『「お通し」はなぜ必ず出るのか』

「お通し」はなぜ必ず出るのか―ビジネスは飲食店に学べ (新潮新書)

「お通し」はなぜ必ず出るのか―ビジネスは飲食店に学べ (新潮新書)

 
 書店で何気なく手にとって買ってみた。CDのジャケ買いならぬタイトル買いだ。サブタイトルに「ビジネスは飲食店に学べ」とある。飲食店には関係が深い、あくまで顧客としてだが。

 日本の飲食業界の市場規模は年間24兆円と本書に紹介してある。「○○業界○○兆円」、「××の年間生産量××億トン」、「全世界で△千万人もの人が△△△!」などなど、1000万を越える数字に登場された時、対比するモノサシが頭の中に入っていないとその数字に単純に圧倒されてしまう。TVもで本でも新聞でも正直ズルイと思うことが多いのだが、本書では丁寧に「国内の乗用車市場が17兆円」「コンビニが7兆円」とモノサシを用意してくれている。ナルホド、乗用車の1.4倍なのだ。国民一人当たり一日530円、4人家族なら年間80万円近くを外食に使っている計算になるという。ここまで説明してもらえると数字に実感が持てる。我が事として考えることができる。

 この本は全編このような調子で、非常に丁寧にわかりやすく飲食業界の現状を紹介してくれ、その上で著者なりの提言をいくつか上げている。詳しくは書かないが、門外漢にも納得できることが多い。丁寧でわかりやすく、読みやすい。でも書いてあることはカナリ本格的で専門的なことだ。難しい事をわかりやすく簡単に伝えるというのはなかなか出来ない事だと思う。逆に簡単な事を小難しく語る人の何と多い事か。

 ちょっとした気まぐれで呼んでみたこの一冊。この業界の人間ではないので明日の仕事に影響は無いけれど、いつも行くあの店この店を見る目が少し変わったかも知れない。