産婦人科医・御手洗毅氏の業績


Googleニュースに"産婦人科"をキーワード登録しておくと、こんな記事を拾ってしまう。


何を書いて訴えられたのかというと、キヤノンの創業者と信じられている御手洗毅さんについてで、1つはこの人は創業者ではなく、他の人の作った会社に出資して、いつのまにか創業者だとされたこと、2つ目はこの御手洗毅さんは産婦人科医だったが、博士論文のテーマが妊娠しているウサギに毒ガスを吸わせるとどうなるかで、その論文の指導教官に「731部隊」の関係者がたくさんいたという事実を書いたこと、だそうです。

ふーん、産婦人科だったんだ。

なお、この叔父は創業者ではなく、もともとは医者であったらしく、週刊現代10月20日号によれば、京都帝国大学医学部に「肺刺激性瓦斯ノ妊娠ニ及ボス影響ニ関スル実験的研究」という恐ろしげなる論文を提出した産婦人科医で、キヤノンの初代社長となる御手洗毅という男だそうですが、この男は戦時中、中国で多くの中国人やロシア人を生きているまま麻酔もしないで、切り刻んで人体実験をしたあの「七三一部隊」の石井四郎隊長と同じく、清野謙次を師とする兄弟弟子であったということです。

今度この論文を探してみよう。

子宮筋腫手術 → 帝王切開で260万円

子宮手術ミスで兵庫県立西宮病院に賠償命令
2008.6.5 22:19

 兵庫県立西宮病院(西宮市)で子宮筋腫の摘出手術を受けた女性(36)が、手術ミスで出産時に帝王切開
必要になる後遺症を負ったとして、県に計900万円余りの損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁は5日、
慰謝料など計260万円の支払いを命じた。

 判決理由で栂村明剛裁判長は、不適切な手術で子宮を損傷したと医師の過失を認定。「将来の出産が制限され
るという障害は女性にとって苦痛」と指摘した。

 判決によると、女性は平成17年3月に手術を受けたが、子宮に約1センチの穴が開き、自然分娩(ぶんべ
ん)すると子宮破裂の危険性が生じる後遺症を負った。

 県は「判決内容を十分検討し対応したい」としている。

(魚拓)

何が何だか訳分からない記事。筋腫の核出すれば次の分娩は帝王切開になるは当たり前じゃない?

どんな術式だったか不明。開腹で筋腫核出だったのか腹腔鏡で核出したのか、はたまた粘膜下筋腫を内視鏡下に切除したのか。



子宮手術ミス、県立西宮病院に260万賠償命令

 兵庫県立西宮病院(西宮市)で子宮手術後、機能低下など後遺症が出た宝塚市の女性(36)が、慰謝料など総額九百三十万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が五日、神戸地裁であり、栂村明剛裁判長は、執刀医ら二人の過失を認め、県に約二百六十五万円の支払いを命じた。

 栂村裁判長は判決理由で「執刀医が不適切な手技で筋腫以外の部分を傷つけ、子宮を損傷させた」と指摘した。

 判決によると、女性は二〇〇四年十一月に同病院に子宮筋腫と診断され、〇五年三月に摘出手術を受けた。ところが、手術中に子宮に穴が開いたため、緊急開腹手術に変更。その結果、女性は出産する際に、帝王切開を余儀なくされるほど子宮機能が低下した。

 判決を受け、県病院局の青木俊彦局長は「判決内容を十分検討したうえで、対応したい」とコメントした。
(魚拓)


うーん、産経よりはマシだけどやはり謎。TCRで穿孔したから開腹した?
もしそうだとしたら、手術しなければ妊娠するのは困難だった可能性もあるわけで、それで260万円?
多分、術前の説明が十分ではなかったという点で慰謝料が認められたのかなーと推測。判決文を読まなければ全く分かりません。
ゼクトスコープの挿入時に穿孔した可能性もあるか。


低レベルな新聞記事から事実を読み取るのは難しいです。というわけで100点満点中、産経新聞10点、神戸新聞30点。




<追記>やはりTCRで穿孔みたい。ミスじゃなくて当然あり得る合併症だと思うけど。原告側の協力医が書いた意見書を見てみたいものです。

西宮病院医療過誤訴訟:県に265万円賠償を命じる−−地裁判決 /兵庫

 県立西宮病院(西宮市)で受けた子宮筋腫摘出手術で、子宮に穴が開いたのは執刀医の過失だとして、宝塚市内の女性(36)が使用者の県を相手取り929万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が5日、神戸地裁であり、栂村明剛(つがむらあきよし)裁判長は、後遺障害の慰謝料など265万円の賠償を命じた。

