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We are built as gene machines and cultured as meme machines,
but we have the power to turn against our creators.
We, alone on earth,
can rebel against the tyranny of the selfish replicators.
- Richard Dawkins "Selfish Gene"

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Jun 04(Fri), 2010

ベンチャー新卒入社2ヶ月で僕が学んだ"仕事の進め方"


生物工学大学院を修了し、金融Web屋として働き始めて2ヶ月が経過した。

社長曰く「こいつは社会に適合できるのか心配だった」とのことであるが、まぁマイペースに日々の仕事を楽しんでいる。だっておもろいぜ。新しく知ることばっかやしな。


以前の記事でも書いたように、僕は人間は誰であろうとも自前の意識/認識/記憶の枠から出ることは不可能」という(僕にとっての)真実*1を、言葉を変えながら繰り返している。

というわけで今日は、新入社員2ヶ月の時点でなんとなく見えてきた僕なりの仕事の"法則性"というか"核心"...の、鍵となるのではないかと思うものを書いてみる。

なるべく広く見渡そうとしても、限界がある。なにしろまだ2ヶ月で、そして僕はなかなかの阿呆である。そこで、ブログに書き留めていろんな人に見てもらう、というのが僕の取り得る方法の一つであると考え、不完全を自覚したままここに晒す。

まぁ、要するにいつもの戯言でありますゆえ、ごゆるりと。



こんてんつ

  1. 与えられる前提が不完全
  2. ブラックボックス解体
  3. とりあえずそのゴミクズを晒せ

与えられる前提が不完全


生き延びるためには、与えられる情報を信用してはならない。それが入社して僕の学んだ核心の一つである(←やさぐれてるわけではない)


仕事が発生する。仕事を任される。

個別の作業をスタートする時、目的を達成するために必要な情報リソース最初から与えられると思ったら大間違いで、前提条件はいつでも不完全である。

これはひょっとしたらウチのようなドの付くベンチャーに特有なのかも知れない*2が、「さあやってね」と言われた時点では材料はスカスカだ。

ここが、あらかじめ答えの与えられている試験やらゲームと違うところであって、とにかく「その通り」にやってるだけでは破滅へ一直線に進む。


「さっき言われた作業やってたんですけど、ここだけうまくいかなくて」「あ、ごめん。ここは普通とは違う仕様なんだよ」

「これ必要だと思うんですけど...」「あれ、渡してなかったっけ」


個人的にはこれが面白い、と思うんだけどな。考えない単純作業よりも、考えるプロセスが入った方がいい。面白いと思うんだけど、哀しいかな、まだ"不完全な前提条件"の元で効率よく仕事を回すコツが掴めていない。



ブラックボックス解体


さて。先の「前提条件は不完全」であるという事実から必然的に導かれるのは、仕事の全体像を最初から見渡すことは(僕ら新人にとって)不可能である、という悲しい現実だ。

簡単だと思ったPJが全く簡単じゃない。すぐできると思った作業に丸一日かかる。こーゆー時、めっちゃ悔しい。

僕はこの原因を「作業内容が具体的に見えていないまま作業時間見積もってしまう」ことにあると考えており、この問題を解決する唯一の手段は、単純に、具体的になっていない作業を具体的にすることだ。

格好良く言うと"WBS"...Work Breakdown Structureとでもなるのだろうが、僕は、「中身が見えない仕事をぶちまける→どえらいものがたくさん出てくる」という個人的な経験/イメージからブラックボックス解体と呼んでいる。


ブラックボックスを渡されたとき、表面的にはとても簡単に見える事がある。そこで「簡単そうだから後でやろう」と置いておくと、いざ取りかかろうとして箱を空けたときにタスクがあふれ出し、期限内にとても終わらないことがその段階になって判明し、結果として破滅する。

だからブラックボックスが手元にあるなら、とっとと解体してしまうことが一番。具体的に落とし込んでから、対応を決めるのが安全だ。


ところが、どうしても、何を聞いても、いくら考えても、ブラックボックスをうまく解体できない仕事があったりして困っている。解体時間がかかって、作業が進まない。アウトプットだけ見たとき、何も仕事していないように見えてしまう。


