days of cinema, music and food

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Death Race


日曜夕方、近所のシネコンまで『デス・レース』を観に行って来ました。
公開2日目だというのに、観客は30人程度の入りでしょうか。
まぁ、ネームバリューのあるスターが出ている訳ではないので致し方無いでしょうか。


ロジャー・コーマン製作、ポール・バーテル監督、デヴィッド・キャラダイン主演、無名時代のシルベスター・スタローン共演のB級SFアクション映画『デス・レース2000年』(1975)のリメイクは、当初トム・クルーズ製作&主演の企画でしたが、結局のところポール・W・S・アンダーソン脚本&監督、ジェイソン・ステイサム主演に落ち着きました。
製作者としてクルーズのパートナー、ポーラ・ワグナーの名前があるのは当初の企画の名残でしょう。
しかしながら、本作はそれなりに成功したのではないでしょうか。


オリジナル版は未来の娯楽である大陸横断殺人カーレースという設定で、老人・子供を轢き殺すと高得点という不謹慎なルールまでありました。
幼少時にテレビ放映を観ていた私は、大きな刀が取り付けられている車による人体切断映像に衝撃を受けたものです。
犠牲者の1人として、これまた無名時代のジョン・ランディスがスタントマンとして出演していました。
女性の裸体も多かったのですが、今思うとよくそんなのをテレビ放映していたものです。
大らかな当時ならではですねぇ。


リメイク版は刑務所内での殺人レースものになっていて、妻子殺害の濡れ衣を着せられた元レーサーのジェイソン・ステイサムが主役となっています。
オリジナル版で主人公だった、人気レーサーの”フランケンシュタイン”に扮してレース出場を強要されるのですが、冒頭に登場するフランケンシュタイン役が、マスク被っているとはいえ本家デヴィッド・キャラダインというお遊びあり。
これがパンフレットでまるで無視されているのが残念ですが。
しかしレースそのもののルールもかなり変更になっていて、車同士の乱暴極まる戦いに焦点が合っています。


レースのルール自体は工夫が凝らされていて、路上のアイコンを踏むと、各車搭載の武器や防御のシステムが作動するとなっていて、ここら辺もスリル盛り上げに一役買っています。
アンダーソン、中々やるじゃないか。
アクションの撮り方も中々堂に入っていて、彼が大好きという『マッドマックス2』を彷彿とさせる場面もあり、カタルシスも要所に放り込んでいます。
最初からスピード感溢れるアクションと暴力描写が目当てならば、十分面白い。
オリジナル版でちゃちながらも顕著だった人体破壊描写はそれ程でも無く、殆どが派手なクラッシュになっています。
またナビゲーターが殆ど美女ばかりなのに、女性の裸体がまるで出ないのも、時代のせいか。


幾つか欠点を挙げるならば、折角のステイサム主演なのに主人公のキャラが立っていない点。
主人公の相棒役ナタリー・マルティネスの描き込みが弱い点。
そして残念ながら、クライマクスがいささか弱いのが最大のマイナスとなっています。
悪役刑務所長ジョーン・アレンへの決着の付け方が今ひとつで、恐らく脚本で悩んだのでしょうが、ここは結構弱点となっています。


それでも100分少々、単純明快なお手軽アクション映画として面白いし、ジョーン・アレンの終盤での超口汚い決め台詞が可笑しい(エンドクレジットの最後にもあり)。
アンダーソンらしい気取らず、しかし観客サーヴィスと自分の好きなジャンルへの忠誠心でもって、なんのかんの言いつつも楽しんだのでした。