 判決によると、05年3月、子宮筋腫を摘出する手術の際、執刀医が内視鏡に付いた電気メスで摘出をしていたところ、子宮に約1センチの穴が開き、事前に説明していない緊急開腹手術をした。このため、将来の分べんで帝王切開が必要になり、開腹手術で手術痕(こん)が残った。

 判決は「執刀医の不適切な手技で子宮に損傷が生じた」と過失を認定し、県の使用者責任を認めた。説明義務違反は認めなかった。【山田泰蔵】

〔神戸版〕

毎日新聞 2008年6月6日 地方版
(魚拓)

羞恥心

中日新聞の文化欄にこんな記事があったとのこと。
筆者は東大教授と名乗ってはいるものの、全編これ思い込みのみで書かれているため、恥ずかしいことこの上ない文章。
ssd先生なら、ここまで豪快な馬鹿は清々しい、と表現するんでしょうね。

題して

「出産時の帝王切開に思う」


 詳細が書かれていないので、何か別の事情があるのかもしれない。だから一般論として述べたいのだが、アメリカなどでは主に医療の効率性のため、すべての出産を帝王切開にしているという。

どこの異次元のアメリカだか知りませんが、少なくとも世間一般的にアメリカと呼ばれている合衆国ではそんなことはありません。高く見積もって帝王切開は20%弱ですね。ちなみに日本は15%弱です。世界で一番高いのは中国で8割くらいとも言われてましたがはっきりしません。明らかに高いのはブラジルです。統計によって差がありますが50%〜70%くらいでしょうか。韓国も結構高くて40%弱です。

しかし、ちょっと調べれば分かること、常識を働かせれば変だと思うはずのことを華麗にスルーしてしまう精神構造はいかがなものでしょうか。

以下、同様の記述が続きます。


赤ん坊の頭蓋骨が割れ目に沿ってずれ、頭部が縮んで子宮を垂直に下りてくるという話を聞いたとき、私は身体がそのような能力を有しているという神秘にいたく感心した。下りてくるのだから重力を利用するわけで、(略)

重力関係ないし。そんなら動物のお産はどうなっちゃうの。でも、助産院当たりだとそういう事いう人いますね。座ってたほうが赤ちゃんが降りてくるからって。ナンセンス。


19世紀までの西欧の出産用のいすを見ると、妊婦は身体を立てて座るようになっている。手術台に寝かせるというのはドイツあたりで始まった医療上の習慣であるらしく、そこには出産を病気の一種と見なそうという考えがある。それは、女性が身体の潜在能力を否定しつつ出産を行うと言うプロセスの始まりであった。

今の分娩台を見たことないんですね。そもそも分娩台でお産をするようになったのは、いかに安全に分娩するかという観点からそうなったまでで、昔通り危険なのがお好みなら分娩椅子でも畳でも結構です。

 私はとある産婦人科医の集まりで講演した際、会場におられた先生方から「会陰をあらかじめ切開しないで出産すると裂けて大変なことになる」、と断定的に言われたことがある。それで「この中に裂けるところを目撃した方はおられるのですか」と尋ねたら、なんと一人もいなかった。教科書に「会陰は切開しないと裂ける」と書いてあり、すべての妊婦に対して切開してしまうので、「裂ける」体験などしたことがないとのことである。

これはスゴイ。会陰切開しないで裂傷を起こしたのを見たことない産婦人科医って(笑)。見てきたように嘘を言うとはこのこと。見たことなけりゃ産婦人科医じゃないとだけ指摘しておきましょう。

けれども長い人類の歴史で、縫合手段もない時期に、出産のたびに会陰が裂けてきたとは想像しがたい。多くの女性はお産の知恵として伝承された技法(深呼吸をし指圧するなど)を用いてきたのであろう。

想像しがたいと言いつつ、妄想するのですね。
昔の分娩は野蛮でした。裂傷が出来ても縫合しないから、出血や創部の感染で命を落とした人がどれくらい多かったことか。

もう疲れてきたから、まとめ。
全て昔のままにやってりゃ素晴らしいお産が出来ると思ってる方はそうすればいいです。
でも現代の周産期医療を否定するなら、お世話にならないでね。尻拭いはゴメンですから。
こういう人が大多数になったら産科医は必要なくなるし、きっと訴訟も激減するでしょうけど。