解体の方法がよく分かっていないのは「経験というストックが不足している」からなのか「考え方がそもそも違っている」からなのか。

「なんでそんな所まで見渡せるんですか」という疑問には、上司からは「純粋経験だよ」という答えが返ってくる。確かにその通りなのかも知れない。しかし、もし仮に純粋経験問題だとしても、ただ年を重ねるだけで*3同じものごとが見えるようになるのだろうか?そうではない、と僕は思う。同じ年数だけ社会人として働いた人間が、全く同じ能力を持っているかどうか、少し見渡して考えてみるとすぐ分かることだ。



とりあえずそのゴミクズを晒せ


純粋経験量の問題」である問題に対して、先人の知恵を借りればすぐ分かるのに自分で頑張りすぎて結局効率が悪い、という罠がある。副社長曰く理系ありがちな完璧主義」であり、僕がよくハマる部分でもある。

先日、同僚であるところのid:rindai87id:rindai87電話してて言われたこと。


Hashは簡単なことを知らないがために詰まってる、というパターンが多い。

一つヒントもらえば解決するとこかもしれん。

俺らはどうしても引き出し少ないんやから、ポッと誰かに聞いてみるといい。

そもそも進む方向がわかってないとどうしようもない。

進む方向的なモノは、やはり先輩に聞かないとわからない。


僕は車輪の再発明が大好きなようだし、他人の考えた結論を分解してもう一回再構築しないと使えない人間なのかもしれないが、実際そんなことしてると仕事の文脈ではふつーに無能

自分ゼロから考える、という性格価値はそれなりにあると思っているのだが、上司言葉を借りれば「仕事には制限時間がある」ため、自分なりにやってみてあるポイントで切り上げて先輩や上司に質問、という流れが一番効率が良い。


それほどまでコストをかけられない/価値見出していない問題や、思考を深めるだけの材料を未だ持っていない問題に直面している時は、"パッケージ品"を利用すると良い。

思考を二級品に貶める局所最適解の害悪 - ミームの死骸を待ちながら

※ここでのパッケージ品=先人の知恵/経験/蓄積。

言い換えると「さっさと(議論の叩き台になる)β版提出しろや」ということになり、僕もこの法則性自体は自覚しているんだけど、"切り上げ所"を判断するのがどうも苦手らしい。



その要因として、僕がβ版として"ゴミクズ"しか準備できないことがある。加えて、僕は妙に(自分に対する)期待値が高いからか、ゴミクズを先輩/上司に「これ作ってみたんですけど...」と提出することに抵抗感がある。

そしてこの間、β版としてゴミクズを提出することができないまま本番に挑んで爆死するという失敗をした。本末転倒である。

その日、僕は「いざその場に臨むと自分ゴミしか準備してない/ポイントを外していることがよくわかる」のに、「じゃあそれを防ぐためにどう準備すればいいのか」がわかってない、ということに気が付いて愕然とした。なにもわかっていない。


どうも自分の中で設定している「β版」のハードルを、想定よりも大幅に下げる必要がありそうである。それほど僕は無能なのである。悲しいことに。

入社初日に学生時代に覚えたことは忘れろ。仕事じゃ使えねえから」と言った上司言葉が、今になってじわじわ来る。


そんなこんなでひとしきり落ち込んだ後「先人の知恵を取り込む割合を今より増やす」方針で努力し直す決断したのは、まだ今週のことだ。


発展途上も良いところ。途上はいいけど、どこかに繋がってんのかね僕は。



いじょ。


最初に「僕なりの仕事の"法則性"というか"核心"」を書くと言ったけども、いざ書いてみると新人ならではの不安が結構漏れ出ている。

まぁ、先が見えずに不安になることもあるが、僕に必要なのは、地面を確かに踏みしめて進んでいることを確認したら、後はとにかく日々を無駄にしないことだ。

いま見ているものをよく観察し、いま経験していることをよく記憶し、活かし、なんとしても次に繋げることだ。


発展途上の意志にとって迷いや不安が不可分なものだとするならば、僕に出来る最良のものごとはそういうことになる。


知恵の最後の結論はこういうことになる。およそ自由も生活も、日毎にこれを闘い取ってこそ、それを教授するに値する人間と言えるのだ、と。

ゲーテ "ファウスト"



おまけ

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D

*1:「24歳の段階で真実だと思うものごと」という記事でも書きますかね。気が向いたら。と言って書いた試しはほとんど無いが。

*2:加えて新卒第一期ということもあり、まっさらな新人に何から詰め込めばいいのか、という問題に対する社内コンセンサスが固まっていない(のではないかと予想)

