2007-05-31
「なるほど、権利が切れるというのは、こういうことなのか」
僕もショップでナクソス盤のグレン・グールド『ゴルトベルク変奏曲』を見かけて「おぉ」と思ったので、飯尾洋一氏のコラム「ネットエイジのクラシックジャンキー」を興味深く読んだ。
あの名盤から50年。権利が切れるということは [日経パソコンオンライン]
著作権と著作隣接権はよく混同される。前述の録音で言えば作曲家のバッハに帰属するのが著作権。バッハは18世紀に没しているので、著作権はとっくに切れている。これに対して実演家(この場合ならグールド)やレコード制作者(ソニーBMG)が持つのが著作隣接権。日本国内では、レコードの場合は原則として「発行した年の翌年から50年後まで」が保護期間とされる。
そう、僕も長らく「グレン・グールド=コロムビア/ソニーのアーティスト」という図式に慣れ親しんでいた。だから他レーベルによる同一録音の出現は、とても新鮮な光景だった。
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でもグールドにまで「手が届いた」ということは、なにか世界が変わったという実感がある。
(中略)
たまたまインターネットによる音楽配信の広がりとステレオ録音の著作隣接権の消滅のタイミングがうまく合致してくれたおかげで、わたしたちはクラシックの黄金時代を「権利切れ」という形によって50年遅れで追体験できることになりそうだ。
クラシックBOOK―この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる! (王様文庫)
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それとレコードじゃないけど……モーリス・ラヴェルの楽譜も「日本では」長いことデュラン社/DURAND S.A. のものでしか手に入らなくて、それが全音楽譜出版社から出たときも「新鮮な光景」だった。あの「見慣れた」黄色いカヴァーとフランス語表記だけではなく、値段がずいぶんと安くて……ショックだった(笑)。
またラヴェルが1937年に死去した後、著作権の関係で、50年及び戦時加算の10年で合計60年間、つまり1937年から約60年後の1997年頃までラヴェルの楽譜は非常に高価であった(一例として1991年当時の日本円価格で輸入版の『水の戯れ』一曲の楽譜が2,800円を要した)。著作権が消滅し、ラヴェルの楽譜の価格が非常に安くなったとき、楽譜の編集者達は曲についての細かい確認作業をする際、ペルルミュテールの演奏を参考にした。音楽の友社から出版されているラヴェルのピアノ曲集に至っては、ペルルミューテル自身が校訂したものを採用している。
「戦時加算」とは、ウィキペディアによれば、「日本などの枢軸国諸国における著作物利用の制限で、第二次世界大戦中の連合国(米英など)及び連合国民の有する著作物の著作権の存続期間について、著作権法に法定された通常の期間に加えて、開戦から講和までの約10年間延長されること」だ。
日本は第二次世界大戦中は戦争相手国である連合国の国民の著作権を保護しなかったペナルティーとして、戦争中に存在した連合国の国民の著作権について、通常の保護期間に戦争期間を加算しなければならない。
但し、対象となるのは平和条約を批准した45の国全てではなく発効時にベルヌ条約に加盟していた国または日本と交戦状態となる前に個別の条約ないし協定を日本と締結していた15か国に限られる。
関連→ラフマニノフの著作権が消滅[山崎潤一郎のネットで流行るものII]
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楽譜(スコア)に関してはアメリカの Dover 社の存在も新鮮だった。廉価であるだけではなく、カヴァーが洒落ていて。例えばラヴェル関連だと『ダフニスとクロエ/Daphnis et Chloe』のフル・オーケストラ版スコア。2000円ちょっとで買えてしかもこのデザインなのだから。
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[関連エントリー]
ロイター通信、尾辻かな子さんのインタビューを掲載
Reuters が民主党公認で参院選にチャレンジする尾辻かな子さん(元大阪府議)のインタビュー記事を掲載した。『Guardian』に続き、有力英語メディアが報じる「同性愛を公言している日本の政治家の訴え」は、世界中で共有され反響を呼ぶだろう*1。
INTERVIEW - Lesbian politician hopes to make Japanese history [Yahoo! News/Reuters] [TNKU TransNews]
"Japan still isn't a place where people can come out, so many citizens don't know we are living right alongside them, or what we are suffering," Otsuji told Reuters in an interview.