真面目にお産を考えてる方へ。自然分娩について色々なことをいう人がいますけど、思い込む前にまずちょっと理性を働かせましょう。変?と思うことが多々あるはずです。


もっと捻りを入れた文章にしたかったけど、面倒くさくなったのでストレートにツッコンでしまいました。文章力無いなぁ。


全文を読みたい方、記事は以下に。

続きを読む

死因究明制度 厚労省第三次試案の法案化に反対し、第四次試案の検討を望みます。


先日CBニュースに上がった記事が突然削除されていました。どこから圧力がかかったのでしょうか。
魚拓にキャッシュが残っていますが、ここでも取り上げます。


法案提出に関しては、舛添厚労大臣が今国会での法案提出はしないと語ったとのことですが、より一層の検討により、不当な刑事介入を防ぐための第4次試案を求めます。


超党派私案に遺族が賛同―死因究明制度


 超党派の「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」幹事長の鈴木寛参院議員は5月25日、東京都内で講演し、厚生労働省が創設を検討している、「医療安全調査委員会」(医療安全調、仮称)設置を柱とする死因究明制度について、同議連から今後提出する対案の私案を示した。医療安全調の中央委員会を内閣府に設置し、死亡診断書や死体検案書などの発行ができた場合は、医師法21条に基づく警察への届け出を不要とするなどの内容だ。これに対し、都立広尾病院の医療事故の遺族、永井裕之さん(「医療の良心を守る市民の会」代表)は、「良い案だと思うので応援したい。(私案を)もっと公開して議論していくべき」と、賛同する考えを表明。これまで第三次試案について「患者側から賛同を得ている」との見方を示してきた厚労省は、厳しい対応を迫られそうだ。(熊田梨恵)


 鈴木議員は、患者と医療者双方の要望について、「患者側は、納得がいくまで病院内や第三者機関で真相を究明してほしい。医療側は、刑事当局の医療現場への介入のルールを明確にしてほしい。患者側は行き場がないから、やむを得ず警察に行っているだけで、医療者の逮捕や立件を望んでいるのではないのだから、両者に対立点はない」と説明。その上で、厚労省の第三次試案について、「医療者と患者は良いパートナーであるべきなのに、対立構造をわざわざ引き起こした」と、政策立案の手法が間違っていたと指摘した。解決すべき問題としては、▽正義ある公正な解決のために、真実・原因を究明するための患者・遺族と医療者側の適切な対話▽再発防止▽委縮医療−を挙げ、「これらは予算や政治的決着の話ではないので、痛み分けというやり方で済む問題ではない」と述べた。


 その上で、解決策としての最も重要なのは「医師数、医療費の増と臨床医師の離職防止」とした。死因究明制度については、医師法21条に関連する罪刑法定主義と刑法構成要件論を理解した上での制度設計になっていないことが問題とした上で、「医師法21条の構成要件が、主観的判断に基づいているのが最大の問題であるため、客観的構成要件に修正する。死亡診断書の発行が客観的行為となるので、それをもって届け出る・出ないのメルクマールにすることが政策技術上必要。現在は死亡診断や死体検案がずさんなため、的確な死亡診断をしなければならない」と強調した。
 現在の医師法21条に基づく異状死の届け出が、死体か妊娠4か月以上の死産児を検案した医師の主観的な判断によるものであることから、客観性を持たせるために、医療機関内の死亡事例については、病理解剖や死亡時画像診断(Ai)を活用して的確な死亡診断を行うようにするとした。医師は治療中の患者の死亡や、死因が診療にかかわる事故であるときは死亡診断書を、かかわらないものであれば死体検案書を、死産児の場合は死産証書を作成する。医師法21条に基づく届け出は、死体や死産児に異状があり、これらの書類を作成できない場合に限定した。このため、刑法160条の虚偽診断書作成罪を厳罰化するとした。


 また、医療安全調の目的を医学的な原因究明とすることで、原因究明と再発防止をそれぞれ別の組織が担うとする部分で、「原因究明、再発防止、医療安全の確保」というそれぞれの目的をすべて医療安全調が担うとする厚労省の医療安全調設置法案の原案と一線を画している。さらに、日本医療機能評価機構が実施している医療事故情報収集制度を強化し、全例を届け出にしてデータを収集・分析することで、再発防止や医療安全の確保に役立てるとした。


