HODGE'S PARROT

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ヨーロッパは今、左派の季節

ニューズウィーク日本版』(2006-4・26号)に、イタリア総選挙におけるブロディの勝利とフランスのデモを絡めた「ヨーロッパの左旋回」についての記事が載っている。クリストファ・ディッキー『ヨーロッパは今、左派の季節/The West is Red Again』。

この記事で興味を惹くのは、左派といっても中道もしくは穏健左派が後退する一方、「急進左派」が勢いづいていると言う指摘だ。
フランスを例に取ると、「現実主義の中道路線」を取っていた左派政治家──ブルボン王子のように超然としていた社会党ローラン・ファビウス元首相──が、大衆向けのセーフティネットが不十分であることを理由に欧州憲法に反対したこと。社会党内で経済自由化を掲げていたドミニク・ストロスカーン元経済産業相が、最近はまるで無政府主義者のような過激な発言をしている、など。
そこへ若年労働者の雇用促進策が学生や労働者のデモで撤回に追い込まれ、急進左派の台頭が強く意識されるようになった。

平等主義とグローバル化の間で穏健な妥協策を採りたいヨーロッパの人々にとって、急進左派の台頭は好ましくないニュースだ。
「私のような人間は、左派の穏健化は可能だと考えていた。しかしこの試みは失敗した」とイタリアの著名な政治評論家ルチア・アヌンツィアータは言う。「(今のイタリア人は)貴族対大衆という中世的な構図にとらわれている。そして大衆はかつての貴族と同じように、最小限の労働と最大限の享受からなる暮らしを送れるだけの保護と補助金を求めている」
もちろん左派であれ右派であれ、この願いを実現できる政府は存在しない。

アヌンツィアータは、ブロディ政権は急進左派の「人質」になりかねない見方があることを示す。そしてヨーロッパ全体が「中国からの観光客をあてにする巨大な補助金天国になってしまう」と警告する。