モデルアート「オートモデリング Vol.28 」

モデルアート別冊オートモデリング第28号です。ここしばらくは現代F1の流れを追っていた同誌、前号ではとうとう最先端まで追いついてしまってそもままゴール…にはならず、ラップタイムを巻き戻しての「1960年代F1を探る!」特集。


1960年代はミッドシップエンジン、モノコック構造ボディといった「近代F1の礎」が確立された時代です。いわゆる葉巻型のクラシカルなスタイルではありますが、そのシンプルな外観は現代F1とはまた違った魅力に満ちています。質実剛健、エアモデルで例えればWW2レシプロ機のような位置づけになりましょうか。この時期にチャンピオンシップを争ったチームではロータスやマトラと言った現在では歴史の彼方に置き去りにされた名門にノスタルジーを感じる中で、やはりフェラーリは一歩抜きんでた「名門」なのでしょう。


メタル製の鋼管フレームを組み立て上げるモデルファクトリーヒロのフェラーリ156にはじまって、今回特集での作例記事は複合素材を存分に使いこなしたものとなっています。もっとも手軽に入手可能なタミヤの1/20インジェクション・ロータス25であっても、サスペンションやエンジン周辺のディティールアップ、各部の配線など様々な箇所にヘビーなディティールアップが施されたもの。全体としてはいつになく高価なマルチマテリアルキットを使用した記事の割合が多く、グレードの高い作例はまたハードルの高さを感じさせる物であるのかも知れません。


もちろん実際に手を動かしてこれら上級者向けキットを作成される方には好い例となるガイドブックではありますし、例えそうでないという向きにも、美しく仕上げられたビンテージF1の模型はただページをめくり、目にするだけでも十分楽しめるだけのポテンシャルを持つものです。毎年のレギュレーション変化に合わせて限界の線でシノギを削る戦いは現代のそれと少しも変わらない、歴史に名を残すマシンあり、残さないマシンもまたあり。名をの貸さないマシンの方が魅力的に思えるのは、これは単なる自分の偏見ですが(笑)しかし良いなあ、BRM16気筒H型エンジン…


この時代のマシンとして日本国内(に限らず?)圧倒的な人気をもつホンダのF1マシンは「ホンダF1第1期 1964-1968 5年間の軌跡」と題した小特集が組まれています。タミヤのキットやエブロの完成品など定番的なアイテムが紹介される中、デアゴスティーニのRA300ガレージキットはちょっと毛色の変わった面白いアイテムです。Web受注限定生産(締切済み)、一般の模型店や雑誌とは違ったターゲットを狙っているのではないか…とも思われる、60年代F1のファン層についてちょっと考えさせられる商品。


今回のオートモデリングでもっともインパクトがあったのはニューキットレビューの最後のページに載ってたラストエグザイルのヴァンシップなんですけどね。ハセガワのキットにロータスのカラーリングでレース仕様の作例です。オリジナルのデザインはレコードブレーカーがネタ元でありますし映像本編でもレースが題材に取られた回もありましたしで違和感まったく無し。モデルアートがキャラクターモデルに接近している、これもひとつの例示なのかな…?

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