『あたりまえだけどなかなかつくれないチームのルール』

 見開き2ページに一つずつ、全部で100のルールが紹介されている。ルールはバラエティーに富んでいて「リーダーは必ず一日一回メンバーと面談か電話で話そう」といった分かりやすいものもあれば、「矛盾を解決し矛盾をつくり出そう」という禅問答のようなものもある。「手帳に書き込む時間をスケジュール化しよう」が一人で行うルールなら、「週に一回は全員に仕事の自慢を報告させよう」はチーム全員で行うルールだ。「メンバーのためにすべてを投げ出せる人をナンバー2にしよう」なんてのもある。100あるルールの内、自分なりに解釈して実行できることからやっていけばよい。ちなみに一番のお気に入りは「YOUメッセージでなくIメッセージで語ろう」というルール。評論家的に「あなたはこうした方が良い」と語るのでははく、「私はこうだと思う」「私はコレをあなたにやってもらいたい」と語る。Iを主語とする言葉は主体的で力にあふれ、相手の感情を揺さぶるのだ。今日からマイルールに採用。是非とも自分のモノにしたい。

 話は飛ぶが、勤め先の会社では10年以上前からリクルート社の研修を導入している。数えてみたらこれまで切り口の異なる9つの研修プログラムに参加させてもらってきた。すっかり身についた事、忘れてしまった事、役に立っている事、役立てられていない事・・・いろいろある。この研修、社内での評価はまちまちだが、僕は基本的に好きだ。体育会系のド根性研修ではない。かと言って理論偏重、べき論で固められたクールな研修でもない。ビジネスの場にいるのは自分を含めて「不完全な人間達」。それを認めた上で、「じゃぁどうする?」と、とことん考える。そんなスタンスが気に入っている。で、話をこの本に戻そう。読んでいてなぜか妙にシックリくる。言葉の一つ一つがストンと腹に落ちる感じが心地よく、スイスイ読み進む。そうしたら16個めのルールでこのフレーズ「かつて私がお世話になったリクルート・・・」。そういう事かと深く納得した。

 タイトルの通り、チームのルール集なのだけれど、まずは自分が納得して心に決めなければチームのルールになどなるはずがない。一人で出来ることはマイルールとしてやってみよう。明日会社に行くのが少し楽しみになってきた。

あたりまえだけどなかなかつくれない チームのルール (アスカビジネス)
作者: 小倉広
出版社/メーカー: 明日香出版社
発売日: 2008/11/05
メディア: 単行本(ソフトカバー)