*3:もちろん日々の仕事に手を抜くわけではないが

さかずきさかずき 2010/06/05 11:39 >「さあやってね」と言われた時点では材料はスカスカだ。

ものすごく身に覚えがあります…(材料を渡す側として)

メンバーが優秀ならそれでも大丈夫なんだけど、
組織として拡大していくなら渡す材料をパッケージ化(=マニュアル化)していかないといけないんだろうね。

MakihaMakiha 2010/06/06 13:54 ご無沙汰です。
仕事の質や量は違うけれど、まさに私が意識すべき問題点を提示されました。
とりあえずβ版、頭ではわかっているんだけど、相談の機を逃しては失敗してます。
で、ゴミクズをゴミクズと言ってくれない環境ではなおさら、無能化が加速する。
研究者は「自己流」で物を書いたり発表したりしがちで、それがまかり通ってしまう点が怖いよ。
私はボスが、はっきりとゴミクズだって言ってくれる分、幸せなんだと思う。
毎度凹むんだけど笑

SSSS 2010/06/07 02:36 長文コメ失礼します。
いつも興味深く読ませてもらっています、大4生です。
毎度毎度のエントリで、自分がHashさんのあれこれに9割以上重なったり。
(パフォーマンスはHashさんの1000分の1にも及びませんが;)
自己の認識向上に非常に活用させてもらってたりします。

私も長年自覚済みの完璧主義であり、安易に周囲に相談したくないという
強いこだわりがあります。自分の出来る限りの事をして、それでも
解決出来なければ、出来る限りの仮説を用意して初めて人に相談する
という…”無能”な人間の「出来る限り」なんてゴミなのに…

この相談のタイミング=”切り上げどころの判断”が長年の課題です。
幸い私は学部生研究室所属なので、チーム活動において「情報共有」で
この改善を目指しています。日々の各自タスク進捗のレポートを
相互公開することで、自然相互補完、最適なシナジーのタイミングを
捉えやすくしています。(そうしているつもりです)
もちろん私は、まだまだ「まだ助けはいらないよオーラ」を
出しているらしいですが;

あまりにもクズなレベルの質問をして、尊敬する上司/メンバーの中の
自己評価を落としたくないという低レベルなプライドが私にあるのかも
しれませんが、今後Hashさんの中で、
「完璧主義者が最適な相談のタイミングを自己認識する方法」
が見えてきた時は是非エントリをお願いしたいと思います。

HashHash 2010/06/07 21:18 > さかずきさん
パッケージ化も度が過ぎると非効率ですが、
ナマのままごろごろしてる環境もこれまたサバイバルですね。

ブラックボックスの中身の重さを分からないままホイホイ受けると後で死にます。
今の僕がそれです。はい。


> Makiha様
お、ご無沙汰。ゆるりとしてますか?
ゴミクズが目に見える、、、というか仕事ができないことに気付かざるを得ない環境にいるのでシビア。
後から見たら良い時期に違いない、と思いたい。
でもたまに「初めてなんだからそんなの分かるわけねぇだろ!」と開き直りたくなったり。


> SSさん
長文コメ歓迎です。
僕のパフォーマンスなどゴミです(断言。

完璧主義+妙な自尊心と他己評価+切り上げが苦手。。。
どう見ても同類ですね。仲良くしましょう。

>「完璧主義者が最適な相談のタイミングを自己認識する方法」
現状、そんな方法があれば是非とも知りたいですが、、
数年後には、このタイトルの元に、それなりの考えをまとめて示せる様になっていたいと思います。

alifeclubalifeclub 2010/09/16 14:32 とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。

haradajharadaj 2011/03/21 13:43 興味深く読ませていただきました。
自分もベンチャー企業で働いています。
なのでなんとなく、状況が目に浮かびます。

必要な情報が揃わない中で、何らかのものをアウトプットする(しなければならない)という課程は、
新しい道をドライブするような感覚で楽しいです。
作業の前提は与えられるものではなく、自分で定義するものと考えるようになってから楽しくなりました。

maquamaqua 2011/05/29 21:47 新入社員とはとても思えない思考をお持ちでビックリしました。
古い記事にコメント失礼。

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