヴ・キャンペーンか? オバマの側近って誰だよ……って思って記事読んだら、サマンサ・パワーじゃないか!

サマンサ・パワーは元ジャーナリストで、ハーバード・ケネディ行政大学院のカー人権政策センターの教授。20世紀のジェノサイドとアメリカの対応のケーススタディである"A Problem from Hell"(2003)はピューリツァー賞を受賞した(翻訳が出版されるはずだったが、もう1年半ぐらい遅れている)。最新作の"Chasing the Flame"(2008)では、国連外交官セルジオ・デメロの生涯を主題として、国連の問題点と改革の展望について素描している。オバマの大統領選における外交問題顧問を務め、オバマの大統領就任のあかつきには、国務省入りすると目されていた。

「モンスター」発言をしたThe Scotsmanの記事を読むと、ネガティヴ・キャンペーンというより、単に脇が甘くて思っていることを口にしただけのようにみえる。


"We f***** up in Ohio," she admitted. "In Ohio, they are obsessed and Hillary is going to town on it, because she knows Ohio's the only place they can win.

"She is a monster, too – that is off the record – she is stooping to anything," Ms Power said, hastily trying to withdraw her remark.

Ms Power said of the Clinton campaign: "Here, it looks like desperation. I hope it looks like desperation there, too.

"You just look at her and think, 'Ergh'. But if you are poor and she is telling you some story about how Obama is going to take your job away, maybe it will be more effective. The amount of deceit she has put forward is really unattractive."

なんにせよ残念だ。

西エルサレムのユダヤ教神学校が襲撃され、8名死亡

6日、西エルサレムユダヤ教神学校が襲撃され、生徒8名が死亡した。襲撃者は東エルサレムパレスチナ人で、単独犯という報道である。
背後組織については今のところ不明。ハマスは襲撃自体は称賛したが、関与は認めていない。ヒズボラのテレビ局では、〈イマド・ムグニヤ・ガザ殉教者団〉(Martyrs of Imad Mughniyeh and Gaza)と名乗る組織が犯行声明を出したが、組織についても犯行の真偽についても不明である。イマド・ムグニヤは先月暗殺されたヒズボラの伝説的指揮官。ベイルートの米大使館、海兵隊兵舎爆破、アルゼンチンのイスラエル大使館、ユダヤ人コミュニティーセンター爆破などに関与したとされる。ムグニヤ暗殺の実行者は不明だが、ヒズボライスラエルの関与を確信し、報復を口にしていた。他方、ガザでは先月末からのイスラエルによる攻撃により、パレスチナ人が約130名(約半数は民間人)殺害されている。
イスラエル国内で大規模な襲撃があったのは2006年以来、エルサレムでは2004年以来となる。イスラエル政府は和平交渉の継続を言明しているが、イスラエル国内の和平反対派はこの事件を焦点として勢力を伸ばし、交渉断絶へとプレッシャーをかけるだろう。
襲撃そのものが重大な事件であるが、襲撃対象が事件に更なるエスカレーションの可能性を付け加えている。襲撃を受けた神学校のMercaz HaRavは、占領地入植運動と結びついた宗教的シオニズムの揺籃の地なのだ。
正統派ユダヤ教と世俗的なナショナリズムであるシオニズムの関係は曲折に満ち、時として敵対的だったが、宗教的シオニズムイスラエルの建国を「救済のはじまり」とし、シオニズムに一定の役割を認めるとともに、入植運動に神学的お墨付きを与えた。宗教的シオニズムイデオロギー的中心としてのMercaz HaRavの影響力は非常に大きく、例えば有名な入植者組織のグッシュ・エムニムの創設メンバーは、大半がここの神学校の出身である。
要するに、入植者にとってこの襲撃は象徴として大きな意味があり、彼らが直接的な報復に出るのではないかということを個人的に懸念している。

ハーパーコリンズ、公式サイトで自社の出版物を立ち読み可能に

Michael Chabonでググって思い出したニュース。
アメリカの出版社のハーパーコリンズが自社サイトで本の閲覧ができる"Browse Inside"というサービスを開始した。アマゾンの"Search Inside"と似たようなものだが、こちらでは全体が閲覧可能。サービスは今週始まったばかりで、今のところ読めるのは500冊。
閲覧できる本のリストはここマイケル・シェイボンの"The Yiddish Policemen's Union"はこれ。ほかにも"Freakonomics"や、ニール・ゲイマン "American Gods"なども読める。