 設置場所については、内閣府に中央委員会を置き、都道府県ごとに地方委員会を置くとした。地方委員会の調査チームが医療事故の調査報告書を作成する。中央委員会を内閣府に置くことで、厚労省行政処分手続きとは切り離すとした。このため、遺族からの申し立てがあれば、調査報告書は刑事・民事訴訟の手続きに利用することができるが、行政処分には使えない。鈴木議員は「患者遺族の刑事告発権、賠償請求権はみじんも縛ってはいけない。罪刑法定主義の観点から、そもそも明確な立法でなければそれはできないし、そのような立法はすべきでない。また、業務上過失致死罪からの医療行為免除は、現段階では時期尚早」と述べ、刑事免責については今後十分な議論が必要とした。


 医療安全調の地方委員会に届け出る医療事故の対象は、医療従事者や患者・家族が調査を望んだ事故とし、患者や家族、医療従事者から申し出ることができるとした。患者や家族は、調査報告書に納得がいかなければ、何度でも他の都道府県の地方委員会に申し立てることができ、質問も可能だ。解剖については、厚労省の原案は遺族の確認が取れない場合は医療安全調の判断で可能としているが、私案は遺族の承諾を求めている。また、病院内に原因究明委員会を設置し、患者や家族を支援するための仲介役の設置を制度化するとした。


■「患者・家族に配慮した良い案」


 講演終了後、聴講者が鈴木議員を囲み、死因究明制度や医療安全調に対する考えを約30分間にわたって質問した。この中で、1999年に都立広尾病院で起きた医療事故の遺族で、「医療の良心を守る市民の会」代表の永井裕之さんは、「患者や家族側に配慮されていて、いい案だと思うので、もっと公開して議論してほしい。ぜひ頑張っていってください」と鈴木議員を激励した。

 永井さんはキャリアブレインの取材に対し、「厚労省の第三次試案は、調査報告書が刑事や民事訴訟に使える部分などが残っており、医療者からは反対も出ると思う。鈴木議員の案は、遺族が求めるものから大きくぶれてはいないし、あれで進めてくれるなら、彼に預けてやっていってほしいと思う。前に進んでいくことが必要なのだから、こうしていろいろな案が出てきて、さまざまに議論が深められて、よりいいものになっていく、そういう段階に来ているのでは」と語り、私案によって充実した制度になることへの期待感を表明した。


■解剖への遺族の承諾で、厚労省案と相違


 厚労省が制定を目指している「医療安全調査委員会設置法」の原案では、地方委員会は医療事故調査を行うために必要であると認めたときに遺族の承諾を受けた上で、死体や死胎の解剖が可能としている。しかし、「死因を明らかにするため解剖を行う必要があり、かつ、その遺族等の所在が不明であり、または遺族が遠隔の地に居住する等の理由により、遺族等の諾否が判明するのを待っていてはその解剖の目的がほとんど達せられないことが明らかであるときは、遺族等の承諾を得ることを要しない」とした。一方、鈴木議員の私案はあくまでも遺族の承諾を前提としている。永井さんは「これ(遺族の承諾なしの解剖)はやってはならないこと。遺族の気持ちとして納得がいかない」と述べた。


                     ■  ■  ■


 厚労省はこれまで、第三次試案には患者側や学会などからも賛同を得ているとの見方を示していた。しかし、医療安全調の設置を強く求め、第三次試案に賛同していた遺族側が、現行の医師法21条の構成要件のあいまいさを是正することで、不当な刑事介入や立件を防ぐとする鈴木議員の私案に賛意を示した。医療系学会でも、日本医学会で近く各学会の意見を取りまとめようとする動きが見られ、舛添要一厚労相与野党すべてが合意する案を求めている。鈴木議員は「最大の犠牲者は患者。第二の犠牲者はハイリスク症例担当医」と講演の最後を締めくくった。永井さんは「遺族が納得のいく制度にしてほしい」と、さまざまな意見による議論の深まりを期待している。死因究明制度の創設に向け、状況は刻一刻と変わりつつある

福島県医大VBAC訴訟で控訴

産科医療のこれからで取り上げられていた福島県医大VBAC訴訟は、県が控訴しました。


判決文を読んでみないとはっきりしたことは言えませんが、本当に深夜の帝切決定から42分で娩出したのに、それが遅すぎたという理由で責任を認めたのであれば、この控訴は当然です。少なくとも15分以内に娩出しなければ児の予後は悪いのですから、裁判所の判断は「決定から15分以内に娩出できる用意が必要であった」と同義であり、現実的に不可能な要求だからです。

