『プロの課題設定力』
「現状」と「あるべき姿」を把握し、「あるべき姿」になることを阻害している「問題」を見極め、それを解決する手立てを設定する、これが「課題設定力」だ。目まぐるしく移り変わる現代のビジネスシーン。今日のスタンダードが明日通用する保証はない。「課題設定」を誤るとすべての努力が水の泡となる。現代は問題解決力より、課題設定力が問われる時代だという。
「経験知」ということばがある。どんな事でもそれを何年か継続するならば、こういう時はこうすれば良い、これをやるとマズイなどといった断片的ではあるが、かなり精度の高いノウハウを得ることができる。この本はビジネスシーンでだれもが肌で感じている「経験知」的なものと、コンサルタント業務の中で使われるフレームワークやMECE、オズボーンのチェックリストやハリウッド・テンプレートなどのツールをうまく融合させながら、「課題設定」の手順を教えてくれる。読み終えてからもう一度目次に目を通すと感じるのだが、実に論理的で、理路整然とした一つの大系にまとめ上げている。
本書は多くのビジネスパーソンのセルフマネージメントに使えるし、営業ならば顧客対応のあり方として使うこともできるし、部下を持つ人は部下の課題をいっしょに設定してあげるためのツールとしても使える。わかりやすくて、使える。なかなかの一冊だ。