『稼げる人、稼げない人』


 どんな会社も収益を得ることで存在している。しかし会社に勤める人の全員が収益を得ることに直接かかわっているわけではない。営業に携わる人は自分の行動がどのくらいの収益につながるかを具体的な数字として実感できるが、それ以外の業務をやっていると実感できない。それどころか、収益を得るために必要な業務の一部を自分が担っていることさえ分からなくなる。

 著者の高城幸司は元リクルート。数々のビジネス本をヒットさせている。本書は全部で8つの章があるのだが、1章から3章で「稼げる人」のイメージを明確にする。4章から6章で「稼げる人」と「稼げない人」とを対比する中で「稼げる人」像を立体的にする。最後の7,8章で読者が「稼げる人」への第一歩を踏み出すよう、背中を押してくれる。論理的な構成と、平易な文章で分かりやすい。

 この本は自分の仕事が会社の収益につながることがイメージしにくい職種の人にお勧めだ。会社の収益につながらない仕事など本当はないのだが、そのことを実感しにくい職種もある。販売や製造に携わらない、いわゆる間接部門の人がそうだろう。逆にその点が明確すぎるくらい明確な営業マンにとって、本書の内容には自明なことも多い。ただ、若い営業マンの中には「指示まち」君も多いようなので、そうならないためにも一読の価値はあるかも。また「企業がもっともほしい人材とは」というサブタイトルが示すように、就職活動中の学生さんにもオススメだ。会社観、職業観のベースにおくべき内容だと思う。

稼げる人、稼げない人 (PHPビジネス新書)
作者: 高城 幸司
メーカー/出版社: PHP研究所
ジャンル: 和書