アーノンクールとベルリンフィルのバッハの巻


ベルリンフィル・ブランドのCDがざくざくリリースされていますが、その中にこんな変り種があったので購入しました(アーノンクールベルリンフィルを振るのはわりと珍しいのです)。2002年に録音されたものですが、これがいい!演奏解釈に関してはやはり年季の入り方が半端でなく、全く安心して聴けます。そして現代楽器でやっても、いいものは変わらずいいのです。「G線上のアリア」など定番の曲も入ってるので、バッハや古楽器サウンドが苦手な人はこの辺から入るといいかもしれません。このCDはベルリンフィルハーモニーザール(サントリーホールの大ホールの元になった2000人収容のホール)で演奏されたものの録音なので、演奏形態も大ホール向きになっているようです。とはいえ、アーノンクールらしい短めのはっきりしたアーティキュレーションが存分に堪能できます。あとベルリンフィルの管楽器メンバーが文句なく上手いっす。
もうアーノンクールにとっては、どんな楽器を使うのかとか、ガット弦にするかスチール弦にするのかとか、ノンビブラート奏法がどうのとか、そういうのは単なる手段に過ぎないんですね。手段にこだわるあまり音楽を見失ってはいけないと。作曲家が伝えたかったことは何か、自分の表現したいものは何か、そしてそれを実現するにはどんなことをすればいいのか…などを真摯に考えれば、おのずと楽器や奏法は決まってくる、と。
「でもやっぱり私は古楽器とガット弦の組みあわせによる繊細な音色が好きなんですけどね」と付け加えることも忘れないアーノンクールが好きです。