個人的には今の時代にはVBACなんてやってる方がおかしいと思いますが、この事件は13年前のことですからね。


県立医大病院医療過誤訴訟:県立医大病院が控訴「医学水準判断に矛盾」 /福島



 県立医大付属病院で出産した次女が脳性まひになり、その後死亡したのは医療ミスが原因として、両親が病院を相手取り約1億円の損害賠償を求めた訴訟で、同病院は26日、約7340万円の支払いを命じた1審判決を不服として仙台高裁に控訴した。


 判決は「子宮破裂の危険性が高く、直ちに帝王切開手術を行える準備が必要だったのに怠った」と病院側の過失を認定した。病院側は控訴について、「当時の医学水準では帝王切開手術の準備をする必要がなく、判決の医学的水準の判断には矛盾がある」と理由を話している。【今井美津子】



毎日新聞 2008年5月27日 地方版

(魚拓)

厚労省の役人は手抜きがお好き。− 明らかになった死因究明制度の原案

厚労省の死因究明制度の原案が出ました。パブリックコメントを募集しておきながら、なんにも検討も反映もされてない。だめだこりゃ。

公開された第三次試案のパブコメは以下に。665通もあります。大部分は刑事の謙抑的運用が明確になっていないなどで、第三次試案の法案化に反対、もしくは再検討を要するという意見です。

厚生労働省:「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案−第三次試案−」に対する意見について(中間まとめ)



カルテ提出拒否に罰金30万円以下−死因究明制度の原案


 医療死亡事故の原因を調査する「医療安全調査委員会」(医療安全調、仮称)の設置法案の原案が、5月21日
までに明らかになった。医療安全調の構成のほか、事故のあった医療機関に対する立ち入りなどの処分権限を明
記。医療安全調は医療機関に対し、事故に関する報告を求め、カルテや医薬品など事故に関係する物件を提出さ
せることができるが、虚偽の報告をしたり、物件の提出を拒んだりするなどした場合には、30万円以下の罰金を
科すとした。また、厚生労働省の第三次試案にある、捜査機関への通知の判断基準の中の「標準的な医療」など
の表現や、届け出範囲の規定は不明確なまま残るなど、試案から基本的な内容が変わっておらず、医療界に波紋
を広げそうだ。


 原案の名称は「医療安全調査委員会設置法」。法の目的を、「医療事故死等の原因を究明するための調査を適
確に行わせるため医療安全調査地方委員会を、医療の安全の確保のために講ずべき措置について勧告等を行わせ
るため医療安全調査中央委員会を設置し、医療事故の再発の防止による医療の安全の確保を図り、医療を受ける
者の利益の保護及び良質かつ適切な医療の提供に資すること」とした。中央の医療安全調の設置場所については
厚労省、地方の医療安全調は各地方厚生局と明記している。中央の医療安全調と関係行政機関との関係について
は、「医療の安全の確保のため講ずべき措置について厚生労働大臣または関係行政機関の長に対し意見を述べ
る」との表現だ。


 医療安全調の委員は中央、地方とも20人以内で、任期は2年。再任もありうる。特別の事項について調査・審
議する必要があるときは「臨時委員」を置き、専門的な事項を調査・審議するときには「専門委員」を設置でき
るとした。委員は、医療安全調の事務について、「公正な判断ができ、かつ、医療、法律、その他その属すべき
中央委員会または地方委員会が行う事務に関し優れた識見を有する者及び医療を受ける立場にある者」とし、医
療や法律の専門家のほか、患者などからも選ばれることを示している。中央の医療安全調の委員は全員が非常勤
だが、地方については常勤を4人以内で置くことができるとした。


 医療安全調の事故調査の趣旨は、「医療事故死等における医療を提供した者の責任を個別に追及するためのも
のでなく、医療事故死等に関する事実を認定し、これについて必要な分析を行い、当該医療事故死等の原因を究
明し、もって医療事故の再発の防止を図ることを旨として行われるものとする」とした。