"People who can come out should become visible, enter politics and gain wider understanding. Then concrete things like anti-discrimination laws will follow."
未だ多くの人々が、カミングアウトできない状況にある。ゲイであることによって、様々な抑圧と差別に晒される。それが日本の現状だ。セクシュアル・マイノリティに対する理解の必要性、そして反差別法のような具体的な政策の必要性を、尾辻さんは訴える。
Early this month, the Democrats officially recognised her as a candidate for the upper house election.
The party decision, which she lauded as "courageous", faced some opposition from people who worried it might lose conservative votes. Some Internet sites have also criticised her.
Japanese media are taking sexual minority issues more seriously these days -- both TV programmes and a comic have dealt with transsexuals in the past year. But social acceptance remains limited and gays are still often shown as comic relief.
日本の最大野党民主党が、レズビアンの候補者を公認したことは「勇気ある」ことだ。なぜならば保守層の動向に影響を与えるからだ。事実、いくつかのインターネットサイトでは尾辻候補を批判している。
一方、日本のメディアはセクシュアル・マイノリティに関する問題を「シリアスに」扱うようになってきている。テレビ番組やマンガにおいても、トランスセクシュアルの人々が(理解を得るような形で)登場するようになった。しかし現実的に社会的な認知は途上で、とくにゲイはいまだ「笑いもの」(comic relief)にされることがしばしばある。
"Having a role model that can be accepted is very important," he said. "Sexual minorities aren't only comic, they're just ordinary people right near you."
セクシュアル・マイノリティはコミックに登場するだけの存在ではない。「あなたたち」のすぐ近くに普通に──あなたの家族として、友人として、同僚として──存在している。
尾辻かな子さん記者会見・参院選全国比例民主党公認を受けて02 [TNKU akaboshi07]
[関連エントリー]























http://www.economist.com/opinion/displaystory.cfm?story_id=9257593
中身は読んでもらうとして、この中にも”gay”という言葉が出てきます。
>>Today the public distinguishes clearly between personal lifestyle issues, where they are liberal, and crime, where they are definitely not. It is what I call the pro-gay-rights, tough-on-crime position. It confounds traditional left/right views.
のように自分のことを「プロ・ゲイ・ライツ」(pro-gay-rights)と言い切る、イギリスだけではなく世界的な指導者が、もうじきいなくなるのは残念ですね。それ以外にも国内外の問題について語る──語ることのできる政治家というのは、なかなかいないでしょう。
それで、思いついて、1998年の雑誌『ブルータス』を引っ張り出してきました、これ、イギリス特集で、労働党政権になったばかりの「新生イギリス」を扱っています。『ブルータス』なので硬軟交えた話題で、ブレアさんの行き付けのレストラン(その当時なので、クリントン米大統領夫妻とディナー)や、ピーター・マンデルソンとクリス・スミス文化相による『ニュー・ブリテン』プロジェクト、アートやファッション──さすが『ブルータス』というかブラウン蔵相にスポットを当てていて、蔵相がスーツをオーダーするテイラーを紹介しています──、スポーツ、音楽、そしてもちろん『Gay Lodon』という画期的な観光政策にも触れています。
なんだか一時代が終わったようですね。『R25』でさえも仏シラク大統領が退任することで、日仏関係が「後退」するようなことが書いてありましたし。
今日、Yahoo!のトップページで某国首相が何か言ってましたけど、当時23歳でシンクタンク<DEMOS>の研究員 Mark Leonard さんのほうがずっと切れ者に見えました。
著作権関連で実感があるのは、オーケストラやっていたときに、パート譜を「写譜」したことですね──というかスコアから起こした。コピーしてはいけないので、手書きで音符を書くわけです。そのときに──ピアノ譜でもそうですが──楽譜の「間違い」を発見したりして、なかなか面白かったです──疲れたけど。そういう意味でラヴェルの楽譜みたいに、著作権が切れて、ペルルミュテールや他の人の「校訂版」が出るのは、作曲家ラヴェルにとっても良いことだと思うのですけどね。
朝日新聞の記事もチェックしておきます。