WhiteSmokeって?

Grossauge2010-01-20

昨年あたりから、"WhiteSmoke"というライティング補助ソフトの広告が、特にGoogleの提供する広告でやたらと出てくる。きっと私が検索で入れた言葉や、私のGmailの内容、IPアドレス、訪れたサイトとかも広告の出方に影響しているのだと思うが、とにかくものすごい量の宣伝攻勢だ。

毎日英語で生活していて、なんとかまともな文章を書こうと必死な自分のような人間には、こういう広告はかなりの効果がある。とりあえずクリックしてみた。英文の文法や綴りの間違いを訂正してくれるとか、よりよい表現を提案してくれるとか、良いことが色々書いてある。さらに、今までのソフトと違ってレベルが高いとかなんとか。そして、YahooやNBC、CNNなどでも紹介されましたという、お墨付き系の広告までついている。こういうのは、新刊本とか新しい映画などの広告でよくある、「ニューヨークタイムズで絶賛された!」みたいな感じだが、実は今まで一度もそういう出所の本文を読んだことがない。だからどういう文脈で紹介されたのかとか、どんな人がその評価をしたのかとかはよく分からない。

どうやら、日本でも代理店を探して商売しているらしい。日本語版サイトは本家に比べて見劣りするが、内容はほとんど同じだ。whitesmokejapan.jpなんていうドメインもちゃっかり入手しているし。

いいことばかり書いてあるけれども、本当は何が違うのかよく分からない。何となくうさん臭いので、インターネットでどんな評判があるのか調べてみた。Vectorの評価ではお二方が一つ星をつけている。操作性が悪い、MS Officeについている文法や綴りのチェック以上の機能はない、という性能に対する悪い評価の他に、インストールした後にソフトが行方不明になったとか、大量の購入勧誘メールが購入者やその同僚などに届くようになったという、スパムまがいの内容が報告されている。他の口コミでも似たようなことが書かれているから驚きだ。

英語の口コミサイトではさらに話題になっているようだ。消費者が色々な会社やサービスの苦情を話し合うサイトであるComplints Boardでは、WhiteSmoke.comは「多分詐欺」だという評価になっている。全体の約7割が何らかの不満を述べている。それらを読んでいると、約3割の肯定的な意見は、他のスペルチェックサービスを今まで使ったことがない人か、WhiteSmokeの回し者かのようにも見えてくる。

共通する苦情は次のような物だ。

  • 文法やスペルの候補が必ずしも正確でない
  • WhiteSmokeをインストールしてからコンピューターが何かおかしい
  • WhiteSmokeのさらなる購入を進めるポップアップが出続ける
  • テクニカルサポートに連絡がつながらない
  • 払い戻しに応じない
  • ダウンロード版を買ったが、インターネットに常時接続していないと使えないということが後で判明した
  • 2009年アップグレード版を購入したが、それ以前のバージョンとユーザーインターフェース以外の違いがない
  • WhiteSmokeが挙げる候補は正しい時よりも間違っている時の方が多い
  • 1つのコンピュータでしか使えない
  • MS Officeにあるチェック以上の機能はない
  • アンインストールがうまくできない
  • 支払ったのに21日以内にCDが届かないので苦情をいってもまだ届かない

うーん、なんだか危ない臭いがする。公正を期すために、肯定的な意見も挙げておく。

  • WhiteSmokeはすばらしい(筆者注:なんでそこまでamazingに思えるのか少し怪しい気がする)
  • 使い始めてからemailを書くのが早くなったし、スペルミスが少なくなった
  • CDは購入後21日以内に予定通りに届いた
  • ダウンロードが簡単でよい
  • サポートにある文章についての質問をしたら、研究開発部門が検討するのでサンプルを送ってほしいといわれた
  • アップグレードを次々に出すので、進化していてよい

肯定的な意見は何か信じがたい物が多いように見えるのは私の先入観のせいだろうか。他にも怒れる消費者が発言しているサイトをいろいろ発見した。
A lot of white smoke
freeDOWNLOADS CenterのWhiteSmokeの評判
(ここでは肯定的な意見が若干多いように思う。)
SCAM: WhiteSmoke software
(WhiteSmokeは、インターネットの特性を利用し、意図的に不正をして短期間で巨額の利益を得ようとしている詐欺だと、かなり強く糾弾している。)

結論としては、「買わない方がよい」と思う。

この商法から学べるインターネットの商売方法

  • 本当の意味での品質向上ではなくても、とにかく頻繁にアップグレードしてバージョン数を上げ、信頼されている度を演出する。
  • 値段設定を高めにして、購入者に「品質の良い物だ」と思わせる。
  • ウェブサイトはクールにまとめる。
  • 有名どころのお墨付き広告を忘れない。
  • SEO対策は徹底的に行う。
  • インターネット上の口コミは徹底的に操作する。
  • 少しでも興味を示した人には購入促進メールやアップグレードメールを送り続ける。

これであなたも一夜にして長者になれるかも?どこからが不正行為になるのだろうか?そいういう限界すれすれの商売がインターネットには盛りだくさんだ。Googleだって、大量の広告からWhiteSmokeを買った人のお金の一部をもらっているし、自動の広告を設置した人や団体もそのお金の一部をもらっているわけだから、なんだか複雑だ。