「ミリタリーミニチュア・イン・レビュー No.50」

米国アンパーサンド パブリッシング刊行の模型雑誌。全ページフルカラーで写真も豊富です。作例記事は写真が主で解説文を従に据えたスタイルであり、短めのセンテンスが主体なこともあいまって比較的読み易い内容の本と感じられます。


表紙を飾っている記事は“Party with your PT!”と題されたイタレリPT-596の場景で、前後編2回に別れて今回はディティールアップ編といった感じの内容です。魚雷艇ファンという向きも日本ではそれほど多くはないでしょう、がしかし、確実に存在するコアな魚雷艇ファンには大量にエッチングパーツを用いた徹底ディティールアップ記事は参考になるはずです!例えばどこのメーカーのパーツを使ったのか、といえば――


“replaced with photoetch parts of my design.”


ですって。

自作パーツってアメリカの魚雷艇モデラーはハードルが高いなあ。さすがは大統領が魚雷艇に乗ってたお国柄なので、これは仕方ありませんね…

それにしてもこの作例よく出来ているのです。ボフォース40ミリ機関砲周りなんかこれ本当に自作パーツなの?メーカー品みたいなグレードでむむむむ??と、改めて記事を読み直してみる。さっきは製作過程と無関係なんで読み飛ばした冒頭の「自己紹介」をよくよくみたら


“私はアフターマーケット製品やフィギュアをリリースしている小さな模型メーカー、ロイヤルモデルのオーナーをしていて…”


Σ( ̄□ ̄lll)!!


うん、それは確かにふぉとえっちぱーつおぶまいでざいんでだな。むしろメーカーをデザインしたひとぢゃないか。


そんなこんなで MMIR 50号のメインはロイヤルモデルの Roberto Reale 氏自らの手によるイタレリPTボートの作例です。つまりこの記事はイタリア人は魚雷艇が大好きです。さすがはXMAS戦隊の国ですね。というわけなのでアメリカ人とか大統領とかそんなの関係ねぇw

ロイヤルモデル Elco 80フィート魚雷艇 PT-596用ディテールパーツ
ロイヤルモデル Elco 80フィート魚雷艇と波止場用装備品

はっきりとは記されてないんですが使われているパーツはこのへんかな?詳しいことは後編に掲載されるかとは思いますが、今回の解説記事でも製作途中の状態を順を追ってクローズアップ撮影した写真が豊富に用いられ、同キット制作の際に必ずや参考になる物と思われます。当たり前の話ですがやっぱ魚雷艇って船舶模型なんだなーと感じるのは甲板上のロープの束ね方とか、そういうちょっと脇にそれたような箇所に目が行きますね。

塗装前で今回の特集は終了、次回へとつづくのだ。

本紙に掲載されている、他の作例記事としては


・ドラゴンのブルムベアにポリパテとローラーでツィンメリットコーティング
・AFVクラブ M5A1 スチュワートにブラストモデルのレジンパーツを追加して
・ドラゴン8tハーフ 2cm Flak38 四門のバレルをトライスターに
・プラスモデルの CDSW 軽レッカー MIGピグメント仕上げ
・アキュレイトアーマー FV221 カーナボン キットの素性を活かして
・トランペッター MAZ-537 クロアチア仕様 セルビアT-34 を添えて


などがあります。すいません、途中から独断と私見でぐるナイの「ゴチになります!」みたいになってます…

プラスモデルのモーリスCDSWを見て、もしもプロモデラーの(故)尾崎正登氏がご存命であれば、きっとこの車輌を魅力たっぷりに解説してくれるのだろうなぁとか、ふと。


海外の模型雑誌っていまひとつ編集意図がよくわからなかったりするものも多かったりはするのですが、本誌を読んでると使われている道具や素材は日本でも馴染みの深いものであり(クレオスのレジンプライマーとか馴染み深いにも程がありますね)、技術はボーダーレスなのかも知れないなあとか、そんなことを思いました。

その上で尚、センスの違いは確たるものとして存在するのだと知らしめる、Bravo 6社製の 1/35 Vietcong Fighter (3), Local Forces フィギュア。


この直球すぎるセンスに脱帽。 ぱんつ さんだる はいてない