HODGE'S PARROT

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写真で振り返るパリ2010 Décembre

今年2度目のパリ。SONYのα33で撮った写真に目をやりながら旅行記と洒落込みたい。

写真を撮るということは、写真に撮られるものを自分のものにするということである。



スーザン・ソンタグ『写真論』(近藤耕人 訳、晶文社) p.19 *1

羽田空港国際線旅客ターミナルビル Haneda Airport
まずは10月に開業したばかりの羽田空港国際線ターミナル。ここから海外へ行けるなんて去年の今頃はぜんぜん思ってもいなかった。深夜便なので出発当日は普通に仕事を終えてから空港へ向かった。CM通り余裕だった。

パリに着いたのは朝の7時。早速、活動開始。ピラミッド駅近くの観光案内所へ行ってミュージアム・パスを購入した。これでパリの主だった美術館はフリーパス。最初はやはりルーヴル美術館へ行こうと決めた。ここから歩いて向かう。
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ルーヴル美術館へ向かう途中、マドレーヌ教会が目に入ったので、せっかくなので中へ入って試し撮り──おっと失礼。帰りにマドレーヌ教会ブランドの十字架のペンダントを買った。
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コンコルド広場の噴水。魚の彫刻がミョーに可愛かった。コンコルド広場からだとオランジュリー美術館がすぐなので、先にそちらへ──モネの『睡蓮』を見ながら一休みした。そしてチュイルリー公園を通って、目的地ルーヴル美術館へ。
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ルーヴル美術館で最高にセクシーな彫刻は、やはりギリシア美術のところにある。周りもこんな感じでまるでスポーツジムの浴室のようだった(他の「喩え」もあるのだが、ちょっと控えておこうw)。
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「ここで」長居していたらすっかり日が暮れて閉館時間になってしまった。夜のルーヴル美術館も素晴らしく美しかった。
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……と、ここまで書いて。このように時間軸に沿って丁寧に書くと…なかなか面倒なので後は気に入った写真を見ながら思い出すままに書くことにする。
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夜のチュイルリー公園。意図せず、いい感じのモデルさんが写っていた。個人的にも気に入っているショットだ。
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これは意図して、命がけでw撮ったシャンゼリゼ大通りの写真。
Grande Arche 新凱旋門
夜景では、ラ・デファンスもSF映画に出てくる近未来都市のようで印象的だった──ただ、すごく寒くて途中で撤退を余儀なくされた…。
セザール・フランクの墓 César Franck
今回のパリ旅行の目的の一つだった、モンパルナス墓地にあるセザール・フランクの墓参り。写真を撮りながら《前奏曲、コラールとフーガ》のコラールが頭の中で流れていた。他にマルグリット・デュラスサルトル&ボーヴォワールの墓にも祈りを捧げてきた。ただ、墓荒らし…じゃなくて墓探しにはすごく時間がかかった。これに懲りてペール・ラシェーズ墓地、モンマルトル墓地へ行くのは(今回は)やめた。
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サント・シャペルの全方位ステンドグラス。一部工事が行われていたが、それでもこの色彩過剰の空間には圧倒された。万華鏡の中にいるようだった。このサイケデリックさはオリヴィエ・メシアンの音楽を彷彿させる──というか、こういうカトリックの派手な「舞台装置」の中からメシアンのような過激な音楽が生まれてきたのだろう。同日夜、再びここへきて、弦楽四重奏&ソプラノのコンサートを聴いた。セキュリティは空港並みに厳しかったが。
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同じシテ島にあるノートルダム大聖堂の夜の眺め。日曜日の午前中にもここを訪れた。ちょうどミサが執り行われており、ミサ参加者と観光客で内部はごったがえしていた──ある意味、無法地帯(この神聖な場所におけるスリには注意!)。スペクタクルなミサで、オルガンの重低音が壮大に響き渡っていた。ディズニーランドのような盛り上がりだった。
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ノートルダム大聖堂ゴシック様式なら、サン・ジェルマン・デ・プレ教会はロマネスク様式。こちらも観光客に大人気のスペースだった──素朴な外観と打って変わって内部は華麗だった
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キリスト教の「人間中心主義」からしばし離れて、国立自然史博物館にも行ってきた。進化大陳列館の動物たちの「行進」はリアリティ抜群で迫力があった。
Mosquée de Paris モスク
自然史博物館の向いにあるモスク。これまで僕は神社仏閣、カトリックプロテスタント諸派正教会の教会には行ったことがあるが、イスラム寺院であるモスクには入ったことがなかった。
Mosquée de Paris モスク
いい機会なので、意気揚々と入ってみると…呼び止められた。やっぱりゲイは入れないのかな…と思ったら、この時間は信者以外は入れません、と受付の人が丁寧に説明してくれた。二時間後ならOKです、と。でもそんなにここで時間をつぶせないので、モスクに併設されているサロン・ド・テで甘いミントティーを飲んだ。蛇足ながら中東系の給仕がとてもハンサムだった。
Ministère de la Culture et de la Communication 文化通信省
フランス文化通信省。この現代建築もゴシック様式の教会に匹敵する堂々たるものだった。
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そして……パリのパサージュを遊歩してきた──ヴァルター・ベンヤミンの気分になって。

パサージュ・コルベールの照明。「規則正しく並んだクリスタル・ガラスでできた。丸い火の玉の列がすばらしい。そこから、強烈だが心地よい光が発してくるのだ。宇宙空間を放浪しに出かけようと出発の合図を待っている戦闘隊形の彗星もこんなふうなのではないか。」『百と一の書』。都市の星界へのこのような変貌を、グランヴィルの『もう一つの世界』と比較せよ。




ベンヤミン『パサージュ論』(第3巻より、岩波現代新書) p.91

*1:

写真論

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