 「医療事故死亡者等」については、「医療事故死等に係る者または死産児」と定義した。事故があった医療機
関に対して、地方の医療安全調が行える処分としては、▽医師や歯科医師、薬剤師、助産師、看護師など医療事
故死の関係者に報告を求める ▽病院や診療所、助産所など必要と認める場所に立ち入って、構造設備、医薬
品、診療録、助産録、帳簿書類などの物件を検査し、質問▽関係者の出頭を求めて質問▽関係物件の提出を求め
ることと、物件の留置▽物件の保全▽事故死現場への、公務で入る人と医療安全調が支障がないと認める人以外
の立ち入り禁止―などを明記。虚偽の報告をしたり、関係物件の提出を拒んだりするなどした場合には、30万円
以下の罰金を科すとしている。
 また、医師や歯科医師助産師が報告を怠ったり、虚偽の報告をしたりした場合は、医療安全調が医療機関
助産所の管理者に届け出を命令できるとし、そのために医療機関に立ち入って関係者からの報告を聞いたり、物
件の検査や提出も求めることができるとした。



■調査報告書の公表義務付け


 地方の医療安全調が作成した調査報告書については、厚労相と中央の医療安全調に提出するとともに、医療事
故のあった医療機関助産所の管理者と遺族にも交付して、公表することを義務付けた。報告書には、▽医療事
故調査の経過▽臨床の経過▽死体または死胎の解剖の結果▽死亡または死産の原因▽臨床の経過の医学的な分析
および評価▽その他必要な事項―を記載。調査結果について管理者や遺族の意見が異なる場合は、その内容を添
付する。


■「標準的な医療」など残る


 医療系の団体などから問題が指摘されている、捜査機関へ通知する事例の基準として第三次試案が示していた
「重大な過失」(重過失)の文言は消えたものの、重過失の定義の中にあった「標準的な医療」などの表現は
残ったままだ。通知するケースとして、▽故意による死亡または死産の疑いがある▽標準的な医療から著しく逸
脱した医療に起因する死亡または死産の疑いがある▽事故事実を隠ぺいするために関係物件を隠滅・偽造・変造
した疑いがあるか、同一または類似の医療事故を相当の注意を著しく怠り繰り返し発生させた疑いがあること
や、それに準ずべき重大な非行の疑いがある−を挙げ、これに当てはまると地方の医療安全調が判断した場合
は、医療機関助産所の管轄の警察に通知することを義務付けている。


■届け出は管理者から中央の医療安全調へ


 医療死亡事故の発生から調査開始までは、医師から報告を受けた医療機関助産所の管理者が厚労相に届け出
て、厚労相から地方の医療安全調に通知され、調査が始まるという流れになる。医療法の一部を改正し、医療死
亡事故の際、医師や歯科医師が死亡について診断するか、医師が死体か妊娠4か月以上の死産児(助産師は妊娠4
か月以上の死産児)を検案し、「行った医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産であって、
行った医療に誤りがあるものか、予期できないもの」と判断した場合は、24時間以内に医療機関助産所の管理
者に報告しなければならないとした。報告を受けた管理者も、医師や歯科医師助産師やそのほかの関係者と協
議の上、同様に判断した場合は、厚労相に届けることを義務付けている。判断の基準については、厚労相が定め
て公表するとした。


医師法21条改正を明記


 医師法21条の改正も明記。医療安全調に事故の「報告や届け出をした場合はこの限りではない」との表現で、
警察への届け出を不要とするよう改める。同様に死産児の届け出について義務付けている保健師助産師看護師法
41条も改正する。

更新:2008/05/22 02:39 キャリアブレイン

突然販売中止って言われても困ります

当院に小野薬品の担当者がきて言うには、
プロスタルモンEが年内には供給停止。


ググっていただければ判るとおり、陣痛促進剤の被害を訴える会に槍玉に挙げられているクスリです。

しかし頚管熟化作用が強力なため、他の促進剤では難航しそうな子宮口が固い症例には適しています。
例えば、陣痛発来前の前期破水でBishop scoreが3点くらいはギリギリ有るけど、これはアトニンOの点滴ではではきついなという場合。


経口薬なので調節性に欠けるところが欠点ですが、それを補えるだけのメリットがあるため、めったに使わないとはいえ無くなると辛い。


科研の同種同効薬は有るけど、こういったものって使い慣れたものでないと不安が有るし、やっぱり厳しいな……。


供給停止の理由は、販売量の減少(ピーク時の1/10)と生産ラインの老朽化。つまり設備更新にかかる費用が見合わないから。


そりゃ、あれだけ叩かれれば販売量も減りますわ。

うーん、もう子宮口の固い前期破水とかは24時間経っても進行しなければ最初から帝切でいいか。