すべては一杯のコーヒーから(松田公太)

生まれてからタリーズジャパンを創設させてから軌道に乗せるまでの激動をつづった、タリーズジャパン創設者松田公太氏の自伝。

すべては一杯のコーヒーから

すべては一杯のコーヒーから

最初に断っておくと、大変申し訳ないがタリーズコーヒーには一度しか足を運んだことがない。よって、タリーズスペシャルコーヒーを飲んだことはない。むしろ、コーヒーは苦くて飲めない体質。タリーズよりもスタバ派。スタバのジャバチップフラペーチーノが大好きな甘党。


タリーズは所詮スタバの二番煎じだと思っていたが、コーヒーにうまさや店の雰囲気からしたらいまではスタバと肩を並べるというよりも、その上をいく。これは、松田氏のこだわっていたブランディングの成果だと思う。


というのも、いまではスタバはどこにいってもある。確かに銀座に1号店がでて、そこからの広め方、ブランディングがうまくここまで広がってきたと思う。いまでは、地方のイオンにもスタバが入店している。まさにラガードまで浸透した。ブランディングの教科書のようなものである。それに対してタリーズは、まだまだラガードまでの浸透度は低い。むしろ、イノベーターやオピニオンリーダーへの浸透段階ともいえる。だから、スタバと比べると発展段階にあるのかもしれない。だが、この戦略があたれば高付加価値な企業となることは間違いない。


内容としては、セネガル、ボストン、筑波大学三和銀行、弟の死、タリーズ設立、母親の死、こんな激動である。34歳にして自伝が書けるのもうなずける。その折々に、松田氏の何事に対しても徹底的にやらなくては気がすまない性格を感じられ、それが、なにか自分の中に足りないものであると感じさせる。いまではタリーズインターナショナルの会長として、新たに茨の道を選び歩き出している。そのモチベーションの礎を知ることができる一冊なのではないかと思う。何かに熱くなることっていうのは、かっこ悪いと感じてしまう人が増えている現代でこの人の情熱は、日本には必要だ。